カケハシ・レコード

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NATIONAL HEALTH

評価:51件のレビュー

在庫なし

ESD80402/412(ESD) 【90年発売CD】

2枚組、ボーナス・トラック収録、ブックレット封入。

新品・中古ともに在庫ございません。

カケレコ・レビュー

オリジナル・アルバム3作の全楽曲を収録

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評価:5スリルと落着きを同時に味わえます。(8 拍手)

レビュアー:たすけさん レビューをすべて見る

ナショナル・ヘルスは、時代で言えばパンクとフュージョンの裂け目から登場してきました。英国でさえデビュー作のリリースに時間がかかり、それが輸入盤として日本に入ってくるのに時間がかかり、当時「幻の名盤」的な扱いでした。

デイブ・スチュワートの特色は、音色です。すぐわかる歪んだオルガン、澄んだピアノをよく用います。鍵盤奏者にしてはストイックで、刺激的な音を出すことを好みません。フィル・ミラーの粒立ちのあるギターと交錯して独特の世界をつくります。スピード感も中庸です。キャラヴァンより速いけれど、フュージョンほどではない。そんな感じです。ナショナル・ヘルスのユーザーは、楽器の音色、スピード感、リラックスした演奏によって独特のスリルと充実感が得られるしくみになっています。ヘルスのどの作品も素晴らしいですが、入りやすいのはファーストです。 これがDISC1の2.から7.まで。

セカンド「Of Queues & Cures」の特徴は、「クール」という言葉につきるのだろうな、と思います。いわゆるジャズの魅力はインプロビゼーションのスリルだと思うのですけれど、彼らは全く異なるジャズの姿を提示しています。複雑な曲構成、奇怪なリズムの中を、ギターやオルガンがソロを交代しながら、ゆるやかに曲想が展開していきます。リフレインは必要最小限。油断していると、あっという間に違う曲になっています。変幻自在とはこのことです。これがDISC1の8.からDISC2の4.まで。

半分おふざけの5. The Apocalypso をはさんで、以後が「D S Al Coda 」。アラン・ガゥエンの死去に伴ったトリビュート・アルバムで、珠玉と言える美しさです。もともとヘルスはダブル・キーボード、ダブル・ギターにより複雑なアンサンブルを追究しようとして結成された経緯があり、ガゥエンはモント・キャンプベル(すぐに脱退)、デイブ・スチュワートと並んだブレーンでした。エルトン・ディーンほか管楽器奏者、バーバラ、アマンダの女声コーラスも加わって、カンタベリー総出演の趣があります。

興味深いのは、ナショナル・ヘルス後のメンバーの動きです。フィル・ミラー、ピプ・パイルはそれぞれ英国ジャズを掘り下げるグループをつくりマイナーながら高品質な作品を作り出します。一方でデイブ・スチュワートは、そうした旧メンバーをサポートしつつ、ポップ本道と言える「スチュワート・ガスキン」でヒットを飛ばします。フィル、ピプ、デイブの総合計がナショナル・ヘルスだ、と言うつもりはありませんが、彼らの中に映画音楽や50、60年代ポップスの下地があったことは否定できなくて、求道的なジャズ演奏家たちになっていない由縁です。

なお、この2枚組は当初「Missing Pieces 」も組み合わせた3枚組として企画されていたようです。

ナイスレビューですね!

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