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デトロイト出身サイケデリック・ロック・グループが残した74年唯一作。レーベル解説には「Doorsy」なる言葉が躍っていましたが、なるほど一曲目から激情ほとばしるオルガンと悲哀を帯びたギター、そして厳かに歌い上げる存在感あるヴォーカルが繰り広げる情念渦巻く音世界に引きこまれます。これは確かにDOORSを引き合いに出したくなるサウンド。そこに彼らならではのカラーを加えるのが、「Tales From A Wizard」「Devil's Child」「Black Magic/White Magic」などの曲名からも読み取れる黒魔術的コンセプト。全体的な重くダークな色調や時折聴けるオルガンの邪悪なフレーズなどにオカルティックな要素が感じられます。その点では「DOORS+初期BLACK SABBATH」と形容してもいいスタイルかもしれません。どこまでも硬派で重厚なサイケ・ハードを楽しませてくれる力作です。
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レビュアー:たすけさん レビューをすべて見る
74年に出ているので、ジム・モリスンのわけはないのに、モリスンは生きているという話題が出たのだそうです。またこのレコードのプロモーションが、モリスンそっくりということだけを売りにしたいらしくて、メンバーの名前は伏せられています。リーダーが「ファントム」、ドラムズが「X」、ベースが「Y」と「W」、オルガンが「Z」というふうに。エラリー・クイーンですか。関係ない話で恐縮ながら、「Xの悲劇」で犯人が典獄と明かされ、どうです、意外でしょうと言われても動じなかったのがわたしです。だって典獄なんて職業知らんもん…。キャピトルから出されたれっきとした公式レコードです。
ネットは便利なもので、このバンドについて検索すると、今ではかなりの情報が出てきます。「ファントム」は、テッド・ピアスンという人。デトロイトで「ワルプルギス」というバンドをやっていたそうです。そのバンドのレパートリーがアーサー王物語を原典にしたオリジナルで、このCDの内容もその成果なのでしょう。「マーリン」という曲が出てきますからね。
音はドアーズとまるで違う、重苦しいサイケ・ハードで、かなりの見っけものと判断いたしました。古臭い音ながら、迫力は本物です。重すぎて少し疲れますけど。怪しげなCDレーベルから出されていたものが、けっこうな値段で取引されていました。今までは…。2023.09.13