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レビュアー:たすけさん レビューをすべて見る
マウロ・パガーニがファブリチオ・デ・アンドレと共作した「クロイツァ・デ・マ」は、イタリアのロックを聴き始めたわたしの耳を静かにひっぱたきました。たしか79年の頃です。彼のファースト・ソロでもまだパガーニの本質ではなかったか、という驚きでした。ファーストでは、デメトリオ・ストラトスの影響かアラブに若干引っ張られています。本来のイタリア古楽の趣を湛えたゆったりとした響きに心が落ち着きました。
ロックが心を落ち着ける音楽なのか、という反問はあろうかと思います。しかしパガーニにPFM時代の攻撃的バイオリンを期待する人はもういないでしょう。数十年を経て、この音楽をセルフ・リメイクしたのは、パガーニがアンドレのように歌う自信がついたから。ブズーキとウドだけ演奏していますけれど、これはほぼ弾き語りのためのものです。で、このリメイクは、心が弾むダイナミズムにあふれています。実によいです。
パゾリーニの映画でよく出てくるシーンに金属音がするシーンがあります。シャンシャンと遠くから音がすると思ったら、人が近づいてくる、とか。金属の音って、遠くまで届いて地中海沿岸のような広い場所では効果的なんです。このアルバムの金属的な弦の音を聞くと、そうしたイタリアの映画シーンが浮かんできます。演奏する情景が目に浮かぶ優れた視覚効果を伴う音楽です。