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ANTARES
ややチープですが、ジャケットが音のイメージをよく表しています。
スペイシーなシンセに哀愁あるメロディー。
はるか宇宙から地球を見つめる孤独な宇宙飛行士。
彼の眼に映ったのは人類の輝く未来か、それとも・・・?
そんな心象風景を映したような音像が繰り広げられます。
ラジオでヒットしそうなキャッチーな1曲目。
一歩間違えれば、もろニューウェーヴになりそうなところを、叙情的な歌メロでしっかりプログレにしています。
イタリアっぽくないなと思っていると、2曲目、3曲目と、悲しげなストリングス、メランコリックなアコギやピアノによる泣きのインストが続き、宇宙船の中からでも長靴の形をした大地をしっかりと確認できます。
とにかく物悲しい、そしてどこか懐かしい音です。
このアルバムが世に出たのは79年。前年「未知との遭遇」や「スター・ウォーズ」が大ヒットし、空前のSFブームに沸いていた頃。音楽界はパンク・ニューウェーヴ全盛期で、我らがプログレは時代に適応できない恐竜のように絶滅寸前でした。
そんな時代だからこそ、プログレを志向するバンドがアルバムを出すのはさぞ大変だったと思います。
(実際、この頃、多くのプログレバンドが契約を切られたり、路線の変更を余儀なくされています)
そして案の定、あまり知られることなく、ひっそりと消えていったバンド。
時代は、MTVを中心に音楽が大量消費される80年代へと入っていきます。
彼らの眼に、あの頃のプログレ界、そしてロックの未来はどう映っていたのか?
ジャケットの孤独な宇宙飛行士のように、遠くから静かに眺めていたのでしょうか?
「プログレ最後のあだ花」と呼ぶにはあまりにも惜しい作品です。