HEATWAVE DRUM / FOLLOWING THE TRACED LINE - : カケハシ・レコード

カケレコ・レビュー

イタリア産新鋭シンフォ・バンド12年作、ドラマティックで叙情あふれる曲展開と歌の魅力に溢れた力作

イタリアのシンフォニック・ロック・バンドHEATWAVE DRUMの12年作。その音楽性は通常のイタリアン・プログレとは大きく異なり、アコギ、シンセを基調としたラテン調のエキゾチシズムを漂わせるアンサンブルが見事なオープニング・ナンバーを始めとして、フォーク・タッチのアコギが次第に壮大でシンフォニックな流麗さを持つ演奏へとドラマティックに高揚していく感動的なナンバーや、シンセ、メロトロンが隙間なく充満する幻想性溢れる一曲まで、その音楽性は実に多彩なもの。そして何より特筆なのがそれらの楽曲で瑞々しくも深みのある素晴らしい歌声を響かせる女性ヴォーカルの存在。全編にわたりフィーチャーされているのではないのが残念ですが、そのインパクトは相当なもので、声質こそ異なるものの、ALL ABOUT EVEやMATIA BAZARなどを彷彿とさせる、美声女性ヴォーカルを聴かせる作品としてハイレベルな内容を持つ作品と言うべきでしょう。女性ヴォーカル・シンフォがお好きな方には是非とも聴いてみていただきたい一枚です。