カケレコ・レビュー

シスコ・サウンド影響下、テネシー産コミューン・サイケ秘宝盤、72年1st

60年代中〜後期、GRATEFUL DEADら幾多のサイケ・バンドが拠点を置き、ヒッピーのメッカとして隆盛したサンフランシスコのヘイト・アッシュベリー地区。そこで教祖的存在であったStephen Gaskinが仲間のヒッピーを連れ立ち、中南部のテネシー州で創立したコミューン「THE FARM」を母体にしたサイケデリック・ロック・グループ。本作は、72年にリリースされた彼らの1st。冒頭、コミューン創立宣言にはこれ以上相応しいものはないといった、儀式的な唱和曲「OM」で大仰な幕開け。YAHOWAなどコミューン・サイケ/アウトサイダーが好きな方ならこの段階で垂涎モノですが、メインの楽曲は、DEADやMOBY GRAPEを彷彿させる、ギター・オリエンテッドな長尺の酩酊サイケデリック・ジャム。郷愁を誘なうスワンピーな男女混声コーラス、宙で絡み合うツイン・ギター、IT'S A BEAUTIFUL DAYを想わせるフィドル、そして迎える混沌のサイケデリック・ジャム。シスコ・サイケのサウンド的要素と、AMON DUULやYAHOWAといったコミューン・サイケの密儀的要素が融和した秘宝盤。

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