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72年に陰影溢れるブリティッシュ・ロック名盤を残したPARLOUR BAND。ドラマー変更に伴いバンド名を"A BAND CALLED O"として2枚をリリースした彼らが、元ALAN BOWN SETのkey奏者Jeff Bannister加入と共に"THE O BAND"と再改名しリリースした76年作。路線はA BAND CALLED O時代と大きく変わらず、ファンク・テイストを帯びたキャッチ―で歯切れ良いアンサンブルを楽しませてくれるさすがの一枚!手数多くノリが良くもしなやかなドラミングと歌心あるメロディアスな音運びが魅力のベース、ファンキーなカッティングに加えスワンピーな旨味たっぷりのスライドも見事なギター、そしてゴキゲンに跳ねるピアノ&唸るオルガン。スマートで引き締まったアンサンブルは相変わらず職人芸と呼ぶべき隙の無さで、とにかく気持ちいいです。スティーヴ・マリオット彷彿のヴォーカルもたまりません。1曲目「A Smile Is Diamond」を筆頭にいくぶんAOR的な流麗さと洗練味が強まっているのが印象的ですが、2曲目、3曲目、9曲目などPARLOUR BANDの曲と言われても納得してしまうリリカルな英国叙情ナンバーがCALLED O時代よりも存在感を発揮していてそこも嬉しい所。改名前の2作にも引けを取らない傑作です!
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レビュアー:たすけさん レビューをすべて見る
1.A Smile Is Diamond の印象が強すぎて、ほかの曲の印象がかすんでしまうのが玉に傷。76年リリースのサード・アルバムです。わたしはキングレコードから出ていた日本盤LPを大事に大事にしていました。最初に「ロックンロール・ダイアモンド」を書いてしまいますと、哀愁のボーカルを適切なビート感あるバックが支え、間奏では泣きのスライド、パーカッシブなハモンド、前ノリのピアノがソロを展開する、という夢のような名曲です。今も鳴らしていますけれど、40年間も新鮮さを失わないなんて。それとも、わたしが進歩のないアホなのでしょうか。
しかしこの曲は彼らとしたら例外でして、乾いたカントリー・テイストと疲労感がバンド・コールド・オーの良いところです。ちなみのバンド名の「オー」は、それだけだと「ゼロ」と読まれてしまうことから、やむをえず「バンド・コールド」をつけた逸話があります。日本盤の帯では「幻の短剣/オー」という、いささか間抜けなものになっていました。彼らが米国カントリーに傾倒したことは、デラニー&ボニーの人気が高かった時期ということで説明できるのではないでしょうか。そう思って聴くと、キーボードはウィットロック、ビートはジム・ゴードン、カール・レイドルに聴こえてきます。不思議不思議。
ほかに演奏で聴かせるのは、6.Still Burning でしょうか。十分技巧を持っているのに軽く軽く聴かせるあたりは、スティーリー・ダンに似たセンスです。どなたでもストレスなく聴ける音楽ながら、コクと旨味はたっぷりです。長らく廃盤でしたから、この機会にぜひ。