カケレコ・レビュー

97年作、フィメール・ヴォーカルをフィーチャーしたスパニッシュ・シンフォの逸品

スペイン産シンフォニック・ロック・バンドGALADRIELによる97年作。ピアノとシンセ、ヴァイオリンらが壮麗かつ優美にメロディを紡いでいく中、民族調のリズムと美しくもミステリアスな美声フィメール・ヴォーカルが木霊するドラマティックなシンフォニック・ロック。情感がたっぷりと込められたギターソロも大変に素晴らしく、これらが相まってこの世のものとは思えないほどの神秘に満ちた世界観が聴き手の眼前に広がります。南米のケーナに似た音を持つ吹奏楽器がこの世界観を彩るのに見事な役割を果たしており、どこの国とも言えないまさしく無国籍の神秘世界を演出。ロック的に演奏がエキサイトする場面はほぼ皆無ですが、ニューエイジ・ミュージックとは明らかに一線を画するユーロ・ロックならではのエキゾチシズムと、静かなるダイナミズムが素晴らしいシンフォニック・ロックの傑作です。

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