2016年1月28日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
ギターがサイケデリックにうなり、メロトロンが荘厳に溢れだすオープニングからグワンと持ってかれます。
言わずと知れた90年代のプログレシーンの幕を開けた北欧プログレの雄による渾身の2015年作!
フラワー・キングスのリード・ヴォーカルの別働バンドなんですが、クイーンや10cc風なポップ風味たっぷりで、シンフォニック&ハードなパワー・ポップと言えちゃう愛すべき名作っ!
キング・クリムゾンとジェントル・ジャイアントのファンだった2人が00年に結成したスウェーデン新鋭。2015年の8thアルバム。
クリムゾン『レッド』からの影響をベースに、物悲しい北欧的リリシズムとともに、スウェーデンならではのポップ・センスも注入した快作!
この2曲目、クイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」へのオマージュに溢れたハード・ポップの名曲だなぁ。
アンサンブルからみなぎる躍動感、溢れるメロディ。あぁ、ワクワク!
クイーンをはじめ、スーパートランプやスパークスやカンサスに影響を受けたシンガー&コンポーザーのJohan Norrbyを中心に、オランダのシンフォ・バンドWITHIN TEMPTATIONのギタリストとドラマーなどが加わり結成されたスウェーデンのグループ。2015年作2nd。
この音の瑞々しさやまばゆさときたら!
EL&Pやジェネシスやニュー・トロルスのDNAを継いだイタリアの新鋭で、前作もカケレコベストセラーとなりましたが、この2015年作、さらに突き抜けてます!
すごいワクワク感!
バンコが持っていたテクニカルな鮮烈さや劇的さをモダンにアップデートした感じ!?
これは2015年リリース作の中でも間違いなくトップクラスと言える傑作!
「陰」と「陽」、「静」と「動」がめくるめく、洗練されていない詰め込み気味のサウンドはまるで70年代イタリアン・ロックの発掘盤!
バンコやレ・オルメやイルバレから影響を受けた新鋭による愛すべき15年作3rd!
わぉ、わぉ、これほんと2015年作なの!?
バロック建築が目に浮かぶようなクラシカルなピアノ、そして、荘厳に鳴り響くハモンド・オルガンやウネリを上げるムーグ・シンセや叙情が溢れるメロトロンなどヴィンテージ・キーボードが彩るサウンドは、確かにムゼオ・ローゼンバッハやレ・オルメのDNAを継いでいます。
70年代イタリアン・ロックのファンは驚愕必至の名作です。
往年の伊プログレのDNAを継ぐシンフォ新鋭としてLA MASCHERA DI CERAと双頭と言えるグループですよね!
ヴァイオリンも加わって、詩情が増して、グッとくるなぁ。
イタリアは枚数が多いので別記事にて特集しております。
あわせてチェックください。
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90年代以降にプログレ新鋭シーンが盛り上がり、00年代に入っても注目の作品が続々とリリースされています。その勢い衰えず、次々と優れたプログレ新譜が届く2015年。入荷した注目作をピックアップいたしましょう。
ジェネシス、ジェントル・ジャイアント、XTC、ラッシュ、そしてクラシック音楽や民族舞踏音楽のエッセンスをイマジネーションたっぷりにまとめあげるセンスが抜群!
フィンランドを代表する新鋭プログレ・バンドによる渾身の2015年作!
緑深い森が目に浮かぶような幻想性と透明感、舞踏音楽のもつ躍動感、そして、アングラガルドにも通じる幽玄さとテンション。
北欧らしいイマジネーション豊かなシンフォニック・ロックを聴かせるバンドがノルウェーより登場!
会心の2015年デビュー作。
北米プログレのカンサスが『アビーロード』のB面をカヴァーしていたとして、それをさらに90年代以降のハード・ロック・バンドがカヴァーした感じ!?
ノルウェーの新鋭プログレ・バンドによる2015年作4th。ハード・ドライヴィングでいて北欧らしくファンタスティックでポップな突き抜ける快作!
ロイネ・ストルトにも通じる音を描くセンスを持ったウクライナ出身の天才による2015年作8th。
「アブストラクトな幻想美」と言える静謐でいて温かなシンフォニック・ロックは「逸品」という言葉がぴったり。
ジェネシスの幻想美、ニューエイジの空間的な広がり、プログレ・ハードのドライヴ感とキャッチーなメロディ・センスが混じったようなサウンドはかなりハイレベル。
さすがはウクライナの奇才とうなる2015年快作。
まるでカナダのラッシュとイタリアのニュー・トロルスをブレンドさせ、モダンなヘヴィネスとエッジで鮮烈なシンフォニック・ロックへと仕立てたような傑作。
メキシコの雄CASTによる過去最高傑作とも言える会心の2015年作!
アコギやピアノが生む朝もやのような神秘性。そこに添えられるフルートやギターによる初期ジェネシス的幻想美。ヴォーカルは、美声の女性。スペインのベテラン新鋭による美麗なる2015年作。
スウェーデンやイタリアのバンドに負けじと、スペインはバルセロナから登場した70年代スタイルの新鋭プログレ・バンド。
出世作となった2011年作に続く2015年作の6thアルバム。
ジェネシスやキャメルのファンにカケレコが自信を持ってオススメする逸品です。
ジェネシスとイエスのDNAを継いだ2011年のデビュー作がカケレコでもベストセラーとなったロシアの新鋭プログレ・バンドによる2015年作2nd。
疾走感あるリズム隊をバックに、ムーグとギターが絡み合いながらメロディを次々に紡いでいくパートはムーン・サファリも彷彿させるし、ムーグが鳴り響くパートはロシアらしいほの暗い荘厳さたっぷりだし、「陽」「陰」のパートともにシンフォニック・ロック・ファンの心に直球で響くドラマに溢れています。
1stに続く、シンフォニック・ロックの傑作!
憧れのバンドは、ジェネシス、イエス、EL&P、キャメル、ヒープ、エロイ、ホークウィンド。
70sプログレへの愛情に溢れたロシアのマルチ・ミュージシャン、柔らかな色彩と暗い荘厳さが混ぜ合わさったシンフォ逸品。
ロシア西部はサンクトペテルブルク出身だからか、ロシア・プログレに顕著な外連味はなく、ユーロ・ロック的な気品がにじむシンフォニック&チェンバーなサウンドが魅力的。
アフター・クライングのファンは要チェック!
仏MUSEAから英CHERRY REDに移籍しリリースされた世界デビュー作となる通算3作目。
日本らしいしとやかな叙情を感じる透明感あるスケールの大きなシンフォ快作。
ずばりU.K.への現代ニッポンからの回答とも言える傑作!
09年に結成されたヴァイオリン奏者の高島圭介を中心とする日本のプログレ・バンド。高く評価された13年のデビュー作と同じく、フランスMUSEAレーベルから世界配給される15年の2ndアルバム。
FLAMBOROUGH HEADのドラマー、TRIONのギタリストを始め、キャメルタイプのオランダ新鋭バンドからのメンバーが集結したシンフォ・プロジェクト・バンド、2015年作4th。
これでもかと溢れる70年代メロディアス・プログレへのオマージュ。
シンフォ・ファンのツボを押しまくるドラマティックな傑作です。
FLAMBOROUGH HEAD~TRION~LEAP DAYのギタリストによるハケットやアンソニー・フィリップスばりの格調高いアコギが堪能できるソロ・アルバム。
そこに被さるメロトロンも優しくて良いなぁ。
オランダのマルチ・ミュージシャンChristian Bruinによる一人プロジェクト。
クラシックと室内楽とが結びついたサウンドは、ハンガリーのAFTER CRYINGやスウェーデンのISILDURS BANEの傑作にも並んでるし、音の魔術師&コンポーザーとしてMIKE OLDFIELDにも比肩!と言っても過言ではありませんよね!
一年間にわたって毎週、音楽をリスナーに届けるという、大河ドラマならぬ大河ミュージックというべき一年間にわたる壮大なコンセプト作品のコンプリート・エディション。
05年にギリシャはアテネで結成された、女性ヴォーカルEvangelina Kozoniと、男性フルート/サックス/Key奏者のNicolas Nikolopoulosを中心とするグループ。2010年デビュー作に続く2015年作2nd。
幽玄かつ神秘的でいて、ここぞではヘヴィ&アヴァンギャルドに展開。女性ヴォーカルはマイク・オールドフィールドの作品に起用されそうな美声だし、ずばりセンス抜群です。
これは、まるでカンタベリーのギルガメッシュ meets ドリーム・シアターといった感じ!?
現代ハンガリーを代表する天才ピアニストのソルト・カルトネッカーが参加してテクニックに磨きがかかった会心の2015年作。
ジャケとPVのセンスは正直よく分かりませんが、スポックス・ベアード的な伸びやかな男性ヴォーカル、中世的な気品を漂わせる女性ヴォーカル、そして、ジェントル・ジャイアントゆずりのコーラスは実に素晴らしいです。
Key奏者でありサックスやフルートなど管楽器奏者でもあるMarek Arnoldを中心に04年に結成されたジャーマン・シンフォニック・ロック・バンド。2015年作の4th。
コケティッシュとゴシックとを表現力豊かにつなぐ女性ヴォーカル、そしてチェンバーからアネクドテン的ヘヴィ・プログレまで行き交うアンサンブル。
フランスらしい芸術性溢れる新世代プログレ快作!
『太陽と戦慄』と『レッド』が好き?ユニヴェル・ゼロも好き?
ならこのフランスの暗黒チェンバー・ヘヴィ・プログレ・バンドの2015年作はたまらないはず!
ベテランとは思えない、微笑ましくも尖ったジャケのイメージ通りの音の切れ味!
ドライヴ感たっぷりの古楽諧謔プログレここにあり!
こ、これは何という才能。間違いなく2015年シンフォ・プログレ新譜の中でトップ3は間違いなしでしょう。
80年、英国はノッティンガムシャー生まれで、1歳の頃に病気により視力を失った盲目のマルチ・ミュージシャン&コンポーザー、Peter Jonesによるプロジェクト。
童心のように無垢なイマジネーションが溢れるサウンドは、メロディを愛する全音楽ファン必聴!
これは大傑作です!
00年にデビューした英国シンフォニック・ロック新鋭バンド。デビューから在籍する唯一のメンバーであるギタリストのPhil Mercy、3rdから加入した女性ヴォーカルAmy Darby、4thから加入した元アングラガルドのKey奏者Thomas Johnsonの3人をバンドの核に、現アングラガルドのベーシストJohan Brandとフルート奏者のAnna Holmgren、元SANGUINE HUMのドラマーPaul Mallyonという布陣で制作された2015年作6th。
アングラガルドに通じるクリアな幻想性と静謐な緊張感、そこにイエスやジェネシスやハットフィールドのDNAを受け継いだ英国ならではの柔らかな叙情が合わさったサウンドは、ただただ至福。
前作で確立した「モダン」で「ジェントル」で「叙情的」な大英帝国プログレ・ポップを軸に、時にオルガンがうねりを上げたり、これまでにないほどにワイルドにうねるプログレッシヴなキメで畳み掛けたり、進化を遂げた強力作!
不動の2人であるGreg Spawton(G)とAndy Poole(B)により90年に結成され、90年代~00年代のイギリス屈指のプログレ新鋭バンドへと上り詰めたグループ。元XTCのギタリストDave Gregoryの加入、09年作から加入のヴォーカリストDavid Longdonが作曲に加わるなど、新生BIG BIG TRAINによるスケールの大きな大傑作となった12年のコンセプト作『ENGLISH ELECTRIC』に続く、2015年の4曲入りEP。
ずばりシンフォニック&スピリチュアル!
メランコリーなプログレ・ハードを一方に、もう一方にニューエイジ的な広がりや透明感に満ちた演奏を配した雄大さが魅力のグラスゴーの新鋭!
これは現代のフィル・コリンズと言える才能!?
突き抜けるダイナミックなリズム隊、「まばゆい」という形容がぴったりのプログラミングされたキーボードの躍動感溢れるバッキング、高らかにメロディを奏でるキーボードやギターのリード、そして、フィル・コリンズを彷彿させるヴォーカル。
元BIG BIG TRAINのドラマーによる、疾走感と幻想性がとめどなく押し寄せる「鮮烈」極まるシンフォニック・ロック傑作!
透明感とともにしっとりとした陰影もあって「美声」という形容がぴったりの歌声。
MAGENTAの女性ヴォーカリストによる2015年ソロ作ですが、神秘性もたっぷりでこれは名品。
例えて言えば、デイヴ・スチュワートやアラン・ガウエンがポスト・ロックを演った感じ!?
英国はオックスフォード出身、ギター、Key奏者、ベース、ドラムの4人組で2010年にデビューしたプログレ新鋭バンド、2枚組のコンセプト・アルバムとなった2015年作3rd。
デビュー以来のジェントル・ジャイアントのDNAを軸に、アメリカのバンドながら、ビートルズ以降の英国ロック&ポップスの系譜を俯瞰している感じで、ベテランらしい円熟味とらしからぬ気鋭っぷりに満ちた大傑作!
ベーシストの憧れはクリス・スクワイアのようで、狂ったように暴れるゴリゴリ・ベースのテンションが凄い!
ジェネシス&イエス影響下のバンドMOTH VELLUMのギタリストJohannes Luleyを中心に、イエスのクリス・スクワイアに憧れるベーシストChris Tristamなどとともに結成した米プログレ・グループ。2015年作2nd。
チェンバー・ロック的テンションあるパートと静謐なパートとの落差も凄いし、これは強烈!
EL&Pやレ・オルメが好き?でしたら、この新鋭は要チェックです。
06年に結成され、09年にデビューしたアメリカの新鋭プログレ・グループ。2015年作2nd。
ピンク・フロイドに通ずる洗練されたメロディ、音響的なサウンド・プロダクションを軸に、近年のBIG BIG TRAINに通じるクリアな幻想性とノスタルジアを加えたようなサウンドは実にメロディアス~。
フィル・コリンズの息子サイモン・コリンズ率いるバンドSOUND OF CONTACTのKey奏者であり、音楽制作ソフトSONIC REALITY社の代表でもあるアメリカのミュージシャン。2015年のソロ・デビュー作。
ジェントル・ジャイアント的な精緻かつせわしない展開、アラン・パーソンズ・プロジェクト彷彿のポップ・フィーリング、そして卓越したコーラス・ワーク。
米プログレ新鋭によるワクワク感たっぷりの快作。
アラン・パーソンズ・プロジェクトを時に幻想フォーキーに、時にジェネシス直系のシンフォニック・ロックへと仕立てたようなアメリカ発の幻想プログレ。
元アングラガルドのMattias Olssonも全面参加して録音された2015年作。
伸び伸びと飛翔するように奏でられるリード・ギターとドラマに満ちたソングライティング。ロイネ・ストルトばりの豊かな才能が溢れるカナダのミュージシャン。
なるほど人気バンドDRUCKFARBENのギタリストなのか。
ギタリストのMichel St-Pereを中心に80年代半ばに結成され、96年にデビューしたカナダはケベックのプログレ・バンド。Michel St-Pere以外のメンバーがすべて代わり、心機一転録音された2015年作6thアルバム。
イエスに加入した前任ヴォーカルも素晴らしかったですが、新たに加わったこのヴォーカルも負けず劣らず!伸びやかなハイ・トーンの胸を締めつける歌唱にただただ心奪われます。
ギルモアばりに泣くギター・ソロも特筆だし、これはメロディアスなプログレのファンは必聴といえる快作!
『レッド』が好きなら激オススメしたいクリムゾン直系のポーランドのバンド。
「21世紀の精神異常者」の鋭利なカヴァーも圧巻な2015年ライヴ盤!
「美麗」という形容がぴったり。
ゆったりと奏でられる美旋律の間にモノトーンの映像が走馬灯のように駆け巡っていくような、そんな幻想的かつ映像喚起的なアンサンブルが印象的な叙情派インスト名品。
94年のデビューから息の長い活動を続けるポーランドのシンフォニック・ロック・バンドによる2015年作。
グリーンスレイドの躍動感や透明感、フラワー・キングスの叙情性や構築美をあわせたようなバンドがなんとポーランドから登場!
このポーランドから登場した新鋭による2015年デビュー作、ジェネシス~マリリオンの系譜にあるメロディアス・ロックのファンにレコメンド~。
もう笑っちゃうぐらいにギターがメロディアス!こんな風にギターを奏でられたら楽しいだろうなぁ。
ポーランドのインスト・バンドですが、ヴォーカルが居ないとは思えないほどに突き抜けてキャッチー!
透明度の高い音が翳りいっぱいに響きわたる。モノトーンの叙情美は、いかにもポーランドな感じ。
初期P.F.M.を彷彿させる荘厳な混声コーラスも特筆だし、これはモダン・シンフォの逸品。
ポスト・ロックを通過した「音の純度の増したSERU GIRAN」というべきサウンドはかなりハイクオリティ。
このアルゼンチンの新鋭、激カケレコメンです。
フロイドからの影響が感じられる映像喚起性や物語性、クラシックの素養が感じられる格調高さ、そして、ジャム・バンド的な広がり豊かなハードさとの絶妙なブレンド。
アルゼンチンはブエノス・アイレスで2014年に結成され、同年にデビューしたプログレ・バンド。
映像喚起的でリリシズム溢れる2015年作2nd。
硬質スリリングなヘヴィ・プログレを土台に、そこにおかまいなしに乱れ打たれるラテン的な陽気さたっぷりのパーカッション。
この組み合わせ、実に痛快!
アルゼンチン出身、ドラマーの他にコンガ奏者も在籍するユニークな4人編成から繰り出されるヘヴィかつトライバルなサウンドが魅力のプログレ・バンド、2015年作3rdアルバム。
「タンゴ・プログレ」と名乗るアルゼンチンの新鋭。これ、ライヴで見たら、カッコ良いだろうなぁ。
人を喰ったような諧謔さの裏に確かな音楽的素養とアカデミズム。これはオススメです。
ブラジルというより北欧に通じる透明度の高いリリシズムに溢れたメロディ、美声のハイ・トーン・ヴォーカル。
ムーン・サファリばりのコーラス・ワークも良いし、これはメロディ好きにはたまらないはず。
ブラジルはサンパウロ出身のコンポーザー&マルチ・インストゥルメンタル奏者。2013年のデビュー作に続く2015年作2nd。
ピンク・フロイドからの影響が色濃い映像喚起的な演奏、そして、クリアな美声の女性ヴォーカル。このブラジルの新鋭、かなりの実力派!
スティーヴ・ヒレッジ、ピンク・フロイド、アネクドテン、ポーキュパイン・ツリーあたりをゴッタ煮にした感じ!?
南米チリから星空に向かって鳴らされた新世代プログレ快作。
ERKIN KORAYやBARIS MANCOなど70年代の伝説のターキッシュ・サイケの遺伝子を継いだ新鋭がイスタンブールより登場!
アネクドテンみたいなルックスの通り、クリムゾンやフロイドのエッセンスもあって、かっこ良し!
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
カケレコは、これからもプログレ・シーンの最新動向を追い、世界の注目作をみなさまにお届けしてまいりますよ~。
2014年の新譜特集【新鋭プログレ編】はこちら。
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90年代以降にプログレ新鋭シーンが盛り上がり、00年代に入っても注目の作品が続々とリリースされています。その勢い衰えず、次々と優れたプログレ新譜が届く2014年。入荷した注目作をピックアップいたしましょう。
90年代はじめのデビュー以降コンスタントに作品をリリースし続けているメキシコが誇るシンフォニック・ロック・バンド。前作から早くも1年で届けられた2015年作。特筆は、近年のニュー・トロルスのライヴへの参加や、管弦楽器隊によるプログレ・トリビュート・バンドGNU QUARTETでの活躍で知られるヴァイオリン奏者Roberto Izzoがコンスタントなメンバーとして参加していること。ゲストとして、他のGNU QUARTETの管弦楽器奏者も参加していて、瑞々しく艶やかなトーンのストリングスが躍動するクリアで明朗なサウンドが印象的。ソロとしても活躍している若き男性ヴォーカリストBobby VidalesによるカナダのRUSHを彷彿させるハイ・トーンの歌声もそんなサウンドに見事にマッチしています。ジェネシスのDNAが息づく多彩なキーボードによるヴィンテージな色合い、ザクザクとメタリックなリフや流麗な速弾きで硬質なダイナミズムを生むギターのアクセントも良いし、圧倒的に目の覚めるようなアンサンブル!今までの作品以上に「プログレ・ハード」と言えるキャッチーさと突き抜けるような明快さを軸に、管弦楽器による美麗さが加わっていて、そこに持ち前のテクニカルなエッジも効いていて、これはずばりシンフォニック・ロックのファンは必聴でしょう。ジャケットのデザインは、ジェネシスでお馴染みのポール・ホワイトヘッド!
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、定価2990+税
レーベル管理上の問題により、デジパックに若干角つぶれ・若干圧痕がある場合がございます。予めご了承ください。
80年、英国はノッティンガムシャー生まれで、1歳の頃に病気により視力を失った盲目のマルチ・ミュージシャン&コンポーザー、Peter Jonesによるプロジェクト。4歳の時にピアノをはじめて以来、8歳の時にBBCのジュニア作曲コンテストで優勝するなど、作曲を本格的に学び、ポップ・デュオとしての活動を経て、子どもの頃から好きだったジェネシスやクイーンをはじめ、BIG BIG TRAINやFROSTなどプログレ新鋭にも強く影響を受け、プログレッシヴ・ロックを指向して生まれたプロジェクトがTIGER MOTH TALESです。2014年末にリリースされたデビュー作から半年ほどで早くも届けられた2015年作の2nd。ブライアン・メイが乗り移ったようなエモーショナルなリードから、カイパなど北欧プログレにも通ずるリリシズム溢れるリードまで、歌心に溢れたエレキ・ギターを中心に、キーボードがコロコロと愛らしいフレーズから勇壮なフレーズまで幻想的に彩り、さらに管弦楽器が透明感溢れるトーンで瑞々しく鳴り、全体としてファンタジー小説に心躍るような音世界が次々と紡がれていきます。ピーター・ガブリエルを彷彿させるヴォーカル、叙情極まる美メロもまた感動的。初期ジェネシス、キャメル、クイーン、アラン・パーソンズ・プロジェクト、カイパなどのDNAを継ぐ、ファンタスティック・ロックの正統派。アンサンブルも歌もどこまでも美しく、童心に返ったように無垢な気持ちが溢れてきます。何という才能。これはプログレ・ファン必聴、というかメロディを愛する全音楽ファン必聴と言える大傑作!
クラシック音楽やキース・エマーソンに影響を受けたキーボード奏者&コンポーザーのLuca Zabbini率いるグループ。Luca自身がこれまでの最高傑作と評する2015年作4thアルバム。新たなドラマーとギタリストを迎え4人編成となっており、ゲストとして、なんとあのニュー・トロルスのVittorio De Scalziが3曲目に参加して録音されています。爽快なアカペラの多声コーラス・ワークではじまり、アコギとエレキによる弾むようなバッキング、透明感あるリリカルなピアノ、ファンタスティックなキーボードが豊かに広がるアンサンブルの何と素晴らしいこと!このオープニングを聴いて、ムーン・サファリを思い出すリスナーはきっと多いはず。前のめりに突っかかるようなリズムのキメとともに、ハモンド・オルガンがうねりを上げるところは、往年のプログレのDNAを継ぐ幻想性とともに、現代的なエッジが絶妙にバランスしててカッコ良いし、ガツンと歪んだギターとハモンドが突っ走るところなんかは70年代ハード・ロックも継いでてグッとくるし、管楽器風のトーンのキーボードが高らかに鳴り響いたかと思うとクラシックそのままの流麗なピアノが流れてメロディアスなパートにスイッチしたり、溢れんばかりのアイデアとそれを軽々とこなす演奏も特筆ものだし、すごいワクワク感いっぱい。EL&Pやジェスロ・タルへの愛情たっぷりなパートなんかもニンマリだし、往年のプログレ・ファンにも激レコメンド。前作も素晴らしい出来でしたが、さらに突き抜けた傑作!
紙ジャケット仕様、SHM-CD、ボーナス・ディスク付きの2枚組、定価3200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
中世/古楽的ロックを追求するデュオ「VITAL DUO」でも活躍する双子のPayssan兄弟Thierry Payssan(Key)とJean-Luc Payssan(ギター)を中心に80年代から活躍するフランスのプログレ・バンド。09年作から6年ぶりの2015年作で2枚組の大作。中世トラッドや古楽、地中海音楽や南欧トラッドミュージックを織り交ぜながら、イエスやグリフォンやマイク・オールドフィールドからの影響を感じさせるサウンドは80年代のデビュー時から変わらず魅力的。オープニング・ナンバーからエネルギッシュで、性急に畳み掛けるリズム隊や前につんのめるようなシャープなエレキ・ギターによるドライヴ感とともに、古楽器が圧倒的なテクニックで格調高くも軽やかに鳴らされます。全体をシンフォニックにまとめあげるヴィンテージなキーボードもいい感じ。ベテランとは思えない、微笑ましくも尖った諧謔センスたっぷりのジャケのイメージ通りに切れ味バツグンな音楽センスがみなぎるさすがの快作。これは名作です!
ウクライナ北東部の工業都市ハルキウ出身で、1981年生まれのAntony Kaluginによるプロジェクトで、HOGGWASHやSUNCHILDやGNOMONなど数多くのサイド・プロジェクトをこなす多作家のKaluginが、学生時代の97年から続ける彼の中核となるソロ・プロジェクト。2015年作7thアルバム。ヘヴィさを増した前作とは対照的に、静謐とも言えるサウンドが印象的で、オープニングを飾る28分を超えるタイトル・トラックを聞きながら浮かんだキーワードが「アブストラクトな幻想美」。様々な楽器の色彩豊かな音色が組み合わさりながら、映像喚起的で、幻想性溢れるサウンドを描いていく感じは、フラワー・キングスも彷彿させます。上下動するミニマルなフレーズなどアブストラクトなシンセを背景に、透明感あるエレピ、幻想的なハモンド、柔らかに伸びるムーグ、優美なメロトロンなどが温かな音色を添えて描き出されるキーボード・アンサンブル。そこに、まるでロイネ・ストルトばりに伸びやかに奏でられるエレキ・ギター、そしてバヤンやフルートによるエスニックなフレーズが合わさったサウンドは、ウクライナ生まれのKARFAGENならではの美麗さ、素朴さ、温かみに満ちています。ドラムというより打楽器と言った方が良いニュアンスのリズムにバヤンがゆったりと奏でられる民族音楽的なパート、メロトロンとバヤンとがツイン・リードを聴かせるハートフルなパート、ナイロン・ギター、リコーダー、オーボエによる神秘的なパートなどを織り交ぜるアレンジもまた見事。3曲目でのKaluginのメランコリックなヴォーカルと女性ヴォーカルとのコンビネーションもまた印象的です。デビュー以来のKaluginの音を有機的につなげるセンスがこれでもかと発揮された傑作。
00年に結成され、06年にデビューしたフィンランドのプログレ新鋭グループ。2015年の3rdアルバム。クラシック音楽の格調高さや祝祭感、民族舞踏音楽の悲哀感、ジェネシスやジェントル・ジャイアントのDNAを継いだ幻想性と変拍子たっぷりの器楽性、10ccやXTCや80年代ネオアコを彷彿させるポップ・フィーリング、ラッシュに通じるエッジとスピード感を丁寧に組み上げたサウンドはかなり個性的。ジェネシスとXTCがブレンドしたようなヴォーカルも良いし、多声コーラスも見事だし、メロディもフックに富んでいます。透明感あるトーンの流麗なピアノ、70年代プログレ直系のきらびやかなキーボード、スティーヴ・ハケットゆずりのリード・ギターと気品あるアコギの爪弾き、めくるめく変拍子アンサンブルなど、卓越した演奏テクニックとイマジネーションいっぱいのアレンジ・センスも特筆もの。70年代と80年代を同じ地平で捉えられる00年代世代だからこそ鳴らせるプログレッシヴ・ロックと言えるでしょう。これは名作です。
ブラジルはサンパウロ出身のコンポーザー&マルチ・インストゥルメンタル奏者。2013年のデビュー作に続く2015年作2nd。サウンドを端的に言えばクリアで壮麗。瑞々しい響きの流麗なピアノ、澄んだトーンで広がるキーボード、ブラジルというより北欧に通じる透明度の高いリリシズムに溢れたメロディ、美声のハイ・トーン・ヴォーカル、澄み渡るコーラス・ワークが印象的です。キーボードとメロディはどこまでも詩情たっぷりですが、リズム隊とギターにはモダンなシャープさがあり、キレのあるリズム・チェンジ、ザクザクとエッジの立ったギター・リフでメリハリを生むとともに、全体に透明度を上げているのも特筆。硬質な部分は、メキシコのCASTも彷彿させます。圧倒的な澄んだメロディ、クリアな中にも南米らしい生命感が宿ったアンサンブルとが絶妙に同居した伸びやかなシンフォニック・ロック名作です。
フラワー・キングスのリード・ヴォーカル&2ndギタリストとして知られるHasse Frobergが、フラワー・キングスが長期休養を取った08年に結成したグループ。2015年作の3rd。本家フラワー・キングスに通ずる優美なキーボードが彩る北欧シンフォニック・ロックを軸に、ヴィンテージなハード・ロック・センス、クイーン的なポップ・センスを散りばめたカラフルなメロディアス・ハードがこのバンドの魅力ですが、ポップな方向に洗練された印象で、Hasseらしいハートウォームさが全面に出ている印象。ファットな歪みのギター・リフにハモンドがからんでかっ飛ばすパートと、ファンタスティックにたなびく色彩豊かなトーンのキーボードをバックにハスキー&ウォームなヴォーカルがエモーショナルに歌い上げるパートとを行き交いつつ、クイーンというかジェリーフィッシュを彷彿させる多声コーラス・パートや10ccばりのドリーミーポップなパートなどを散りばめながら展開するオープニング・ナンバーからこれは素晴らしいです。ハードエッジになってもハートウォームさやドリーミーさは一貫してるし、アンサンブルも歌声も、どこを切り取ってもHasseならではの優美なメロディ・センスが溢れだすし、とってもとってもフックに富んでいます。シンフォニック&ハードなパワー・ポップと言える愛すべき名作です。
KARFAGENでお馴染みのウクライナのKey奏者&コンポーザーのAntony Kaluginによる別働プロジェクト。2015年6thアルバム。ブレイクビーツを盛り込んだシャープで広がりのあるリズムを土台に、アコギのアルペジオや透明感あるハードエッジなエレキ・ギターやシンフォニックでいてニューエイジにも通じる雰囲気をもつキーボードなどが四方を縦横無尽に行き交い、ドラマティックかつ空間的な浮遊感ももったサウンドを描いていきます。イマジネーションたっぷりなアンサンブルを背景に、伸びやかに紡がれるフックに富んだメロディ(英詞でおそらくヴォーカルのみ英国人)、マイルドな歌声がハートウォームな男性ヴォーカルも特筆です。ジェネシスの幻想美、ニューエイジの空間的な広がり、プログレ・ハードのドライヴ感とキャッチーなメロディ・センスが混じったようなサウンドはかなりハイレベル。さすがはAntony Kalugin!とうなる快作です。
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