2013年11月14日 | カテゴリー:ユーロ・レーベル探求,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレユーロ・レーベル探求
寄稿:ike333さん
「名門レーベルについて当時の流通事情なども・・・」とカケレコさんにご紹介いただきつつ、昨年秋から12週に渡り、カケレコブログにユーロレーベルについて寄稿させていただきました。実は、その時取り上げませんでしたが、まだまだ気になるレーベルがありました。良く分からないなどの事情があり、寄稿をつい躊躇してしまいました。が、無謀承知で、これら心残りのレーベルについて改めて寄稿させていただきます。
中高校時代にFMでエアチェックしてファンになったMATIA BAZARやGilda Giuliani(「待ちわびて」などでヒットした歌唱力ある女性歌手。その後シャンソン中心に歌っていたためどうもイタリアでCD化が進んでいない様子。でも、機会あったら聴いてみてください。)がARISTONからレコードを出していましたが、プログレ系のアルバムもリリースされています。
例えば、後にRIO系L’ORCHESTRAレーベルからアバンギャルドなフォークロックで気を吐くようになるSTORMY SIX(ARISTON系列のFIRSTレーベルよりデビュー。)から独立したClaudio RocchiもARISTONから数枚アルバムを発表しています。Mauro Pagani (vln,fl)が協力している第一弾『Viaggio』(1970)は、少し70年代終わり頃のPeter Hammillのソロ的な孤高感ある、弾き語りのアルバムですが、大作2曲を含む第二弾『Volo Magico No.1』(1971)は素晴らしいプログレフォークの名作となりました。
NUOVA IDEA の『In the beginning』 (1971)は、オルガンとギターがリードするハードロックでしたが、2作目の『Mr.E.Jones』(1972)は、結構、キャッチーな楽曲も含むトータル性のあるアルバムで好盤です。そして3作目『Clowns』(1973)は、少しハイトーンでシャウトするボーカルに引っかかるところはありますが、キーボードの種類も多様で3作品中シンフォ度が最も高いアルバムです。
EQUIPE 84は、RICORDIレーベルから移籍し、シンフォな香りもあるポップな作品となった『Dr.Jekyll & Mr.Hyde』 (1973)を発表後、彼らのアルバムの中ではプログレ度が高い好盤『Sacrificio』(1974)を発表しています。
交通事故死したSSWのGianni D’Erricoの遺作アルバム『Antico teatro da camera』(1976)は、嵐の効果音で始まり、ラストも嵐の効果音で終わるトータル感のあるもので、少し暗くもしなやかな楽曲が素晴らしい傑作です。唯一作であることが残念です。
Key奏者Luciano Bassoは、パーカッシブなオルガン、リリカルなピアノなどが素晴らしい傑作となった1作目『Voci』(1976)、弦・管も多用されよりクラシカルな趣の名作である2作目『Cogli il giorno』 (1978)などをリリースしています。
なお、超絶ボーカルAntonella Ruggieroを引き立てるべくJ.E.T.とMUSEOのメンバーが集められてARISTONからデビューしたMATIA BAZARも、同レーベルに8作品程度残しています。初期5作品(『Matia Bazar』(1976)~『Il Tempo Del Sole』(1980)はモダンなイタリアンポップス路線で、後に何度もセルフカバーすることとなる名曲「C’e tutto un mondo intorno」を含む『Tournee』(1979)がお勧めです。Keyが交代して『Berlino, Parigi, Londra』 (1982)からエレポップ路線に変わりましたが、この路線ではCGD移籍後の傑作群『Melancorlia』(1986)、『Melo』(1988)、『Red Corner』(1989)が文句なく素敵です。
本レーベルについては、私が中学時代に入手した雑誌でTHE TRIPが紹介されていたのを覚えていますが、もうその時には、同レーベルのオリジナルレコードは入手できず幻の神格化されていたレーベルでした。再発時代になり、ようやく、CDなどで聴くことが出来るようになりました。
今や各方面で紹介しつくされた感が有りますが、アルバム群を列挙すると、DEDALUSの1作目『Dedalus』(1973)は前衛的なジャズロックの名作、2作目『Materiale per tre esecutori e nastro magnetico』(1974)はめちゃくちゃアバンギャルド、TRIPの『Time of Change』(1973)はARTI結成前のFurio Chiricoが在籍当時のアルバムですが、まだ手数王振りは示して居らず、むしろJoe Vescoviのオルガン等が中核のアルバム、SEMIRAMISの『Dedicato a Frazz』(1973)は、煌びやかなキーボード他の瑞々しい歌と演奏が素晴らしいイタリアのヘビーシンフォの傑作アルバム、BIGLIETTO PER L’INFERNOの唯一作『S/T』(1974)は、硬いフルートが舞う、ハードなオルガンとギターに導かれたロックの面とイタリア語の伸びやかな歌とが緩急自在に飛び出す傑作です。
OPUS AVANTRAの1作目『S/T』(1974) は、私にとって世界遺産級の大傑作アルバムで、Alfredo Tisoccoのピアノと、Giorgio Bisottoの混沌とした前衛音楽の中から、突然と浮かび上がってくる美しいDonella Del Monacoのソプラノを聴いたときには失神ものでした。
ごく少数のアルバムしかリリースしなかったレーベルですが、本当に質の高いレーベルだったと思います。
イタリアンポップ歌手のCaterina Caselliが77年に、イタリアの老舗レコード会社CGD傘下に設立したレーベルの様です。
Mauro Paganiのソロ第一弾『S/T』(1978)は、AREAやPFM、Teresa De Sioなどの協力を得ての地中海音楽色のあるアグレッシブなアルバムで衝撃的でした。レコードにポスターがついていて、Paganiが結構格好良いということを当時再認識したのを記憶しています。
また、AREAの『1978 Gli Dei Se Ne Vanno, Gli Arrabbiati Restano!』(1978)は、CRAMPSを離れて結構吹っ切れたような明るさも感じるアルバム(でもStratos節健在)で、画用紙のような白いレコードスリーブの紙質が汚れないかなと当時とても気になったものです。Stratos歿後の『TIC & TAC』(1980)も同レーベルからですが、フュージョンアルバムだと思って聴けば悪くないです。
その他、Pepe Mainaのデビュー作『Il Canto Dell’arpa e Del Flauto』(1977)も同レーベルからですが、タイトルどおり、フルート、ハープを始めパーカッションなどが絡んで大自然の迷路に迷い込んでしまった様な穏やかなインストゥルメンタルの好盤です。
イタリアの老舗レコード会社ですが、70年代にはCBS傘下のレーベルの様な感じでした。
ここのプログレ系というとまず、IL PAESE DEI BALOCCHI『S/T』(1972)ですが、オーケストラと、エレピやオルガン、エレキギターとが、静動の差も激しく万華鏡のごとく展開する傑作アルバムです。
またGARYBALDIが、B. Fossatiのヘビーなギターの格好良い1作目『Nuda』(1972)を発表しています。
イタリアの歌ものロック界を見ると、王者POOHは、クラシック系プログレの名作『Un po’ del nostro tempo migliore』(1975)を始め、『Rotolando Respiranodo』(1977)以降の多くのアルバムがCGDからです。オーケストラを導入しなくなったPOOHもなかなか良く、『Buona Fortuna』(1981)などは名曲だらけの感動ものだと思います。
男性ボーカルでは元POOHのRiccardo Fogliの3作目『Il Sole L’aria La Luce Il Cielo』(1977)がリリースされていますが、POOHの初期名作群の様に美しく素晴らしいアルバムです。
トリノ生まれSSWのUmberto Tozziも多数アルバム出しているようで、1作目『Donna Amante Mia』(1976)は良い楽曲の多いアルバムです。
IL VOLO解散後Alberto Radiusは歌もののアルバムを出しており、CBSからCGDに移っての『Carta Straccia』(1977)はVoloを彷彿させるサウンドの傑作でした(次作の『America Goodbye』(1979)はチョッと?ですが。)。
気持ち低めでリスナーを包み込むような歌声のMario Lavezzi(ex-IL VOLO)もCGDからアルバムを出しており、VOLO級のインスト曲「Nirvana」を含む『Iaia』(1976)が傑作です。また、『Filobus』(1978)、『Cartolina』(1979)も、よい歌ものアルバムだと思います。
女性ボーカルでは、60年代にビートの女王として活躍していたCaterina Casselliの5作目『Primavera』(1974)は、壮大なオーケストラを導入したドラマチックな名作です。
またMarcella Bella(中学生の時に買ったFM番組の雑誌に掲載されていたマルチェラのピンナップが懐かしい)もヒット曲「炎」が収録された『Metamorfosi』(1974)など数枚アルバムをCGDから発表していますが、VOLOのメンバーがバックを努めているところがポイントです。
VOLOのメンバーが(V.Tempera、M.Lavezziがプロデュース)関与という点では、Loredana Berteの『Normale o Super』(1976)などもとても素晴らしいものです。
さらに、F.Battiato プロデュース、A.Radius参加の、5オクターブの声域を持つと言われる女性SSW、Giuni Russoの『Energie』(1981)なども意外性のある外せないアルバムだと思います。
なお、MATIA BAZARについてはARISTONの欄を参照ください。
その2【フランス】編に続く
過去の「ユーロレーベル探究」記事はコチラ!
http://kakereco.com/magazine/?tag=euro_label
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