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COLUMN THE REFLECTION 第84回 クラシカル・エレガンス そんな時代があった ②  ~ クラシックと、その雰囲気を感じさせる音楽の中で ~ 文・後藤秀樹





第84回 クラシカル・エレガンス そんな時代があった ②
~ クラシックと、その雰囲気を感じさせる音楽の中で ~





今年は久しぶりの日本での開催となる大阪万博が始まり、連日会場の様子がTVで紹介されている。開催前からいろいろと心配事が言われていただけに、蓋を開けると多くの人が集まっていることに驚いた。ただ、雨が降る中で各パビリオンも飲食ブースも待ち時間が多く、またいくつかの国のパビリオンが開催に間に合わなかったようで、様々な不都合が伝えられた。それでも多くの人は待ちかねた雰囲気で集まっていた様子で笑顔が多かったように見えた。今後改善されていく部分も多いだろうし、開催が成功することを祈りたい。

私は中学時代の70年に行われた大阪万博を思い出す。「人類の進歩と調和」を旗印に、事前の大規模な広報活動が凄かった。何より、毎月買っていた学習雑誌の付録にガイドブックが付いていたこともあって、それを眺めては、何か期待感を持ったものだ。地方に住んでいる私は会場には行くことは考えもしなかったもののずいぶんとワクワクしたものだ。当時を知っている人はみな同じだろうが、あれから55年が経ったことに改めて時の流れを感じてしまう。



***********************************************


§1 Focus  (クラシカル・エレガンス ~ CMから)



◎画像1 Focus 3 (Polydor盤+Sire盤)


前回から「クラシカル・エレガンス そんな時代があった」というタイトルで進めているのだが、やはり大阪万博後の70年代前半にアパレル企業が「クラシカル・エレガンス」を旗印に新たな時代を伝えるようになっていた。特にJun & RopeのTV-CMが印象的で、ヨーロッパの街の映像にクラシカルな美しい音楽がバックに流れる様子が素晴らしく、イメージを大きく膨らませたものだ。提供番組だった洋楽番組『ミッドナイトスペシャル』そのもの以上に、CMを楽しみにしていたものだ。



★音源資料A Focus / Love Remembered

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ここではそのCMで使用された代表曲だったフォーカス「ラヴ・リメンバード」を聞いてみたが、他にもEL&Pの(というよりもグレッグ・レイクの)「賢人(The Sage)」プロコル・ハルム「ヴァルプルギスの後悔」マン「ザ・ストーム」クラシックからも「アランフェス協奏曲」等々、今ではどれもお馴染みの曲が流れていた。当時中学生だった私には曲も演奏者も分からない曲が多かったものの、背伸びして大人の世界を味わった気分に浸ることが出来、充分に魅力的で大きな刺激になった。当時はシカゴ、BS&T等のブラス・ロック60年代からのポップスが大好きで聞いていたが、それ以上にクラシカルなプログレに好みが進んでいく第一歩だったと言える。

この「ラヴ・リメンバード」は、当時日本で発売されたばかり(73年4月)のアルバム『Focus 3』から取り上げられたものだが、このCMで聞いた時点には未だ私にとっては正体不明の作品だった。が、その後フォーカスにのめり込む時期があったこともあり、思い出深いエピソードのひとつということになる。

この曲はヤン・アッカーマンの完全なオリジナル作品だが、タイスのフルートを際立たせるようなギターのクラシカルなバッキングが見事な素晴らしい曲であることは誰もが認めるところだろう。「悪魔の呪文(Focus Pocus)」の凄さも含めて、オランダのフォーカスには今も特別な思いがある。




§2 The Enid



◎画像2 The Enid / Touch Me


そんなわけで今回も前回の続きで「クラシックと、その雰囲気を感じさせる音楽」を紹介してきたいと思う。次もバンドのオリジナルだが、ジ・エニド(The Enid)79年3枚目のアルバム『Touch Me』から「ヒューモレスク」を聴いていただこう。



★音源資料B The Enid / Humoresque

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これも最初に聞いた時には衝撃的だった。それまでの2作『In The Region Of The Summer Stars』(’76)『Aerie Faerie Nonsense』(’77)も素晴らしいのだが、圧倒的な迫力を感じさせたのはこの3作目のトップに収録されたこの曲だった。まさにシンフォニック・ロックの頂点に立つような見事な完成度を持った曲だと今でも思っている。ジ・エニドロバート・ジョン・ゴドフレイのキーボードが中心だが、もう一人キーボードを加え、2人のギターを擁した6人編成。この3作目ではオーボエとコーラングレ(イングリッシュ・ホルン)のトニー・フリアの客演が凄かった。彼らの当時のライヴ映像を見ると本当に素晴らしいアンサンブルになっていた。この「ヒューモレスク」だけでも交響曲の1曲分に相当しそうだが、じつはA面全体が4曲で『シャレード(Charades)』を構成した(正に)交響曲的な構成になっていることにも驚かされたものだ。

ジ・エニドはその後も多くの作品を出し続けているのだが、84年のアルバム『The Stand』のラストで何の気の迷いかトロッグス「ワイルド・シング」をカバーした時にはがっくりきてしまった。ただ、その後は元に戻ってクラシカル・ロック路線を続けて安心させられた。今となってはかなりのアルバム枚数を数えているのだが、やはり私にとっては初期作品に今も思いを馳せてしまう。




§ Rachmaninoff➀ ~ Vocalise



◎画像3 Various Artists/ Vocalise (2種のコンピレーション)


さて、今度は完全なクラシック作品をひとつ聴いていただこう。前回も取り上げたラフマニノフの有名な「ヴォカリーズ(Vocalise)Op.34 No.14」だ。



★音源資料C Anna Moffo + Leopold Stokowski / Vocalise

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NHK-FM『夜の停車駅』という番組があったのを覚えている方もきっといるだろう。そのテーマ曲がこの「ヴォカリーズ」だった。週末の夜という少々憂鬱に感じられる時間の番組だったが、ショート・エッセイと静かで落ち着いた曲を中心に選曲されていた。1980年という私の大学最後の年から始まったのだが、その構成が素晴らしく、江守徹の落ち着いたナレーションにも完全にはまって毎週必ず聞くようになった。

「ヴォカリーズ」とは歌詞のない母音でのみ歌う歌唱法なのだが、ルネッサンスの「プロローグ」や由紀さおりの「夜明けのスキャット」のように「ル」で歌うものもある。

ラフマニノフ「ヴォカリーズ」には歌唱の替わりにチェロ、ヴァイオリン、フルートといろいろな楽器がリードを取る曲もあって数多くのバリエーションが存在する。ここで歌うアンナ・モッフォというベテラン・ソプラノ歌手の歌唱が番組の雰囲気を伝えていて身に染みたこともあり、今も一番のお気に入りだ。




§ Rachmaninoff② ~ Eric Carmen



◎画像4 Eric Carmen ファースト + セカンド”Boats Against The Current”


ラフマニノフについても興味が湧いたのだが、そこで思い出したのがエリック・カルメン(Eric Carmen)だった。70年代前半にラズベリーズとしてパワフルでポップなロック・グループで活動した彼。その後、ソロとなり出した最初の2枚のアルバム『サンライズ(Eric Carmen)』(‘75)『雄々しき翼(Boats Against The Current)』(’77)を出し、最初のアルバムからシングル・カットされた➀「オール・バイ・マイセルフ」②「恋にノー・タッチ(ネバー・ゴナ・フォール・イン・ラヴ・アゲイン)」が大ヒット曲になった。私はバンド時代もソロになってからも聞き続けてきた。まずは、その2曲➀②のメドレーがあるので聞いてみよう。



★音源資料D Eric Carmen / ➀All By Myself ~ ②Never Gonna Fall In Love Again

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当時、クラシック好きの友人が「ラフマニノフの曲調だね」と言っていたし、確かに当時の音楽雑誌にもそうした記述があった。ただ、肝心の何の曲にどのように影響を受けたものかが分からず、当時のFM雑誌の番組表でラフマニノフの作品を見つけてはエア・チェックしていった。『ピアノ協奏曲第2番第2楽章』『交響曲第2番第3楽章』であることにたどり着いたのは結構時間が経ってからのことになる。(先に、前回書いたルネッサンス「kiev」で使用された原曲「鐘」の方を先に見つけて嬉しかったことを思い出す。)

そして、比べて聞いてみての方は、曲の流れと雰囲気が確かに似ていると思ったが、の方は「恋にノー・タッチ」のサビ部分が『交響曲第2番第3楽章』そのままのメロディーだったことにはちょっと衝撃を受けたことを思い出す。

余談だが、同じ『ピアノ協奏曲第2番第1楽章』冒頭のドラマチックな部分が、よく見ていたTVの『映画劇場』のエンディングに使われていたことが判明したことも自分としては大きな発見だった。・・・こちらも前回紹介したラフマニノフ「鐘」と同様に、やはりフィギュア・スケートの浅田真央が演技に使用したことで今ではよく知られるメロディーとなった。

私にとっては、そうやって調べたこともあってラフマニノフへの興味が増し、その音楽の面白さに気付くことが出来た。ただ、さすがにこうして「元になった曲」が分かってしまうと露骨に楽曲の盗用とも言われエリック・カルメンは胸を痛めただろうと思う。ちょっと調べてみると、彼の出自はラフマニノフと同じロシア系ユダヤ人だったことがわかり、私にはそれ故のシンパシーとリスペクトを彼に対して持っているように思えた。今でもエリック・カルメンは大好きで今も初期の2枚のアルバムを聞き続けている。




§ Barry Manilow ~ Chopin



◎画像5 Barry Manilow ファースト “初回Bell 盤” + “Arista盤”


続いてポップ・サイドでもう一曲、今度はバリー・マニロウ『恋はマジック(Could It Be Magic)』を聴いていただこう。



★音源資料E Barry Manilow / Could It Be Magic

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バリー・マニロウのこの「恋はマジック」はデビュー2作目のシングルとして73年に発売されたが、その時は全くヒットしなかった。74年に4枚目のシングル「悲しみのマンディ(Mandy)」がNo.1ヒットとなったことから75年に再度シングル化された結果、英米でベスト10ヒットを記録している。

どんなにいい曲であっても、やはり多くの人に伝わらなければ売れないが、アーティスト自体の知名度が上がるとチャート・アクションが活発になるというのは仕方ないのだろうが、やはりどこか切ない思いが湧いてくる。そう言いながら私も彼の3枚目のアルバム『フィーリング(Tryin’ To Get The Feeling)』(’75)を地元の民放ラジオ番組の抽選で当たったことから聞く機会を得て、彼の歌の巧さと曲作りの凄さを知りすぐに過去の2枚のアルバムも買うことになる。

驚きの「恋はマジック」は前奏にショパンの「前奏曲20番ハ短調(op.28-20)」を完全にそのまま演奏したものがイントロ、そして短くエンディングになっていた。そのため73年当初は7分を超える曲になったが、ジャケットも変更された75年の再発では少し短くなっている。その素晴らしさは変わらない。

ショパンに関しては恐らく多くの人にとって馴染み深い曲が多いと思われるのだが、私が特に忘れられないのは彼の没後に発見された「夜想曲20番嬰ハ短調(遺作)」だ。2002年の映画『戦場のピアニスト』に挿入されたことで特に有名になった曲でもあるが、「世の中にこれほど哀しく美しいメロディーがあっただろうか」と思わせるほどだ。




§ Annie Haslam ; Renaissance ~ FaureとDebussy



◎画像6 Annie Haslam “Still Life” + “Blessing In Disguise”


前回、フォーレ『パヴァーヌ』を紹介したが、じつはルネッサンスアニー・ハスラムのソロ・アルバムにも収録されている。それも85年の(A)『Still Life』94年の(B)『Blessing In Disguise』2度も・・・だ。その間、10年近くも時間が経過しているが彼女にとってもきっと特別感のある曲なのだろうと想像する。しかも、当然のことながら歌詞をつけての収録となるわけだが、(A)ルネッサンス時代の一連の歌詞を手がけたベティ・サッチャーだ。アニーが歌いたいクラシック作品を選び、それにベティが加わってコンセプトを固め、(Hooked On Classicの世界的ヒットで知られる)ルイス・クラークがクラシカル・アレンジとロイヤル・フィル・オーケストラ+合唱団を全面的に取り仕切ることでアルバムとして完成させたことになる。それぞれ曲には独自のタイトルがつき『パヴァーヌ』「The Day You Strayed」となっていた。さらに同じアルバムにフォーレ作品がもう一曲『ドリー』から「子守歌」「One Day」として収録されていることが嬉しかった。

(B)の方はトニー・ヴィスコンティのプロデュースでアニーの4枚目のソロとして作成されたアルバム。彼女らしい気品を感じさせる作品だが、クラシックの引用はフォーレ『パヴァーヌ』1曲というところにアニーのこだわりが感じられるように思えて嬉しかった。さらに歌詞はお馴染みのベティが前回とは別の歌詞を用意している。(ここではベティ・サッチャーベティ・ニューシンガーと後年バージョンでのクレジット) そして、「The Sweetest Kiss」と新たな曲名がつけられて完全な新録音になっていた。こちらのバージョンは当時、日本のTV-CM(Super Nikka)で採用され結構な注目を集めた。「魚類図鑑の魚たちが図鑑から抜け出しそのウィスキーのボトルに集まってくる」という興味深く面白いものだったが、それから既に30年も経ったことを考えると気が遠くなる。



★音源資料F Annie Haslam / The Sweetest Kiss

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アニーの話題を取り上げたところで、前回に続いて改めてルネッサンスが引用したクラシック曲からもうひとつ取り上げておこう。『燃ゆる灰(Ashes Are Burning)』に収録されていた「港にて(At The Harbour)」だ。これは73年英国ではSovereignから、米国ではCapitolから発売されたアルバムだが、ジャケットのアニーの表情が違っていることがちょっとした話題になった。

その後、78年米Capitolから『In The Beginning』として『プロローグ』『燃ゆる灰』が2枚組として出されたのだが、そこに収録された「港にて」を聞いて愕然としてしまった。当然のごとく曲の前半と後半にジョン・トウトのピアノが入るものと思っていたのだが、それらがカットされ中間部のフォーク調の部分のみが収録されていた。私は「これでは全く別のものになってしまう」という怒りの気持ちを感じてしまった。米盤ジャケットのアニーの表情が不機嫌に見えたのも、このことを予見していたのだろうか?

この「港にて」の歌詞は、「漁師の帰りを待つ女性たちの姿、しかし時化のため波に飲み込まれた男たちは帰らない」という哀しい話がモチーフになっている。その場面を曲の前後にピアノで表現したものになっている。それがドビュッシーの「沈める寺」の引用につながっている。これは見事に状況を表現していた。

ここでは改めて、ドビュッシーの「沈める寺」と、ルネッサンスの「港にて」を並べて聞いてみよう。



★音源資料G La cathedrale engloutie (preludes,Book1,L.117:No.10)

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★音源資料H Renaissance / At The Harbour

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こう聞いてみると、前半のドビュッシーの調べと、エンディングのピアノに被ってくるヴォカリーズの部分が幻想的でじつに効果的に使われていることが分かる。改めてルネッサンスの表現力の凄さを感じてしまった瞬間だった。

この「沈める寺」に関しては、75年ファイアーバレー(Fireballet)のアルバム『はげ山の一夜(Night Of Bare Mountain)』のB面組曲の中でも取り上げられていた。「はげ山の一夜」自体がムソルグスキーの作品をモチーフにしたもので、これもプログレ好きにはお馴染みの作品だろう。




§ Wooly Wolstenholme ~ 後年のBJHの状況を含めて



◎画像7 Woolly Wolstenholme + Barclay James Harvest XII


ルネッサンスを出すと、私の中ではバークレイ・ジェームス・ハーヴェスト(BJH)がいつもつながって出てくる。BJH初期Harvest期には、音楽ディレクターとして先ほど曲を取り上げたThe Enidロバート・ジョン・ゴドフレイが携わっていた。3作目ではマーティン・フォードがオーケストラを引き継いでいた。そんな中でキーボードのウーリーがメロトロンを武器に持ち前のクラシカルな曲作りを展開するようにもなり、その後のPolydor期では大活躍を見せることになる。そして、彼はBJH『XII』を最後に脱退し、自分の活動をMaestosoに移行する。(ウーリー自身に関しては、その前後の活動については本コラムの第30回第31回でMandalabandとの関連で触れているので、参照して欲しい。)

彼はマーラーが好きで影響を受けているというのだが、確かに彼の作った曲にはマーラーの交響曲的な要素を感じることが出来る。と言っても、私はマーラーに関して詳しいわけではないのだが、学生時代から機会があれば聞いてきた。マーラーの交響曲には長大なものが多く、まだLP時代にも交響曲1曲なのに2枚組になるほどで、アルバムを選ぶにもハードルが高かった。特に交響曲『大地の歌』は6楽章まであって驚くと同時に、当時は番号の振られていない交響曲の存在として混乱したものだ。

マーラー第7番『夜の歌』は第5楽章まであって、その最終楽章には「Maestoso(荘厳に)」と発想記号として演奏指示を示す言葉が記されている。Maestosoという言葉自体は決して珍しい言葉ではなく、多くの作曲家の交響曲にも添えられることはよくある。しかし、私はウーリー79年にBJHを抜け、ソロ活動をMaestosoとして始めることになるのだが、自らの音楽性・活動を「より深淵に、より荘厳に」という気持ちを込めたのだろうと確信した。

しかし、実際には、80年のソロ『Maestoso』を出した後Polydorとの契約も切れ、81年には2枚目のソロ『Songs From The Black Box』というアルバムを制作したのだがリリースがままならなくなり、一度は有機農場の農夫になってしまった。しかし、98年BJH時代の盟友ジョン・リーズと再開。BJH (Through The Eyes Of Joh Lees)名義で99年に『Nexus』を、そして2000年のライヴ『Rivival』の2作品に参加している。(結局『Songs From The Black Box』94年Voiceprintを通して流通してはいたのだが、正式な再発は2004年のEsotericからの『Black Box Recovered』を待つことになる。ただ、構成は大きく変更されていた。)

98年にBJHのレス・ハロイドとジョン・リーズが袂を分かつことになったというのも驚きだったが、結果的にレスの方にドラマーのメルが加わり、ジョンには(久々の参加ではあるものの)キーボードのウーリーが付いたことになる。当時の私の気分はとても複雑だったことを思い出す。

その後、ウーリーはMaestosoとして2004年に2枚組『One Drop In A Dry World』2005年にはライヴ『Fiddling Meanly』『Grim』2007年『Caterwauling』と順調にアルバムを出し続けたが、2010年Maestosoのままその命を閉じてしまった。



★音源資料I Barclay James Harvest / In Search Of England * Woolly Wolstenholme

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一度、本コラムで取り上げた曲なのだが、このバージョンは映像が「ウーリーへの追悼」となっているので改めて紹介させていただいた。




§ Procol Harum / Fire (Which Burned Brightly)



◎画像8 Procol Harum / Grand Hotel + Christiane Legrand(J.CD)


今回の締めは、プロコル・ハルムにしよう。マシュー・フィッシャーのオルガンと、ゲイリー・ブルッカーのピアノ、そしてキース・リードの歌詞が中心になって英国的なR&Bとクラシックの融合で、ポップ・ロックの世界では先駆的な役割を果たしていた。バッハのカンタータが基本にある「青い影」が今も鮮烈な記憶を残している。(彼らについてもマシュー・フィッシャーを中心に本コラムの第24回第25回で取り上げているので、今回は73年の『Grand Hotel』に収録された「炎の祈り(Which Burned Brightly)」を紹介することにした。)

彼らのアルバムに駄作はなく、必ずクラシカルな要素もある。このアルバムも全アルバムの中でもトップ・クラスの名盤だ。ただ、この作品の特別感は客演にスキャット・ヴォーカルのクリスチャン・ルグランを迎えていることだ。彼女はミシェル・ルグランの2歳年上の姉にあたるが、62年に男性4人・女性4人からなるスウィングル・シンガーズソプラノ担当として活躍した歌手。ここでも得意のソプラノ・ヴォイスをソロで担当し、アルバムの中でもクラシカルで気品を湛えた特別感を持った1曲になっている。



◎音源資料J Procol Harum / Fires (Which Burnt Brightly)

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スウィングル・シンガーズ63年『Jazz Sebastian Bach』でデビューしているが、日本でも同じ年にリリースされずいぶん人気を呼んだ。私が小学校に入ったのは64年だが、TVで聞いただけでなく、父の勤め先の独身寮が家のそばにあり、歌謡曲に混じって流れてきた不思議な音楽と感じたことも覚えている。バッハの曲をスキャット・コーラスだけで歌っていることを教えてもらった。(正確に言えば、ドラムとウッド・ベースが入ってジャズとして扱われていたのだが。)

年を経て、TVに流れるGS(グループ・サウンズ)や歌謡曲を、そして徐々にポップスを聴くようになっていくわけだが、原点としての(歌詞のない)スキャット・コーラスはCMでも多用されるようになり、後年音源収集に向かうことになる。そんなクリスチャン・ルグランプロコル・ハルムのアルバムの1曲で起用されたということでアルバムが出た時に特別な思いで聞いた。もちろん、曲調はクラシカルなのだが、スキャットを入れることを想定したせいか、それまでの彼らの音楽とは違って聞こえた。この『グランド・ホテル』には、歌詞の中で気品と猥雑さが同居していてそれがまた魅力だったように思える。




今回のアウトロ

今回は、『ヴォカリーズ』を紹介したこともあり、ルネッサンス、プロコル・ハルムスキャット・ヴォーカルも意識してみました。普段、考えもしないようなポップ系の音楽の中にも、じつはクラシックが顔を出すというサンプルも紹介しました。

ただ、振り返ってみて、今回選んだ曲に注目した「きっかけ」がTV-CMだったり、FM番組だったり、雑誌の番組欄を点検したり・・・と昔、曲を知るための材料が「アナログ」だったということです。最近では、若い人は情報を経て行動に移すための材料はSNSが中心になっているようですし、インターネット以前にスマホで調べて終わりということも多いようです。それは、確かに便利だと思います。私は自分の苦手もあるのでSNSは時々眺めるものの、ほとんど手は出していないので何とも言えませんが、得た情報が『本当なのかどうなのか?』は自分の頭で考えて欲しいものだと思います。

そんな中、最近見ているTV番組のひとつに『博士ちゃん』があります。そこに出てくる子どもたちが、自分の興味を持ったことを徹底的に調べたり集めたりする行動を見て、素敵なことだなあと思っています。そして、手書きでメモを取ったり、記録するにも写真を並べたりと「アナログ」な部分が感じられ、思わず「その調子で頑張れ!」と叫んでしまいます。

そういう私も、未だに手書きのメモが一番で、カードに書いたものを並べたり、積み重ねたりして、調べ事をするときには机の周囲が大変です。CDもレコードも関連本もしばらく出しっぱなしにしてあるので部屋の中は本当にとんでもないことになっています。まあ、今に始まったことではないのですが。

クラシカル・エレガンスに関しては、もう1回次回も続けます。 では、また。








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    ラズベリーズ解散後の記念すべき1stソロ、75年作

  • ERIC CARMEN / BOATS AGAINST THE CURRENT

    作曲/アレンジ/プロデュースを自身が務め、マルチ・アーティストの才を発揮した77年2nd

    • SICP30624

      紙ジャケット仕様、Blu-spec CD2、14年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック5曲、定価2100+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

      帯に折れあり、紙ジャケに若干圧痕あり

  • ERIC CARMEN / CHANGE OF HEART

    ミスター・パワーポップ!78年3rd

    • SICP30625

      紙ジャケット仕様、Blu-spec CD2、14年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック3曲、定価2100+税

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      帯有

      若干圧痕あり

  • ERIC CARMEN / TONIGHT YOURE MINE

    ex.ラズベリーズ、80年作4th

    • SICP30626

      紙ジャケット仕様、Blu-spec CD2、14年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲、定価2100+税

      盤質:傷あり

      状態:良好

      帯有

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ANNIE HASLAMの在庫

  • ANNIE HASLAM / LIVE STUDIO CONCERT: PHILADELPHIA PA USA 1997(映像)

    97年、米国でのライヴ映像

    RENAISSANCEのヴォーカリスト。1997年アメリカでのスタジオ・ライヴ。

  • ANNIE HASLAM / ANNIE HASLAM

    RENAISSANCEの名女性ヴォーカリスト、クリスタル・ヴォイスが冴える89年作ソロ

    英クラシカル・ロックの名グループRENAISSANCEのヴォーカリストであり、英プログレシーンを代表する女性ヴォーカル。89年作ソロ。透明感のある煌びやかなアレンジの中、クリスタル・ヴォイスと流れるようなメロディが冴えるキャッチーな佳曲揃い。Justin Hayward、Mel Collinsなど参加。MIKE OLDFIELDの名曲「Moonlight Shadow」のカバーも必殺。

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RENAISSANCEの在庫

  • RENAISSANCE / TUSCANY

    17年振りとなる00年再結成作

  • RENAISSANCE / UNPLUGGED – LIVE AT THE ACADEMY OF MUSIC PHILADELPHIA

    85年フィラデルフィアでのアンプラグド・ライヴ

  • RENAISSANCE / GREATEST HITS LIVE (PART 2)

    77年10月14日ロイヤル・アルバート・ホール公演の音源

  • RENAISSANCE / MYSTIC AND THE MUSE

    2010年リリースEP

  • RENAISSANCE / GRANDINE IL VENTO

    シンフォニック・ロックの源流に位置する英国の名バンド、13年作

    • MICP30046

      紙ジャケット仕様、SHM-CD、ボーナス・トラック1曲、英文ブックレット付仕様、定価2857+税

      盤質:全面に多数傷

      状態:良好

      帯有

      盤に研磨跡あり、帯に若干黄ばみあり

  • RENAISSANCE / RENAISSANCE

    元YARDBIRDSのKeith RelfとJim McCartyが結成したオリジナル・ルネッサンスによる69年作1st

    元YARDBIRDSのKeith RelfとJim McCartyを中心に結成されたオリジナル・ルネッサンス。69年のデビュー作。ビート・ポップがベースにありますが、クラシカルで躍動感に溢れたピアノ、荘厳なコーラス・ワークをフィーチャーしたサウンドはたいへん幻想的。変拍子の中をピアノがコロコロと転がるキメのパートから、一転して「月光」のピアノ・ソロへと移行するなど、鮮やかなアレンジも素晴らしい。Keith Relfのヴォーカル、紅一点Jane Relfのヴォーカル、どちらも気品に満ちているのも特筆ものです。レイト60sの英国シーンに華麗に咲いた逸品。

  • RENAISSANCE / ILLUSION

    元ヤードバーズのKeith RelfとJim McCartyを中心に結成されたオリジナル・ルネッサンスによる71年作2nd

    元YARDBIRDSのKeith RelfとJim McCartyを中心に結成されたオリジナル・ルネッサンス。71年2nd。前作の延長線上にある、リリカルなピアノが彩るクラシカルなフォーク・ロックが基本ですが、14分を越える最終曲など、ジャジーなエッセンスも取り入れた、よりスリリングでプログレッシヴなアンサンブルも特筆もの。ジャケットからも伝わる通り、クラシカルでファンタスティックなサウンドをベースに、より宇宙的な壮大さをも目指していたのが伝わってきます。レイト60sからプログレへと移行する過渡期のエネルギーに溢れた秀作。

  • RENAISSANCE / PROLOGUE

    72年リリース、第二期ルネッサンスのデビュー作、ロック/フォーク/クラシックが交差する幻想的な名作

    YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は72年にリリースされたデビューアルバム。「革命のエチュード」からの引用によるオープニングからクラシカルな味わいと英国ロックの気品、アコースティックな感性を全面に、Annie Haslamの伸びやかなスキャットが映えます。楽曲のふくよかさ、トータルプロダクションの上手さは後の作品に譲るも、彼らにしか作りえない素朴な叙情の片鱗を既に窺うことが出来る好盤です。

    • TOCP95065

      廃盤、紙ジャケット仕様、SHM-CD、デジタル・リマスター、定価2667+税

      盤質:無傷/小傷

      状態:

      帯有

      側面部に目立つ色褪せあり、帯に軽微な折れあり

  • RENAISSANCE / ASHES ARE BURNING

    73年リリースの2nd、牧歌的な伸びやかさと英国的な麗しき叙情美、そしてロックの躍動感が一体となったシンフォニック・ロックの決定盤!

    YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は73年にリリースされた2nd。クラシカルな中に多少のサイケデリック感覚を残したデビュー作から方向性が定まり、牧歌的なのどかさと英国叙情、オーケストラを従えたシンフォニック・ロックの世界を作り上げています。以降ライブでも取り上げられる機会の多い名曲となった「カーペット・オブ・ザ・サン」「燃ゆる灰」などを収録。

  • RENAISSANCE / TURN OF THE CARDS

    前作「燃ゆる灰」で作り上げた優美なシンフォニック・サウンドに磨きをかけた、74年作3rd!

    YARDBIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は74年にリリースされた3rd。前作「燃ゆる灰」で作り上げた優美なシンフォニック・サウンドにさらに磨きをかけ、また、バンドのプロダクションに大いに貢献してきたMichael Dunfordがついに正式加入。「アルビノーニのアダージョ」を取り上げた「冷たい世界」や前作には無かったスケール感を持つ「母なるロシア」などを収録し、バンドは一気にその人気を不動のものとします。

  • RENAISSANCE / SCHEHERAZADE AND OTHER STORIES

    75年リリース、英国クラシカル・ロックの頂点と言うべき大名盤!

    YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は75年にリリースされた4thであり、彼らの代表作の呼び声も多い名盤。特にリムスキー・コルサコフの同名交響曲に端を発した「シェエラザード夜話」は、「アラビアン・ナイト」の世界をコンセプトに据えた20分を超える超大作であり、オーケストラ・サウンドとロックの融合を目指した英国ロックの1つの結論と呼ぶべき傑作。米国での成功で勢いに乗った彼らの生み出したシンフォニック・ロックの世界は他の追随を許しません。

  • RENAISSANCE / LIVE AT CARNEGIE HALL

    ベスト選曲と言える76年発表のライヴ作

    YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は76年にリリースされたライブ作であり、アメリカのカーネギー・ホールにてオーケストラを率いて録音(75年6月)された名盤です。デビューアルバムから、アメリカへの足がかりとなった名盤「Scheherazade And Other Stories」までの代表作が余すことなく並んでおり、Annie HaslamのソプラノボーカルとNYフィルのオーケストラが絶妙に溶け合い、孤高のシンフォニック・ロックを作り上げています。

  • RENAISSANCE / NOVELLA

    77年作、邦題「お伽噺」

    YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は77年にリリースされた6thであり、彼らの代表作の呼び声も多い名盤。「Scheherazade And Other Stories」の評価とアメリカでのコンサートの成功によってWEAとワールドワイド・リリースを契約、まさに絶頂を迎えた彼らの自信に溢れた作品となっています。ロック・フォーク・クラシックという彼らの3大要素が惜しみなく発揮されており、女性ボーカル系シンフォニック・ロックの金字塔的な作品といえるでしょう。

  • RENAISSANCE / A SONG FOR ALL SEASONS

    ポップかつメロディアスな作風の78年作、愛すべき名盤!

    YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は78年にリリースされた7thであり、前作同様にオーケストラを取り入れたシンフォニック・ロックを披露。アコースティックな味わいとAnnie Haslamのソプラノボーカルが彩るトラッディーな味わいは相変わらず心地良く響いており、明るくきらびやかな作風となっています。音楽的にはやや意図的なポップ・センスが感じられており、バンドで重要な位置を占めるキーボードはシンセサイザーなどエレクトリックな方向性が見え始めるなど、時代の流れと共に変化する彼らの姿が見受けられます。

  • RENAISSANCE / AZURE D’OR

    黄金期の流麗なクラシカル・タッチはそのままに、よりポップな感性が磨かれた79年作

    79年作。クラシカルなテイストはそのままに、ポップ色が増し、クラシカル・ポップというべき洗練された心踊るサウンドが素晴らしい逸品。

  • RENAISSANCE / CARNEGIE HALL LIVE

    フル・オーケストラを配したベスト的選曲の名ライヴ作

    75年6月20日から22日までの3日間、ニューヨークのカーネギー・ホールで行われたコンサートの模様を収録したライヴ。『プロローグ』から『シェラザード夜話』まで、すべてのアルバムから代表曲8曲が選ばれ、フル・オーケストラを配した荘厳なアレンジと圧倒的なまでの観衆のボルテージが聴く者の心を揺さぶる。

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MAESTOSOの在庫

  • MAESTOSO / FIDDLING MEANLY

    BJHのウルステンホルム率いるバンド、03年作、BJH時代の名曲を含んだライヴ盤

    BARCLAY JAMES HARVESTで活躍したキーボーディスト。03年作「ONE DROP IN A DRY WORLD」に伴うツアーを収録したライヴ・アルバム。「Early Mornig」「After The Day」など、BJH時代の楽曲も演奏しています。

  • MAESTOSO / GRIM

    BARCLAY JAMES HARVESTのKey奏者ウルステンホルムによるグループ、05年作

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PROCOL HARUMの在庫

  • PROCOL HARUM / PROCOL HARUM(A WHITER SHADE OF PALE)

    67年の記念すべきデビュー・アルバム、R&Bフィーリングとクラシカルな気品が同居した味わい深いナンバーが揃う名作

    ミック・ジャガーから「最高のR&Bバンド」と評されたバンド、パラマウンツを率いていたソングライター&シンガー&ピアニストのゲイリー・ブルッカーを中心とするグループ。67年にリーガル・ゾノフォンよりリリースされたデビュー作。アルバムに先駆けてリリースされたデビュー曲「青い影」は大ヒットしたものの、マネージャーのデニー・コーデルがEMI傘下のリーガル・ゾノフォンに移り、アルバムはリーガル・ゾノフォンからリリースされたため、シングル「青い影」は収録されない、という事態となり、アルバムはなんとUKチャート圏外という不運となりました。(米盤はデラムからのリリースで、「青い影」が収録されています。ややこしや。CDでは、ボーナス・トラックとして「青い影」が収録されているものがほとんどなので一安心。)プロコル・ハルムの特徴は、R&Bやソウルとクラシックが融合した荘厳なサウンドとその元となる詩人キース・リードによる難解な詩世界。そして、それを支える、ゲイリー・ブルッカー(ピアノ)とマシュー・フィッシャー(オルガン)とのダブル・キーボード編成と、ロビン・トロワーのツボを抑えたギターによるアンサンブル。「青い影」のインパクトが強すぎて、アルバムとしてあまり語られませんが、その他の曲もダブル・キーボードに支えられた重厚なサウンドとR&Bフィーリングいっぱいの芳醇な歌が素晴らしい佳曲ぞろいなのです。アーシー&メロウな曲あり、元祖オルガン・ロックと言える曲あり、ドラマティックなサウンドで「プログレ」を先駆けた曲あり、本当、味わい深い曲がずらりと揃った英ロック屈指の大名盤。

  • PROCOL HARUM / A SALTY DOG

    「青い影」に匹敵するドラマチックな表題曲を含む69年リリース3rd

    Gary BrookerとMatthew Fisherというダブル・キーボードを中心に結成され、黎明期よりプログレッシブ・ロック・シーンをリード。デビュー曲「青い影」が広く知られているイギリスのグループの69年3rd。オルガン奏者のMatthew Fisher在籍時最後のアルバムとなった本作は、彼らの代表作として有名な作品であり、海洋冒険小説を題材にしたコンセプト・アルバムとなっています。前2作よりすっきりとまとめられた垢抜けたサウンドを提示しており、細部までアレンジが行き届いた傑作と言えるでしょう。

    • VICP61311

      紙ジャケット仕様、24bitデジタル・リマスター、ボーナス・トラック6曲、内袋付仕様、定価2400+税

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      帯有

      紙ジャケに軽微なスレあり

  • PROCOL HARUM / HOME

    オルガン奏者Matthew Fisher脱退後の70年作4tn、Robin Trowerによるジミヘン直系ブルージー・ギターが炸裂する名品

    英国出身ロック・バンド、70年4th。看板オルガン奏者Matthew Fisherが脱退したことにより、音楽性が変化。作曲面ではクラシカル路線を維持する一方、サウンド面ではJimi Hendrixに傾倒したRobin Trowerによるブルージーなギターの活躍が際立ち、クラシカルなバックを従えたJimi Hendrixといった趣が楽しめる作品となっています。ヘヴィなリフをフィーチャーした楽曲が目立つ中、異彩を放つのが、7分を超える「Whaling Stories」(邦題:捕鯨物語)。初期の作風に通じるクラシカルで荘厳なオルガンをバックに、泣きのギター・ソロが響き渡ります。ソウルフルなヴォーカル、重厚なコーラス、シリアスで暗いサウンドなど、VERTIGO作品群に通じる魅力もあり。クラシック要素を多く残したサウンドにディストーション・ギターが乗るというスタイルは、Matthew Fisher在籍期では味わえないこの時期の彼らならではの持ち味です。

  • PROCOL HARUM / PRODIGAL STRANGER

    91年再結成作

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