スタッフ佐藤です。
今回注目するのが、北欧の伝統的な音楽要素を取り入れたフォークやロック作品の数々。
伝承歌・民謡を土台とするトラッド・フォーク、トラッド由来の神秘的なメロディや音使いを取り入れたプログレ、さらに古代~バイキング時代の音楽に着想を得た重厚なサウンドまで、悠久のロマンが薫ってくる魅惑のノルディック・ミュージックをお楽しみください♪
まずは、トラッド・フォークやトラッド要素を備えたロック名品が充実するノルウェーからスタート!
ノルウェー・トラッド・フォークの代表格と言えるのがこのバンド!
北欧の小村で村人が楽しげに踊る情景に流れている音楽そのものといった風情の、賑々しくも哀愁たっぷりのトラッド・フォークにグッと来ちゃいます。
STEELEYE SPANやDULCIMER、仏MALICORNEなどがお好きな方も是非。
フォーク・ロックとして素晴らしい出来栄えとなった80年作もご紹介。
力強いアンサンブルと芯のある女性ヴォーカル、優美ながらスリリングなヴァイオリンとでびしっと決めて強い印象を残します。
トラッドとダイナミックなロック・サウンドとが見事に調和したエレクトリック・トラッドの好盤!
こちらも村人が楽しげに踊るバックに流れてそうな、賑々しくもほのぼのとしたノルウェー産トラッド・ポップ/フォーク・ロック。
遠く異国の奥地で奏でられる音楽なのに、どこか懐かしさや親しみを覚えてしまう音だなぁ。
70年代当時は音楽活動を通じて政治にも関与していたというグループによる2024年作!
ノルウェーのトラッド・フォークと言えば上のFOLQUEが有名ですが、この読み方不明のグループが残した唯一作も名作ですよ。
純朴な牧歌性に溢れた素晴らしい演奏とアニー・ハズラムばりのソプラノ・ヴォーカル&コーラスに心洗われます。
プロデュースはテリエ・リピダル!
トラッドの賑々しさと荘厳さ、ブルースの土臭さ、それらを渾然一体にして聴かせるプログレッシヴ感覚を備えた個性派バンド。
ヘロヘロなようで時に妙に雄々しく、神秘的にして怪しさ満点、さながらJETHRO TULLとSAMLA MAMMAS MANNAが共演したかのような凄い世界観!
アネクドテン、アングラガルドなど好グループを輩出するスウェーデンに負けじと、ノルウェーから現れたのがこのバンド。
弦楽器、メロトロン、フルートを駆使して、北欧トラッドに根ざしたヴィンテージなシンフォニック・ロックを聴かせる傑作1st!
現在活躍中のノルウェー新鋭なら、このバンドもトラッド要素を見事に取り入れてますよね。
YES憧憬の飛翔感たっぷりのファンタジックな演奏と、北欧由来の神秘的なメロディの組み合わせが素晴らしすぎるんです…。
ジャケの手塚先生風イラストは置いておくとして、中身の方はジャズ、アヴァンギャルド、サイケ、トラッドが渾然一体となった、北欧ジャズ・ロック/チェンバー・ロックの名作。
サックスが奏でるメロディが一際印象的で、ジャジーさよりもトラッド由来の神秘性を纏っているのが何とも個性的で素敵です。
スウェーディッシュ・トラッド・フォーク・シーンの重鎮と言うべき3人が組んで、99年に発表したアルバム。
どこまでも格調高く瑞々しい弦楽の調べと、祝祭感に満ちたLena Willemarkのフィメール・ヴォーカル…。
これぞ北欧トラディショナル・フォーク!と言いたい、珠玉の一枚です!
重厚なリズム・セクションに民族舞曲を思わせるヴァイオリン、メランコリックなアコースティック・ギター、そして呪文の詠唱のようにも聞こえる女性ヴォーカル。
それらが組み合わさると、力強くも神秘的な躍動感あふれるプログレッシヴ・トラッドが生まれます。
スウェーデンのベテランによる貫禄の2020年作!
全体の印象は「狂暴なGONG『YOU』」って感じのヘヴィ・サイケ・プログレなんですが、そんな激しいパートを引き立たせる静謐なパートも魅力。
北欧トラッド然とした美旋律を奏でるフルートにシタールなども鳴らされる神秘性な音世界に引き込まれます。
「現代のKEBNEKAJSE」とも表現できる人気バンドの24年作!
フィンランド・ロックを代表するギタリストJUKKA TOLONENが率いた、WIGWAMと肩を並べる名バンド。
TRAFFICやCOLOSSEUMのファンなら必聴と言える1stアルバムなのですが、そんな英ブルース・ロック影響下を全面に押し出しつつも、自国のトラッド要素が控えめながらリリシズムとミスティックさを添えていて、さすが北欧のグループと言える味わいを醸し出しています。
現SAMURAI OF PROGのドラマーKimmo PorstiをはじめとするMIST SEASONのメンバーが結成したフィンランド産プログレ・グループ。
北欧の情景をそのまま映し出すような、透明感とメランコリー、そして一抹の哀愁を帯びたサウンドが美しいシンフォニック・ロック。
フィンランド語の女性ヴォーカルやフルートも加わって、北欧トラッドの荘厳さも滲み出してきます。
83年結成、名実ともにフィンランド・トラッド・フォークを代表するバンドの03年作。
電子ドラム?によるロック的疾走感溢れるリズムに乗って、フィドルや管楽器が躍動するサウンドがカッコいい!
フィンランドの民族弦楽器カンテレのほか、ブズーキも交えて煌びやかな民族テイストを織り交ぜるセンスもさすがだなぁ。
VARTTINAに比べるとややニッチなバンドですが、90年代中期より活動しているフィニッシュ・トラッド・フォークの実力派。
ヴァイオリンとヴィオラの壮麗なる調べと、哀愁を孕んだ女性ヴォーカルによるスケール大きなサウンドが素晴らしいですね。
プログレ・ファンにも響くものがありそうです。
現在カケレコが注目している独/米/デンマークの混成バンドがこのHEILUNG。
底なしに重厚でおどろおどろしいんだけど、不思議と聴きにくいとは感じさせないサウンド。
「鉄器時代~バイキング時代のゲルマン民族が奏でた音楽を現代に蘇らせる」ことをテーマに活動する彼らの圧巻22年作!
17年ライヴ・アルバム。
太鼓やメタル・パーカッションが刻む原始的なビートと、英語/ドイツ語や古代言語が複合された呪術的チャントによって作り出されるサウンドは、とにかく孤高。重厚さやおどろどろしさや野生味が渦巻く衝撃的な音源です…!
デンマーク自治領フェロー諸島出身の女性ヴォーカル/コンポーザーによる24年作。
荘厳なストリングスと静謐に奏でるピアノが映し出す北欧の最果ての風景を思わせるサウンドをバックに、透き通るような美声で慈愛を込めて歌うフェロー語ヴォーカル。
1曲目から鳥肌モノの音世界!
アイスランド出身、北欧神話を基にした太古の物語・思想を音楽で蘇らせることを目的とするネオフォーク・バンドの22年作。
脈動のように刻まれる打楽器の重厚なビートに、リラやタルハルパなど琴類が幻想的な調べを重ね、擦弦楽器が陰鬱に鳴り、そこに男女の儀式めいた歌声が呪文のように響きます。
毛色は違いますが、MAGMAが楽しければきっとこの音楽もいけるはず。
いかがだったでしょうか。
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北欧はノルウェーのシンフォニック・ロック・グループ、95年のデビュー作。幽玄なアコースティック・ギターの爪弾きとそこに柔らかに寄りそうハープシコード、透き通るようなハイトーンの美声女性ヴォーカルと幻想的な男性ヴォーカルが儚くメロディを歌うイントロ。そんな70年代憧憬の静謐なフォーク・サウンドから、ポスト・ロック的な浮遊感あるドラムが入ると、ムーグなどヴィンテージなキーボードが豊かに広がり一気にモダンプログレの世界へ。再び、音がすっと遠ざかると、フルートが繊細に紡がれ、優美にたゆたう。70年代プログレのファンは間違いなく言葉を失う完璧なオープニング!2曲目以降もフルートとヴァイオリンが交差したり、メロトロンがリリカルなメロディを奏でたり、レ・オルメばりのオルガン・プログレを聴かせたり、70年代プログレへのオマージュに満ちたサウンドがめくるめく続きます。アングラガルドなど続々と好グループを輩出するスウェーデンに負けじとノルウェーから現れたヴィンテージ・スタイルのプログレ新鋭逸材。これは傑作です。
現ノルウェーを代表するシンフォニック・ロック・グループ、前作より3年ぶりとなった2020年作5th。行進曲のように勇壮なリズム・セクションに乗って、クラシカルなオルガンとシャープなトーンのギターが疾走し、メロトロンと透明感あるコーラスがあふれ出す。この攻撃性と哀愁が入り混じるオープニングで早くも傑作を確信します。特にオルガンは全編で良い音で鳴りまくっていて堪りません。ジョン・アンダーソンを強く意識した高らかでデリケートなヴォーカルが歌う北欧由来の厳かで神秘的なメロディも素晴らしく、これはまるでYESと北欧トラッドが出会ったかのようなサウンドと言えちゃいそうです。YES影響下の飛翔感あるファンタジックな演奏で突き進む2曲目も、温かなアコギとメロトロンが彩るアコースティカルな3曲目も素敵です。ラストもYES調の始まりますが、後半ではANGLAGARDばりの緊張感あるヘヴィ・シンフォになだれ込んでいき、初期の彼らが持っていた暗鬱さが顔を出すのもうれしいところ。これはYESファンやオルガン・ロック好きの方にも聴いて欲しい快作!問答無用のカケレコメンド!
スウェーデン出身、8人編成のグループ、75年作の1st。サウンドは、ジャズ、アヴァンギャルド、サイケ、北欧トラッドをゴッタ煮にしたジャズ・ロック/チェンバー・ロック。テクニック抜群ですが、緻密さとルーズさの度合いが絶妙で、格調高さとともに、ジャケットの通りどこか愛嬌のある雰囲気も印象的。名作です。
74-76年にかけて活動したノルウェーのトラッド・フォーク・グループ、テリエ・リピダルがプロデュースした75年の唯一作。ボンゴ/ドラムとダブルベースがいなたく刻むリズム、アコギ、ウクレレ、バンドゥリア、チェロ、フルートらによるリリカル&メランコリックなアンサンブル。これぞ北欧トラッド・フォークと言える純朴な牧歌性に溢れた素晴らしい演奏を聴かせます。5人の女性メンバーにヴォーカルのクレジットがあり、アニー・ハズラムかのようなソプラノ・ヴォイスで歌うリード・ヴォーカルを澄み切った4声コーラスが支える、ノルウェー語の歌がこれまた絶品。淡々としているようでいて、滲み出る切ない情感に絶えず胸を揺さぶられます。1曲でプロデューサーのテリエが、ギターではなくエキゾチックなソプラノ・サックスのプレイを披露していて注目です。マイナーながら、「珠玉」という形容が相応しいノルディック・フォークの傑作!
北欧を代表するギタリストJUKKA TOLONEN率いるグループ。69年作の1st。TRAFFICからの影響が感じられるサイケデリックなブルース・ロック。スティーヴ・ウィンウッドにそっくりなブルージーなヴォーカル、デイヴ・メイスンやクラプトンに引けを取らない雄弁なギター、ジャジーにむせび泣くフルート&サックスによるスケールの大きなサウンドは、驚くほどの完成度。60年代後期の英サイケ/ブルース・ロックの名作と比べても全く遜色ない名作。
デンマーク自治領フェロー諸島出身の女性ヴォーカリスト/コンポーザーによる24年作。荘厳なストリングスと静謐に奏でるピアノが映し出す北欧の最果ての風景を思わせるサウンドをバックに、透き通るような美声で慈愛を込めて歌うフェロー語ヴォーカル。1曲目から鳥肌モノの音世界に飲み込まれます。2曲目以降はエレクトロニクスを纏いモダンなサウンドになりますが、陰鬱さの中にエモーショナルな情感を秘めた歌声との対比で終始劇的に聴かせていて実に素晴らしい。北欧トラッドらしい民族的な節回しも随所に散りばめられていて、現代的な音と出自に由来する伝統的な音楽性を見事に調和させるアーティスティックなセンスが特筆です。ヴォーカリストとしての傑出した実力、そしてそのヴォーカルの魅力を最大限に引き出すハイセンスな音作りの才能に圧倒される名盤!
現SAMURAI OF PROGのドラマーKimmo PorstiをはじめとするMIST SEASONのメンバーが結成したフィンランド産プログレ・グループ、09年デビュー作。北欧の情景をそのまま映し出すような、透明感とメランコリー、そして一抹の哀愁を帯びたサウンドが美しいシンフォニック・ロック。フィンランド語の女性ヴォーカルやフルートも加わって、北欧トラッドの荘厳さも滲み出してきます。ジャケット通り北欧の森深くに迷い込んだようなイメージを抱かせる、美麗かつどこかミステリアスな世界観に引き込まれる名品です。
デンマークはコペンハーゲンで結成、デンマーク/ノルウェー/ドイツ出身のメンバーで構成されたバンドによる17年ライヴ作。「鉄器時代〜バイキング時代のゲルマン民族が奏でた音楽を現代に蘇らせる」ことを活動テーマに掲げていて、太鼓やメタル・パーカッションが刻む原始的なビートと、英語/ドイツ語や古代言語が複合された呪術的チャントによって作り出されるサウンドは、とにかく孤高。まさにステージ上で「文明と隔絶した部族による呪術儀式」を繰り広げているのが伝わってくる、重厚さやおどろどろしさや野生味が渦巻く衝撃的な音源です。プログレ好きには是非挑戦してほしい!
デンマークはコペンハーゲンで結成、デンマーク/ノルウェー/ドイツ出身のメンバーで構成されたバンドによる22年作。「鉄器時代〜バイキング時代のゲルマン民族が奏でた音楽を現代に蘇らせる」ことをテーマに活動するバンドで、使用楽器も当時使われていたと考えられる原始的な太鼓や動物の骨や角などを用いた打楽器を中心としているようです。そうした多種多様な打楽器群が刻む古代のビートは恐ろしいまでに重厚なのですが、そこにドイツ語/英語/ゴート語/アイスランド語/ラテン語/古英語/ノルウェー祖語/ゲルマン祖語などを複合した男女のチャントが乗ることで、呪術性と神秘性とドラマ性が渾然一体となって迫ってくる、ゾクゾクするような音楽体験をもたらします。プログレで言えばMAGMAやOSANNAの『Palepoli』に通じる世界観ですが、彼らが持つ呪術性やある種のオカルティックさをよりコアに突き詰めたらこうなるのかな、というサウンドです。あるいは打楽器の硬質な音を主体にしている点でインダストリアル・ロックとも近いかもしれません。いずれにしても、掲げる理念も実際の音もこりゃ半端じゃなく凄いです。この世界観はきっとプログレ・ファンにも響くはず!
アイスランドのネオフォーク・バンド、22年作2nd。バンド紹介によると「北欧神話を基に、アニミズム的観点も取り入れながら古代の物語や思想を新たに音楽として蘇らせる」ことを目的としているそうで、その理念が伝わってくるようなトライバルで荘厳かつ暗鬱な美しさを湛えたサウンドに冒頭から引き込まれること必至。脈動のように刻まれる打楽器の重厚なビートに、リラやタルハルパなどの琴類が幻想的な調べを重ね、ヴァイオリンと思われる擦弦楽器が陰鬱に鳴り、そこに男女の儀式めいた歌声が呪文のように響きます。本格的に作り上げられた太古の音楽にゾクゾクしますが、不思議と取っつきにくさ聴きにくさは感じず、ダークな世界観に身をゆだねるある種の心地よさがあります。もちろん毛色は違うのですが、MAGMAが楽しければきっとこの音楽もいけるはず。
70年に結成されたノルウェーのグループが、77年にリリースした1stアルバム。トラッドの賑々しさと荘厳さ、ブルースの土臭さ、それらを渾然一体にして聴かせるプログレッシヴ感覚を備えた、なかなか一筋縄ではいかないサウンドです。ドコドコと土着的な響きのドラム、ブルースとサイケが溶けあったような酔いどれギター、奔放に弾きまくるギターに代わり旋律を奏でるベース、ノルウェー語で何かを喚く絞り出すようなヴォーカル。ヘロヘロなようで時に妙に雄々しく、神秘的にして怪しさ満点なこのサウンドは、『AQUALUNG』あたりまでのトラッド色を持ったJETHRO TULLとSAMLA MAMMAS MANNAが共演したような凄い世界観。頭のネジが一本吹っ飛んでいったような、少しもまともじゃないサウンドを繰り広げています。必聴。
サイケ・トラッドの雄KEBNEKAJSEから影響を受けたスウェーデン出身の新鋭ヘヴィ・サイケ・プログレ・バンド、映画のサウンドトラックとして制作された24年作。北欧トラッド然とした美旋律を奏でるフルートにシタールなども鳴らされる神秘性な音世界を堪能していると、突如狂暴なまでに歪んだギターやオルガンが雪崩れ込んでくるこのスタイル。KEBNEKAJSEからの色濃い影響を感じると共に、「粗野なGONG『YOU』」とも形容できるサウンドを繰り広げており圧倒的。北欧の森の奥で繰り広げられるジャム・セッションを聴いているような半トリップ感覚と、ANGLAGARDにも通じる緊張感、そして言い知れぬ哀愁も混在しながら駆け抜けていくこのサウンドは、いやはや並じゃありません。傑作!
ノルウェー出身、北欧トラッド・フォークを代表する名グループ、80年作5th。トラッドのインスト曲を挟みながら前作に比べると全体的にロック色が強めなのが特徴。特にトラッドを土台にしたダークな雰囲気の2曲目がかっこよく、2分半ほどの短い曲ですが、力強いアンサンブルと芯のある女性ヴォーカル、優美ながらスリリングなヴァイオリンとでびしっと決めて強い印象を残します。トラッドとダイナミックなロック・サウンドとが見事に調和したエレクトリック・トラッドの好作!
ノルウェーのトラッド・フォーク・グループ、78年の4thアルバム。男女ヴォーカル、ダルシマー/マンドリン/バンジョーを兼任するマルチ・プレイヤー、フィドル/ハーモニウム奏者を含む7人編成に、クルムホルン、ルネサンス期のダブルリード楽器コルナムーゼ、バロック期の木管楽器ランケットなど古楽器を操るゲストプレイヤーを迎えて制作されています。そんな各種の管弦楽器が賑々しく交歓する祝祭感溢れるトラッド・ミュージックがとにかく絶品。シンプルなリズムに乗って芳醇な音色で駆けるフィドル、そこにアコギとマンドリンが瑞々しいタッチで合わせ、男女ヴォーカルがハートフルなノルウェー語で表情豊かに歌います。これはまさに北欧の小村で村人が楽しげに踊る情景に流れている音楽そのものといった風情のサウンド。エレキギターもこれしかないという哀愁を帯びた味わいあるプレイでアンサンブルを支えます。最終曲で聴ける古楽器による荘厳なアンサンブルは、フランスのMALICORNEなども彷彿。FAIRPORT CONVENTIONやSTEELEYE SPAN、DULCIMERなどの英トラッド・フォーク好きの方にもオススメの一枚です!
スウェーデンを代表するプログレッシヴ・トラッド・グループによる2020年作。重厚なリズム・セクションに民族舞曲を思わせるヴァイオリン、メランコリックなアコースティック・ギター、そして呪文の詠唱のようにも聞こえる女性ヴォーカル。それらが組み合わさると、力強くも神秘的な躍動感あふれるプログレッシヴ・トラッドが生まれます。どこまでも荘厳で無機的なようでいて、クライマックスに向けて徐々に熱量を帯びていくような展開に、根底に流れるロック・スピリッツが感じられてカッコいい。ベテランによるさすがの完成度の一枚です。
74年にデビューしたノルウェーのトラッド・ポップ・グループが、50周年を機に再結成してリリースしたのが本作です。音楽活動を通じて政治にも関与していたグループのようですが、サウンドを聴く限りそういったポリティカルさは感じられず、村人が楽しげに踊るバックに流れているような賑々しくほのぼのとしたトラッド・ポップ/フォーク・ロックを鳴らします。瑞々しいアコギやフィドル&アコーディオンが彩るアンサンブルと、コーラスも交えるノルウェー語のいなたいヴォーカル。遠く異国の奥地で奏でられるような音楽なのに、どこか懐かしさや親しみを覚えてしまう音です。ポップな聴きやすさを持ちつつも、北欧トラッドのエッセンスを堪能できる一枚。
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