2025年3月14日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
ビートルズの『リボルバー』から始まった英国のサイケデリック・ムーブメントは、翌67年『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』によって頂点を迎えます。
『サージェント・ペパーズ』に衝撃を受けた英国のミュージシャン達は、スタジオで様々な実験を繰り返し、サイケデリックな名盤を生んでいきました。
今回は、そんな百花繚乱の68年産英国サイケ・ポップ作品をピックアップしてまいります!
本作はまず何と言っても、メロディーがとにかく美しいですよね!
ロッド・アージェントとクリス・ホワイトの2人による、哀愁ある珠玉のメロディーが次から次へと押し寄せてきて、胸がいっぱいです。
ピアノやハープシコード、メロトロンをカラフルに使ったアレンジで、コリン・ブランストーンのスモーキーボイスがまた英国的な気品たっぷりでいいんですよね~。
何度聞いても、変わらず心の琴線を震わせる一枚です。
ご存知スティーヴ・マリオット、ロニー・レーン、ケニー・ジョーンズ、イアン・マクレガンの4人組による渾身の傑作コンセプト・アルバム。
この作品からピックアップするならやはり「Lazy Sunday」でしょうか。
いち早くシングルカットされたこの曲は、弾むポップなメロディに笑い声や口笛、鳥のさえずりといった効果音がたくさん施され、カラフルでめくるめく万華鏡のサイケ感を味わわせてくれます。
あのYESのスティーブ・ハウやPRETTY THINGS~PINK FAIRIESで活躍するドラマーTWINKも参加している、この作品も68年英サイケ・ポップの傑作。
タイトで若干ハイテンション気味の演奏に、テープ逆回転やシタールなどサイケな実験性もふんだんに取り入れつつ、優しげなキース・ウエストのヴォーカルがサウンドをマイルドに包みこみます。
英国らしい気品とポップな愛嬌を兼ね備えたメロディも素晴らしく、先にご紹介した二作が気に入ったならぜひ聴いていただきたい一枚!
ちなみにこのモノクロなジャケですが、発売当時は予算の都合でカラー印刷ができず、後のリイシュー時にカラーに変更されたそうです…。
ロンドン出身のSSWが68年に発表した作品。
ここまでに取り上げた3枚からするとちょっとマイナーかもしれませんが、ブラス、ストリングス、ハープシコードなどによるキラキラとまばゆいアレンジが全編に施された、これぞサイケ・ポップ!と言える愛すべき一枚なんです。
時折見せるアコースティック・ギターを基調とする英国らしい木漏れ日フォーク感も素敵ですねぇ。
また特徴的なのが、多彩なコーラスワークに顕著なビーチ・ボーイズからの影響。その作風から「『ペット・サウンズ』に対する英国からの回答」とも云われるほどです。
スティーヴ・マリオット、ロニー・レイン、ジョン・ポール・ジョーンズらも参加した英国サイケ・ポップの逸品!
英国サイケ・ポップとしてくくるにはかなり異端な本作ですが、フリーキーかつアーティスティックな実験精神の合間に垣間見れるのは、万華鏡のようにサイケデリックな色彩感と遊び心溢れるポップなメロディ。
これも英国サイケ・ポップのひとつの形と言えるのではないでしょうか。
『サージェント・ペパーズ』影響下サイケ・ポップが持つキラキラ感は全くありませんが、ジャズの心得を持つメンバー達の高い演奏力に裏打ちされたアンサンブルはギラギラしたエネルギーを放出しています。
卓抜したドラミングと無垢な歌声を聴かせるワイアット、非凡なベースプレイに加えストレンジな作曲センスが光るエアーズ、レスリーオルガンをワイルドに弾きこなすラトリッジ。
いやはやすごいメンツがそろったものですね~。
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R&Bグループとしてスウィンギン・ロンドンで活躍したグループもレイト60sにはサイケな名作をリリース。
彼らと言えばやっぱりロック・オペラの代表作『S.F.SORROW』ですよね。
エコーに包まれたドラムとファズ・ギターによる混沌が印象的なカッコ良い演奏が楽しめますが、柔らかく浮かび上がる幻想的なメロディにはサイケ・ポップ的魅力も香ってきます。
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2017年まで連載されていた舩曳将仁氏によるコラム「そしてロックで泣け」に喚起され、リスナーさんが「泣ける音楽」を紹介してくれます!
「ちぇっ、カート・コバーンめ。おかげでNIRVANA(UK)なんて表記しなきゃだし、グーグルでも俺たち出てこない(涙)」って嘆きが聞こえてくる?
英国サイケポップ職人P.C.ライオンズ率いる英ソフト・サイケの名グループなのに・・・。
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世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。
マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』のプロデュースによってのちに名を馳せるトム・ニューマンが率いたバンドですね。
「独自のサウンドを確立するために山にこもって修行していた」なんてエピソードが語られる本作ですが、それも納得できてしまう「音」に対する偏執狂ぶりが存分に堪能できるアングラ・サイケ・ポップ。
テープ逆回転、タブラ、シタールによるだら~んとした雰囲気と、バンドによるハイな演奏の混ざり具合が絶妙の一枚!
後にBELL+ARCなどでアーシーな英ロック作品を出すグレアム・ベル率いるグループ。
ハープシコードも用いたカラフルなジャケ通りのキラキラしたサイケ感と、トラフィックやプリティ・シングスに通じるR&Bフレイヴァーなアーシーさとのバランスが絶妙!
レイト60s英サイケ・ポップの代表的な一枚ですね!
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イギリスのレイト60sサイケ・ポップをディープな作品中心に聴いたあと、ユーロや南米の作品も聴いてまいりましょう。それでは、冬のマジカル・サイケ・ポップ・ドライヴ、スタート!
「Back In The U.S.S.R.」をサウンド・エフェクトに乗せてドラマチックに始まるこのアルバム。
ビートルズ・フォロワーとして一級品のメロディ・センスとコーラス・ワーク、これぞポップ・サイケ・マスターピースと呼ぶにふさわしい一枚!
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スタッフが日替わりのテーマでおすすめ作品をご紹介する「日々是ロック」。本日は春にピッタリのハートウォーミングなメロディ&アレンジ光る英国サイケ・ポップをセレクト!
百花繚乱の68年産サイケ・ポップの中ではマイナーな一枚ながら、生き生きとフレッシュなエネルギーに満ちたリズム、カラフルな管弦楽器やオルガンやリコーダーが彩る名品です。
ジェス・ローデンが務めるヴォーカル&ハーモニーも聴きどころで、サイケ・ポップなナンバーでは素朴でリリカルに歌っていますが、R&B色のあるグルーヴィー&サイケなナンバーでのヴォーカルはすでに絶品の域。
そして極めつけのこのディラン・カバーが超絶的にカッコいい!
JIMI HENDRIXがプロデュースを手掛け、自身もリード・ギターで参加したサイケデリック・ビート・ポップ・サイケな問題作!?
あのERNIE GRAHAMがヴォーカリストとして在籍、ROBERT WYATT、NOEL REDDINGもゲストで参加!と英米サイケ人脈大集合~!
まだまだあるとは思いますが、ここに挙げただけでもワクワク感が半端じゃないラインナップですね!
カケレコには「レイト60s英サイケ・ポップ」という検索カテゴリーがありますので、こちらから引き続き探求をお楽しみいただければと思います!
68年作の4th。ザ・フーの「トミー」と並ぶロック・オペラの金字塔。レイト60sの波を受けて、逆回転などのテープ処理を用いたサイケデリックな装いが前面に出ていますが、トウィンクのフリーキーなドラムなど、かなりアンダーグランド臭漂う混沌としたサウンドが持ち味。サイケ・ポップ的なカラフル感よりも骨太なロック感が印象的です。演奏のダイナミズムなど、バンドとしての技術とスケールの大きさを感じさせます。傑作。
JIMI HENDRIXがプロデュースを手掛け、自身もリード・ギターで参加したサイケデリック・ビート・ポップ・サイケな問題作!?あのERNIE GRAHAMがヴォーカリストとして在籍、ROBERT WYATT、NOEL REDDINGもゲストで参加!と英米サイケ・ロック人脈が妙な顔ぶれで集まってしまった68年作!ERNIE GRAHAMのいなたい英スワンプ作品をビート・バンド化させてサイケデリックなコーラス&サウンド・プロダクションを施したかのような、一枚で何度でも美味しい英米ブルース・サイケ/ビートのミラクルな玉手箱!これは絶対に外しませんよっ!」
サイケデリック・カルチャーが世を席巻した67年の翌年68年にリリースされた、SMALL FACESのコンセプチュアル・サイケデリック・アルバム。コックニー(=ロンドンの下町イースト・エンドに住む労働者階級)の伝統や仲間意識、地域の暗号を秘めた諧謔精神溢れる、生粋のイースト・エンド・モッズとしてのプライドに満ちた大傑作!後半、7曲目から12曲目はコックニーに伝わる「月の出る夜に、月を捕まえようと旅に出た男、ハピネス・タン」の物語を中心に据え、モッズ・バンドの枠を超えた芸術性と、黄色い声の鳴り止まないアイドル人気とが両立した、稀有な季節に描かれた作品と言えるでしょう。アイデアそのものは、STEVE MARRIOTとRONNIE LANEのゴールデン・ソングライティング・コンビがドラッグだか酒だかをキメながらの馬鹿話の中でコックニーの伝承を歌にして遊んでいたのが、事の発端だとか。ブリティッシュ・トラッドからカントリー、ヴォードヴィルにまで意欲的に取り組んだイミディエイト時代、彼らのルーツが存分につまった後期SFの代表的傑作です!
廃盤、紙ジャケット仕様、2枚組、K2HD HQCD、デジタル・リマスター、モノ/ステレオ両ヴァージョン収録、ボーナス紙ジャケ付き、定価3333+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
1枚は傷あり
68年発表のトム・ニューマン率いるジュライの1stアルバム。トム・ニューマンと言えばマイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」のプロデューサーとして有名な、初期Virginレーベルを支えた奇才。そんな彼が輝かしいキャリアをスタートさせたのが本作です。「独自のサウンドを確立するために山にこもって修行していた」なんてライナーに書いてありますが、それも嘘ではなさそうな、「音」にたいする偏執狂ぶりが存分に堪能できるアングラ・サイケ・ポップ。テープ逆回転、タブラ、シタールによるだら〜んとした雰囲気と、バンドによるハイな演奏の混ざり具合が絶妙の一枚。ぶっ飛びますLP。
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