2025年2月27日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
最近のリイシューで個人的に嬉しかった一枚が、ニッチなブリティッシュ・ロック・バンドDARKのアーカイブ音源集『IN THE SKY』。
ここ数年間にわたりLPでシリーズとしてリリースされてきたDARKのアーカイヴ音源からの待望のCD化となります。
LPには収録されてない骨太な未発表ジャム・セッションが聴けたのも感激でした。
というわけで、今回は「アンダーグラウンド・ブリティッシュ・ロック」をテーマに探求してまいりたいと思います♪
それでは件のDARKからスタート!
ブリティッシュ・ロックの隠れ名盤と言える唯一作『Round The Edge』を残したバンドのアーカイブ音源集。
唯一作で聴けた、これぞアングラ・ブリティッシュな無骨さと叙情性が絶妙にバランスしたサウンドに再び出会うことができ、思わず感動。
24分に及ぶ熱いジャム・セッションも聴きモノ!
そのDARKのギター/ヴォーカルMartin Weaverが率いた幻の英ハード・ロック・トリオ。
スピーカーが割れんばかりの轟音ファズ・ギターが炸裂する、圧巻の発掘音源集!
ここからは上のDARKをリイシューしたレーベルSEELIE COURTからの24年リリースおすすめ作品をいくつか見ていきましょう!
幻の英プログレ・バンドによるお蔵入りとなった73年録音が24年発掘リリース!
初期YES、JETHRO TULL、CARAVAN、COLOSSEUMからの影響を練り合わせたような10分超のナンバーが並びます。
こんな良質なバンドが当時アルバムを残せなかったとは。
イギリスはノーサンプトン出身のマイナー・バンドによる、未発表に終わった74年レコーディングを収録した24年リリース作。
21分とEPのボリュームながら、コロシアムにも匹敵するかなりのブラス・ジャズ・ロックを聴かせていて驚き!
幻の英プログレ/ハード・ロック・バンド、72年に録音されながらも半世紀のあいだ日の目を見なかった音源。
全25分という短さながら、ヘヴィにもリリカルにも自在なプレイを聴かせるオルガンと、ある種のカリスマ性すら感じる稀有な存在感を持ったヴォーカルは特筆!
チェロキー族の酋長の娘という出自を持つ女性SSW。
アメリカのアーティストですが、渡英して英国のバンドと一緒にレコーディングした76年の未発表音源集。
注目は何と言っても彼女のヴォーカルで、ブルージーな渋みの中に女性らしい艶やかさも感じさせる歌唱があまりにカッコいいです。
英レーベルAUDIO ARCHIVESも、アンダーグラウンドな70年代ロック好盤を多数リイシューしています。オススメ盤をご紹介☆
BLACK SABBATHやJUDAS PRIESTと同じくバーミンガム出身のアンダーグラウンド・ハード・グループ。
73年に録音されながらお蔵入りとなった発掘音源。ヘヴィなリフとツイン・ギターの様式美。カッコ良い!
ジェファーソン・エアプレイン × イエス ÷ 英国田園風景って感じ!?
プログレ・ハードのダイナミズムとフォーキーな牧歌性が同居した英国の超絶マイナー・プログレ、71年唯一作!
このサウンド…!
英サイケJULYからサイケ・ポップ的煌びやかさをなくしてダウナーにした感じ!?
アンダーグラウンド臭がぷんぷん香る幻の73年作。
ずばり「粗野なルネッサンス」!?
生々しく躍動するギター、前のめり気味なドラムと格調高いピアノやオーボエ、アニー・ハズラムを思わせる美麗女性ヴォーカルの対比が新鮮だなあ。
幻の英国72年作!
英国アンダーグラウンド・ロックの重鎮と言えばこちらのグループ!
ヒプノシスってたまに滅茶苦茶どぎついデザインのがありますが、このジャケはその最たるものではないでしょうか・・・。
内容はバラエティ豊かだけどダルダルなヴォーカルや引きずるようなリズムが相変わらずフリーキーな、英国アンダーグラウンドの醍醐味溢れる一枚!
上のエドガー・ブロートン・バンドと同様に名の通ったグループですが、音はなかなかのアンダーグラウンドっぷり。
ジャジーなアンサンブルを軸にハード・ロックやサイケのエッセンスを詰め込んだ実に70年英国らしいサウンドを展開します。
ジャケットも良いなぁ
THE GUN~T2で活躍したドラマーと言えば…Peter Duntonですが、彼がそれ以前に在籍したサイケ・グループは知ってるかな?
ホース繋がりってわけじゃないけど、WARHORSEあたりがお好きなら是非!
ゴリゴリと疾走するギターリフに引きづられ、リズム隊が汗飛び散らせながら畳みかける展開に「きたきたきたー」と拳を握り締め、直球リフ後の「決め」のパートの格好良さに思わずガッツポーズ!
いかがでしたか?
気になる一枚が見つかれば幸いです!
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自主制作された作品やマイナーなレーベルからひっそりとリリースされた作品。そんな作品たちの中にもメジャー・クオリティな作品がゴロゴロ眠っているのが我らが英国ロックの深い森。VertigoやHarvestの人気作を聴き終えた後には、ドワーフでも出てきそうな森の奥の奥の方へと進んでみてはいかが?
後にATOMIC ROOSTER〜IBIS〜STARSで活躍するドラマーRic Parnell在籍のブリティッシュ・ハード・ロック・グループ、70年にRCAからリリースされた唯一の作品。ごりごりと押しまくるギターリフに引きづられ、ベース、ドラムが汗飛び散らせながらたたみかける展開に「きたきたきたー」と拳を握り締め、直球リフ後の「決め」のパートの格好良さに思わずガッツポーズ。リズムチェンジや泣きのリードなどでのタメが非常に巧みで、スピーディーなパートが一層引き立ちます。野太さの中に英国然とした叙情を秘めたヴォーカルも最高です。WARHORSEあたりのブルージーでアングラ感のあるハード・ロック好きは必聴!
BLACK SABBATHやJUDAS PRIESTと同じくバーミンガム出身のアンダーグラウンド・ハード・グループ。73年に録音されながらお蔵入りとなった発掘音源。沈み込むようにヘヴィなリフを軸に、ツイン・ギターの様式美が溢れるキメのパートを織り交ぜた、奥ゆかしくもドラマティックなアンサンブルが持ち味。
バタード・オーナメンツを従えて69年にアルバムをリリースした後、自身のグループとして結成したグループがPIBLOKTO !。70年作の2nd。従来の混沌としたジャズ・ロックにエネルギッシュなハード・ロック的要素が加わり、表現の幅が格段にアップ。まるで当時のライヴ・ハウスに紛れ込んだかのような、はちきれんばかりの音圧が圧倒的です。当時の英国アンダーグラウンドシーンを総括したようなスケールの大きい傑作。
直輸入盤(帯・解説付仕様)、ボーナス・トラック2曲、定価記載なし
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、軽微なカビあり、ケースツメ跡あり
ロンドン東部に位置するダグナム出身のグループ、71年の唯一作で、原盤は極小数枚がプレスされたのみの激レア盤。男女ツイン・ヴォーカルで、曲によってリードを分け合うスタイルで、ツイン・ギターとリズム隊による6人組。粒立ちの良いトーンで音数多く畳み掛けるドライヴ感抜群のギター、ゴリゴリと疾走するベースとパワフルに叩きまくるドラムによる強靭なリズム隊は、ザ・フーは初期イエスを彷彿させますが、女性ヴォーカル、男性ヴォーカルともにフォーキーといいますかドリーミーで陰影たっぷりで、そのコントラストがこのバンドのオリジナリティ。クラシック・ギターの素養とともに、サイケやフォークやジャズのエッセンスを散りばめたようなギタリストはかなりユニークなフレーズを連発していて、チェコあたりのテクニカルなギタリストも彷彿させます。ツイン・ギターのリードも特筆。ジェファーソン・エアプレインとイエスを掛けあわせて、英国田園風景で割ったような何とも個性的なマイナープログレ快作です。
この後DARKで活動するギター/ヴォーカルMartin Weaverが率いた幻の英ハード・ロック・トリオが、71年から72年にかけて録音した音源を集めた編集盤。ヘヴィに歪んだリフ、ファズ・ギターによるリードプレイで終始押しまくる豪快なハード・ロック。2トラック一発録りによるサウンドは決して良くはありませんが、目の前で演奏しているような生々さがよく出ており、この手のバンドのサウンドとしては逆にいい雰囲気を醸し出しています。すべての音がひとつの塊としてまとまることで、バンドのパワフルな側面が大増幅されたようなサウンドは圧巻の一言です。
英国出身、ドイツを拠点として活動していたサイケポップ・グループの未発表音源集。PLEASEの前身として知られるグループで、解散後リーダーのPETER DUNTONはPLEASE、GUN、T2と英国の重要グループを渡り歩くことになります。PLEASEと同傾向のアンダーグラウンド感満載のサイケデリック・サウンドながら、ドイツでの活動ということもあり、幻想的な雰囲気と共にどんよりとした暗欝さが全編で漂っているのが特徴。シリアスで憂いを含んだヴォーカル、引きずるようなリズム隊、叙情的な旋律を奏でるオルガン、暗いリフを刻むギターによるアンサンブルが、聴き手をトワイライトゾーンへと誘います。PLEASEへと引き継がれる哀愁のメロディも全編で楽しめます。GUN周辺アイテムとして重要な一枚、おすすめです。
Harvestレーベルより71年にリリースされた3rd。インパクトあるジャケットは、ヒプノシス。アコースティック・ギターのバッキングを基調としながら、引きずるようなリズムとフリーキーなエレクトリック・ギター、エドガー・ブロートンのダルダルなヴォーカルがなんとも言えない「けだるさ」を感じさせるグループ。フィドル、弦楽器、管楽器などのブルージーなアンサンブルも魅力的。
70年代はじめにイギリスで活動していたツインギター編成の5人組ヘヴィ・サイケ・バンド。73年に録音されながらお蔵入りとなった幻の作品。ゆったりと沈み込むように鳴らされるリズム・ギター、ファズをたっぷりにフリーキーに垂れ流されるリード・ギター、気だるいヴォーカルとメランコリックなメロディ。時折、レッド・ツェッペリンのオリエンタルな曲を彷彿させるリズムのキメも飛び出し印象的。英サイケJULYからサイケ・ポップ感をなくしてダウナーにした感じのアンダーグラウンド臭ぷんぷんのサウンドが特徴です。でも、時々、素っ頓狂だったり牧歌的だったり、愛嬌もある感じの愛すべき好盤です。
ずばり「粗野なルネッサンス」!?原盤はメガレアとして知られる幻の72年英国プライベート・プレス作品!何と言ってもアニー・ハズラムを思わせる女性ヴォーカリストの美声が特筆。生生しいトーンで縦横無尽に躍動するギターや前のめり気味のドラムは「いかにも一発録り」というガレージ・チックな雰囲気ながら、そこに気品あるピアノや伸びやかな女性ヴォーカル、さらにオーボエやフルートといった管楽器が加わると、一気にルネッサンスを思わせる荘厳で神秘的な音空間に。その一方でレイト60’sの残り香たっぷりのオルガンをフィーチャーしたサイケ・パートあり、ピアノやギターやリズム隊が流麗でジャジーに絡み合うパートありと、振り幅の大きい自由奔放さも魅力的です。英サイケや知られざるブリティッシュ・ロックのファンは要チェックの逸品!
幻のブリティッシュ・プログレ/ハード・ロック・バンド、72年に録音されながらも半世紀のあいだ日の目を見なかった作品。そのサウンドは、ダークで重厚感たっぷりのオルガン・ハード・ロック。注目はヘヴィにもリリカルにも自在なプレイを聴かせるオルガンと、ある種のカリスマ性すら感じる稀有な存在感を持ったヴォーカル。特にヴォーカルは、よく通る力強いハイトーンが素晴らしいです。ズシッと重いリズム・セクション、サイケデリックなテイストを纏ったソリッドなギターもナイスです。25分という短さが残念ですが、これは当時フルアルバムでリリースされていれば、きっと今でも名を残していたであろうクオリティ。70年代アンダーグラウンド・ブリティッシュ・ロックの深みを実感させる一枚!
70年結成の5人組ブリティッシュ・プログレ・バンド、73年にレコーディングされるもお蔵入りとなった音源の24年発掘リリース。ピーター・バンクスっぽい疾走感あるギターワーク、リリカルで哀愁のあるフルート、メロディアスなサックス、キラキラしたピアノ、そして英国然とした奥ゆかしいヴォーカル。スピード感あるジャズ・ロック的アンサンブルを軸にポップなセンスも織り交ぜたサウンドは、初期YES、JETHRO TULL、CARAVAN、COLOSSEUMなどからの影響を練り合わせたような感じで、かなりの完成度です。5曲中10〜15分が4曲と大作を得意としているようで、実際に構築的で起伏に富んだ展開が魅力です。こんな良質なバンドが当時アルバムを残せなかったとは。好盤です。
イギリスはノーサンプトン出身バンドが、74年にスタジオ録音するも未発表に終わった音源を収録した24年リリース作。全6曲21分とEPのヴォリュームなのが惜しいですが、サウンドは抜群。少しシアトリカルな表現力も含む存在感あるハイトーン・ヴォーカルがまず耳を奪い、ブルージーで骨太なギターと、タイトに畳みかけるリズム・セクションがスリリングに疾走します。さらにギター以上に饒舌なサックスが活躍するのが特徴で、アンサンブルに熱量と洒脱なジャズ・テイストを注入。コロシアムにも匹敵するブラス入りジャズ・ロック/プログレを聴かせていて驚きです。これは掘り出し物!
72年リリースの唯一作『Round The Edge』で知られるブリティッシュ・ロック・バンド。22年にLPにてリリースされたアーカイブ・シリーズの中の『Catalogue Raisonne – Volume VI』と同内容+αを収録した24年CD化作品。71年と75年のスタジオ録音&ライヴ録音10曲を収録。唯一作で聴けた、これぞアンダーグラウンド・ブリティッシュな無骨さと叙情性が絶妙にバランスしたサウンドに再び出会うことができ、思わず感動を覚えます。ソリッドに刻むリズム・セクションとエッジの立った切れ味鋭いギターが疾走し、そこにヴォーカルがいかにも英国的な陰影を帯びた歌声を乗せる、相変わらず英ロック好きには堪らないサウンド。総じて音質は良くないものの、楽曲および演奏のクオリティはさすがで唯一作の続きを聴いているような気分にさせてくれます。さらにこのCD版にのみ収録されているのが、24分に及ぶ75年ジャム・セッション音源。終始にわたり骨太でグルーヴィな聴き応え抜群のパフォーマンスが最高で、音質もクリア。成熟したバンドの演奏力の高さと冴えわたるフレーズセンスを堪能することができます。当時一枚を残すにとどまった実力派バンドによる嬉しいアーカイブ曲集です。
ヴァージニア州ノーフォーク出身、チェロキー族の酋長の娘というバックボーンを持つ女性SSW。各国を放浪した末に行き着いた英リヴァプールを拠点に音楽活動を展開した彼女による、76年録音の未発表スタジオ音源。前半にMAD DOGSをバックバンドとしてフィーチャした楽曲を、後半にはAXEがバックを務めた楽曲を収録しています。注目は何と言ってもJean Turkのヴォーカルで、ブルージーな渋みの中に女性らしい艶やかさも感じさせる歌唱があまりにカッコいいです。彼女のヴォーカルを支えるようにいぶし銀のブルース・ロックを聴かせるバックバンド然としたMAD DOGS、派手なサックスも登場するなどよりダイナミックな演奏を聴かせ彼女のヴォーカルも含めてのバンド感があるAXEと、前半後半で演奏陣の入れ替わりによってテイストが異なってくるのも面白いところです。それにしてもこのヴォーカルはブルージーな女性シンガー好きには是非聴いてもらいたい!
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