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【ユーロ・レーベル探求 第十回】RICORDIレーベル~大物の宝庫、DISCHI RICORDI

【第十回】「大物の宝庫、DISCHI RICORDI」

寄稿:ike333さん

 1987年春、大学院の友人とイタリア旅行していたときです。バッグパッカー状態であったためレコード買い漁りはできませんでしたが、時々、レコード屋を覗いていました。フィレンツェの駅近くのレコード屋に立ち寄ったとき、最高のイタリアンロックは何かと聞いたら、Gianna Nanniniのアルバムを紹介してくれました。それまで、私は彼女の音楽は知りませんでしたので、嗄れた女性ロッカーの音楽には結構驚きました。そして、RICORDIから出ているのに気づき感動したのですが、こんなことで感動するとは、結構間抜けな話ですよね。

でも、当時は、プログレもユーロも事実上駆逐されており、GENESISもピーガブにもBEST HIT USA (TV)でお目にかかるような時代。私にとって久々に見たRICORDIだったからです。DISCHI RICORDIは、50年代から90年代までビジネスをしていたイタリア大手レコード会社で、BANCO DEL MUTUO SOCCORSO、L. Battisti、F. De Andre、F. Battiatoなど錚々たる大物のレコードを出していました。国内では、キングレコードが日本盤を出してくれたので、私の様な世代の人間にとってもその音楽を聴くことができたのです。

以下、NUMERO UNOの回で記述したBattisti等を除き、主なミュージシャンについて簡単に書きます。

BANCO DEL MUTUO SOCCORSO

正確無比なKeyのNocenzi兄弟、巨漢なのに優しげな歌声のFrancesco Di Giacomoらで構成するBMSはイタリアンプログレの宝ですよね。攻撃的かつ感動的な音楽が展開するデビュー盤『BANCO DEL MUTUO SOCCORSO』(1972)、’「L’EVOLUZIONE」、「750000ANNI FA..L’AMORE」等ドラマチックな名曲ばかりのコンセプトアルバム『DARWIN!』(1973)、少しアコースティックになりながらも同様に素晴らしい3作目『IO SONO NATO LIBERO』(1973)の初期3作はみな大傑作、高校当時、キングレコードによる日本盤のおかげでしっかり聴くことができました。

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この後MANTICOREレーベルから『Banco』(1975)で世界デビューしますが英語の歌には少し違和感あります。同じくMANTICOREから出たダイナミックな大傑作『COME IN UN’ULTIMA CENA』(1976)等の後、インストアルバムの『…DI TERRA』(1978)でRICORDIに戻り、穏やかで美しい『CANTO DI PRIMAVERA』(1979)、時代を反映して名曲群がポップな演奏となったライブ『CAPOLINEA』(1980)をリリース。その後、CBSに移籍しています。


EQUIPE 84

60年代から活躍していたビートバンドだったらしいですが、PFMのF.Di Cioccio (ds)が在籍した時期のアルバム『ID』(1970)は、ビートルズ的なポップさも感じられる伊語の歌に、メロトロンやチェンバロといったKeyがしっかりと活躍しており、イタリアンプログレ・アルバムとしてなかなか魅力的です。

その後DeCioccioは脱退しますが、RICORDIに計4作程度残して別レーベル移籍し、ポップなJIKILL SIDEとSAX、女性コーラスなど導入して変化をもたせたHYDE SIDEという構成の『DR.JIKILL E MR.HYDE』(1973)、演奏面にウェイトを置いたプログレ然とした好盤『SACRIFICO』(1974)を発表することとなります。

I DIK DIK

ラブロックバンドである彼らも1972年に発表した『SUITE PER UNA DONNA ASSOLUTAMENTE RELAIVA』は、プログレ寄りになっており、メロトロン、ストリングス系キーボードなどを多用したシンフォニックな好盤です。変形ジャケの次作『STORIE E CONFESSIONE』(1973)では、オーケストラバックのメロディアスな歌ものに戻っています。


HUNKA MUNKA

DIK DIKにも瞬間参加していたRoberto Carlotto(Key)が変名でソロアルバム『DEDICATO A GIOVANNA G』(1972)を発表しています。楽曲がよく、プログレ・ポップといった感じで、時々APHRODITE’S CHILDの『IT’S FIVE O’CLOCK』あたりを連想させられるアルバムとなっています。

REALE ACCADEMIA DI MUSICA

72年作『REALE ACCADEMIA DI MUSICA』は、素朴で牧歌的な歌と、オルガンなどがシンフォニックに響く楽曲も魅力的なプログレがほどよくミックスされたなかなかの好盤です。1974年にはSSWのADRIANO MONTEDUROとの共作をRCAからリリースしていますが、こちらも暖かみのあるメロディアスなアルバムとなっています。

MUSEO ROSENBACH

脅迫的に迫り来るイタリアンロックにおけるヘビー・シンフォの大傑作アルバム『ZARATHUSTRA』(1973)は超有名ですよね。本作のみで解散し、Giancarrlo Golzi (ds)は、MATIA BAZARの中核メンバーとして活動、また、2000年にMUSEO名義で『ZARATHUSTRA』の香りをそれなりに残しつつMATIA風に洗練された『EXIT』というアルバムを発表しました。一方、説得力のある歌声を聴かせてくれたStefano Galifi(vo)は、最近、IL TEMPO DELLA CLESSIDREという新人バンドに参加して歌っています(彼らのビデオを見たらZARATHUSTRAを演奏してました。)。

CERVELLO

OSANNAのD.Rustichiの弟C.Rustichi (vo.g)率いるバンドの唯一作『MELOS』(1973)は、ギリシャ神話メロスを題材に驚異的な展開をする傑作アルバムです。OSANNAよりも異次元を彷徨っていて、北欧のTRETTIOARIGA KRIGETあたりにも近い感触もあります。

Gianna Nannini

イタリアが誇る女性ロッカーの彼女は、76年のデビューから90年代までRICORDIからアルバムを出し続けました。2作目『UNA DADURA』(1977)は、まだロックではなくカンタウトリーチェ的アルバム。メロディなどなかなか良く、またPFMのF.Di Cioccio(ds)、F.Premoli (key)、P.Djivas (b)らがバックを努めていることもあり、演奏では時々『JET LAG』時のPFMの音色も聞こえてきます。

Fabrizio De Andre

ジェノバ出身のSSWの大御所。多数のアルバムをRICORDIから出しています。プログレ面では、PFMがバックを努めたライブ『IN CONCERTO (vol.1&2)』(1979)が有名ですね。私は当時PFMのライブだと思って買ってしまって、ちょっと勝手が違っていたので驚きました。今聴くとなかなか良いライブです。その他、地中海的アルバム『CREUZA DE MA』(1984)も有名で、これにはM.Pagani (ex-PFM)が参加しています。


Franco Battiato

異才の音楽家の彼はBLA BLAレーベルからアルバムデビューし、シンセサイザーなどを上手く活用したプログレ作品群『FETUS』(1971)、『POLLUTION』(1972)、『SULLE CORDE DI ARIES』(1973)等が同レーベルから出ています。

一方、字余りで淡々と歌いながらも、ちょっとねじれたポップス全開で繰り広げるアルバムをEMIから多数出していて、鳥肌ものの傑作『FISIOGNOMICA』(1988)の半端でない美しさ、ダンサブルでビートのきいた屈折系ポップスで始まる傑作『L’IMBOSCADA』(1996)、パンチの効いたバッティアート節名曲が連なる『FERRO BATTUTO』(2001)など名盤もたくさんあります。

その狭間の期間に、研ぎ澄まされた現代音楽・前衛音楽のアルバム『BATTIATO』(1977)、『JUKE BOX』(1978)をRICORDIからリリースしていますが、なぜ、この期間だけRICORDIからこのような音楽を発表していて、その直後になぜEMIに移籍して『L’ERA DEL CINGHIALE BIANCO』(1979)というポップ全開となったのか、私にとってはとても謎です。


この他RICORDIのアルバムとしては、後期GOBLINのメンバーとなるW. Martino(ds)が在籍したLIBRAの『Musica & Parole』(1975) 、ブラスが活躍するROCKY’S FILJの『STORIE DI UONIMI E NON』(1973)、セルビアのバンドKORNELYANSの『NOT AN ORDINARY LIFE』(1974)など、楽曲が素晴らしく、なかなか捨てがたいものがあります。



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大御所&実力派イタリアン・バンドの宝庫、RICORDIレーベル!

大御所&実力派イタリアン・バンドの宝庫、RICORDIレーベル!

BANCO DEL MUTUO SOCCORSO

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名実共に伊ロックを代表するバンド、荒々しいハード・ロックと伸びやかなヴォーカル・パートとの対比が魅力だった前作から、より構築性を重視した作風を聴かせる73年2nd。テクニカルなキーボードによる緊張感みなぎるサウンドは、EL&Pにバロックな重厚さを加えたかのようです。

EQUIPE 84

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70年作より。ポップなメロディーの歌物にプログレ的な多彩さを持つキーボード・アレンジを施したサウンドが特徴で、アコースティカルで牧歌的な味わいの曲調とたおやかなイタリア語ヴォーカルとが絶妙にマッチした一品です。

I DIK DIK

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72年作より。ラヴ・ロック・バンドらしいロマンティックなメロディーを持つ楽曲を、キーボードを中心としたシンフォニックな演奏が優しく包み込む一曲。プログレ・ファンの心をつかむ演奏の美しさが全編を彩ります。

HUNKA MUNKA

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DIK DIKに参加したKey奏者によるソロ72年作。ポップで牧歌的、ノリの良い楽曲も含んだ伊鍵盤ポップスを中心に展開しますが、本曲はシンフォニックに高揚していくシンセとドラマティックなメロディーラインが何とも素晴らしいプログレ・ファンも納得の一曲に仕上がっています。

REALE ACCADEMIA DI MUSICA

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72年作より。メロディアスに泣く太いギターとクラシカルなキーボードを主軸に展開するセンチメンタルなシンフォニック・プログレ。静謐なシーンでの繊細な表現力は実に素晴らしいもので有名所に迫る実力を持ちます。それと同時にイタリアらしいダイナミズムも堪能できるなかなかの秀作。

MUSEO ROSENBACH

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伊ヘヴィー・シンフォを代表するバンドによる73年作。メロトロン噴き出すダイナミックなシンフォ・パートとゴリゴリと突き進むハード・ロック・パートによって展開される荒々しくも美しい傑作組曲です。20分の長丁場を破綻なく聴かせる構築性にも唸らされます。傑作!

CERVELLO

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OSANNAのダニーロの弟コラードが参加する伊ヘヴィー・シンフォの一角を担うバンドによる73年唯一作。ギリシア神話をモチーフに神秘性とヴァイオレンスを圧倒的な振り幅で行き来する驚異の音世界を披露。ギリシア神話の妖艶な世界観を巧みに描き出した一枚です。

GIANNA NANNINI

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76年にデビューし、現在も第一線で活動するイタリア随一の女性ロック・シンガー。77年作より。独特の掠れた歌声によるパワフルな歌唱が特徴的です。また本作ではP.F.M.のメンバーがバックを務めている点で、演奏面でも聴き所の多い一枚。

FABRIZIO DE ANDRE

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LUCIO BATTISTIと並び、イタリアを代表するカンタゥトーレ、79年のライヴ作。目玉はやはりP.F.M.がバックを担当している点で、いかにもイタリアらしい瑞々しい感性に彩られた演奏に、DE ANDREの表情豊かな歌唱が映える名ライヴ作。

FRANCO BATTIATO

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イタリアン・ロック・シーンの奇才と言えばやはりこの人。シンセを中心としたプログレ的アプローチからねじれたセンスのポップス、前衛音楽的な作風までを披露してきた才人。ピアノがただ静謐に打ち鳴らされる77年作収録の本曲も、彼独自の美意識が貫かれています。

関連カテゴリー

RICORDIレーベル 在庫一覧

  • BANCO / DARWIN !

    72年2nd、爆発的にエネルギッシュ!イタリアン・ロック必殺の傑作!

    Vittorio Nocenzi、Gianni Nocenziを中心に結成され、Francesco Di Giacomoの迫力のある歌声とツイン・キーボードのアンサンブルを個性にイタリアを代表するプログレッシブ・ロックグループへと飛躍。シーンに衝撃を与えP.F.M.に続いて世界デビューを果たしたバンドの72年2nd。前作のハードな音楽性とテンションはさらに高められ、前作以上に複雑に構築された楽曲がカオティックに進行していきます。核となるピアノ、オルガンといったキーボード群に加えてモーグ・シンセサイザーが大幅に存在感を示すようになり、イタリアのほの暗い陰影をドラマティックに演出。セクションによってはアヴァンギャルドとすら言えるほどの攻撃性が凄まじい名盤です。

  • BANCO / IO SONO NATO LIBERO

    これまで以上にイタリアらしい芸術的な感性が発揮された73年発表の3rd

    Vittorio Nocenzi、Gianni Nocenziを中心に結成され、Francesco Di Giacomoの迫力のある歌声とツイン・キーボードのアンサンブルを個性にイタリアを代表するプログレッシブ・ロックグループへと飛躍。シーンに衝撃を与えP.F.M.に続いて世界デビューを果たしたバンドの73年3rd。その内容は、前作で爆発的なテンションを聴かせた攻撃性、アヴァンギャルドなサウンドをオリジナリティーに落とし込み、クラシカルな気品を持ったシンフォニック・ロックにまとめた名盤です。勢いで押し続けるような作風からバランスの取れたトータルなサウンドへの移行が見受けられ全体的にスッキリした印象を持ちますが、それによってへヴィーなセクションと静寂に包まれるセクションの対比が明確に描かれています。

  • REALE ACCADEMIA DI MUSICA / REALE ACCADEMIA DI MUSICA

    キーボード・サウンドを中心に据えたメロディアスなイタリアン・プログレの逸品、72年作

    キーボーディストFederico Troianiを中心に結成され、カンタトゥーレAdriano Monteduroとのジョイントでも知られるイタリアの叙情派シンフォニック・ロックグループの72年作。その内容は、ファンタジックでフォーキーな雰囲気からへヴィ・シンフォニックなサウンド、ブルース・フィーリングやジャジーなアンサンブルまで幅広く聴かせるものですが、共通しているのは哀愁のボーカルが紡ぐメロディーと全体を覆う繊細な肌触り。特にそのメロディーは胸を打つ旋律を量産するイタリアン・ロックシーンの中でも高水準なものであり、バンドのカラーを決定付けていると言えるでしょう。郷愁を誘うメロトロンも導入され、楽曲を緩やかに、シンフォニックに盛り上げます。

  • I DIK DIK / SUITE PER UNA DONNA ASSOLUTAMENTE RELATIVA

    イタリアン・シンフォ、叙情的かつファンタスティックなアンサンブルが絶品な72年作!

    60年代からメインストリームで活躍したポップ・バンドがプログレッシヴ・ムーヴメントの波を受けて制作した作品。72年作。彼らの持ち味である親しみやすいメロディーはそのままに、メロトロン、弦楽器、キーボードが次々に叙情的なアンサンブルを奏でるサウンドがファンタスティックな一枚。展開も素晴らしく、ドラマティックな構成美は圧巻の一言です。メロディー、演奏が高次元でかみ合ったイタリアン・シンフォニック・ロックの傑作。

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