2022年5月14日 | カテゴリー:どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ 市川哲史,ライターコラム
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(第41回『まずは、さよならキング・クリムゾン。』の巻、からの)
ロバート・フリップ51年のキング・クリムゾン人生において、この米国~日本ツアー閉幕は〈終わること〉を初めて観客と共有できた、幸福な機会だったと思うのだ。
大成功の米国ツアー閉幕と同時に二人脱走したり、一人孤立したままツアー廻ったり、リズム隊の轟音に耐えられなくて解散したり、ネタ切れで大所帯を維持できなかったり、愛弟子に愛想つかされ相棒に図に乗られたり、よく考えてみるとクリムゾンはどのラインナップも、フリップにとって後味悪い結末を繰り返してきた。あっけなく。
だけど今回ばかりは違う。最後の最後でフリップ卿は皆に見守られつつ、大風呂敷をたたむことができたのだから。そして、いつも突然のカットアウトで消息を絶っては忘れた頃にあっけらかんと蘇えるクリムゾンに、性懲りもなく付き合い続けてきた我々も、やっと成仏できる機会を得られたのである。たぶん。
だから今回ばかりはひとまず音楽至上主義は置いといて、51年目の大団円を見届ければいい。既にトレーラーが公開中のドキュメント映画『IN THE COURT OF CRIMSON KING : KING CRIMSON AT 50』はやはり公開が待ち遠しいし、ハリスンが言い出しっぺの「新作」レコーディングがやがてカタチになるーーかもしれない。膨大なアーカイヴ音源のコンパイル&リリースだって、たぶんこれまで以上に頻発するだろう。
そういう意味での〈後始末〉は無限に続くけれど、まずはキング・クリムゾン完結を素直に祝福したい私なのだ。
すべては美しい想い出に。とりあえず。
全世界全世代問わず、とにかく我々は2020年から虚無で無為な時間を過ごしてきた。特に高齢男子はただでさえ、年齢を重ねれば重ねるほど短気でダウナーな精神状態に陥りがちなはずだが、フリップ翁はあの圧倒的な徒労感に挫けることなく、世界最速で海外ツアーを敢行した。Go To トラベルの5億倍は人類に貢献しちゃったのではないか。
しかしあれだけ神経質で実は内向的な性分なのに、挫けるどころかキング・クリムゾンを堂々稼働させたのだか、本当に偉いと思う。にしてもなぜ、ドーセット出身の後期高齢者はポジティヴでいられたのだろう。あのコロナ禍にもめげず。
そのコロナ禍による圧倒的なストレスと得体の知れぬネガティヴィティーに苛まれ続けた日本人にとっては、《藤井聡太19歳》が稀少な明るい話題のひとつだった。
2020年7月・棋聖奪取で史上最年少タイトル獲得記録を30年ぶりに更新獲得(17歳)⇒8月・王位奪取で史上最年少の二冠王&最年少八段昇進(18歳)⇒2021年7月・棋聖防衛が最年少初防衛記録と、通算3期タイトル獲得で九段昇進⇒8月・王位防衛(19歳)⇒9月・叡王獲得で史上10人目の三冠王を最年少達成⇒11月・竜王獲得で史上6人目の四冠王を最年少達成⇒2022年2月王将獲得で史上4人目の五冠王を最年少達成。この間、銀河戦と朝日杯でも優勝。前人未到の5年連続年間勝率8割以上、いまなお継続中。
すごいすごい。
すると、シャッター商店街の危機に瀕する地元・愛知県瀬戸市が乗っかるのはまだしも、常軌を逸したお祭りモードではしゃぐ新聞・TV・ネットなど各種メディアが、痛い。
あの老舗スポーツ誌『Number』なんか、「将棋はスポーツだ!」と強弁し、2020年9月に藤井くん表紙の創刊40年目にして初の将棋特集号にしてしまった。すると前年一売れたラグビーワールドカップ日本大会総決算号を超える初版17万部が完売――わずか一週間で増刷ときた。私の『どうしてプログレを好きになってしまったんだろう』なんか、発売18ヶ月後にようやく増刷だったのに。くそ。
翌2021年も今年2022年も、1月発売は藤井くん表紙の将棋号に。そして一年間で最も観る者を昂奮させて輝いたアスリートに同誌が贈る《ナンバーMVP賞》を、2020年は藤井くんが受賞してしまったのだ。ちなみに2000年以降の歴代受賞者を並べれば、高橋尚子⇒イチロー⇒稲本潤一⇒松井秀喜⇒北島康介⇒武豊⇒王貞治監督とWBC日本代表⇒中村俊輔⇒上野由岐子⇒原辰徳⇒本田圭佑⇒澤穂希⇒内村航平⇒上原浩治⇒羽生結弦⇒ラグビー日本代表⇒大谷翔平⇒桐生祥秀⇒大坂なおみ⇒ラグビー日本代表。
んで⇒藤井聡太。いいなあこの居心地の悪さ。
日本将棋連盟は我が国の将棋人口を「小中学生急増でいまや1,200万人」とアナウンスするが、はたして日本人の10人に一人が将棋を指せるのか、ちっとも実感が涌かない。私だってもう40年近く指してないもの。
だから彼の超人的な無双っぷりが「偉業」であることは認知できても、その凄みや天才性は野球やフィギュアやサッカーみたいに「一目瞭然」じゃないから、素人には全っ然伝わらない。理解できない。共有できない。ものすごい名勝負が次々と誕生してるのに、盤面見ても棋譜見てもちんぷんかんぷんでリアリティー皆無ときた。
それでもメディアはどうにかして、将棋を指せないひとびとにも魅力的に伝えなければならない。だってこの御時世にポジティヴな衆目を集めてくれる、貴重な貴重な貴重な藤井ブームなんだもん。
するとーーいわく「〈7回終了時点で敗色濃厚の10点差を大逆転〉したような一局」とか、いわく「〈ゴールキーパーが相手ゴール前まで突撃して奇襲〉した指し手」とか、結局「おなじみ」の野球やサッカーにざっくり喩えて伝えるしかないわけだ。
とはいえ、比喩ネタはすぐに底を突いてしまった。じゃあ、「将棋の知識を一切必要としない」場外ネタに活路を見い出すのみである。
はい。彼が対局中に摂った食事、通称〈将棋メシ〉を詳細レポートする的なバラエティー路線に、猫も杓子も走った。はたして弟子が何を食べるのか師匠の杉本昌隆八段に毎回予想させ、〈師匠の予想が外れると弟子は勝つ〉なんて毒にも得にもならん法則をでっちあげて悦んでた某ワイドショー番組は、低能過ぎたが。
私がいちばん笑ったのは、初タイトル獲得直後で世間が最も盛り上がってた2020年7月の某スポーツ紙だった。この半年間の対局で藤井くんが食した全昼食メニュー32セット一覧を、《藤井棋聖 今年の勝ちメシメニューと勝敗(の因果関係)》として、料理写真付きで掲載。でその丼と麺類のセットや定食が目立つデータ内容は、豚肉12勝1敗・牛肉4勝0敗・鶏肉1勝2敗・ピリ辛5勝0敗・うどん5勝2敗・うどん以外の麵4勝0敗・ごはん26勝3敗・海老3勝0敗・海鮮1勝0敗。要するに、ピリ辛味の肉うどんをライスと一緒に食えば勝てるわけだ。ただし豚肉限定だけど。
しかもご丁寧に併載した「金髪の美人」管理栄養士の解説によると、〈豚肉とごはんを一緒に摂ると、エネルギー代謝がスムーズになることで疲労回復の効果があり、うどんとおかずのセットは糖をゆっくり吸収させてパフォーマンスの低下を防ぐので、長時間の集中力が必要な棋士として理に適った食事〉ときた。
だはははは。
東京と大阪の将棋会館での各種棋戦や予選時の昼食に多い、《藤井くんが好きな外食チェーン系メニュー》なんてのもあったよ。大阪王将なら1位〈魅惑の肉あんかけニラ玉炒飯〉2位〈覚醒のねぎあんかけ炒飯〉で共に650円、CoCo壱番屋なら〈野菜カレー〉745円。ちなみに私はごはん普通で3辛の野菜カレーを21年食べ続けてます。
よく読むと実は何の役にも立たない非生産的な統計と分析だからこそ、素晴らしい。
さすがに最近は、全国各地の高級旅館やホテルが対局会場の番勝負(=タイトル戦)が急増したこともあり、朝昼晩に選んだ高級ご当地グルメの献立やおやつの紹介に落ち着いた感は、ある。でもなお〈ぴろりんアイス〉やら〈コロコロしばちゃん〉やら〈紫芋モンブラン・ハロウィンモンスター・ヴァージョン〉やら、藤井くんが食べたおやつがことごとく売り上げ倍増売り切れ続出の人気商品になるわけで、メディアにおいては《観る将》《読む将》以上に、《食べ将》の衰えぬ需要は手っ取り早いのだ。変わらず。
にしても〈しあわせのたまごオムライス〉とか〈富士山キーマカレー〉とか、声に出してオーダーできますかあなた。
とにかく、将棋を指さない素人に藤井聡太の非常識な強さを伝えるのは、おそろしく困難を窮める。「常識」を知ってて初めて「非常識」のダイナミズムを体感できるのだから、その前提が成立しなければどうにもならない。だから最初の藤井くんフィーバー(←死語)の翌2021年まるで反動のように、MLBで一世紀以上ぶりに投打二刀流を成功させた大谷翔平に日本中が熱狂したのは、当然なのだ。野球のルールやベーブルースを知らなくても、ばったばったと三振獲って打球を遠くまで飛ばす姿は単純明快で、誰でもカタルシスを得られるもの。私は40年以上前からMLBおたくだけど、大谷現象はわかりやすすぎて、これはこれでちょっとつまらない。
初タイトルを獲得した2020年の第91期棋聖戦第2局で、藤井くんが42手目に指した【歩越しの金】こと5四金は、日本将棋連盟の中継サイトで高段者たちが口々に「でえぇぇぇーっ」と絶叫する規格外の一手だった。なぜ「規格外」なのか素人には当然、ちんぷんかんぷんである。しかしいくらなんでもこの衝撃ぐらいは、なんとか報道したい。
そこで各メディアがこぞって食いついたフレーズがこれだった。
《最新最強のAI将棋ソフトが6億手読んだ末にようやく「最善」と判断できる、まさに〈神の一手〉!!》
とりあえず威圧感はあります。要は、AIが4億手先まで読んでも最善手の候補すら選ばなかった5四金が、6億手先まで読んでようやく「最善手」と判定されたという話。ふーん。人間がAIに勝つことをなぜかやたら悦びたがる素人たちにとって、これほど心揺さぶられるフレーズがあるだろうか。以降彼が試合する度に、〈本日の神の手〉が連発されるようになった。お求めやすくなりました、神の手。
素人同然の私でも、藤井くんの強さの理由はなんとなくわかる。
谷川浩司十七世名人60歳によると、一つの局面における指し手の選択肢は平均80通り。棋士はその中から直観で90%以上を捨て3つから5つの候補手に絞り、それらをさらに深く掘り下げ比較検討してようやく、最終的に次の一手を決断するらしい。
プロ棋士でも読めるのはせいぜい十手先――ながら候補手がまず3つだとしたら、二手先は9通り、三手先は27通りと選択肢は増え続け、十手先だと6万手に枝分かれしてしまう。げろげろ。とても決断できませんわ。
そこで棋士には「細かい枝葉の部分は素早く刈り取って、どの道筋が最も太く真っ直ぐ伸びているかを見極める〈大局観〉」が必要となるわけだ。そして、自分の指し手候補の良し悪しの検討・選択を裏打ちするのが、各人が培ってきた知識と経験と情報と美学なんだろうと思う。たぶん。
一方、言うまでもなく演算能力に長けたAIは、最初の一手から何万通り何億通りの枝分かれを、極めて客観的にシミュレーションする。つまり常日頃からAIを活用して研究すればするほど、棋士はあらゆる局面におけるあらゆる〈最善手〉のデータを蓄積できる。ならば他の棋士よりデータ量が豊富な方が強いのは当然で、加えてその最善手を相手が意識すらしてない時点で「超客観的なAIだから気づくけど、人間は気づかない手」を指すことが、のちのち〈妙手〉もしくは〈神の手〉として最高評価されるわけだ。
藤井くんの場合は標準装備量が並外れて多いだけでなく、相手のみならず立会人や解説者の意表も突くタイミングで指せるんだから、そりゃ強い。たぶん。
しかも、過去の常識やセオリーや定跡や人間心理のやりとりに一切囚われず、「これが最善手だから」という超シンプルな理詰めで選択するのだから、百戦錬磨の実力者であればあるほど逆に対応できないとは皮肉な話じゃないか。
「ベテランになるほど指せない」「旧世代の常識は通用しない」「美学に反した手を見直さなければならないのか」という谷川先生の的確な見解が、せつない。
そういう意味では、❶〈AIのない世界で強くなった〉40代以上、➋〈強くなってからAIが登場した〉20代後半~30代、そして➌〈強くなる前から既にAIが存在した〉20代前半~10代、の三世代が相対する現在の将棋界はまさに、変革の真っ只中に違いない。
だったら➌の世代は藤井くん並みに皆、強くていいはずだ。しかし現実は、もうどうにもとまらない藤井無双ワールド――つまり、セオリーから外れる〈最適手〉を見つけられるだけの、先入観や従来の文脈に囚われない柔軟な思考ができるのは、いまのところ彼一人だからそりゃ勝ちまくる。
ということなんだろうなと、素人なりに考えた。
最上級CPUを組み込んだ藤井くんの自作PCは、実費60万円という高額もさることながら、20秒で6億手先の最善手を指せる演算処理能力を誇るらしい。そんな怪物マシン相手に日々研究と研鑽を怠らないのは当たり前だが、彼はAI推奨の戦略を盲目的に追従するのではなく、AIの読み筋や評価値を自分の考え方と照らし合わせ、解釈していると聞いた。AIにただ従うだけではなく、最終的には自分オリジナルの考えや直観を貫いた手を指すのだ。
おお、〈人力ロック〉最後の砦であるプログレに通ずる「いい話」ではないか。
などと感心してる場合ではない。観る者にこれだけの〈わかろうとする努力〉を強いる敷居の高いエンタテインメントには、やはりくすぐられる。それでもこちとら素人同然だから、ぱっと盤面を観ても理解するまでにものすごく時間が懸かって体力を削られるのは、つらい。もっと愉しむために精進はするけどさ、とりあえずこっちも。
なので、観る将としてスキルアップするまでの時間稼ぎとして、とりあえずキャラクター論に緊急避難することをお勧めする。対局中の姿は正直、映えない。番勝負時の和服姿は30代以下全員羽織袴に着られてて五十歩百歩で、視覚的な差別化を期待してはいけない。スーツ姿も同様だ。あ、一人だけいたよ、「ヘアスタイルが個性的なバロック貴公子(阿川佐和子・談)」佐藤天彦九段(元・名人3期)34歳が。
このひと、ファッション業界や芸能界でも着こなせる者が稀有なベルギーのアン・ドゥムルメステールのピンタック満載のスーツに、ドルガバの靴と中世風チタンのアクセサリーとアシンメトリーな前髪というなかなかの個性派なのはいいが、何がすごいって全く似合ってないのだからクールだ。棋界のV系か。しかもバロックやロココ調の家具蒐集が趣味で、対局中は頭の中でクラシックが鳴ってるときた。だからファンの間では《貴族》と呼ばれているが、その由来は飲み会でスナック菓子を箸で食べてる姿を、「天彦は貴族みたいな食べ方をする」と先輩棋士のブログに書かれたから、なのだった。
大人計画の正名僕蔵瓜二つ、な木村一基九段(元・王位1期)49歳もぐっとくる。23歳でプロ・デビューしたものの羽生世代の席捲に翻弄され続け、ようやく初タイトルである王位を獲得したのが46歳で、初戴冠最年長記録。くー。しかし初防衛戦は0勝4敗で屈し、藤井くんに二冠目を献上する憂き目を見たのだ。くー。それでも自称《将棋の強いおじさん》は、「百折不撓」のエピタフを背負ってなお、指し続ける。くー。
通算対局成績3勝1敗――もはや藤井五冠唯一の天敵、深浦康市九段(元・王位3期)50歳は、あの羽生善治元七冠との生涯対戦成績も、驚異の33勝48敗だったりする。よりにもよって無双の絶対王者に勝てる秘訣は、AI的な100点の最善手を指すのではなく、60点でも相手がわかりづらい手を指し続けて長丁場にしたあげく、相手のミスを誘うというゲリラ戦に持ち込むこと。えぐいなあ。
というわけで、〈地球人とは思えない力を発揮して地球侵略を目論む《将棋星人》羽生善治と藤井聡太から、地球を防衛する《地球代表》〉という設定が拡散し、2021年は2戦2勝と藤井くんを完封するに至り、深浦先生は《対将棋星人決戦兵器ふかーら》として崇められているのだ。
やっぱキャラってありがたい。将棋もプログレも。
藤井五冠を頂点とする現在の棋界F4も、イジりがいがある。
対藤井戦2020年は6勝0敗と完全制圧していた豊島将之九段(元・竜王2期/名人・王位・叡王・棋聖各1期)32歳。対コンピュータの電王戦出場を契機に研究会やVSといった対人修行を止め、AI相手に自宅で独り研究と研鑽を積む孤高の研究者なのに、平成生まれ初の名人という偉業を達成してるというのにーー呼び名は《きゅん》。色白で寝ぐせがしょっちゅうでカレーが好きで虫が嫌いで、目鼻立ちがオブスキュアな名探偵コナン的風貌に、観る将女子が勝手にきゅんきゅんした。日本人とはつくづくマニアックな国民だ。
しかし昨年は王位挑戦と叡王防衛と竜王防衛の十九番勝負を含め、藤井くんに4勝13敗とまさかの完全敗北を喫して無冠に。どうもこの悲劇的な結末が再び、母性本能をきゅんきゅんさせてるんだと思う。きっと。
対局の日以外はすべて研究会に没頭してたほど、常軌を逸して将棋に没頭し続ける男。永瀬拓矢王座(3期/元・叡王1期)29歳と藤井くんの〈二人だけの研究会〉は、終わりのないぶつかり稽古らしい。毎回毎回、藤井くんと東京在住の永瀬王座の二人は名古屋の杉本八段の実家で逢うと、その1分後から東京行きの終電ギリギリまで指し続ける。しかも、昼食も摂らずひたすら指しては感想戦の繰り返しなだけに、なんと見かねた師匠が弁当を買って届けるのが常とは、その濃密さは推して知るべし。
その藤井くんとの対局は3勝7敗と大きく負け越してはいるものの、棋風がとにかく執念深いというか、勝利への執着が尋常ではない。自分が優勢ならば攻めの手を指すのが普通なのに、自陣を固める手を選択して「粘る」方向に走る。すると当然やたら長手数の勝負になり、いい意味での〈泥試合〉の混沌の中で勝機をひたすら待つのだ。怖くないかこの男、目つきもフリーキーだし。
小中学校時代は酷いいじめに遭った末の登校拒否児で、「あの子にとって将棋は子供の頃から、生きるための術だったのではーーもし取り上げてたらと考えるとおっかない」と父親に述懐された日には、そりゃどこまでも粘着質な将棋になるわと納得するしかない。だって将棋が唯一の生命維持装置のひとだもんなぁ。
そして、渡辺明名人37歳。通算獲得タイトル数は計30期で歴代4位――初の永世竜王にして二人目の永世棋王で、名人2期・王将5期・棋聖1期・王座1期を保持した圧倒的な存在だ。特に番勝負では無類の強さを誇り、《魔王》の異名に相応しい。
彼が面白いのは、「自分にとって将棋とは、仕事」と普通に言えちゃう点にある。だから将棋に対する過剰な想い入れもロマンも持ち合わせてない分、常に客観的に将棋に向かうことができる。入念な事前研究に基づき、相手によって自在に組み替える作戦で、いざ実戦における心理を読み解きながら勝利を得る姿は、まさに勝負師に相応しい。わざとAIの評価値の低い手を指して相手の綿密な研究成果を台無しにしちゃうなど、心憎い。無類の競馬好きらしい勝負勘の成せる業じゃないか。
彼のブログは、類まれな客観性の塊だ。なんと対局の日は勝っても負けても感想戦終了から1時間以内には更新し、結果にまったく一喜一憂することなく自分で分析してしまうのだ。それどころか番勝負の当日でも、インタヴュー取材を引き受ける。たとえば敗れてそのまま帰京の途に就く新幹線の車中で、その日の棋戦の敗因をあっけらかんと解説できるからすごい。
渡辺名人は無敵なのに、藤井くんにだけはなぜか敗れ続ける。初戴冠を許した2020年の棋聖戦は1勝3敗。翌2021年リベンジの棋聖戦も0勝3敗で退けられ、王将戦に至っては0勝4敗で五冠目を献上してしまった。それでも彼はこう答えるのだ。
「現状では藤井さんに勝つプランがありません。だっていまから藤井さんのような終盤力を身につけようと思っても無理だから(←あっさり)」。
「僕に勝ってほしいと心から願っている人を除けば、客観的に見て僕が勝てると思っている人は皆無に近いでしょう(笑)」。
決して彼は自虐や悲観で吐いてるわけではない。たぶん。散々な十九番勝負以降は連戦連敗で絶不調に陥った豊島九段とは対照的に、渡辺名人は棋聖を失冠した直後に豊島名人(当時)を撃破して宿願の名人位を獲得、王将を失冠しても永瀬王座が相手の棋王戦はきっちり防衛したのだから、藤井くん以外の棋士にとっては変わらず魔王だ。
33歳・棋士17年目にして突如21勝27敗で勝率が4割という自己最低の2017年、渡辺名人は自分の将棋が時代遅れになったことを受け入れ、得意だった戦法を棄てて新しい棋風に変化することで、翌年は自己最高の8割を記録する大復活を遂げた。熱狂的なスワローズ・ファンの彼らしく、「打てなくなってからフォームをいじる野球選手と同じ」的理屈で現役最強の座に返り咲いた成功体験もあるだけに、近い将来おそらく対藤井ヴァージョンの彼が登場するに違いない。と思いたい。私好きなのだこのひと。
言うまでもなく本職では最強の棋士で、中学デビューの若き藤井くんにとっては最強のラスボス的存在だと、誰が見てもそう映る。若いころは〈さらにひねくれた六角精児〉みたいだった風貌も、いまや〈天然物のC3PO〉というか水木しげる系のたたずまいというか、(ほぼ)丸坊主の現状がまた『柔道部物語』以来我が国伝統の、仇役に相応しいヴィジュアルだったりするし。
このひとの場合、前述したように将棋を仕事として捉えてるから、スワローズに競馬に欧州サッカー&フットサルと多彩な趣味にも心底没頭できる。カーリングは好きすぎて、棋士仲間四人で長野までストーンを投げに行ってるらしいから、かなり変わってる。超漫画おたくで、動く動物には興味ないが〈ぬい〉と呼ぶ動物のぬいぐるみたちに囲まれて暮らすのは至福の悦びで、鶏肉がにわとりだとは知らずーー大丈夫かこのひと。
と見事にキャラが確立してるのは、名人の嫁・伊奈めぐみ(敬称略)が描く漫画『将棋の渡辺くん』が結構売れているからだったりするのだ。コミックも6巻を数える。しかも、「あの藤井の対戦相手の渡辺明って奴の妻に漫画で描かれてるらしい、って毎日メディアであれこれ言及してもらったおかげ」で売れたと夫婦揃って藤井くん効果に感謝してるのだから、自然体すぎて呆れるしかない。
加藤一二三・谷川浩司・羽生善治に続き史上四人目の中学生棋士(←ちなみに五人目が藤井くん)で前途洋々の渡辺名人が、できちゃった婚したのは20歳のとき。4歳上のめぐみ嬢はパニック障害で中学は不登校だったものの、棋士の兄の影響で日本将棋連盟の女流育成会に入会したいわば「同好の士」ではある。通信制高校在学中の24歳で結婚と出産をした彼女は、その後武蔵野美大の通信教育課程で油絵を専攻しつつ、27歳から家族がネタの自由なブログを書き始めた。
偶然それを読んでハマった『別冊少年マガジン』編集者から、「美大卒業してるんだから漫画は描けるはず」とオファーされると、「ちょっと社会常識に欠け」てて「拙い画力でも描きやすい顔」の旦那なら「素人の私でも描けるかも」ということで、画期的な将棋漫画の連載が実現してしまった。他の棋士たちの生態も巻き添え食って赤裸々に描かれたりするが、やはりあの《魔王》がカステラの紙を当たり前に食べてたり、あの《魔王》が妻の漫画のネタのためだけにバンジージャンプを実行したりと、渡辺明がスクラップ&ビルドされていくポップさは、嫁だけに赦された反則技といえる。
さらには2021年4月、テレ朝系人気の人間ドキュメント・バラエティー番組『激レアさんを連れてきた。』に嫁だけゲスト出演すると、《1回も漫画を描いたことがない素人なのに突然人気少年誌で連載することになった人》として大フィーチュアされるに至った。
一般常識は著しく欠落してるものの、頭脳明晰で明朗闊達な渡辺名人ではある。とはいえかなりクセがある珍味系だし、そもそも将棋というジャンル自体も同好の士たちも、やはりマニアックで閉ざされてる感は否めない。
まるでプログレじゃん。
しかし旦那に対する彼女の好奇心とちょっかいとほぼ反則技同然の面白がりが、こうして広く世間に渡辺明を拡散させているのだ。大きい声では言えないが、棋士としては最強でもペルソナ的には特に面白くはない藤井くんだから、ここはやはり、渡辺夫妻の二人羽織芸がより魅力的に映るのが人情というものだろう。
ちなみに私は渡辺名人推しだ。
渡辺明にとっての伊奈めぐみは、ロバート・フリップにとってのトーヤに他ならない。
というか昨年、キング・クリムゾン楽団の米国&日本公演ツアーが無事実現し、有終の美を飾ることができたのは、トーヤのおかげだと私は心底思っているのだ。
プログレ業界において、夫婦ネタは意外に珍しくない。
〈ロジャー・ウォーターズ抜きピンク・フロイド〉を稼働したいのに、いくら考えても思いつかない作品コンセプト。途方に暮れる頭脳労働下手なデヴィッド・ギルモアに(その出来はともかく)歌詞を提供したのは、現ギルモア夫人のポーリー・サムソン。
作品コンセプトの提供のみならず、レーベル契約を失った夫アンディ・ラティマーの尻を叩き、英国の自宅を売り払って米国に移住すると、マネジメント兼インディーズ・レーベル《キャメル・プロダクションズ》を設立して切り盛りした、本来は女流詩人なのにほぼブルドーザー女社長なスーザン・フーヴァー。
一方では、何を思ったのか自分もバンド始めちゃって、夫のみならずトレヴァー・ホーンやアラン・ホワイトなど夫の同僚の手まで煩わせてデビュー・アルバムをリリースした直後に、離婚する羽目になっちゃったニッキー・スクワイアなんて自由な妻もいるから可笑しい。
ちなみに、結婚に関する成功体験がない私がいちばんリスペクトするのは、スティーヴ・ハケットかもしれない。とにかくこのひとは、妻への依存度が尋常ではない。その存在がまるで幸福の指標そのものと化している。正直怖い。
1枚目の『侍祭の旅』から(たぶん)20枚目『メタモルフェウス』の中で、15枚ものソロ・アルバムのジャケを〈愛の丸投げ〉した相手は、画家兼宝石デザイナーの前妻キム・プーア。どうもハケットの爆発的な一目惚れのようで、2nd『プリーズ・ドント・タッチ』にぶっこまれてた「ど」ロマンチックなインスト曲“キム”なんか、あの“ラヴ・ビーチ”よりも恥ずかしい。それこそ「ロマンチックなフルート」を強要された弟ハケットの心中は、察するに余りある。
だから惚れた弱みもしくは恋は盲目としか思えない、江戸時代の〈幽霊画以上拙い法廷画未満〉のような幸薄いジャケを毎回毎回描かれても、平気だったんだろう。絶対妻のジャケのせいでセールス損してたと思うが。しかし1981年結婚直後の5thソロ『キュアード』だけは幽霊画ではなく、ピントくっきり南国のプールサイドでトロピカルな飲み物にとろけるハケット写真とは、つくづくおめでたいカップルだと思う。
しかもこの男が何よりすごいのは、これだけ依存しておきながら「ソウルメイトを見つけた♡」とジョアーナ・レーマンとの関係清算どころか、前妻と離婚して2011年に再婚。するとそれ以降のソロ作品――『幻影の彼方~ビヨンド・ザ・シュラウデット・ホライゾン』から最新作の『サレンダー・オブ・サイレンス~静寂の終焉』までずっと、今度は楽曲の共作者〈ジョー・ハケット〉としてフィーチュアし続けている。あ、メインのコーディネーター兼共同マネージャー兼共同経営者としても。
もうお腹いっぱいだよハケット。
あれだけ達者に弾きまくるのにマッチョ感が一切感じられないとこが彼のいいとこなのだけど、もしかしたら単に尻に敷かれるのが幸せなだけの男だったのかもしれない。つくづくいいひとだ。真似したくないけど絶対。
そして改めて、ピンク・フロイド28年ぶりの「新曲」には触れなきゃいけない。
4月8日から配信中の“Hey Hey Rise Up(feat. Andriy Knlyvnyuk of Boombox)”だ。ウクライナのロック・バンドBOOMBOXの、アンドリーイ・クリヴニュークがインスタに投稿したヴォーカル動画にギルモアらが演奏で合体――今回の侵攻が始まってから、ウクライナ全土で〈♪さあ立ち上がろう、勝利の歓びを〉と唄われ続けてる、第一次大戦時に書かれたウクライナのプロテスト・フォークソングが原曲である。
ロシアの蛮行から祖国を守るべく、自らのバンドの米国ツアーを終えるとそのまま母国で領土防衛に参加したクリヴニューク。戦火の影響で人っ子一人いないキーフのソフィア広場でこの楽曲を唄う動画はあまりに凛々しく、そして痛々しい。その後迫撃砲で負傷した彼は、現在キーフの病院に入院中と聞く。
ギルモアこれでもかの泣きのギターが、これ以上似合うシチュエーションが地球上に存在するとは思えない仕上がりには、好き嫌いを超越して納得するしかない。ただ、〈怒れる高齢者〉ロジャー・ウォーターズが真っ先に出てきそうな今回の事態で、先にギルモアが行動を起こしたのはちょっと意外だった。ベルリンの壁にイスラエルの壁、湾岸戦争、ベネズエラ支援欺瞞、パレスチナ人の人権闘争、子ブッシュ批判に打倒トランプと50年怒りっぱなしのウォーターズに先んじての電撃リリースだもの。偉い。
聞けば7年前の、ベラルーシ・ロシア・ウクライナから避難してきたパフォーマーらが結成した《劇団ベラルーシ・フリー・シアター》の10周年記念イベントにギルモアが客演した際、ビザのトラブルで入国できなかったクリヴニューク以外のBOOMBOXのメンバーを起用し、“あなたがここにいてほしい”を演奏して以来の縁らしい。
いい話だ。私も即購入して微力ながらウクライナへの人道支援させてもらった。ただしよくよく調べたら、嫁・ポーリンの連れ子のチャーリー・ギルモアの嫁とその娘たちがウクライナ人だった。そりゃ孫娘のためにもじいじいは燃えるさ。
そしてクリムゾン界隈では、夫婦物のリリースがなぜか続いている。
ジャコ・ジャクジクと並ぶクリムゾン信者のパット・マステロットが、《ザ・マステロッツ》名義で『ア・ロマンティック・ガイド・トゥ・キング・クリムゾン』をリリースしたのは、コロナ禍真っ盛りの2021年2月14日。ツアー中止もありたぶん時間を持て余したからだろうけど、「ロックアウトを機に再起動する、人類の新たな営みの最小単位はカップル」との壮大なコンセプトから、クリムゾンを強引に〈大人のラヴ・ソング風〉アレンジしてしまった。
そりゃバレンタインデーに発売したくなるよなあ。
とはいえ、ジャジーでお洒落な“土曜日の本”とか“放浪者”とか、全っ然似合ってないから逆にすごい。ヒューストン交響楽団員たちの演奏が当然達者すぎて居心地悪く、逆に癖になる。“ムーンチャイルド”ではフリップ、“ピープル”ではブリューのギターのサンプリング、“ワン・タイム”には1995年録音のビルブル音源を贅沢に拝借し、クリムゾン『ザ・コンストラクション・オブ・ライト』~プロジェクトX『ヘヴン・アンド・アース』~BPM&M『エクストラクツ&アーティファクツ』~ガン&マステロット『TU』と、ずっと苦楽を共にしたエンジニアのビル・マニヨンもちゃんと参加してる分、逆に落ち着かなくていい。
マステロ夫妻の魅力的な愛の怪作なのだけど、嫁マステロは夫マステロにとって「恩人」だったのを思い出した。かつて私はインタヴューでこう、のろけられたのだーー。
「地元カリフォルニアの小さな町チコの図書館で聴いた、『ポセイドンのめざめ』の“キャットフード”の恰好よさにやられたのが、クリムゾンとの最初の出逢い。でも決定的だったのは、将来妻になる恋人コニーの部屋で一緒に聴いた『アイランズ』だったのさ(嬉笑)」。
まあ、そんなコニーと夫婦でこんなカヴァー・アルバムを作れたら、そりゃ幸せだ。
……あれ。ザ・マステロッツのヴォーカル、《デボラ・マステロット》とクレジットされてるじゃん……うん、人生山あり谷ありだもの、私もバツイチだから大丈夫大丈夫……。
新年早々届いた、ピーター・ジャイルズの「新作」も驚いた。2001年晩秋の21馬鹿バンド来日時に、ジャイルズ自身が「妻とのユニット《ALUNA》名義の作品を2002年中に出したい」と予告してたものの、2009年と2018年に同様のアナウンスがあっただけで、年齢別ハーフマラソンやらクロスカントリーの世界大会や英国大会で表彰台に上ったニュースしか聞こえてこなかったから、足掛け21年ときた。結局、《ヤスミン&ピーター・ジャイルズ》名義で『INSIGHTS』――こちらもピアニストの嫁とのコラボである。
故イアン・マクドナルド人生最後のバンド《ハニー・ウエスト》のアルバム同様、本人のサイトからの直接購入。夫婦物とはいえGG&Fを除けば人生初の個人名義の作品だけに、興味津々で聴く。「とてもメロディアスでラテン・ジャズ風で、具体的なサウンドではないけれど、スティーヴィー・ワンダーのスタイルに近い」と予告してたし。
……うーん、これはかなり取扱注意のイージーリスニングだ。そもそも英国の某有名ホテルのラウンジでピアノを弾いてたのを見初めて結婚しただけあって、とにかく嫁の夢を旦那ができる限りのスキルと精力を駆使して実現した、としか言いようがないなぁ。ジャイルズによる『アイランズ』的な宇宙空間に描かれた謎の線描画のジャケも、怖い。
そのサイトには、CDや本やライヴの告知に紛れて、嫁の「ピアノ教えます」営業案内まで載っている。でもサイト名は、【planetgiles.com】。
一体、ジャイルズ夫妻はどこの惑星に引っ越しちゃったのだろうか。おーい。
そして、ロバート・フリップ&トーヤ・ウィルコックス夫妻を褒め称えたいところで、後篇につづく。
第一回「ジョン・ウェットンはなぜ<いいひと>だったのか?」はコチラ!
第ニ回 「尼崎に<あしたのイエス>を見た、か? ~2017・4・21イエス・フィーチュアリング・ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン(苦笑)@あましんアルカイックホールのライヴ評みたいなもの」はコチラ!
第三回「ロバート・フリップ卿の“英雄夢語り”」はコチラ!
第四回「第四回 これは我々が本当に望んだロジャー・ウォーターズなのか? -二つのピンク・フロイド、その後【前篇】-」はコチラ!
第五回「ギルモアくんとマンザネラちゃん -二つのピンク・フロイド、その後【後篇】ー」はコチラ!
第六回「お箸で食べるイタリアン・プログレ ―24年前に邂逅していた(らしい)バンコにごめんなさい」はコチラ!
第七回「誰も知らない〈1987年のロジャー・ウォーターズ〉 ーーこのときライヴ・アルバムをリリースしていればなぁぁぁ」はコチラ!
第八回「瓢箪からジャッコ -『ライヴ・イン・ウィーン』と『LIVE IN CHICAGO』から見えた〈キング・クリムゾンの新風景〉」はコチラ!
第九回「坂上忍になれなかったフィル・コリンズ。」はコチラ!
第十回「禊(みそぎ)のロバート・フリップ ーー噂の27枚組BOX『セイラーズ・テール 1970-1972』の正しい聴き方」はコチラ!
第十一回「ああロキシー・ミュージック(VIVA! ROXY MUSIC)前篇 --BOXを聴く前にブライアン・フェリーをおさらいしよう」 はコチラ!
第十二回 「ああロキシー・ミュージック(VIVA! ROXY MUSIC)後篇 --BOXを聴いて再認識する〈ポップ・アートとしてのロキシー・ミュージック〉」はコチラ!
第十三回 「今日もどこかでヒプノシス」はコチラ!
第十四回 「ピーター・バンクスはなぜ、再評価されないのか --〈星を旅する予言者〉の六回忌にあたって」はコチラ!
第十五回 「悪いひとじゃないんだけどねぇ……(遠い目) ―― ビル・ブルフォードへのラブレターを『シームズ・ライク・ア・ライフタイム・アゴー 1977-1980』BOXに添えて」はコチラ!
第十六回 「グレッグ・レイク哀歌(エレジー)」はコチラ!
第十七回 「クリス・スクワイアとトレヴァー・ホーン -イエスの〈新作〉『FLY FROM HERE -RETURN TRIP』に想うこと- 前篇:スクワイアの巻」はコチラ!
第十八回 「クリス・スクワイアとトレヴァー・ホーン -イエスの〈新作〉『FLY FROM HERE-RETURN TRIP』に想うこと- 後篇:空を飛べたのはホーンの巻」はコチラ!
第十九回「どうしてジョン・ウェットンを好きになってしまったんだろう(三回忌カケレコスペシャルversion)」はコチラ!
第二十回「どうしてゴードン・ハスケルは不当評価されたのだろう ー前篇:幻の1995年インタヴュー発掘、ついでに8人クリムゾン来日公演評も。」はコチラ!
第二十一回「どうしてゴードン・ハスケルは不当評価されたのだろう -後篇:幻の1995年インタヴューを発掘したら、めぐる因果は糸車の〈酒の肴ロック〉」はコチラ!
第二十二回「鍵盤は気楽な稼業ときたもんだ--あるTKの一生、に50周年イエス来日公演評を添えて」はコチラ!
第二十三回「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう(by ビリー・シャーウッド)」はコチラ!
第二十四回「荒野の三詩人-誰かリチャード・パーマー=ジェイムズを知らないか-」はコチラ!
第二十五回「会議は踊る、プログレも踊る-リチャード・パーマー=ジェイムズを探して-」はコチラ!
第二十六回「我が心のキース・エマーソン & THE BEST ~1990年の追憶~」はコチラ!
第二十七回:「『ザ・リコンストラクション・オブ・ライト』は、キング・クリムゾンの立派な「新作」である。 プログレ「箱男」通信【KC『ヘヴン&アース』箱】号①」はコチラ!
第二十八回:「《The ProjeKcts》の大食いはいとおかし。 プログレ「箱男」通信【KC『ヘヴン&アース』箱】号②」はコチラ!
第二十九回:「ロバート・フリップの〈夢破れて山河あり〉物語 プログレ「箱男」通信【KC『ヘヴン&アース』箱】号➌」はコチラ!
第三十回:「封印された〈車道楽プログレ〉ー『レイター・イヤーズ 1987-2019』箱から漏れた、ピンク・フロイドVHS『道(MICHI)』」はコチラ!
第三十一回:「どうしてプロレスを好きになってしまったんだろう。へ?」はコチラ!
第三十二回:「LEVINは何しに日本へ? の巻」はコチラ!
第三十三回:「どうして日本人はキング・クリムゾンを唄いたがるのだろう -雑談三部作・完結編-」はコチラ!
第三十四回:「コロナの記憶:どうしてビル・リーフリンを忘れられないのだろう トーヤ&フリップ「夫婦善哉」への道」はコチラ!
第三十五回:「キル・ビル/ビル・ブル 極私的「60歳からのプログレッシヴ・ロック」論」はコチラ!
第三十六回:「イエスCD+DVD34枚組『ユニオン30ライヴ』boxは、20世紀からの玉手箱か?」はコチラ!
第三十七回:「ジャコ・ジャクジクが〈ポール・ヤング〉に憧れた日 1980年代に遺したJAKKO青春の蹉跌シングルズを徹底追跡してみた。」はコチラ!
第三十八回:「「妄想」は荒野をめざす 『キング・クリムゾンー至高の音宇宙を求めて』40年目の読書感想文」はコチラ!
第三十九回:「ニーナ・ハーゲンは最強の〈ジャーマン・プログレ〉である。」はコチラ!
第四十回:「とあるキャメルの「不幸」」はコチラ!
第四十一回:「まずは、さよならキング・クリムゾン。」はコチラ!
3タイトル4CDボックス、ボックスに帯付仕様、各タイトルはプラケース入り仕様、定価7665
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、カビあり
両面記録DVD(DTS5.1ch+ドルビーデジタル5.1ch、マルチ・アングル&マルチ・オーディオ)、プラ製透明スリップケース&ブックレット付仕様、NTSC方式、リージョンフリー、定価4200+税
盤質:傷あり
状態:
帯有
ケース不良、ビニールソフトケースに入っています、スレあり、スリップケース無し
両面記録DVD(DTS5.1ch+ドルビーデジタル5.1ch、マルチ・アングル&マルチ・オーディオ)、プラ製透明スリップケース&ブックレット付仕様、NTSC方式、リージョンフリー、定価4200+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
カビあり、スリップケースにスレあり
4枚組ボックス、各CDはプラケース入り仕様、帯・解説付仕様、68ページオリジナル・ブックレット&88ページ対訳ブックレット付仕様、定価9709+税
盤質:傷あり
状態:
帯有
2枚は未開封、帯に小さい破れあり
3枚組ボックス、ボックスに帯付仕様、各CDはそれぞれプラケース入り仕様、定価6500+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干スレあり
2枚組、ボックス入り仕様、Tシャツ付き仕様、フリップ監修による06年デジタル・リマスター、定価4410
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無、ボックス・Tシャツ無し、解説に黄ばみあり
デジパック仕様(トールサイズ)、2枚組、限定盤、日本アセンブルパッケージ、クリムゾン・キングの宮殿アートワークデザインのフルカラー布マスク付仕様、帯元から無し、情報シート付仕様、定価5000+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯-
1枚は盤に傷あり
奇才Robert Frippを中心に結成され常に先鋭的なサウンドを作り出し、デビュー以来プログレッシブ・ロックの頂点に君臨し続けるイギリスのグループの69年デビューアルバム。プログレッシブ・ロックのスタートラインとなった記念碑的作品であり、「21世紀の精神異常者」のヘヴィーなサウンドで幕を開け「クリムゾン・キングの宮殿」の荘厳なメロトロンで終幕するまで、全く非の打ち所の無いフレーズとインプロヴィゼーションの応酬が乱れ飛びます。大きな衝撃を以って迎えられた本作は、プログレッシブ・ロック時代の幕開けを象徴する1枚として語り継がれています。
紙ジャケット仕様、DVDオーディオとHQCDの2枚組、2009年リマスター、40周年記念エディション、DVDはNTSC方式、リージョンフリー、ROCK AGEキャンペーン花帯/特典ボックス付き仕様、定価4200+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
奇才Robert Frippを中心に結成され常に先鋭的なサウンドを作り出し、デビュー以来プログレッシブ・ロックの頂点に君臨し続けるイギリスのグループの70年2nd。Ian McDonaldが脱退、レコーディングには参加しているもののMichael Gilesも脱退を表明し、ボーカリストとしてのみの参加であるGreg LakeはEmerson Lake & Palmer結成へと動き始め、Keith Tippett、Mel Collinsといった新メンバーを加えるなどバンド内が慌しい状況であったにもかかわらず、その内容はデビュー作に負けず劣らずな名盤となっています。過渡期と言うこともあり正当な評価を仰げない不遇もあった本作ですが、その音楽性は前デビュー作の内容を下地にしながらも、よりバリエーションに富んだ作風となり、Keith TippettのピアノやGordon Haskelの素朴なボーカルなど、バンドに新たな表情が生まれた傑作です。
解説元から無し、ファミリーツリー付き仕様、定価2800
盤質:傷あり
状態:並
帯有
若干カビあり、帯に折れあり
HDCD、30TH ANNIVERSARY EDITION、デジタル・リマスター
盤質:傷あり
状態:良好
奇才Robert Frippを中心に結成され常に先鋭的なサウンドを作り出し、デビュー以来プログレッシブ・ロックの頂点に君臨し続けるイギリスのグループの74年7th。「太陽と戦慄」からの布陣であるRobert Fripp、John Wetton、Bill Brufordのトリオによるラストアルバムであり、その内容はへヴィ・メタルの原型とも言われる評価も納得の重々しいギター・リフで幕を開け、これまでの活動の集大成といった趣の幅の広さをもったものです。「クリムゾン・キングの宮殿」でプログレッシブ・ロック・シーンの夜明けを作った彼らは本アルバムをもって解散、ジャケット裏のメーター表示がレッド・ゾーンを振り切っていることが全てを伝えています。第一期KING CRIMSONの終焉は衰退の様相を見せたプログレッシブ・ロック・シーンを象徴する出来事であり、時代の移ろいを感じさせます。
紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、英文ブックレット・日本語リーフレット付仕様、定価2233+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
スレあり
廃盤希少、2枚組、定価3786+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
ファミリーツリー付き、帯にカビ・折れ・裏にテープで補修あり、ブックレットに若干汚れあり
75年発表のライブ・アルバム。「RED」発表前の74年に録音されており、当時のラインナップはRobert Fripp(g)、John Wetton(b、vo)、 Bill Bruford(ds)、David Cross(vln、key)の4人編成。アルバム中3曲でEddie Jobson(vln、key)のパートがダビングされています。鮮やかなヴァイオリンの旋律を切り刻むメタリックなギター・リフ、グイグイとウネリを生み出して暴走するリズム隊。この時期ならではのパワフル且つ緊迫感溢れる即興演奏に終始圧倒されっぱなし。代表的名曲「21st Century Schizoid Man」では原曲のサックス部分をヴァイオリンで再現しており、よりヒステリックな爆発力を楽しむことが出来ます。沸点目掛けて上り詰めるRED期クリムゾンの凄さを体験出来る名ライブ盤。
デジパック仕様、スリップケース・ブックレット付仕様、CD+DVDの2枚組、NTSC方式・リージョンフリー
盤質:傷あり
状態:
ケース不良、トレーに小さいヒビあり、若干汚れあり
ロバート・フリップによる89年リマスター 、ファミリーツリー付き 、定価2233+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
カビあり、ウォーターダメージあり、側面部に色褪せあり
3枚組ボックス、ボックスに帯付仕様、各CDはプラケース入り仕様、ボーナス・トラック1曲、48Pブックレット付仕様(英語版・日本語版)、定価6500+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干圧痕あり、スレあり
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