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【ユーロ・レーベル探求 第七回】CHAPA DISCOSレーベル~コークならぬチャパ

【第七回】「コークならぬチャパ」

寄稿:ike333さん

 先般、NUの発掘音源のCDをカケレコさんでGETしました。フルート入りだけにOSANNAの1作目的ハードロック又はロックンロールで、NUの原点を感じられる音源でした。この後、NUはスペインのCHAPA DISCOSからデビューしたわけですね。

さて、CD世代の方にはピンと来ないかもしれませんが、ターンテーブルの真ん中にどかんと載っかるレコードのラベルは、私の様なレコード世代にとってはとても存在感があるものでした。また、レコードの片面のトータル時間は、どの長さのカセットテープに録音するかで重大問題であるところ、曲名や演奏時間がしばしばラベルにしか記載されていないこともあり重要な情報源でもありました。

そして、レコードのラベルにはVIRGINやCHARISMAなどアーティスティックなものから、PHILIPSの様なぶっきらぼうなものまでいろいろありますが、70年代終わり頃にスペインの大手レーベルZAFIRO(RCA系)内に設立されたCHAPA DISCOSのものについてはなかなかイカしていました。

丸いラベルがコカコーラ瓶の王冠の様なデザイン。CHAPA DISCOSのロゴもコカコーラの字体に良く似せていて、結構シャレっ気があるものです。米国資本の飲み物のロゴ似ではありますが、同レーベルからリリースされているバンド/アルバムは正にスペインの王道ロックそのものと言ってよいでしょう。

レーベル二周年を記念してデコレーションケーキをジャケとしたコンピ盤で、同レーベルの全貌が概ね把握できますが(結構ロックンロールバンドが多い)、私の気に入っているミュージシャン達について少し書きたいと思います。

ASFALTO

まず、CHAPAレーベルの一番手として登場したASFALTOですが、結成自体は結構古いようです。アルバムデビュー作『ASFALTO』(1978)の時点ではツイン・ギターの4人組で、リズムを刻むアコギが印象的、タイトなロックです。演奏面ではスペインのバンドとは殆ど気づきませんが、スペイン語の歌が出てきて納得。

2作目『AL OTRO LADO』(1978)は、ギター11人が抜けて(ベースも交代)、PSIGLO(ウルグアイ)やCRUCIS(アルゼンチン)に在籍したキーボード奏者Jorge G.Banegasの参加によりシンフォ度が高まったなかなかの好盤です。このほか、ポップなロックとなった3作目『AHORA』(1979)などをCHAPAからリリースしています。


BLOQUE

CHAPA2番目のバンドがBLOQUEです。デビュー作『BLOQUE』(1978)は、STRINGS系の重厚なキーボード、アコギや刺激的な音色のエレキギターなどが光っている、ダイナミックに展開するハードプログレの傑作です。

2作目『HONBRE, TIERRA Y ALMA』(1979)は更にハードロック寄りとなりますが、3作目『EL HIJO DEL ALBA』(1980)は、冒頭からキーボードの洪水、そしてスパニッシュギター、バリバリのエレキギターにより、少し「LARKS TONGUES IN ASPIC」似のフレーズも出てくる、雄大なシンフォ系アルバムで、最高傑作です。4作目の『MUSICA PARA LA LIBERTAD』(1983)は、よりタイトで格好良いシンフォとなりました。スペインのヘビーシンフォで、NUとともに最重要なバンドと言えるでしょう。


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TARANTULA

さて、TARANTULAの、デビュー作『TARANTULA』(1977)は、CHAPAからではありませんが、比較的深みのあるオルガン・シンフォ・ロックの好盤でした。
一方、CHAPAからリリースされた『TARANTULA 2』(1979)は悲鳴の様なボーカルのハードロックとなってしまいました。

NU

TARANTULAに次いで登場したバンドがNUです。Vo兼key、フルート奏者Jose C.Molina率いるスペイン屈指のハードロック/ヘビメタバンドで、デビュー盤『CUENTOS DE AYER Y DE HOY』(1978)は、エッジの効いたギター、金切り声の様なバイオリン、リリカルなフルート、疾走するドラムス、不安げなボーカルと、どこをとっても伊のRACCOMANDATA RICEVUTA RITORNOか、北欧のTRETTIOARIGA辺りに匹敵するヘビーシンフォの大傑作です。

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2作目『A GOLPE DE LATIGO』(1980)も引き続きフルート、バイオリン入りヘビーなプログレで、なかなか魅力的です。3作目の 『FUEGO』(1983)では、バイオリンが抜け、フルートが特徴の純然たるヘビメタとなります。もう1作品CHAPAに残し同レーベルを離れますが、その後も着実に活動している様で、傑作となった最近作『VIEJOS HIMNOS PARA NUEVOS GUERREOS』(2011)もドラマチックなハードロックを展開、健在振りを示しています。

TOPO

TOPOは、ASFALTOのデビュー時メンバーJose L.Jimenez (g)がASFALTOを脱退して結成したg,b,ds,keyの4人組グループで、ポップなハードロックを演奏しています。1作目『TOPO』(1979)は、オルガンやメロディアスなリードギター、アコギなども活躍している微妙にスパニッシュ色もあるロック・アルバムで、なかなかコクのある出来のよいアルバムです。

2作目『PRET A PORTE』(1980)は、時代を反映したのか、『REGGATTA DE BLANC』期のTHE POLICEの影響も見られる、よりポップなロック・アルバムです。

BORNE

TOPOの次がBORNEで、『EXPRIME LA NARANJA』(1979)は、スパニッシュ色の強いA①、B③などを除けばかなりインターナショナルな音の、少しフュージョンがかったBRAND Xといった感じのジャズロックの好アルバムです。外せません。

CRACK

CRACKの『SI TODO HICIERA』(1979)スペイン屈指のシンフォ・アルバムと言われていますが、確かに男女ボーカル、舞うフルート、リリカルなピアノ、チャーミングな音色のシンセをはじめとするkey群など全てに渡りシンフォニックで、魂に訴えるような美しいメロディが展開する傑作アルバムです。スパニッシュ色は強くなく、むしろイタリアンに近いと思います。

MEZQUITA

これに続き登場したMEZQUITAのレコード『RECUERDOS DE MI TIERRA』(1979)は、ジャケ買いでした。絵のクレジットを見て納得、TRIANAやALAMEDA等でおなじみ、MAXIMO MORENOによるものです。音楽の内容は、テクニカルなスパニッシュギター、スペイン語の歌やフラメンコ的演奏やフレーズが満載、典型的なアンダルシア風のアルバムです。とてもスリリングなスパニッシュ・シンフォの傑作だと思います。

以上、80年前後に彗星のごとくスペインに登場し存在したコークラベル似のCHAPA DISCOSについてでした。

【ユーロ・レーベル探求 第一回】「懐かしのGONG」はこちら!
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CHAPA DISCOSレーベル

GONGレーベルと双璧を成す、スパニッシュ・シンフォの総本山、CHAPA DISCOSレーベル!

ASFALTO

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CHAPAレーベル第一弾バンド、78年発表の第2作より。キーボードを中心とした繊細で美しい場面と、アグレッシヴなギターが加わって展開されるテクニカルなアンサンブルとがバランスよく配されたドラマティックな一曲。南米プログレに通じる豊かな詩情が香ってきます。

BLOQUE

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CHAPA第二弾バンドによる80年作。典雅なシンフォニック・サウンドで幕を開ける本曲ですが、スパニッシュ・ギターに導かれジャジーな陰影を湛えたソロの応酬を繰り広げます。同郷スペインのジャズ・ロック・バンドICEBERGを彷彿とさせるほどのスリルが堪能できる名曲!

TARANTULA

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CHAPA移籍後に発表された79年作より。ドスの効いたヴォーカルが強烈な印象を残すスピーディーなハード・ロックを展開。アクの強いヴォーカルに耳が行きますが、スリリングなオルガン&ギターに加え運動性の高いベースなど、アンサンブルも相当にテクニカル。

NU

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スパニッシュ・プログレを代表するバンドの一つ。78年1st。重厚なリズム隊の上をメタリック・ギターと金切ヴァイオリンがスリリングに疾走する、手に汗握るアンサンブルが素晴らしいへヴィー・シンフォの傑作。同時期の英米のプログレ名盤と比較しても聴き劣りしない完成度。

TOPO

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ASFALTOの元メンバーにより結成されたプログレ・バンド、79年デビュー作より。アコギを基調としたたおやかなサウンドにオルガンとドラマティックなギターソロが彩りを添えるフォーキーなプログレ。スパニッシュ特有儚く切ない叙情味が見事に描き出された珠玉の一曲です。

BORNE

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79年作より。テクニックは抜群、そして緻密でいてダイナミックにも展開するアンサンブルは、スパニッシュ・ジャズ・ロックの代表格ICEBERGと並びワールドワイドな評価を得るに足る存在感を示しています。

CRACK

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スパニッシュ・シンフォと言えば真っ先に名が挙がるであろう名バンドによる79年作。意外とヘヴィーなリズム隊、熱っぽく舞うフルート、端正なクラシカル・ピアノによる、ほとばしる叙情が見事なこのオープニング・ナンバーを聴くだけでも、名盤としての風格を感じることができます。

MEZQUITA

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TORIANA、GRANADAに通じるアンダルシア色を持つシンフォ・バンドによる79年作。テクニカルなスパニッシュギターを筆頭にスピーディーなアンサンブルで聴かせる前半、味わい深いヴォーカルを中心に哀愁のシンフォニック・ロックを展開する後半と、アンダルシアの情景をありありと伝えてくれる一曲。

関連カテゴリー

CHAPA DISCOSレーベル在庫一覧

  • NU / CUENTOS DE AYER Y DE HOY

    ヴァイオリンやフルートをフィーチャーした「スペインのクリムゾン」とも云われるヘヴィ・プログレ・グループ、78年リリースの1st

    78年作の1stアルバム。荒れ狂うフルート、スリリングなヴァイオリン、重厚なメロトロン、圧倒的にヘヴィなギターが休むことなくバトルを繰り広げるアグレッシヴなプログレッシヴ・ロック。混沌とした中にヴァイオリン&フルートの叙情的なフレーズが立ち上がる瞬間など、押し一辺倒ではない構成力も抜群。スペイン・ロックを代表する傑作。オザンナ「パレポリ」が好みの方は必聴!

  • NU / A GOLPE DE LATIGO

    起伏の激しいスリリングなスパニッシュ・プログレ、80年作

    スペインを代表するハード・ロック・グループ。80年作2nd。傑作1stと同一線上にある、アグレッシヴに畳み掛けるプログレ。疾走するリズム、エッジの立った切れ味鋭いギター、アグレッシヴなフルート、尖りに尖ったエキセントリックなハイ・トーン・ヴォーカルによるアンサンブルはとにかく尋常でないテンション。それでいてリリシズムも十二分に持ち合わせていて、静のパートではクラシカルなピアノやリリカルな弦アレンジにより情感たっぷり。振幅の激しさでは右に出るバンドは居ないでしょう。

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