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【ユーロ・レーベル探求 第五回】CRAMPSレーベル~巷のクランプス

【第五回】「巷のクランプス」

寄稿:ike333さん

イタリアンロックについては、レーベルを意識したCD再発も結構進んでいますが、一時期、CRAMPSの紙ジャケシリーズがドッと出たときには驚きました。こんなのまで再発して売れるの?と。

ところで「巷のクランプス」と題したのは、私が中高生の頃、欧盤などを扱っている輸入盤屋さんでなくても、なぜか、よく、銀座や自由が丘にあった普通の中古レコード屋でCRAMPS盤を見かけたからです。おかげで私のAREA、ARTI、FINARDI等の原点はこうした中古レコードを安く入手したものにあります。家に持ち帰りターンテーブルに載せてのお得感はとてつもないものでした。

ただし、小遣いの少ない私は、実験音楽・現代音楽を扱ったCRAMPS/DIVERSO、NOVAシリーズは、たとえD.Stratosのアルバムであっても手を出してはいけないと肝に銘じていました。先日、カケレコさんでとうとうD.StratosのCDをGETしましたが、いや~、ホーミーだの雄叫びだの、予想どおり、大人でないと買ってはいけないアルバム達でした。ということで同レーベルについて、少し書いてみます。

AREA

CRAMPSレーベルは空前絶後のアルバム『ARBEIT MACHT FREI』(1973)で始まりました。私が最初に経験したAREAはこれ。冒頭曲の攻撃的な展開、バルカン民謡からきたものだとは知りませんでしたが、聴いたこともない異国風メロディと変則的リズムはインパクト大、さらにその後も超絶テクニックが披露されていくこのアルバムに嵌ってしまいました。

AREAは、超絶・異様な音楽を演奏するバンドなのにInternational POPular Groupと名乗っており(共産党的意味合いがあるのか?)、逆説的にも思えますが、誰でも惹き付ける魅力があるという点は、その名のとおりです。

2作目『CAUTION RADIATION AREA』 (1974)は、A面は前作を引き継ぐもB面は超前衛的。3作目『CRAC!』(1974)は聴きやすくジャズロックのアルバムとして最高!大傑作です。ライブアルバムで前3作を総括し、弦楽4重奏も取り入れた硬派な『MALEDETTI』(1977)の5作目を残してAREAはCRAMPSを離れました。



ARTI E MESTIERI

超絶手数王F.Chirico (dr)らが結成した欧州きってのテクニカルなロックグループのデビュー盤『TILT』(1974)は、ギターのみならずバイオリン、サックスがリードするジャズロックでありながらメロトロンも効果的に活用しており、当時聴いたときにはぶっ飛びモノでした。

2作目の『GIRO DI VALZER PER DOMANI』(1975)は、小曲が連続して展開していき、とても洗練された映画を見ているような錯覚を覚える傑作です。当時レコードを針で傷をつけてしまいプチプチになってしまったため、CD再発は本当に有り難かったです。3作目『QUINTO STATO』(1979)はG.Venegoni (g)が抜け、普通のフュージョン系のアルバムになりましたが内容は結構よいです。


Venegoni & Co

ARTIを抜けたG.Venegoniのバンドで、ARTIの香りを穏やかに残す『RUMORE ROSSO』(1977)、ゆったりした地中海的ジャズロックの『SARABANDA』(1979)を発表していますが、当時の印象は「これぞラテンだ~」。


Eugenio Finardi

De Andreがロックをやっている様なSSWの彼はCRAMPSから5作発表しています。AREAのメンバーやL.Fabbriなどを迎えてアグレッシブな傑作『SUGO』(1976)は、演奏部分はやはりAREAです。『DIESEL』(1977)もAREAのメンバーの参加を得ていて『SUGO』の路線が残っていて結構イケてます。その他、円熟した『BLITZ』(1978)、少し地中海的な『ROCCANDO ROLLANDO”(1979)等を発表しています。



CLAUDIO ROCCHI

元Stormy Sixのメンバーで、プログレ・フォークの名作アルバム『VOLO MAGICO NO1』(1971)を発表している彼がCRAMPSからアルバムを出したのだから相当凄いのだろうと期待してCDを買いました。『NON CE N’E PER NESSUNO』(1979)ではAREAのP.Tofani (g)やE.Finardi (b-vo)で協力していてよい意味で裏切られたというか、歌モノアルバムでした。なおバックは地味ですが『A FUOCO』(1977)も同傾向の歌モノです


BELLA BAND

AREAの弟分とでも言えばよいでしょうか。彼らの多分唯一作『BELLA BAND』(1978)は、テクニカルかつスムーズなジャズロックの佳アルバムです。CRAMPSから登場しただけにAREAやARTIの影に隠れてしまった感がありますが、これだけしかアルバムがないのがとても残念です。

ELECTRIC FRANKENSHTEIN

P.Tofani率いるユニットのたぶん唯一作『WHAT ME WORRY?』(1976)のジャケットは最高にイカレていてイカしてますね。内容は、サイケなロックンロール。エレクトロニクスを駆使するプレスリーの様で、音楽自体とても格好良いです。やはりCRAMPSでないと登場してこないアルバムだと思います。

Donella Del Monaco

言わずと知れたOPUS AVANTRAのソプラノ歌手。彼女はCRAMPSから19世紀の作曲家A.シェーンベルグの作品を歌った、音響もクラシックな趣の、『SCHONBERG KABARETT』(1979)を出しています。

ANDREA TICH

Crampsらしからぬ癒し系ジャケットの『MASTURBATI』(1978)は、L.Fabbriなどがバックを努めており、暖かみのあるプログレ・フォーク調の歌アルバムです。全10曲、30分強と短いながらも好作品です

LUCIO FABBRI

PFMの3代目バイオリニストで有名ですが、彼のリーダーアルバム『AMARENA』(1978)は、バイオリン、G、B、Keyなどマルチプレイヤーぶりを発揮し、フュージョン系の傑作アルバムとなっています。

その他、Raul Lovisoni/Francesco Messinaによるアルペジオが延々と繰り返す『PRATI BAGNATI DEL MONTTE ANALOGO』(1979)、同じオルガンの音が延々と鳴り続けるGiusto Pioの『MOTORE IMMOBILE』(1979)など現代美術館向きの音楽ではありますが一聴の価値はあると思います。

【ユーロ・レーベル探求 第一回】「懐かしのGONG」はこちら!
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CRAMPSレーベル

イタリアン・ジャズ・ロック・シーンを一手に担うCRAMPSレーベル!

AREA

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イタリアのみならずプログレ・シーンを代表するジャズ・ロック・バンドによる73年1st。地中海・バルカン音楽にルーツを持つエキゾチックな旋律と緊張感みなぎるアンサンブルで一気に駆け抜けるテクニカル・ジャズ・ロックに圧倒されます!

ARTI E MESTIERI

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こちらも伊ジャズ・ロックの名盤中の名盤として知られる一枚。超人ドラマー、フリオ・キリコを筆頭に、技巧派で固められたメンバーによって繰り広げられる地中海の香り高き芳醇なるジャズ・ロック。地中海の濃紺の水面が眼前に広がります。

VENEGONI&CO

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アルティを脱退したギタリスト、ヴェネゴーニによるバンドの79年第2作。地中海音楽的なエキゾチシズムを漂わせる表情豊かなジャズ・ロック。時折ギターを中心としたスリリングなアンサンブルが切れ込んでいく場面などはやはりさすがです。

EUGENIO FINARDI

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52年生まれ、60年代初頭には既に音楽活動を行なっていたというカンタゥトーレによる76年作。AREAをバックに従えた今作では、もちろん切れ味鋭いジャジーな演奏が炸裂しております。

CLAUDIO ROCCHI

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イタリアの前衛系プログレ・バンドSTORMY SIXのメンバーであったミュージシャンの79年作。参加メンバーも影響してか、ジャジーな雰囲気も漂うフォーク・タッチの歌物プログレを展開します。

BELLA BAND

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正統派伊ジャズ・ロック・バンドによる78年唯一作。AREA、ARTIと比較すると若干地味ではあるものの、テクニカルでありながらも豊かな情感が滲み出る演奏は、名盤の風格をしっかりと備えています。

ELECTRIC FRANKENSHTEIN

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元AREAのギタリストPAOLO TOFANI率いるユニット、74年唯一作。60年代末期のサイケ・ポップを鋭角に尖らせたようなサイケデリック・サウンドが印象的です。ひしゃげた音色でテクニカルに弾き倒すギターが何とも痛快!

ANDREA TICH

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78年作より。LUCIO FABBRIによるヴァイオリンを始めとしたプログレッシヴなサウンドが交錯するアンサンブルと、温かみのあるポップなメロディーによって織りなされる珠玉のイタリアン・ロック。

LUCIO FABBRI

試聴 Click!

近年はP.F.Mのメンバーとしても活動したヴァイオリニストによる78年作。アグレッシヴなヴァイオリン・プレイが躍動するスリリングなアンサンブルが圧巻です。これはワールドワイドに見てもジャズ・ロック/フュージョンの傑作と言うべき完成度。

関連カテゴリー

CRAMPSレーベル 在庫一覧

  • ARTI E MESTIERI / GIRO DI VALZER PER DOMANI

    イタリアが誇る超絶技巧ジャズ・ロック・バンド、超絶技巧派はそのままにフュージョン・タッチの軽やかさが加わった75年2nd

    プログレッシブ・ロック界を代表する技巧派ドラマーFurio Chiricoといぶし銀のプレイを聴かせるキーボーディストBeppe Crovellaを擁する、イタリアを代表するジャズ・ロックグループの75年2nd。その内容は、前デビュー作の路線を継承しながらよりジャズ・ロック寄りのアプローチを打ち出し、フュージョン色もほのかに香らせながら進行する作風です。楽曲が細分化されているため短くまとまった感じを受けるも、やはりその内容は前デビュー作に引けを取らない密度の濃さと超絶技巧の連続であり、前作よりタイトなサウンドで迫る名盤となっています。

  • AREA / MALEDETTI

    伊ジャズ・ロックを代表するグループ、77年5th

    強靭な声帯の持ち主であるDemetrio Stratosを中心に結成され、超絶的なテクニカルさとバルカン独特の叙情香る、イタリアのプログレッシブ・ロックシーンを代表するジャズ・ロックグループの77年5th。超絶技巧によるバルカン・ジャズ・ロックと非常にアヴァンギャルドな作風を行き来しては進化を遂げてきた彼らですが、本作は後者であり、Demetrio Stratosの図太いボイスやスキャットの前衛パフォーマンスや技巧的なフリー・インプロヴィゼーションを軸として、テープのコラージュ、エフェクトの使用や電子機器によるアプローチでカオティックな世界を作り上げています。

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