2021年11月2日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
世界のプログレをお聴きの方なら、南米のプログレと言えばアルゼンチンやブラジルに思い当たるグループが多くいるかと思います。
しかし、南米は広い。
上記の2大国の他にも、質の高いロック・シーンが築かれてきた国が多数存在します。
今回は、そんな国々から注目すべき作品たちをご紹介していきたいと思います!
まずは、南米第3のプログレ産地と言えるであろうチリからご紹介してまいりましょう~
ケーナ、ロンダドール、タルカ…。アンデス地方の笛楽器が彩る、魅惑のフォルクローレ・ロックを聴かせます。
と思ったら管弦が優美に交差する格調高いチェンバー・ロック展開も挿入されて、これは一筋縄ではいかない好バンド!
「チリのJEFFERSON AIRPLANE」と云われたバンドと言えばAGUATURBIAですが、そのギタリストとベーシストを中心に結成されたバンドと言えば?
ファズを効かせた強烈なギターワークとハイトーン・ヴォーカルが炸裂のラテン・ハード好盤!
鋭角に切り込むリフ&ロングトーンを多用したアヴァンギャルドな音運びがカッコいい、フリップ影響下のギタープレイに痺れます。
『太陽と戦慄』や『ディシプリン』の遺伝子を受け継いだチリの新鋭!
続いては、いきなりニッチ過ぎるボリビアをチェック☆
ボリビアと言われても、銀山くらいしか思い浮かばないかもしれませんが、この作品、ずばり南米シンフォ屈指の一枚です。
格調高い管弦楽器と儀式めいたアグレッシヴなオルガン、エッジの効いたギターが絡み合う、ヘヴィかつミステリアスなシンフォニック・ロックが圧巻。これほどの作品が、英米以外はプログレ黎明期だった73年にボリビアで生まれたとはっ!
ベネズエラの秘宝的名盤と言えばコチラですね。各パートをナレーションで繋げたコンセプチュアルな組曲風大作2曲からなる78年作。エネルギッシュに畳みかけるギター、スリリングにフレーズを紡ぎ出すシンセ・リード、それらを伸びやかなストリングス・シンセが覆う、ドラマチックなサウンドにノックアウト!
「南米パラグアイのBrian Wilson」!?秘境産とはまったく思えぬクールでローファイなポップ・サウンドは初期ROXY MUSIC、XTC等の捻くれポップ好きにも大推薦!
パラグアイと来ればお次はウルグアイ。
そんなウルグアイが誇るシンフォ傑作といえばコレですね!イタリアン・シンフォを思わせる甘美なメロディ、広がり豊かなキーボード、たおやかさ溢れる清純なフルートの調べにもう・・・涙。
こちらも南米では比較的名の通った作品でしょうか。ウルグアイに、キング・クリムゾンとジェントル・ジャイアントをブレンドしたような、イタリアン・プログレ名作にも比肩しちゃうような作品があったって!?このハモンドのアグレッシヴなプレイ、間違いなく南米屈指!
ピンク・フロイドをアル・クーパーがプロデュースしたようなバンドをコロンビアで発見!メロウなアシッド・フォークとたくましいブラス・ロックとの不思議な融合。いいなぁ。
そんな南米の秘境コロンビアに新鋭バンドが!フルートやサックスが彩る東欧プログレにも通じるメランコリーが印象深く響きます。これは名作。
こちらはアンデスのお膝元、ペルー随一のヘヴィ・プログレ・グループ!
南米民族音楽/フォルクローレとヘヴィ・プログレを融合させた唯一無二のスタイルが激カッコいい~。アンデス音楽要素を見事に現代的なサウンドへと取り込んだ現南米指折りの実力派グループによる傑作16年作!
最後に、南米ではありませんが、おまけとしてカリブ海に浮かぶキューバからも新旧プログレをピックアップ!
今や中南米シンフォの古典ですが、改めて、78年のキューバでこんなにもセンチメンタル&ファンタスティックなシンフォニック・ロックが生まれていたとは驚きです・・・。カリブの青空に溶け広がるようなシンセサイザーが気持ちいい~!
これがカリブの島国キューバのバンドだって?このシリアスさと深いダークネスは、ヨーロッパのバンドと言われても信じちゃいますね。フロイド、クリムゾンも取り込んだ、奥行ある幻想性と肉感的ヘヴィネスが渦を巻く会心作!
いかがだったでしょうか?
お時間ありましたら、関連記事も合わせてお楽しみください!
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コロンビアから突如登場しファンを驚かせたシンフォニックロックバンドの08年2nd。ジャケットの翳りある雰囲気はデビュー作に譲りますが、本作はタイトル通り前作の延長上にあるコンセプト作であり、音楽的には確実に前作の流れを汲むものです。スペイン語の男女ボーカルは哀愁を帯びた非常に歌心豊かな雰囲気を持ち、メロウに泣きながら印象的なメロディーを奏でるギターがエキゾチックな風を運んできます。前作でも要所要所で彩り豊かに楽曲を盛り上げてきたフルート、サックスは今回も健在であり、ここぞというところで表情豊かな演奏を聴かせています。また、キーボードの音作りが洗練されすぎていない事が逆にヴィンテージな質感を楽曲に与え、辺境プログレ独特の味を感じさせます。同じ南米でもCastのような突き抜けて派手なシンフォニックサウンドというよりは、どこかしらメランコリックな鈍い輝きを放ち影のある雰囲気というのが、複雑な国内事情を持つコロンビアが作り出した国民性なのかもしれません。前作同様またしても必聴作となっており、辺境プログレッシブロックファンならずとも押さえておきたい作品です。
ボリビア出身、73年の激レア盤。ギターとオルガンによるダーク&ヘヴィなアンサンブルに、格調高いクラシカルなストリングスが絡むヘヴィ・シンフォ・プログレ。線の細い退廃的なムードのヴォーカルがなんとも美しすぎます。手数多くアグレッシヴなドラムも印象的。全体的に謎めいた雰囲気が、なんともボリビア!秘境的名作!
チリ出身のグループ、2010年作2nd。『太陽と戦慄』期のKING CRIMSONを彷彿とさせる、硬質で破壊的なアンサンブルを中心に、ポリリズムによる浮遊感のあるパートなどを織り交ぜたサウンドが持ち味。鋭角なリフ、アヴァンギャルドなロング・トーンなど、ギターはロバート・フリップからの影響大。演奏力も抜群。クリムゾンのファンは是非!
母国キューバのみならず、中米/カリブ地域のプログレ・シーンをリードする存在と言える注目シンフォ・グループによる18年作!一打一打にズシリとした重みあるタイトなリズム、えぐるように生々しいタッチで疾走するギター、ジャーマン/東欧のバンドのような宇宙的な広がりある音世界を描くシンセ、そして厳かに歌い上げる英語ヴォーカル。その深遠かつ途方もなくスケール大きなサウンドは、相変わらずカリブの島国キューバ出身とは思えないシリアスさと深いダークネスを纏っています。ヨーロッパのバンドと言われたらまず信じてしまうでしょう。演奏を劇的に盛り上げるメロトロンの用い方も素晴らしい。これまでになくピンク・フロイド的と言えそうな、幻想的かつ空間を感じさせる音作りが新境地です。終盤に向けての数曲では、クリムゾン的なヘヴィネスも顔を出し、肉感的なダイナミズムを伴って突き進むサウンドがひたすらカッコいい!もとより素晴らしいグループでしたが、ここにきて「化けた」感があります。必聴!
南米チリ出身プログレ/フォーク・ロック・グループの76年リリース3rd。ケーナ、ロンダドール、タルカといったアンデス地域の笛楽器が活躍する豊かなフォルクローレ色が特徴の民族フォーク・ロック。フルートやリコーダーの軽やかで流麗な音色と尺八に近い味わいがあるアンデス笛楽器の音色が美しく絡み合い、弦楽器チャランゴが賑々しくかき鳴らされる、祝祭感いっぱいの演奏は、民族音楽×ロックの醍醐味を存分に味わわせてくれる極上のサウンドです。そんな演奏にこれ以上ないほどにマッチする、いかにも南米のバンドらしい繊細な叙情が滲む歌声とコーラスも堪りません。一方で10分超の最終曲は、フルート/オーボエなどの管楽器、チェロ/ヴァイオリン/ヴィオラなどの弦楽器が陰影豊かに交差する格調高いチェンバー・ロック調のサウンドを聴かせる孤高の一曲。途中どこか緊張感を持ったフォルクローレ・タッチも挿入されて、かなりプログレッシヴなサウンドを展開しています。デビュー時からの哀愁溢れるアンデス調フォーク・ミュージックにチェンバー色を配した独自のアプローチが完成形に至った名作です。
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