2021年9月30日 | カテゴリー:-,50周年記念連載企画「BACK TO THE 1971」,世界のロック探求ナビ
2021年にカケレコがお届けしている特別企画「BACK TO THE 1971」。
今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画です。
ビートルズの活躍を中心としてロックに多様な表現が生まれた1960年代が幕を下ろし、60年代の残り香漂う1970年を経て、いよいよ新たな時代へと目を向けた作品が生まれていったのが1971年という時期。
英米ロックの名作はもちろん、欧州各国の重要作品も取り上げて、各作品の誕生日または誕生月に記事をアップしてまいります。
この機会に、ロックが最もまばゆい輝きを放っていた時代の作品達にぜひ注目していただければ幸いです。
それでは皆で、BACK TO THE 1971 !!!
今回ご紹介させていただくのはこちら、
サンディ・デニーが、フォザリンゲイ解散後にリリースしたソロ・アルバム、「NORTH STAR GRASSMAN AND THE RAVENS」です。
ストローブスの前身のストロベリー・ヒル・ボーイズ、フェアポート・コンヴェンション、フォザリンゲイでの活動を経て、ソロ作品として制作された本作、ほぼ全ての楽曲がサンディ・デニー本人の作曲となっており、ヴォーカリストとしての域を脱し、SSWとしての天賦の才を世に知らしめることとなった作品となっています。
様々な表情を見せるサンディの天賦の歌声が素晴らしいのは勿論のこと、バックを固めるプレイヤー達の熟練のプレイから成る演奏も秀逸です。メインはもちろんサンディの美声ですが、ここぞという時にはしっかりとした自己主張で楽曲を引き締めてくれています。
それもそのはず、参加アーティストは気心の知れた仲間たちです。ギターはリチャード・トンプソン、ベースとドラムは元フォザリンゲイの面々と、お互いのプレイを知り尽くした一体感のあるプレイは安心感さえ覚えます。ソロ初作品とは思えない完成度なのも納得です。
ちなみにジャケットはキーフによるもの。コーヒー豆占いをしているところだそう。暖かさも憂いも感じる素敵なジャケット・アートですよね。
■T-1:LATE NOVEMBERLate November
深みのあるまろやかなアルペジオと、ディレイがかった膨らみのあるギターの音色。憂いが溢れんばかりのサンディのヴォーカル。ブルージーでうっとりしてしまうほどに色気のあるギター・ソロ。気持ちよくないポイントがありません。
こちらはボブ・ディランのカバー。独特なリズムと脱力ヴォーカルが癖になる好カバーです。ボブ・ディランに寄せてか否かはわかりませんが、ちょっと枯れ感のあるサンディ・デニーの歌声が逆に可愛らしくてたまりません。
軽やかに跳ねるピアノと、同じく軽やかで自由に動き回るギター。そこに加わるダブル・トラッキングにより神々しさまで覚えるサンディの美声。予想外のハーモニーを聴かせてくれる良曲です。
いかがだったでしょうか?
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フェアポートを抜けたサンディー・デニーが71年に発表したファースト・ソロ。フェアポートと比べてトラッド色が薄まった分くっきりと浮かび上がる彼女の繊細な歌声が絶品。いかにも英国フォーク的な荘厳なメロディーがまた素晴らしく、盟友リチャード・トンプソンのつぼを押さえたギターも曲を一層引き立てています。
紙ジャケット仕様、05年リマスター、ボーナス・トラック4曲、英国新編集12Pブックレット付仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケース無し、デラックスエディションのシールが貼ってあります。
享年31歳。1978年、不慮の事故でこの世を去ったサンディ・デニーが残した最後の記録。1977年11月27日、アルバム『ランデブー』に伴うツアーからロンドンでのステージを収めた発掘ライヴ盤。
72年の2ndソロ。フェアポート直系の緊張感溢れる英トラッド・フォークだった1stソロに比べ、リラックスした伸びやかな歌声とオーケストラも取り入れた開放感あるアンサンブルが印象的。ソングライターとしても自信が漲っており、「Listen Listen」「The Music Weaver」など、オリジナル曲の完成度は本作がベストだと思います。ヴォーカリスト、ソングライターとして脂がのりきった傑作。
盤質:傷あり
状態:良好
若干角潰れあり
73年作3rdソロ。柔らかな陽光に包まれたサンディのジャケット通りの優しくリリカルな作品。前作において数曲で導入したオーケストラを全体的にフィーチャーし、前作以上に優雅で開放的なサウンドを聴かせています。綺麗なアルバムです。
女性ボーカリストSandy DennyとギタリストRichard Thompsonを擁し、トラッド・フォークの最高峰の1つに上げられるイギリスのグループによる69年4th。69年に彼らは3枚ものアルバムをリリースしており、本作は連続リリースの3作目となります。事故によりドラマーのMARTIN LAMBLEが急逝、DAVE MATTACKSを新ドラマーに迎え、フィドル奏者DEVE SWARBRICKも正式に加入。彼ら代表作の1つであるその内容は、前作では1曲のみだったトラッド曲をアルバム8曲中5曲まで増やし、飛躍的な発展を遂げたエレクトリック・トラッド・フォークの路線にさらに磨きをかけた記念碑的名盤となっています。英国叙情が際立ったトラッド・フォークの代表作と言えるでしょう。
サンディー・デニーを迎え制作された2ndアルバム。68年作。彼女の儚くも凛としたヴォーカルは別格の美しさで、「FOTHERINGAY」などコンポーザーとしても一流。そんな彼女の加入が化学反応を引き起こしたのか、リチャード・トンプソンもギタリスト/コンポーザーとして見事にその才能を開花させています。楽曲、演奏とも新人離れした風格すら感じさせる出来栄えで、英国フォークロックを代表するグループとしての地位を早くも確立した名作。
紙ジャケット仕様、03年リマスター、ボーナス・トラック3曲、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯中央部分に色褪せあり
女性ボーカリストSandy DennyとギタリストRichard Thompsonを擁し、トラッド・フォークの最高峰の1つに上げられるイギリスのグループによる70年5th。名盤となった前作「Liege & Lief」をリリースした後、Sandy DennyとAshley Hutchingsが脱退、Dave Peggが加入して男性グループへとシフトした作品ですが、その内容はグループのフロントであったSandy Dennyの脱退を全く感じさせないブリティッシュ・トラッド・フォークの名盤となっており、特にRichard Thompsonのギターをはじめとしたバンドの緊張感溢れるパフォーマンスは、さすが全盛期の彼らならではのものです。
サンディー・デニーがカム・バックした75年作。サンディー・デニーを中心に作曲された楽曲が多く、彼女のソロ作に通ずる穏やかで美しいメロディーが印象的。75年は、彼女のソロで言えば73年作「Like An Old〜」と77年作「Rendezvous」の間。ソングライターとして脂が乗り切っていて、次々とメロディーが溢れ出てくる状態だったんでしょう。美しいメロディーが詰まった佳曲揃いの好盤。
紙ジャケット仕様、02年リマスター、イギリス編集ブックレット付仕様、ボーナス・トラック8曲、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
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