2021年7月21日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ロック&ポップス
スタッフ佐藤です。
今日は「海の日」ですね。
そんなわけで海にちなんだアルバムを探していたら、中古棚にひっそりと佇んでいるデニス・ウィルソン『PACIFIC OCEAN BLUES』を発見したので、今日はこれをご紹介。
ビーチ・ボーイズのメンバーで唯一のサーファーであり、一人きりの部屋で音作りを楽しんでいたい性格の長男ブライアンとは対照的に、豪快な「海の男」というイメージがある次男デニス。
ビーチ・ボーイズでもロックンロールやR&Bをベースにした黒っぽいノリの楽曲を好んで作曲し、持ち前のソウルフルなヴォーカルで歌っていたデニスですが、不意に「Forever」のようなリリカルなバラードを聴かせてくれるのもまた魅力で、そういう曲を聴くと兄ブライアンに通じるデリケートな感性を内に秘めていたのが分かります。
77年にリリースされたこの唯一のソロ・アルバムでも、そんなデニスの2つの側面がしっかりと表れてるんですよね。
黒っぽさが出たノリの良い収録曲の中では、タイトル曲「PACIFIC OCEAN BLUES」が出色。
リトルフィートあたりにも通じる、絶妙に力の抜けたルーズで心地よい演奏に、少しハスキーなデニスのヴォーカルがよく合います。
一方バラードも良い曲が数曲ありますが、1曲選ぶならやはり「THOUGHTS OF YOU」でしょう。
ピアノをバックに呟くように歌うデニスの儚げなヴォーカルが、穏やかに波が寄せる人気のない海を想起させ、その切ない情景にしみじみしてしまいます。重厚なストリングスと共に盛り上がる劇的な展開も見事な名曲です。
「FOREVER」が好きな方ならラストの「END OF THE SHOW」もグッとくるナンバーなのでオススメです。
39歳の若さで、泥酔状態で海に飛び込み溺死してしまうという悲劇的な最期を迎えたデニス。
唯一のソロ作品になってしまったことが、本作を聴くたびに惜しまれます。
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