2020年11月3日 | カテゴリー:スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。,世界のロック探求ナビ
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カケレコ・スタッフ佐藤です。
「スタッフ佐藤の、コレ好きなんですよ。」は、一般的にはあまり注目を集めることのない作品ながら「実は良い作品なんだけどなぁ、もっと聴かれてほしいなぁ。」とスタッフ佐藤が日頃から感じている、愛して止まない作品たちを取り上げてご紹介していこうというコーナー。
今回取り上げたいのが、フリートウッド・マックの79年作『牙(タスク)』です。
以前ダニー・カーワンを取り上げた時、初期のブルース・ロック時代のマックがたまらない!と書きましたが、リンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスを加えポップ・グループとなった、70年代中期以降のマックも普通に好きです。
時代の変遷とともに主導権を握るメンバーも変わり、音楽スタイルが大きく変化したバンドとして他にもジェネシスがありますが、やはり以前書いたように70年代のプログレ期も80年代以降のポップ期も同じ頻度で愛聴しています。
アーティストと同時代を生き、彼らの作品をその空気感と共に時間差なく堪能する、そんな経験をされたリアルタイム世代への羨ましさを常に感じてきましたが、すべての作品に対してニュートラルな姿勢で接しやすいというのは、私のような後追いのロック・ファンの得な所なのかもしれません。
さて、フリートウッド・マックと言えば、8割方の人が真っ先に思い浮かべるのが代表作『噂』であるのは間違いないでしょう。なにせ31週にわたって全米No.1の座に君臨したというのだから、モンスターアルバムもいいとこです。
実際、その完成度の高さは尋常なものではなく、当時メンバー間の人間関係が悪化していたことなど信じられないほどに演奏に一体感が感じられ、各人の才能が結晶化したような大傑作ですよね。
そんな大ヒット作をものにしたバンドが次に求められるのは、それすら越えるほどの超ヒット作。前作以上の作品をレコード会社やファンから求められるプレッシャーに悩み、低迷に陥ってしまうアーティストも少なくありません。
『噂』ほどのビッグヒットを送り出したマックに対してもレコード会社や周囲からの期待は相当なものだったでしょう。
そこに来て彼らが発表したのが、この『牙(タスク)』という2枚組全20曲の大作アルバムでした。
価格面での敷居の高さはもちろん、ともすれば冗長とも受け取られかねない2枚組アルバムは、セールス面のみ考えるなら『噂』に続くアルバムとしてはリスクが大きかったはずです。
事実、『牙』は全英1位、アメリカでも当時ダブル・プラチナムを獲得したものの、ビルボード最高は4位と前作のような大ヒットには至りませんでした。
しかし、このタイミングで2枚組アルバムを出すという大胆な選択にこそ、『噂』の次なるアルバムという呪縛に捉われることがなかった彼らの「余裕」が感じられるように思うのです。
本作には、3人のコンポーザーがそれぞれ比較的自由に作った曲を詰め込んだ作品集という色合いがあります。アメリカ人らしいカントリー・タッチも織り込んだ自然体のスティーヴィ・ニックスの作風、落ち着いた叙情的な曲調が英国らしさを感じるクリスティン・マクヴィーの作風 そしてエルトン・ジョンあたりにも通じるノリが良く奔放なポップ・センスに実験的な音作りも兼ね備えたリンジー・バッキンガムの作風。
『噂』では結晶化されていたメンバーの個性が曲ごとに現れ、より各人の持ち味を実感できる楽曲が並びます。
その点で、『噂』に続くアルバムとしてよりは、メンバーの「個」の魅力を知るための作品集として聴くと、本作ならではの魅力をより堪能できるのではないかと感じるのです。
ビートルズで言えば「ホワイト・アルバム」を楽しむ感覚と言えるかもしれません。
圧倒的な完成度の高さに唸らされるような『噂』とは違った、ミュージシャンが伸びやかに曲を作り演奏しているのが伝わるこの心地よさに満たされた本作も、それに負けないくらいに堪らなく好きなアルバムです。
SARA(Stevie Nicks)
Never Makes Me Cry(Christine McVie)
That’s all for everyone(Lindsey Buckingham)
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2005年リマスター、ボーナス・トラック5曲、歌詞対訳なし、定価1000+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
69年作3rd。英アルバム・チャート最高18位。デビュー・シングル「アイ・ビリーヴ・マイ・タイム・エイント・ロング」をはじめ、ビートルズの「サンキング」にも影響を与えたとされる美しいインスト曲「あほうどり(アルバトロス)」(初の全英No.1シングル)、ここ日本ではサンタナのカヴァーで有名な「ブラック・マッジク・ウーマン」などを収録。極めてベスト盤的な内容に仕上げられている。なお、この時期からダニー・カーワンが参加、ピーター・グリーン、ジェレミー・スペンサーとのトリプル・ギター編成となる。
廃盤希少!紙ジャケット仕様、SHM-CD、復刻歌詞カード/内袋付き仕様、定価2286+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
2枚組エクスパンデッド・エディション、デジタル・リマスター、定価2857+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干黄ばみあり
4枚組ボックスセット、情報シール付仕様、ブックレット付仕様、定価9800
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯-
ジャケ1枚に若干指紋汚れあり、情報シール無し、ボックスに小さい角潰れあり
三方背ケース付き仕様、2枚組、ボーナス・トラック3曲を含む全30曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
三方背ケース圧痕あり
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