2020年4月16日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは。
スタッフ佐藤です。
ハード・ロック・ファンにもプログレ・ファンにも愛される英国の名バンドと言えばユーライア・ヒープ。
名盤の多い彼らですが、個人的に一枚選ぶとすれば、72年リリースのコンセプト・アルバム『Magician’s Birthday(魔の饗宴)』です。
前作までに増してキャッチーなハード・ロック・ナンバーがそろう一方で、ラストの表題曲におけるドラマチックで構築的な曲展開もまた堪らないものがあるんですよね。
今回はそんな『魔の饗宴』から出発して、ドラマチックなハード・ロック作品を各国で探求してまいりますっ!
英国オルガン・ハードの代表格、彼らの全盛期を代表する三部作の最終作。英国らしいファンタジックな幻想性とドラマチックなスケール感、そしてハード・ロックの力強さを備えたヒープの真の魅力がここに!
ドイツには、ヒープのヴォーカルとなるジョン・ロートンが在籍したこのグループがいましたね。
突っ走るジャーマン・メロディアス・ハードと言えば、スコーピオンズとこのグループ!このスリリングに急展開しながら進行するサウンドとハイトーンのドラマティックなヴォーカル。とにかく終始グッときっぱなし!
マイナーですが、英国ロック的なドラマ性を帯びたこんな好盤もドイツにはあります。
ウィッシュボーン・アッシュやらクレシダ、そしてバークレイ・ジェームス・ハーヴェストあたりにも通じるサウンドは実にドラマティックですなぁ。このドイツのバンド、VERTIGOやHARVESTの作品のファンには是非一聴いただきたい!
続いては、まさに「イタリアのユーライア・ヒープ」って感じもあるこの作品をセレクト。
ユーライア・ヒープがバロック様式の教会で録音したとしたら、こんなサウンドになる!?デヴィッド・バイロンが歌ってもハマりそうなドラマティックなメロディも特筆。 伊ハード/ヘヴィ・シンフォの隠れ名作ですね!
プログレ寄りですが、劇的さという点ではこれも推したい!
ハードロック的凶暴さとクラシカルな叙情性を絶妙に織り交ぜたあまりに劇的なサウンドは、イタリアン・ロックに求めるべき要素を余さず揃えたものと言えるかも。イタリアン・ロック・ファンなら絶対に聴いてほしい名盤!
拠点はイギリスですが、サウンドは骨太かつドラマチックなアメリカ出身バンドといえば彼ら!
もとはテキサス出身ながら、英国に拠点を移しEL&PのManticoreレーベルからデビューしたのが彼ら。73年にリリースされた本作は、Greg Lakeを彷彿させるヘヴィかつマイルドなシャウト・ヴォーカル、演奏、アレンジ、楽曲ともに圧倒的に強力っ!米バンドらしいブルージーなコクや骨太さと楽曲が持つドラマチックさとのバランスが絶妙ですね。
今度は「スペインのキング・クリムゾン」とも言うべきグループですが、熱いハード・ロック要素もたっぷりなこちらをチョイス♪
スペインのキング・クリムゾン!? オザンナ『パレポリ』ばりの狂おしいフルートと重厚なメロトロンが炸裂!ずばりユーロ屈指のヘヴィ・シンフォと言える名作。のちにメロディアス・ハードなサウンドに進むだけあって、ハード・ロック的ドラマ性も備えた一枚です。
もっとディープにまいりましょう。極上の哀愁ハード・ロックを聞かせるエストニアの伝説的バンド!
ドラマー/ヴォーカルのGunnar Graps率いる70年代エストニアの伝説的ハード・ロック・グループ。ツェッペリンも思わせるブルージーな演奏を土台に、イタリアン・ロック彷彿のダイナミックさ、説得力あるエストニア語のヴォーカルを乗せた、哀愁ハード・ロック・ファン必聴音源ですよ~!
南米にもありました、ドラマチックで熱量みなぎるハード・ロック!
今なお現役で活躍中、チリの大御所バンドによる「愛」を謳ったメロディアスなサイケ・ハード・ナンバー。ラテン・ロック期のSANTANAに通じる湿った哀愁が溢れ出す名曲ですね!
アルゼンチンからは最近の作品を。でも当時のメロディアス・ハードそのままのサウンドがたまらないんですよ。
80年代初頭から時が止まってるんじゃないかと思うほどに、あの時代のメロディアス・ハードを熱いサウンドで聴かせるアルゼンチンのグループ。ゴリゴリとヘヴィなリフワーク、声量豊かなスペイン語ヴォーカル、こりゃグッと来ます…!
ラストは、辺境の中の辺境イスラエルのハード・ロック。これがまたびっくりするくらいに劇的なんですよ~。
イスラエルにもハード・ロックが!? BUGIEを彷彿させる疾走感溢れる曲や華麗なストリングスとファズ・ギターが混ざり合うドラマティックな曲や、もうハードロック史上に残る傑作!
いかがだったでしょうか?
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左右に配された2本のギターが時に美しくハモリ、時にお互いのリードをぶつけ合う。世界各国に生まれたツイン・リード・ギターの作品を定番からニッチ盤までピックアップ!
DEEP PURPLE、LED ZEPPELIN、BLACK SABBATHに並ぶ、70年代英国HRを代表する名グループ。1972年5THアルバム。結成当初のヘヴィ・ロックから、キャッチーで疾走感溢れる名盤『対自核』を経て、徐々に音楽性を変化。イニシアティブを鍵盤奏者のKen Hensleyが握り始め、アコースティック・ギターやキーボードをフィーチャーした叙情的でドラマティックなサウンドとなりました。本作は、鍵盤重視の音楽性をよりはっきりと示した集大成的な内容。オルガンに加えて、シンセサイザーの音色も印象的です。特にアルバム最後に収められた、10分を越すタイトル曲「MAGICIAN’S BIRTHDAY」は素晴らしい出来栄え。Roger Deanによるアルバム・ジャケットの如き、色彩豊かな幻想世界が繰り広げられます。親しみやすいヴォーカル・メロディに、ムーグ・シンセサイザーを被せて、呪術的な雰囲気を演出し期待感を煽ります。更に中盤に置かれたMick Boxのギター・ソロ・タイムは圧巻。計算尽くされたワウペダルの操り振りには鳥肌です。HR度の高い『対自核』では楽しむことが出来ない、アコースティックで繊細な世界感。本作を聴いて、URIAH HEEPの真の魅力に触れてください。
78年作の1stアルバム。荒れ狂うフルート、スリリングなヴァイオリン、重厚なメロトロン、圧倒的にヘヴィなギターが休むことなくバトルを繰り広げるアグレッシヴなプログレッシヴ・ロック。混沌とした中にヴァイオリン&フルートの叙情的なフレーズが立ち上がる瞬間など、押し一辺倒ではない構成力も抜群。スペイン・ロックを代表する傑作。オザンナ「パレポリ」が好みの方は必聴!
イスラエル出身、60年代に後半に活躍したCHURCHILLSを前身に、JERICHO JONESと改名してイギリスに渡ってアルバムをリリースした後、さらにバンド名を短くJERICHOと改名。72年にリリースしたイスラエルが誇るヘヴィ・プログレ/ハードの逸品。エッジのたったトーンでスピーディーに畳みかけるギター・リフが引っ張るアグレッシヴなサウンドが持ち味。痺れるキメのリズム・チェンジなど、自由自在のアンサンブルはさすがイスラエル・ハードNo1グループ。炸裂するシャウト・ヴォーカルも素晴らしい。英国のハード・ロック名作にも一歩も引けを取らないハード・ロック史上に残る傑作。
ジャーマン・ハードの名グループ。72年作の2ndアルバム。変拍子を多用した構成は前作に比べかなりダイナミズムを増しています。現代音楽的なピアノやロバート・フリップを想わせるアヴァンギャルドなギターをフューチャーしたプログレッシヴなアンサンブルも前作以上の緊張感。ジャーマン・プログレを代表する名作。
エストニア・ロック・シーンの名ドラマー/ヴォーカリストGunnar Grapsが70年代に率いたギタートリオ編成のハード・ロック・バンド。70年代前半に録音された音源10曲を一枚のアルバムとして編集した18年リリース作品。変則的な内容ではあるものの、各曲にみなぎるエネルギーは並ではありません。イタリアのBIGLIETTO PER L’INFERNOやRACCOMANDATA RICEVUTA RITORNO等を想起させる、幻想的なアコースティック・パートとゴリッとヘヴィなハード・ロック・パートで構築された1曲目から素晴らしく、イタリアン・ロック・ファンならここで早くもハートを鷲掴みにされそう。エッジの立ったスピーディなギターリフに乗ってヴォーカルがユーモラスに歌う2曲目、饒舌なギターとヴォーカルの絡みが絶品なけだるいブルース・ロックの4曲目も素晴らしく、エストニアということ忘れるほどのメインストリームな本格感が漂います。ブルースを土台に細かなニュアンスにまでこだわった高い表現力を持つギターはもちろん、テクニックに裏打たれた安定感と共にグイグイと演奏を引っ張る性急なビート感も持ち合わせたGunnarのドラミングも見事です。しかし最大の魅力と言うなら、Gunnarの全編にわたりこれでもかと哀愁たっぷりに歌い上げるエストニア語ヴォーカル。ヨレヨレのようでいて不思議な説得力を帯びた歌声には何か天性のものを感じさせます。辺境哀愁ハード・ロックとして、これは多分とんでもない発掘モノ!
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