2020年10月25日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
1993年にリリースされたアネクドテンによる衝撃のデビュー・アルバム『暗鬱』。キング・クリムゾンをはじめとする70年代プログレッシヴ・ロックのDNAを受け継ぎつつ、オルタナティヴ・ロックの粗野なヘヴィネスも加え、新たな感覚で新世代プログレッシヴ・ロックが轟音メロトロンとともに高らかに鳴らされました。
それ以降、アネクドテンを輩出したスウェーデンに負けてなるものか、とばかりにイタリアでも数多くの70年代イタリアン・ロックのDNAを継ぐバンドが生まれ、さらに、本場イギリス、ユーロ各国、南米や北米でも、往年と変わらぬ勢いで続々と新鋭プログレ・バンドが生まれました。
アネクドテンを率いるNicklas Barkerは1969年生まれ、イタリアで数多くのプログレ・バンドを率いる奇才Fabio Zuffantiは1968年生まれで、ともに60年代末に誕生しているのは偶然ではないはず。リアルタイムで70年代プログレを体験していない”後追い世代”が、90年代ロックと並行して70年代プログレを再発見し、プログレのフォーマットに新鮮な驚きを感じ、そのフォーマットの中でリアルタイムのロックとして鳴らしたサウンドこそ新世代プログレッシヴ・ロックであると言えるでしょう。
00年代に入っても新鋭プログレ・シーンの勢いはおさまらず、70年代サウンドへのオマージュに満ちたバンドから、さらにポスト・ロックなども取り込みながら進化していくバンドまで、世界各国を舞台に音の幅を広げながら、次々と鮮烈なる作品を生み出しています。
はたして2020年にはどういった名作が誕生するのでしょうか。
本記事は、新たな作品が入荷するたびアップデートしていきます。
是非、ブックマークして最新のプログレッシヴ・ロック・シーンの動向をチェックいただければ幸いです。
なお、2019年終盤の発表作品も今年到着したものはこちらでご紹介しております。
それでは、世界の新鋭プログレ作品をめぐる探求の旅へといざ出発!
CAMEL系シンフォの名作と言えた前作2ndから実に10年。持ち前のCAMEL系シンフォ・スタイルに、ハケット、アニー・ハズラム、ビリー・シャーウッド、ジャスティン・ヘイワードらゲストの持ち味を絶妙に溶け込ませた手腕が光る待望の2020年3rd!
ゆったりテンポの中でギターが幻想的にたゆたう叙情パートから、火が付いたようにハイテンションなリズムとギターばりの速弾きヴァイオリンによる超絶アンサンブルへとなだれ込む展開が鮮烈!『YOU』GONGを受け継ぐロシア新鋭による快作!
なんと素晴らしいのでしょうか…。溢れ出る瑞々しいメロディ、芳醇なコーラス、ELOばりに気品たっぷりの管弦楽アレンジ。まさに至福のプログレ・ポップ空間!MOON SAFARIファンにもオススメです。
MAGMAの暗黒感とロバート・ワイアットの幽玄さに、洒脱でどこか退廃的なビッグバンド・ジャズの要素を加えたようなアンサンブルが格好良すぎ…。2人の女性Vo.によるスキャットが妖艶に絡み合う、一筋縄ではいかない仏ジャズ・ロック新鋭!
16年作『LOST AND FOUND』に収録されていた約1時間に及ぶ超大作ナンバーが、完成度を大きく増して蘇る!ピーター・ガブリエル直系の新ヴォーカルによってファンタジック度が劇的にアップしたサウンドは、初期GENESISファンにも直撃!
EL&Pとリック・ウェイクマンとKANSASを掛け合わせたようなワクワク感!?クラシカルかつファンタスティックに紡がれるシンフォ・サウンドに胸がいっぱいになるなあ。『地球』というタイトル通り、国境を超えて集ったミュージシャンによる傑作!
7年の沈黙をエネルギーみなぎるヘヴィ・シンフォによって破った、現伊プログレの雄による20年作6th!冒頭3分間でMUSEOやBANCOなど往年の伊プログレ・ファンなら歓喜に震えること必至ですよ~。
試聴は下記ページで可能です!
https://lamascheradicera.bandcamp.com/album/s-e-i
来日も果たしたポーランドの注目アーティストによる、壮大なる三部作の第2弾!清涼感あるギターが主役のメロディアスなナンバーから24分にわたる大作までエモーショナルかつ劇的に聴かせていて、相変わらず才気ほとばしってるなぁ…。
ここからは、国別に2020年新鋭タイトルをチェックどうぞ☆
SAMURAI OF PROGのメンバー2人が、「ガリヴァ―旅行記」をテーマに描く20年作!オルガン、ギター、ヴァイオリンらを中心に紡がれる艶やかで気品に溢れたシンフォ・サウンドは、本家SOPと同等の感動をもたらしてくれます。オススメ!
コロナウイルス影響下の世界情勢に対する表明として制作されたというEPですが、そのサウンドはGENESISやCAMELへの愛情に溢れた、らしさ満点の輝かしきシンフォニック・ロック!
まるでYESのクリアなファンタジーとRENAISSANCEのクラシカルな気品高さが融合したかのようなスケール大きく迫るシンフォニック・ロックが圧巻。00s英国シンフォの雄による貫禄の20年作!
CARAVAN直系のノスタルジックなサウンドが特徴の英国新鋭バンド。今作はそこへGONGや初期ソフツを思わせる怪しいサイケ感も加わっていて、ピリリとスパイスの効いた作風が素晴らしいですっ!
GENESIS彷彿の奥ゆかしいファンタジー、TFKに通じるヘヴィさも交えた熱くドラマチックな叙情、初期SPOCK’S BEARD的なスケール感を帯びたポップセンスなどを凝縮したサウンドは、前作からさらに躍動感一杯に突き抜けていて感動的!
この完成度は凄いです…!EGGやNATIONAL HEALTHなどのカンタベリー・ロックに影響を受けた英国新鋭による20年デビュー作。カンタベリー・ファンはズバリ必聴です。
GONG、GENTLE GIANT、ザッパが好き?でしたらこのシニカル&ユーモラスな英国ジャズ・ロック新鋭、オススメです。不穏でいてどこか牧歌的な雰囲気漂う20年作。
00s英シンフォ代表格MAGENTAを率いる才人Robert Reed参加ユニット、14年ぶりとなる20年作!心地よいエレクトロ・サウンドとエモーショナルでハートフルな生演奏とのバランスが素晴らしい、流石の一枚です。
CAMELの一員に抜擢された盲目の天才マルチ・プレイヤーによるソロ・プロジェクト、待望の初ライヴ音源&映像!GENESISやCAMEL影響下のサウンドに現代的なクリアなキャッチ―さを注入した、マジカルなシンフォニック・ロックはライヴで一層躍動感いっぱいに迫ってきて素晴らしい!
GENESISをはじめとする70s憧憬に満ち溢れた繊細なファンタスティック・シンフォがたまらない・・・ポンプ・ロック名バンドABEL GANZの元メンバーらによる新バンド、20年作2nd!
ポンプ・ロック周辺で活動するマルチ・プレイヤー、20年作。初期GENESISの英国の香りいっぱいの楽曲とJADISに通じる気品に溢れたクリアーな音使いが絶品のメロディアス・シンフォ作!
エレクトロニクスを散りばめたモダンな音作りと、ピアノを軸とする凛と静謐な音空間をセンス良く織り込んだ、英国らしい格調高さと浮遊感に満ちた良質なシンフォを奏でます。あのMostly Autumnのキーボーディストによる新グループ!
英国を拠点に活動するウクライナ人ミュージシャンAntony Kalugin率いるグループ、なんと前作から1年を待たず届けられた11th!THE FLOWER KINGS影響下のサウンドをベースに、幻想のカーテンをなびかせるシンセ、ハケットからロイネまでを自在に行きかうギター、語り部のように丹念な男女Voらがファンタジックに織り上げる、さすが極上の一品!
『DRAMA』~『90125』期の80年代イエスへのリスペクトに満ち溢れた「シンセ・ポップ+プログレ」な英ユニット!T.ホーン彷彿の華やかなアレンジ、T.ラヴィンばりの色彩感あるギター、そしてジョン・アンダーソンによく似たハイトーンと、こだわりが素晴らしい♪
この英バンド、残響音を強調した淡く幻想的なギターと伸びやかなヴォーカルが特徴の開放感に溢れたメロディアス・ロックが絶品です。FOCUSのThijs Van Leerが参加しているのにも注目!
「PINK FLOYD+TOOL」!?重くタイトに刻むリズム隊とエッジの立ったソリッドなギターワークが強烈なヘヴィ・プログレに、メランコリックで幻想的な音響を纏わせた力作です!
バンド・パートとメンバーのソロ・パートを均等に収録した16/17年のライヴを収録。MAGENTAというバンドの懐の深さが味わい尽くせる内容です♪
初期YES風のファンタジーを紡いだかと思うと、次の瞬間にはOZRIC TENTACLESばりの酩酊感でサイケデリックに疾走を始める、色彩豊かで目まぐるしいサウンドに翻弄されます。でも英国らしい「気品」は終始溢れんばかりで、この新鋭はGOODですよ~!
クリムゾンやGGとキャラヴァンの間を揺れ動く、「ヴィンテージ×テクニカル」なアンサンブルがお見事!スリリングなのに暖かみもあって、これは今までありそうでなかった感じ!
ヴィンテージなオルガンやエレピ炸裂するグルーヴィーなポップ・ロックが実に良いなあ。STEELY DANや後期CARAVANを思わせる、洒脱で温かみあるアンサンブルが楽しめる米新鋭19年作!
シンセサイザーをはじめとするキーボード群がスケール大きく広がる、心地よい浮遊感を帯びたシンフォニック・ロックが素晴らしい…。SOUND OF CONTACTを率いる才人キーボーディストDave Kerznerによる注目バンド!
前作まではMARILLION影響下のサウンドが特徴でしたが、本作ではPINK FLOYD色が非常に濃厚に。ふくよかなオルガンの上でブルージーに踊るギター。フロイド・ファンならニンマリすること間違いなし。
ムゼオやイル・バレット・ディ・ブロンゾなど往年のイタリアン・ヘヴィ・シンフォの空気をそのまま詰め込んだような、ヴィンテージ感溢れるアンサンブルがたまらない!
『サダコと千羽鶴』を題材にしたコンセプト作なのですが、クラシカルかつほのかなダークさを孕んだスケール大きな鍵盤プログレは、レ・オルメ、ラッテ・エ・ミエーレ、イルバレがお好きなら要注目!
シチリア島出身!?この湿っぽさ、英国としか思えない…。繊細なメランコリーとヴィンテージな浮遊感に包まれたフロイド直系グループ!
ポップさと牧歌性と、スパイシー&ユーモラスな実験性が合わさったサウンド、ケヴィン・エアーズのファンもグッと来そう。シチリア島出身、カンタベリー・フィーリング溢れるジャズ・ロック新鋭、今作もカケレコメンドです!
初期MARILLIONやIQ直系のドラマチックさ×イタリアン・ロックの熱さ!?元ROME PRO(G)JECTのドラマー率いるバンドの20年デビュー作なのですが、これはハード&キャッチーなプログレ好きには是非聴いて欲しい力作です!
ミラノ出身バンドによる4thなのですが、これはお見事。P.F.M、LE ORME、BANCOなど自国のレジェンドからの影響と、00sバンドらしいスタイリッシュなサウンドメイクが絶妙に調和、これでもかとドラマチックなシンフォを聴かせてくれる快作!
UNREAL CITY、CELLAR NOISEという現イタリア屈指の有力バンドのメンバーらが結成した期待の新鋭バンド!バンコやムゼオら70s伊プログレを受け継ぐ、オルガンとメロトロンを軸にした哀愁のクラシカル・プログレは洗練されつつも風格に満ちていて圧巻!
まるでCELESTEがいきなり初期OSANNAになったような、繊細さと激しさの落差大きなサウンドが魅力。シアトリカルでエキセントリックなイタリア語Voも素晴らしい、これは期待のイタリア新鋭!
ヘヴィな硬質感とクラシカルな気品高さ、そして哀愁溢れるイタリア語ヴォーカル。この気高くも熱いシンフォニック・ロックは、NEW TROLLSやLOCANDA DELLE FATEあたりのファンなら是非!
ジャケはアレですが、内容はGENESIS憧憬と明快かつスケール大きく広がるモダンな音作りが見事に共存する、聴きやすくも風格に満ち満ちたシンフォニック・ロック!BIG BIG TRAINやSPOCKS BEARDやECHOLYNがお好きならこれは是非!
キレのあるギター、オルガン、シンセらが躍動する歯切れのいい演奏に、朗々と力強いイタリア語ヴォーカルが抜群に映えるメロディアス・プログレ!なるほど、QUASAR LUX SYMPHONIAEのギタリストによるバンドだったのね。
フロイドの翳り×マイク・オールドフィールドの雄大さ meets フランスらしい耽美さ!?ほの暗くも伸びやかに広がるメロディアス・シンフォが絶品。
仏語の耽美でアンニュイな響きを生かし自己陶酔たっぷりに歌い上げるヴォーカルがたまらない!ANGE好きなら必聴の濃密なフレンチ・シンフォが楽しめます。
異郷の地で鳴らされたカンタベリー・ロック!?フランスらしいうっすらダークで幻想的なタッチに、トルコ人奏者によるエキゾチックなサックスが哀愁を添える、注目のユーロ・ジャズ・ロック!
A.フィリップスやS.ハケットのリリカルなアコギ曲がお好きなら、このオランダのギタリストは是非聴いてほしいなぁ。アコギ一本で表情豊かに綴られる流麗な演奏に耳を奪われる名品です。
ホールズワースばりの超絶ソロからS.ロザリー調のエモーショナルな泣きまでを自在に弾きこなす超実力派ギターが痛快!00sのMARILLIONがお好きならこのポーランド新鋭はイチオシです♪
音楽教師でもあるポーランドのマルチ奏者、ヴァンゲリス風シンセ・ミュージックと、様々な民族楽器を用いたワールド・ミュージック的センスが同居するユニークなスタイルにワクワクしちゃいます♪
MARILLIONと共にステージに立つ権利を得られる「Swap The Band」コンテストの勝者3名によって結成されたプロジェクト・バンド!期待を裏切らず、隅々までMARILLION愛に満ちた珠玉のサウンドを鳴らしています。
同郷RIVERSIDEに通じるメランコリーとヘヴィネス+ハード・ポップ的キャッチ―さ!?実直でハートフルなヴォーカルも魅力のポーランド新鋭20年作2nd!
ドラマチックで哀感ある女性Voバージョンと素朴で温かみ溢れる男性Voバージョン。ヴォーカルが違うだけでここまで音の印象が変わるとは…。『雪の女王』をテーマに主人公ゲルダとカイの視点を2枚組で描くシンフォ傑作!
ずばり「優美な気品が加わったフロイド」。PINK FLOYD直系のメランコリックで夢想的なサウンドの中、端正かつ妖艶に響き渡るピアノが極上だなあ。
淡々とクールなようでいて、その内には確かなエモーションを感じさせる演奏にグッと来ます。2本のギターと物悲しさを帯びたヴォーカルが織りなす哀感溢れるメロディアス・プログレ。
あのORGANIC NOISESのギタリスト&キーボーディストによるバンドなだけあって、息をのむほどに技巧的で鮮やかな隙のないインストゥルメンタル・ジャズ・ロックを聴かせてくれます。「洗練の極致」と表現したいほどに完成された圧巻の傑作!
ゴリゴリ凄まじい圧力で畳みかけるリズム・セクションと、嵐のような轟音ヘヴィリフが波状攻撃のように迫りくるプログレメタルと、ストリングスを用いた退廃的なゴシック・エッセンス。ポーランド産ゴシック・プログレ・メタルの逸品。
17年に惜しくもリーダーHansi Crossを亡くしたスウェーデンの名シンフォ・バンド。彼の生前の録音を元に、スティーヴ・ハケットやロイネ・ストルト等のバンドで活躍するNad Sylvanがヴォーカルを吹き込み完成した感動のラスト・アルバム!
ずばり「踊れるMAGMAやANEKDOTEN」!?エレクトロ的洗練味と肉感的なアンサンブルが融合したアンサンブルがカッコ良すぎ…視聴是非!
RUSH、KANSASあたりを思わせる明朗なプログレ・ハード・スタイルと北欧シンフォらしいファンタジックさが心地良く合わさったアンサンブルがたまらない!FLOWER KINGSのリード・ヴォーカリスト率いるバンド、堂々の19年作4th!
CAMEL彷彿のファンタジックで気品たっぷりのシンフォニック・ロックに、ジャズ/フュージョン的な滑らかさ、北欧フィンランドらしい神秘的な民族音楽エッセンスを加えた独自のスタイルは非常に完成度高し。SAMURAI OF PROGのドラマーによる息をのむような傑作!
フロイド彷彿のサウンドと北欧らしい神秘性を融合させたサウンドが実にユニーク。奥ゆかしいリリカルなメロディ、言葉を選ぶように丹念に歌う英語ヴォーカルなど、ヴィンテージ感をとことん大事にしたスタイルが素晴らしい~。
CAMELの豊かな情感はそのままにより緻密でテクニカルにしたような、ヴィンテージ色たっぷりのシンフォニック・ロックがもうとにかく素晴らしい。なんと東欧はベラルーシ出身のグループ!
いかがだったでしょうか?
気になる作品を見つけていただけたなら幸いです。
今年もカケレコは、各国からリリースされる新鋭プログレの注目盤をドシドシご紹介してまいりますので、乞うご期待♪
2019年の新譜特集【新鋭プログレ編】はこちら。
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2018年の新譜特集【新鋭プログレ編】はこちら。
ポーランドの新鋭プログレ・バンドWALFADの中心メンバーにして、2019年にはソロ来日公演も果たしたギタリスト/ヴォーカリストによる20年作。第一次大戦後に彼の出身地シレジア地方で起きた「シレジア蜂起」を題材にした三部作の第2弾となります。シリアスな題材からは重厚なサウンドを想像しますが、鉄琴の涼やかな音色と清涼感あるギターサウンドで紡ぐ極上のメロディアス・ロックが飛び出してきて、1曲目から早くも心奪われます。少しハスキーな声で切々と感情を込めて歌うポーランド語ヴォーカルも絶品です。そして24分に及ぶラスト・ナンバーも注目の一曲。マンドリンの哀愁の調べに導かれ慈愛溢れるヴォーカルがエモーショナルに歌う東欧らしい憂いに満ち満ちた前半、ハードエッジなギターを主役にドライヴ感抜群のアンサンブルへ突入する痛快な後半と、見事な構成で一気に聴かせます。随所で高らかに鳴らされるトランペットも効果的です。これは傑作と言えた前作に負けず劣らず素晴らしい快作!
【カケレコ国内盤(直輸入盤 / 帯・解説付仕様)】デジパック仕様、定価2990+税
レーベル管理上、デジパックにスレや若干圧痕・角潰れがございます。予めご了承ください。
【カケレコ国内盤(直輸入盤 / 帯・解説付仕様)】デジパック仕様、定価2990+税
盤質:未開封
状態:良好
帯有
帯解説は外付け・盤は未開封
ポーランド出身、アルメニアの伝統音楽を取り入れた注目グループORGANIC NOISESのギタリストRobert WierciochとキーボーディストKarolina Wieriochを中心とするプログレ・グループの19年デビュー作。切れ味の鋭さと哀感が同居するフレーズを次々と紡ぎ出すテクニカルなギター、ジャズを基軸にクラシカルな美麗さも織り交ぜて鮮やかに舞うピアノが交錯する、洗練の極致と言いたくなるほどに隙のないインストゥルメンタル・ジャズ・ロックを展開します。ORGANIC NOISESから民族エッセンスを抜き、よりタイトで硬質に再構築したようなアンサンブルのカッコよさと言ったらありません。あまりに技巧的で洗練された演奏に耳が行きますが、ポーランド・プログレの特徴とも言えるPINK FLOYD的なメランコリーと空間的な広がりを持つ音響も随所に散りばめてあり、陰影に富んだ幻想美が立ち上がってくるナンバーも魅力的。ORGANIC NOISESを気に入られた方は勿論、テクニカルなジャズ・ロックのファンには是非聴いてほしい傑作です。
こ、これは素晴らしいですっ!EGGやNATIONAL HEALTH、HATFIELD & THE NORTHに強い影響を受けた英国のkey奏者とドラマーによるデュオ、20年デビュー作。1曲目から淡いキーボードと共に女性Vo.のスキャットが響くHATFIELD直系の幻想的な音世界が広がり、EGGのデイヴ・スチュワートを思わせるアグレッシヴなファズ・オルガンも躍動し、2曲目ではオルガンやシンセサイザー、ドラムにベースが激しくも色鮮やかに駆け抜けるNATIONAL HEALTH「Tenemos Roads」ばりのアンサンブルが繰り広げられる。温もりあるハモンドを中心とした、どこまでも70’sカンタベリー愛溢れる叙情的インスト・ジャズ・ロック・サウンドには胸ときめかせずにはいられません。なおかつ決して70年代の再現に収まらず、暖かみを保ちつつスペーシーでアンビエンタルなシンセサイザーがダイナミックな広がりを創り出す壮大な楽曲も。ANEKDOTEN的メロトロンの洪水を堪能できるパートもあって、これは堪りません…。カンタベリー好きは必聴の傑作!SOFT MACHINEでおなじみのセオ・トラヴィスやTANGENTのAndy Tillisonがゲスト参加。
ピンク・フロイド憧憬のメランコリックなサウンドを聴かせるポーランド新鋭、20年作3rd。これは素晴らしい!前作のややハードでモダンな作風と比較すると、本作は1st時の幻想的で浮遊感に満ちた雰囲気が戻ってきた印象。タイトル通り夢の中をたゆたうような静謐で空間的なサウンドを展開しつつ、ここぞではドラマチックなメロディによってダイナミックな盛り上がりを見せる。内省性と壮大さを兼ね備えたサウンドはまさしくフロイド直系ながら、個性的なのは作品全体でフィーチャーされた端正で気品に満ちたピアノの存在。粛々と儚げな音色も良いし、T4「Dark」のようなジャジーで妖艶な表情も魅力的。一部の楽曲ではヴァイオリンや美麗な女性コーラスもフィーチャーし、フロイドに優美な気品が加わったような極めて完成度の高いサウンドを構築しています。前作、前々作以上の傑作!
98年にミラノで結成され05年にデビューした、イタリアン・プログレ・バンドによる2020年作4thアルバム。P.F.M、LE ORME、BANCOなど自国のレジェンド・バンドからの影響と、00sバンドらしいスタイリッシュなサウンドメイクが絶妙に調和したこれでもかとドラマチックなシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。タイトで重みあるリズム・セクションに、気品あふれるピアノ、ヴィンテージ・テイスト豊かな薫り高きオルガン、一音一音にありったけのエモーションを乗せたギターらが劇的に紡ぐアンサンブル。そこに乗る少しハスキーな声質を多彩に変化させながら歌うシアトリカルなヴォーカルがまた存在感抜群!まさに演劇を見ているように場面が次々と移り変わりストーリーが描き出されていくようなサウンドです。これはまるでLE ORMEのクラシカルでダークな質感、BANCOの浪漫と熱情、P.F.Mの詩情豊かさなどをすべて合わせたような快作!
デヴィッド・ギルモア、アンディ・ラティマー、スティーヴ・ロザリーらに影響を受けたギタリストSimon Caron率いるカナダはケベックのプログレ・バンド、昨年9thに続く20年作10th。か、かなりピンク・フロイド!前作まではマリリオンからの影響色濃いエモーショナルかつモダンなサウンドが特色でしたが、本作ではマリリオンよりもむしろピンク・フロイド色が濃厚に。ふくよかなオルガンに乗せてこれでもかとブルージーなギター・ソロが炸裂する2曲目なんて、ギルモアが参加しているのかと思ってしまうほどでニンマリ!なおかつモダン・プログレ的な重厚さやハードなドライヴ感もあって、これは格好いいです。フロイド好きは是非。
現英国シーンをリードするシンフォ・グループ、20年作8thアルバム。ドラキュラ俳優として著名なベラ・ルゴシをはじめとする50〜60年代カルト/ホラー映画の名優6人をテーマにしたコンセプト作となります。とはいえテーマから想像されるようなダークでおどろどろしい雰囲気はなく、MAGENTAらしい英国的な気品に満ち満ちたドラマチックなシンフォニック・ロックが眼前に広がります。タイトで抜けのいい打音のドラムと伸びやかに躍動するベース、滑らかに疾走するシンセにクラシカルでデリケートなタッチのピアノが描く、ダイナミズムとしなやかさが調和したアンサンブル。そこに乗るのがChristina Boothの美声voとヴィンテージ・テイストを大事にした入魂のリード・ギターです。艶のある美声でスタイリッシュに歌うvoはもはや言わずもがなの素晴らしさ。ギターも見事で、もう一人のリード・ヴォーカルと呼びたくなるほどに歌心溢れる抒情フレーズを次々と紡ぎ、美声voと絡み合うサウンドが感動的に響きます。キャリア20年の貫禄とそうとは思えぬ音の瑞々しさがバランスした傑作!
ウクライナ出身、英国を拠点に活動する1981年生まれのコンポーザー/キーボーディストAntony Kaluginによるプロジェクト。なんと前作『ECHOES FROM WITHIN DRAGON ISLAND』から1年を待たずしてリリースされた19年作11th!米詩人H.W.ロングフェローと英詩人ウィリアム・ブレイクの詩をテーマにした「Birds of Passage」組曲のパート1(22分)とパート2(21分)という大作2曲で構成されています。そのサウンドは、最も影響を受けるTHE FLOWER KINGSにニューエイジ系ミュージシャンだった経歴を反映したクリアで透明感ある音色を散りばめたかのような、スケール大きくも宝石のような輝きを放つ愛すべきシンフォニック・ロック。フェードインして勇壮に立ち上がるシンセサイザーが物語の幕開けを告げると、ハケットばりに繊細なギターとつややかなトーンのシンセがユニゾンで走り出す、これでもかファンタスティックな導入からもうシンフォ・ファンはハートを奪われること必至です。歌声を重ねながら語り部のように丹念に歌い上げる男女ヴォーカルもグッとくるし、ハケット調のデリケートなギターはソロでは一転エモーショナルで伸びやかに飛翔するロイネ・ストルトばりの入魂プレイで魅了します。A.Kaluginのキーボードも負けじと幻想のカーテンをなびかせるように雄大なシンセで包み込んだかと思うと、妖精の浮遊音のごとき美麗なシンセSEを散りばめて個性を発揮。パート1終盤は、優雅なストリングスも一体となってドラマチックに上り詰めていく演奏があまりに感動的です。パート2は、初期のA.フィリップスを思わせるリリシズム滴るアコースティック・パートから、一気に躍動感溢れるスピーディーな展開に切り替わる「静」と「動」の構成が見事です。従来に増して、TFKファンには是非聴いてほしい一枚となっています。おすすめ!
マルチ奏者2人にドラマーという編成の、東欧はベラルーシ出身のシンフォ・グループ。13年のデビュー作以来、バスーン奏者/オーボエ奏者/打楽器奏者をゲストに迎え6年ぶりにリリースされた19年作2nd。冒頭14分超の大作で、70年代プログレ・ファンなら早くもハートを鷲掴みされること必至!ジャジーで技巧的なリズム・セクション、クラシカルで清らかに鳴るピアノ、叙情溢れるオルガン、メロトロン(シミュレーション?)、流麗で色彩感いっぱいに駆け巡るギターらがファンタジックかつメロディアスに紡ぐ美麗なアンサンブル。そして大半でリードを取る麗しさとオーボエのような温かみをあわせ持ったアルトフルートのプレイが絶品です。まるでCAMELの豊かな情感はそのままに、よりテクニカルにしたような大変に素晴らしい一曲。各楽器とも途方もなくテクニカルなのですが、モダンなヘヴィさに寄らず常にヴィンテージな味わいがたっぷりなのが堪りません。随所でアンサンブルを格調高く彩るオーボエやバスーンもいい仕事です。比較的「陰」のサウンドという印象が強い東欧プログレにおいて、ここまで「陽」のエッセンスに満ちたスタイルで聴かせるバンドはほとんどこれまでいなかったはず。スペインのKOTEBELあたりにも匹敵しうる超実力派と言っていいでしょう。70sプログレ、特にCAMELファンは必聴の逸品です!
注目の多国籍シンフォ・プロジェクトSAMURAI OF PROGのパーマネント・メンバーとして活動するフィンランド出身ドラマーによる2020年ソロ作。IONAのギタリストDave Bainbridge、STERN MEISSENにも参加したサックス奏者Marek Arnold、ユニット作『GULLIVER』でもプレイしたスペインの実力はギタリストRafael Pachaなど腕利きが参加。CAMELを彷彿させるファンタジックで気品たっぷりのシンフォニック・ロックに、ジャズ/フュージョン的な滑らかさや、北欧フィンランドらしい神秘的な民族音楽エッセンスを加えたスタイルは大変完成度高いです。優雅な聴き心地の中に耳を惹くクリエイティヴなサウンド作りが光ります。リーダーによる安定感と躍動感がバランスした見事なドラミングも聴き物!
現イタリアの有力バンド、UNREAL CITYのギタリスト、CELLAR NOISEのキーボーディストらによって結成されたプログレ・グループによる20年デビュー・アルバム。BANCOやMUSEO ROSENBACHなど70年代イタリアン・プログレの遺伝子を受け継ぐ、オルガンとメロトロンを軸にした哀愁のクラシカル・プログレは、さすが実力派メンバーが集結しているだけあって、洗練されつつも風格に満ちていて圧巻!70年代初頭に聴かれたようなヴィンテージ・トーンで荘厳に鳴るオルガン、ここぞで洪水の如く流れ込むメロトロンらによって構築的に展開していく、重厚ながらもスリルに満ちた音世界を構築しています。一音一音に零れんばかりの哀感を湛えた泣きのギター、神秘的な調べのフルートも絶品です。また熱唱タイプではないながら聴く者を惹きつけるエモーションを湛えたイタリア語ヴォーカルも伊ロック・ファンならグッと来るはず。これは間違いなく往年のイタリアン・ロック好きのツボを心得たサウンドと言えるでしょう。傑作です。
現ポーランドを代表するシンフォ・バンドMILLENNIUMのkey奏者によるソロ・プロジェクト、20年4th。本作のテーマはアンデルセンによる「雪の女王」。特筆は、同一の演奏に対し女性ヴォーカルが歌うバージョンと、男性ヴォーカルが歌うバージョンを収めた2枚組である事。DISC1は、艶やかかつ哀感を帯びた女性ヴォーカルがシリアスなドラマ性を引き立てていて、雪景色が浮かび上がるような荘厳さが広がります。一方、素朴な声質で丹念に歌う男性ヴォーカルのDISC2は、同じ演奏とは思えないほど暖かくハートフルな聴き心地をもたらします。物語の主人公ゲルダとカイ、それぞれの視点を表現する見事な演出です。演奏もさすがで、美麗なオーケストレーションをバックに、硬質なリズムとひんやりしたシンセ、静謐なタッチのピアノ、フロイド彷彿の浮遊感あるギターのリフレインらが折り重なり、原作のストーリーをイマジネーション豊かに紐解いていきます。物語の展開とシンクロするSEも効果的。荘厳さの中に淡い叙情を秘めたサウンドが、静かな感動を呼び起こす名作です。
JADISのサポート、PENDRAGONやGALAHADらのメンバーソロ作への参加など、ポンプ・ロック周辺で活動する英国のマルチ・ミュージシャン、20年作。05年の『Part One』、07年の『Part Two』がリリースされた「Emotional Creatures」シリーズ13年越しの第3弾が本作です。自身がこなすヴォーカル/ギター/キーボード/プログラミングに加え、リード・ギタリスト/フルート奏者/ドラマーが参加。経歴が示す通り、JADISをはじめとするポンプ・ロックに通じる英国らしい気品に溢れたクリアーなメロディアス・シンフォを鳴らします。時に手数多く畳みかけるダイナミックなリズム隊に乗って、煌めくアコースティック・ギターと歌うように自在にフレーズを紡ぐリードギターが、瑞々しくポップなアンサンブルで疾走、ヴォーカルが語り掛けるように優しく歌い上げます。初期GENESISからの直接的な影響が強く感じられる英国の香り漂うシンフォに、ポンプを通過した煌びやかなサウンドメイクを施したような力作です。GENESISファンにおすすめ!
2015年に英国はレディングにて結成された新鋭プログレ・バンド、2020年の3rdアルバム。GENESIS、THE FLOWER KINGS、SPOCK’S BEARD、BIG BIG TRAINに影響を受けたと語るとおり、まさにそれらのバンドの特徴を併せ持ったような至上のシンフォニック・ロックを鳴らします。ビシビシとタイトに変拍子を叩き出すリズム、メロディアスな音運びのギターとクラシックの素養を持つ清廉なピアノらが緻密に絡み合いながら高みを目指すアンサンブル。そこによく通る溌溂とした男性ヴォーカルが、英国然とした瑞々しくリリカルなメロディを歌い上げます。ヴォーカルに寄り添う華やかに変化する美しいコーラスも特筆ものです。キーボードが担うGENESIS彷彿の奥ゆかしいファンタジー、TFKに通じるヘヴィさも交えた熱くドラマチックな叙情、初期SPOCK’S BEARD的なスケール感を帯びたポップ・センスなどが凝縮されたサウンドは、前作からさらに躍動感一杯に突き抜けていて感動的です。とことんキャッチ―でメロディアスなプログレとして、間違いなくMOON SAFARIにも肩を並べる素晴らしいバンド。今回も文句なしの傑作!
イギリス南端に近いデヴォン州出身の新鋭プログレ・グループ、17年作に続く20年作4th。温かみあるオルガンやジェントルな男性Vo.をフィーチャーした、CARAVAN彷彿のサウンドは本作でも健在。なおかつ今回はGONGや初期ソフツを思わせる怪しげなサイケ感、そしてモダンなスタイリッシュさもちょっぴり増した印象。クリーントーンのギターやフォーキーなアコギ、メロトロン等の楽器が朗らかに英国田園風景を描き出す牧歌的なナンバーもあれば、シタールやスペーシーなムーグが鳴り響き、GONGばりのエキセントリックなメロディが炸裂するスリリングなナンバーも。ノスタルジックな中にもピリリとスパイスの効いた作風は、ブリティッシュ・ロックやカンタベリー・ファンなら堪らないはず!CARAVANやGONGや初期ソフツやケヴィン・エアーズのファンには是非オススメの名作です!
00年代初頭より活動、往年のプログレから影響を受けたヴィンテージなサウンドを聴かせるノルウェー新鋭バンド、2020年作。深遠なシンセと哀愁を帯びたギターのアルペジオが織りなすフロイド彷彿のメランコリックで内省的に広がるサウンドと、フルートやパーカッションによる北欧らしい神秘性な音使いが融合したシンフォニック・ロック。奥ゆかしいリリカルなメロディ、言葉を選ぶように丹念に歌ういなたさを残した英語ヴォーカルなど、とことんヴィンテージ感を大事にしたサウンド・メイクにグッと来ます。そこに満を持してゆったりと流れ込んでくるメロトロン。一気に幻想美が広がっていく展開が素晴らしいです。と思うと、合間にはゴキゲンなサザン・ロック調のナンバーも聴かせて、スケール大きいシンフォ・サウンドとのコントラストが痛快。これはフロイドをはじめとする70年代プログレ・ファンにオススメしたい好盤です!
80年代末から活動するスウェーデンのシンフォニック・ロック・バンドCROSS。リーダーであり、PROGRESSレーベルのオーナーとしても知られるHansi Crossが17年に癌で死去。彼が生前に残した録音を元に、スティーヴ・ハケットのバンドやロイネ・ストルトとのAGENTS OF MERCY等で活躍するNad Sylvanのヴォーカルを加え完成を迎えた、20年の11thにして最終作。力強いギターとつややかなキーボードがダイナミックに絡む「動」のパートと、繊細なヴォーカルがゆったりと哀愁のメロディを紡ぐ「静」のパート。両方を織り交ぜながら、幻想性たっぷりに展開していくシンフォニック・ロックは貫禄の一言。メランコリックでいて優美な叙情性を湛えたヴォーカルやシンセの旋律はもちろんのこと、一音一音を入念に奏でていくHansiのギター・サウンドが実に素晴らしく、遺作に相応しい心震わすアンサンブルを聴かせてくれます。ファン必聴の傑作です。
盤質:傷あり
状態:良好
デジパック裏面に目立つコーティング剥がれあり
02年にデビューしたイタリアン・プログレ・バンド、2020年作4thアルバム。BIG BIG TRAINやSPOCK’S BEARDあたりのグループに通じる、GENESISをはじめとする70年代プログレ的ヴィンテージ・テイストと、明快かつスケール大きく広がるモダンな音作りが見事に共存する、聴きやすくも風格に満ち満ちたシンフォニック・ロックは、8年というブランクを微塵も感じさせない素晴らしさです。どっしり安定感のあるリズム・セクションを土台に、新加入のキーボーディストによるジョワーっと芳醇に鳴るヴィンテージなオルガンと艶やかで輝かしい音色を響かせるシンセ、シャープながらエモーションいっぱいのメロディアスなプレイで躍動するギター、スタイリッシュさと繊細さが絶妙に共存する男性ヴォーカルらが力強く紡ぐシンフォニック・ロックには、終始感動が収まりません。パワフルなアンサンブルが不意に静まり、アコギやピアノによる気品あるパートへと切り替わるしなやかさを持つ演奏も特筆。上記2バンドやアメリカのECHOLYNなどがお好きな方ならグッとくる事間違いない傑作です!
ヴォーカル/ギター/キーボードを担当するマルチ・プレイヤーMassimiliano Morrealeを中心とするイタリア新鋭、2020年デビュー・アルバム。1曲目は、木漏れ日を感じるアコギ爪弾きと少しサイケデリックに揺らめくエレキ・ギターのコンビが美しいリリカルなインスト。穏やかに紡がれる音世界に浸っていると、2曲目はフリップばりの鋭角的なギター&エキセントリックに上下する歌メロをシアトリカルに歌うイタリア語Voが存在感抜群な、外連味たっぷりのハード・ロックが飛び出してきて、その落差にビックリします。例えるならCELESTEがいきなり初期OSANNAに変貌したかのような感じでしょうか。そんなフォークとハード・ロックを行き来するスタイルを軸としつつ、本格的なジャズ・ギターを聴かせるムーディーなジャズ・ナンバーあり、CAMELとPINK FLOYDが合わさったような叙情シンフォに流麗なクラシック・ギターが乗るナンバーあり、チェンバロが独奏するバロックなナンバーありと、コロコロと表情を変えていくサウンドに翻弄されます。Massimiliano Morrealeの多才さが奔放に発揮された、目まぐるしく濃厚なイタリアン・ロックが味わえる快作です。
フランスのマルチ・ミュージシャンJeremie Grimaを中心に結成されたメロディアス・シンフォ・プロジェクト、20年作。前作をもってJeremie Grimaがバンドを離れ、メンバーのSebastien Bourdeixがリーダーに就任。作曲も彼が手掛けています。沈み込むような翳りに包まれつつ、伸びやかな広がりも感じさせるサウンドは、まるでPINK FLOYDとMIKE OLDFIELDのエッセンスが交わったかのよう。重厚でエモーショナルなディストーション・ギターが激しくコードをかき鳴らしたかと思えば、壊れ物のようなアコギによる繊細なアルペジオが響いたりと、メリハリの効いたドラマチックな展開も美しい。ほぼインストですが最終曲では透明感のある仏語の女性Vo&男性Voも加わり、クライマックスにふさわしい感動的な音世界を作り上げています。PINK FLOYDやポーランド・シンフォなど、悲哀に満ちたサウンドが好きなら間違いなしの名品。
音楽教師でもあるというポーランド出身のマルチ・ミュージシャンによる20年デビュー作。ヴァンゲリスを彷彿させるシンセ・ミュージックと、様々な民族楽器を用いたワールド・ミュージック的センスが同居するユニークなスタイルが特徴です。ひんやりとしたシンセサイザーと打ち込みドラムによる神秘的なインストを聴いていたかと思うと、バンジョーがリードする賑々しいトラッド、シタールとタブラが妖艶に揺らめく本格派インド音楽、果てはアルメニアの吹奏楽器ドゥドゥクがメロディアスに歌うたおやかなナンバーまでが次々と登場し、めくるめく音楽の世界旅行へと連れていかれます。次はどんなサウンドが待っているのかと、思わずワクワクしてしまう一枚です。
ポーランド出身、プログレ・バンドOSADA VIDAにも在籍したヴォーカル/ギターMarek Majewskiを中心に結成されたグループによる20年作2nd。うっすらと漂うメランコリックな音響空間と、それを突き破るように唸りを上げるメタリックなギターが対比する、同郷RIVERSIDEに通じるサウンドを展開。特徴的なのがそこに乗る意外なほどキャッチ―なメロディで、実直でハートフルなヴォーカルも相まって、ハード・ポップ的と言えそうな抜けの良い明快さを生んでいるのが魅力です。現代ポーランドらしい陰影と重量感、そしてキャッチ―な聴きやすさが見事に調和した快作です。
08年結成のイタリアン・プログレ新鋭、19年デビュー作。ささくれ立ったようなディストーション・ギターと重厚なオルガンが熱くせめぎ合い、スリリングなリズム隊と共にゴリゴリと畳み掛ける。IL BALLETTO DI BRONZOやMUSEO ROSENBACHといった往年の伊ヘヴィ・シンフォの空気をそのまま詰め込んだかのような、ヴィンテージ感たっぷりのアンサンブルを全編に渡り展開していて感動!ダークで緊張感みなぎる楽曲はもちろん、エモーショナルなヴォーカルが瑞々しいメロディを歌い上げる叙情的な楽曲も絶品。70年代イタリアン・ヘヴィ・シンフォのファンは要チェックの好盤です!
92年デビューのフレンチ・シンフォ・グループ、20年11thアルバム。有名な「ジェヴォーダンの獣」をテーマにしたコンセプト作。フランス語の耽美でアンニュイな響きを生かし自己陶酔気味に歌い上げる、ANGEのFrancis Decamps直系ヴォーカルが冴えわたるシアトリカルなプログレは本作でも健在です。ヴォーカルを引き立てる、シンセ、メロトロン、ギターが織りなすファンタジックで少しメランコリー漂う演奏も見事。これぞフレンチ・プログレと呼びたい濃密なサウンドが楽しめる逸品です。
06年にデビューしたロンドンのジャズ・ロック・グループ、20年作。ザッパやGENTLE GIANTを彷彿とさせる緻密な変拍子アンサンブルに初期GONGのサイケな怪しさが加わったような、テクニカルかつユーモア溢れるサウンドが特色。ギターがきめ細やかなアルペジオを刻み、タイトなリズム隊が予測不能に蠢き、サックスやトランペットがジャジーかつどこか牧歌的な雰囲気を醸し出しながら絡み合う。その中を掴み所なく浮遊するシアトリカルなヴォーカルも大変魅力的。スリリングながらも強靭さはなく、ひそひそと囁くように紡がれるジャズ・ロック・サウンドはカンタベリー・ロックにも通ずるものがあります。オススメ!
ヘヴィ・メタル・バンドElintを率いたポーランドのマルチ・ミュージシャンDomink Burzymによるソロ・プロジェクト、2020年作。ゴリゴリと凄まじい圧力で畳みかけるリズム・セクションと、ギターによる嵐のような轟音ヘヴィ・リフが波状攻撃のように迫りくるプログレ・メタルに、ストリングスも用いた退廃的なゴシック・エッセンスを纏わせたスタイルが特徴。
00年代以降の英国を代表するシンフォ・バンドである彼らの、16年と17年のライヴを収録した19年リリース作品。16年/17年のライヴ共に、前半はMAGENTAメンバーのソロワークから選曲されたステージ、後半はMAGENTAとしてのステージという構成になっていて、各メンバーの幅広い音楽性が垣間見れると同時に、MAGENTAというバンドの懐の深さが実感できる内容となっています!
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