2019年9月11日 | カテゴリー:カケレコ中古棚探検隊,世界のロック探求ナビ
タグ:
中古棚に眠っている名作を掘り起こして再びスポットを当てることを使命とするカケレコ中古棚探検隊。
今回は「英国ヴァイオリン・プログレ」に注目。緊張感みなぎる切れ味鋭いプレイ、哀愁たっぷりのリリカルなプレイ、クラシカルで格調高いプレイと様々な表情のヴァイオリン名演が楽しめるラインナップとなりました。
気になる作品が見つかりましたら幸いです☆
まずはヴァイオリン・プログレというテーマで外すことのできないこの超傑作!
猛者たちによる強烈にタイトでヘヴィに迫りくるアンサンブルの中にあって、それに応じながらも独特の浮遊感を演出しているヴァイオリンは、デヴィッド・クロス一世一代の名演と言っていいでしょう。
来るぞ来るぞと心臓が縮むような強迫感とそこから一気に畳みかけるアンサンブルの硬質さとテンション。ロック史上最高の緊張感へと振れたと言っても過言ではない大傑作!
作品単位なら上記アルバムかもしれませんが、ヴァイオリン・プログレの筆頭ならやはりこのグループかな。
Sonja Kristinaによる妖精の囁きのような歌声、Darryl Wayのクラシカルで鋭いタッチのヴァイオリン、そして緊張感を増幅するMike Wedgwoodのテクニカルなベースが見事な「Over And Above」をどうぞ!
気品あるファンタジックさとソフトなサイケデリアに包まれた夢幻の音世界にうっとり…。
CURVED AIRを出したら、Darryl Wayをリーダーとするこのバンドも出さなきゃいけませんよね。
ヴァイオリンとギターによる刃物のように研ぎ澄まされたアンサンブルが凄まじい、至高の英国ヴァイオリン・プログレ。
前デビュー作収録の「悲しみのマクドナルド」をジャズ・ロック寄りにしたような、哀愁の「Slow Rag」、実に良いなぁ。
CURVED AIR、ROXY MUSIC、UK…数ある彼の参加作から、あえてこのソロをチョイス。
音自体は80年代真っ只中ですが、そこいらのシンセポップとは一線を画するアーティスティックなサウンドメイクが光っていますね☆
数曲では、セッションに参加したことで知られるイエスの同年リリース作「90125」にかなり近いサウンドに仕上がっていて面白いところです。
エレクトリック・ヴァイオリンのスリリングなプレイはもちろん、GENTLE GIANTのGary Greenによるテクニカルなギターも聴き所!
英国ヴァイオリン・プログレ・シーンきっての個性派といえばこのEAST OF EDENでしょう。
切れ味鋭くもオリエンタルで怪しげなエッセンスが匂い立つサウンドはちょっと危ない雰囲気すら醸しています。
奇才ヴァイオリニストDave Arbusの一筋縄ではいかない感性が発揮された、69年デビュー作!
この2ndはさらに大変なことになっています…。
前作での泥臭いオリエンタリズムに加え、突飛なアヴァンギャルド要素も配合した、題名どおり「混乱状態」を地で行く異形のジャズ・ロックに戦慄…!
このアングラB級感に一度はまり込むと、抜け出すのは容易ではありません…
怪しさではEAST OF EDENにも匹敵する、チェンバー・ロックの源流とされる名バンド!
まるで中世の森の奥底に迷い込んだかのような、怪しく呪術的な室内楽。
神秘的なオリエンタリズムも取り入れた孤高の作品世界に誘われます…。
【関連記事】
1969年からちょうど50年を記念して、70年代を代表する名バンドによる69年リリースのデビュー作をピックアップ。第9弾は、サード・イヤー・バンドの1ST『ALCHEMY』!
リック・ウェイクマンがそのサウンドに惚れ込みプロデュースを買って出たというエピソードも有名な英シンフォ・バンドと言えば?哀愁たっぷりのヴァイオリンの音色が必殺!
こっちは2nd。ずばり、ルネッサンスとムーディー・ブルースを足して二で割って、さらにヴァイオリンも加えちゃうと?
英国ヴァイオリン・プログレの中でも、マイナーながら一押ししたいのがこの名作。
霧の向こうから聴こえてくるようなヴォーカル&コーラス。これぞ英ロックの陰影と叙情美に溢れてますね。タメのきいたメロウなギターや悲哀を帯びたヴァイオリンの音色もたまらないなぁ。
多国籍バンドですが、活動拠点はイギリスで、Pete Sinfieldのプロデュースで、Keith ChristmasがVoを務めてるなら入れちゃってもいいよね?
シンフォニックと言うにはあまりにも肉感的でスリリングなクラシカル・ロックの名盤!
1stと並んで英サイケ・ハードの名盤ですね!
ホークウィンドで活躍する名手Simon Houseのヴァイオリンと超絶ギタリストTony Hillのファズギターが火花を散らす、緊張感たっぷりのアンサンブルが聴きモノ。
最後は意外(?)なソフト・マシーンのライヴをチョイス。
このジャケット、ソフツらしからぬ雰囲気だけど幻想的で好きなんだよなぁ。中身はホールズワース参加作『BUNDLES』期の強力メンツによる熱演!なのですが、何とギターだけじゃなくヴァイオリンまで弾きこなすホールズワースの凄まじさときたら!彼がギターで弾きそうな速弾きフレーズ満載で、めちゃくちゃ「らしい」ヴァイオリンが聴けちゃいますヨ!
いかがだったでしょうか。
来たる秋に向けて、ヴァイオリンの芳醇な音色をご堪能いただければ嬉しく思います!
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。4thアルバム『アイランズ』を発表後に解散したKING CRIMSONですが、Robert Frippは新たなメンバーを探しKING CRIMSONを再始動。グループの最高傑作と名高い1972年の5thアルバム『太陽と戦慄』を世に送り出しました。メンバーはギタリストRobert Frippに加えて、ベース・ヴォーカリストJohn Wetton、ドラマーBill Bruford、パーカッション奏者Jamie Muir、ヴァイオリン奏者David Crossという布陣。本作は、確かな技巧を持ったミュージシャンたちによる最高品質の実験音楽作品であり、1曲目の「太陽と戦慄 パートI」と最終曲「太陽と戦慄 パートII」に象徴される、即興演奏を重視したメタリックなプログレッシヴ・ロックの大傑作となっています。また、2つの先鋭的な楽曲に挟まれた中盤の楽曲たちも素晴らしく、John Wettonのヴォーカルが冴えわたる「土曜日の本」や、最初期のKING CRIMSONサウンドが頭をよぎる「放浪者」、 ヘヴィーなギターとスキャットから始まる「イージー・マネー」 、Jamie Muirの話し太鼓(西アフリカの伝統的な太鼓の奏法)を曲名に冠した「トーキング・ドラム」と、どの楽曲も強烈な個性を持っています。ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックを聴くうえで、避けて通れない名盤です。
元WALLECE COLLECTIONのヴァイオリニストRaymond Vincentを中心に結成されたイギリスのプログレッシブ・ロックグループによる74年2nd。前作はボーカリストの質感もありR&Bのテイストの色濃い作風でしたが、本作ではボーカリストにKeith Christmasが参加、Pete Sinfieldのプロデュースで製作されたスリリングなクラシカル・ロックが炸裂します。その内容はRaymond Vincentのヴァイオリンをフューチャーし、シンフォニックと言うにはあまりにも肉感的な迫力と屈折感を持ったクラシカル・ロック。その精神性はバルトークなどからの影響を感じさせるものであり、緊張感に溢れた傑作です。
RENAISSANCEと共に、女性ボーカルがフロントを務めるプログレッシブ・ロックバンドの代表格であり、紅一点Sonja Kristinaのパワフルな歌声とDarryl Wayのヴァイオリンをクラシカル且つソフトなサイケデリアで包んだイギリスのグループによる72年3rd。グループの名曲「マリー・アントワネット」や「オーバー・アンド・アバーブ」を収録した最高傑作と名高い本作は、これまでのCURVED AIRの集大成といえるバラエティーに富んだ作風となっており、Sonja Kristinaの魅力が詰まったメロディアスな楽曲からFrancis Monkmanの趣向を感じる実験色、Darryl Wayのクラシカルな彩りが渾然一体となって迫る名盤です。本作を最後にグループは事実上解散し、Darryl Way、Francis Monkman不在のまま後に再編されます。
デジパック仕様、CD+DVDの2枚組、ボーナス・トラック3曲、DVDはNTSC方式、リージョンフリー、定価3600+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
Glen Sweeneyを中心に結成され、その非常に個性的な酩酊感、呪術的な作風が持ち味のイギリスのアヴァンギャルド・ロックグループの69年作。ヴィオラ、オーボエ、チェロなどを用いたチェンバー・ロック的なアプローチを取りながらも瞑想的でエスニックなフレーバー漂うタブラなども取り入れ、太古からの呼び声を感じるような神秘的な作風となっています。非常にヨーロッパ的な中世古楽のような室内楽と、オリエンタルな神々しさが混ぜ合わさった音楽性を示しており、非常に実験的ながらも独自の世界を描く作品です。
CURVED AIRのヴァイオリン奏者であるDarryl Wayが結成、SOFT MACHINEに参加するJohn Etheridge、TRACE〜MARILLIONに参加するIan Mosley、CARAVANに参加するDek Messecarと、このグループを契機にワールド・ワイドに活躍することになるメンバーが揃ったグループによるによる74年作2nd。デビュー作では、Ian McDonaldをゲストに加えていましたが本作はメンバー4人のみで構成されており、前作からボーカル・ナンバーを減らすことでインストゥルメンタル重視の作風へとシフト。Darryl WayのクラシカルなヴァイオリンとJohn Etheridgeのギターによるスリリングな演奏を中心に構成されており、リズム隊も前作よりハード・ロック然とした躍動感を持つようになっています。
ヴァイオリニストのデイヴ・アーバス率いるグループ。69年作の1st。2ndでのジャズ・ロック的な要素はあまり無く、ヴァイオリンやフルートによるオリエンタルな響きをフューチャーしたフォーキーなサイケデリック・サウンドは、神秘〜ウマグマあたりのフロイドを想わせます。浮遊感ある流麗なメロディーが印象的。
ギタリストのトニー・ヒルと後にホークウィンドで活躍するヴァイオリン奏者サイモン・ハウス等で結成された英国ヘヴィ・サイケ/プログレ・グループ。70年作の2nd。サイケデリックではありますが、混沌としたヘヴィさはなく、個人的には「フェアポート・コンヴェンションのリチャード・トンプソンをドラッグまみれにしたら?」というコピーが頭に浮かぶような、トラディショナルな品の良さも感じさせるギター、そして、「心ここにあらず」な、いかにもサイケなヴァイオリン、PATTOあたりを彷彿させるドライヴ感あるグルーヴィーなリズム隊、そして、ドアーズを彷彿させる陶酔的なヴォーカル。音が渦巻くサイケデリックな音像の中に、確かに英国ならではの陰影と気品が閉じこめられた、英国ならではと言えるヘヴィ・サイケの快作です。
名手アラン・ホールズワースが加入し制作されたギター入りソフツの第一弾『BUNDLES』期の未発表ライヴ音源、13曲を収録。ホールズワースはギターの他にヴァイオリンの卓越した腕前も披露しており聴き所です。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!