スタッフ佐藤です。
いよいよ年の瀬が迫ってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて12月のイベントと言えばなんと言ってもクリスマス。
テレビや街角で流れてくるクリスマス・ソングと言うと、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス(All I Want For Christmas Is You)」やワム!の「Last Christmas」、ジョン・レノン「HAPPY CHRISTMAS」、ポール・マッカートニー「WONDERFUL CHRISTMAS TIME」なんかがお馴染みですが、定番ソングを紹介するだけじゃあカケレコの名が廃ります。
そこで今回は、街中じゃまず流れていることはないであろう、カケレコ・チョイスのマイナーなクリスマス・ソングをいくつかご紹介したいと思います。
今年のクリスマスは、少し捻ったクリスマス・ソングを聴きながら過ごしてみるのはいかがでしょうか?
ジョージの曲をマイナーと言うのもどうかと思いますが、ニュー・イヤー・ソングとクリスマス・ソングを兼ねた愛すべきナンバーであるものの、悲しいかなあまり浸透はしていない気がします。
「古きを送り出し、新しきを迎え入れよう」という年末年始の決まり文句と、サビの「ディン・ドン・ディン・ドン」というクリスマスの鐘が鳴る様子をくっつけただけのいたってシンプルな構成で、思わず口ずさみたくなる屈託のないポップ・ソングに仕上げているところは流石です。
親しみやすさは冒頭で挙げたジョンとポールのクリスマス・ソングにも引けを取っていないと思うのですがどうでしょう。
当時喉を傷めていたジョージの渋いハスキーボイスもかえっていい味わいになっていますよね。
ジェフ・ベック・グループの初代ドラマーTony Newmanが結成したグループで1st同様ヴァーティゴよりリリースされた71年2ndより。重くけだるげなアンサンブルがカッコいい、ブルージーなクリスマス・ソングの佳曲です。
ロッド・アージェントとラス・バラードという2人の天才が率いるグループの73年作にも、素敵なクリスマス・ソングが入ってますね。しっとりハートフルな曲調が胸に沁みます。
この曲、ZOMBIESの11年作『Breathe Out, Breathe In』でもセルフカバーされており、こっちもいいんですよね~!
コリン・ブランストーンの甘いハスキーヴォイスはやっぱりこういう曲調によく合いますわ…。
日本での知名度は高くありませんが、アイルランドでは国民的とも言える人気を誇るAOR系シンガーが彼。76年の2ndアルバム収録のこのナンバー、リリシズムいっぱいの切ない曲調とコーラスを伴って盛り上がるサビのドラマチックさが素晴らしいのです。クリスマスに関する直接的な描写はないものの、同国やイギリスではクリスマスの定番ソングとなっているようですね。
実はこの曲、ユーロ・ロック・ファンにはおなじみのオーストリアのシンフォ・グループEELA CLAIGが3rdアルバムにてカバーしています。
なんか聴いたことある曲だな、と思った方は多分こちらのバージョンではないでしょうか。
アメリカの美声フィメール・フォークSSWによる74年作にも、素朴で心洗われるようなクリスマス・ソングがありました。
奇をてらわない自然体な歌いぶりがいいなぁ。
英フォーク・ロックの名バンドLINDISFARNEを率いた愛すべきメロディメイカーですね。彼の死後にリリースされた最終作『STATUES AND LIBERTIES』に、極上のクリスマス・ソングが収録されています。デビュー以来、ついに尽きることのなかったメロディメイカーとしての才を実感させてくれる名曲です。
90年代以降のグループからもピックアップしましょう。こちらはアメリカのプログレ・バンドECHOLYNによるクリスマス・ソング。初期の傑作と言える92年作『Suffocating The Bloom』に収録されたナンバーで、持ち前のパワフル&テクニカルな演奏とクリスマスらしいファンタジックな雰囲気が見事に同居する彼ららしいサウンドで駆け抜けます。名曲!
ポーランドからは、同国シンフォ・シーンの中核を成すLYNXレーベルのオーナーによるリーダーバンドの作品。ディケンズの「クリスマス・キャロル」を題材にしたメロディアスで心温まるシンフォニック・ロック名品です♪
こちらもあわせてお楽しみいただければ幸いです!
現ポーランドを代表するシンフォ・グループMILLENIUMを率いるキーボード奏者によるソロ・プロジェクト、19年作3rd。ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』を題材にしたコンセプト・アルバム。MILLENIUMで共に活動するベーシストKrzysztof Wyrwa、度々MILLENIUM作品に参加している女性ヴォーカルKarolina Leszko、MOONRISEのギタリストMarcin Kruczek、人気バンドLOONYPARKのドラマーGrzegorz Fieberという、現ポーランド・シーン屈指の腕利きミュージシャン達を従えたバンドスタイルで制作されています。比較的シリアスと言えた前作までに比べ、題材を反映してか、心温まるようなファンタジックなタッチをメインにした、メロディアスなシンフォニック・ロックが絶品すぎる。派手さはなくとも心地よい躍動感を備えるリズム隊を土台に、まるで歌うように叙情フレーズを次々と紡ぎ出すギター、リック・ライトに似るほの暗く広がるシンセサイザー、そして清涼感の中に円熟味を感じさせる美声の女性ヴォーカルがドラマチックに調和するサウンドは実に感動的。1曲目のインスト・パートを始め、これまでは感じなかったキャメルに近い音作りも新鮮です。演奏はここぞで泣きのプレイを炸裂させるギターが大きくフィーチャーされていて、シンセ、ピアノ、オルガンが淡く繊細なタッチで幻想性を付与します。いつもながら、ソロ作品でもあくまでバンド・アンサンブルの一員に徹してプレイするポジショニングに、いい作品を作ろうというひたむきな姿勢が感じられて素晴らしい。従来作を楽しまれたフロイド・ファンは勿論、ジェネシスやキャメルがお好みの方にもオススメしたい名品です。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!