2018年11月13日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: サイケ
今回の特集は辺境サイケ。
「辺境のロックってなんだか録音状態も悪そうだし内容も・・・」という方。侮るなかれ。
ベトナム戦争への反発から、西欧諸国においてアジアやアフリカなどいわゆる「第三世界」の民族音楽が注目を浴びるようになっていったサイケデリック全盛時代。
エキゾチックな旋律やグルーヴはサイケの浮遊感と調和し、英米をはじめとするロックのメインストリームに新たな表現性をもたらすと共に、ロックというジャンルの進化にも大きな役割を果たしました。
つまるところ、辺境音楽とサイケの相性は抜群!しかもそれが現地から鳴らされたとなれば、英米のそれより本格度は一層増します。
決して精度の高くない録音機材も、ガレージ・ロック的荒々しさと臨場感を生んでむしろ良し。
という訳で今回は、「中東・辺境ユーロ」「アフリカ」「アジア」「南米」の順に、皆様を辺境サイケのワールドツアーにご招待いたしましょう!
これから冬が来るとは思えない暑苦しさと南国的エキゾチズムをどうぞお楽しみ下さい。
まずはトルコから。トルコの伝統音楽とロックの融合=アナドルポップを率いたモゴラーの76年作。
土着的なパーカッションと陽炎のような弦楽器が絡み合い織り成す、幻惑的なターキッシュ・サイケ・プログレ名盤!
72年に結成された旧ユーゴは現セルビアのベオグラード出身のサイケ・ハード・トリオ。
荒々しく掻き鳴らされるギターが実にハード・エッジで格好いい!と思いきやエコー効きまくりのヴォーカルやキーボードをフィーチャーした浮遊感たっぷりのナンバーもあったり。痺れる好グループです。
イランにおけるロックの先駆者的存在による、イラン革命によって活動を弾圧されるまでの73-79年の録音を収録したアンソロジー。
演歌の花道みたいなスタジオライヴ映像はともかく、哀愁漂う歌声と絶妙な浮遊感がマッチしたサウンドがGOOD。アシッド・フォーク好きも是非!
次は南アフリカからこの作品。とはいえパーカッションこそ入っているものの、くすんだフルートやメランコリックなギター、そして陰翳ある歌声は70年代初頭の仄暗い英国ロック感満載!
辺境感はあまりありませんが、オススメです。
アフリカのサイケっていったら皆こういうのを期待しているだろうな、という訳で次はアフリカはザンビアが生んだザム・ロックの名盤!
歪みまくったファズ・ギターとポコポコとパーカッションのようなドラム、そして極めつけの野性味溢れるヴォーカル!密林辺境ロックのエナジー、半端なし。
次は我らがアジア!このグループは、例えるなら・・・インドネシアのPROCOL HARUM!?
どの曲もリリカルで哀愁迸るメロディが素晴らしいけど、なおかつヘロヘロとした酩酊感があったり強烈なファズ・ギターも炸裂したりして、こりゃ癖になります。
次はフィリピンを代表するサイケ・ブルース・ハード!
日本のスピード・グルー&シンキで活躍したドラマーJoseph Smithが在籍していることもあって、スモーキーでヘヴィなサウンドはかなりの迫力!
次はマレーシアのビートルズ!?による74年作。
ジャケのレスラーのようなメンバー写真からは想像できな美しく繊細なメロディとハーモニーにびっくり!
最後は南米から。
陽気なラテン・パーカッションにあわせて、けだるげなヴォーカルと強烈なワウワウ&ファズ・ギターが炸裂!
まさに「これぞブラジリアン・サイケ」と叫びたい南米サイケの最高峰!
次はサイケでエロティックなチリのJEFFERSON AIRPLANE・・・。
ヘヴィで荒っぽいサウンドと艶のある歌声のアンサンブルがたまりませんなあ。
ピンク・フロイドをアル・クーパーがプロデュースしたようなバンドをコロンビアで発見!
メロウなアシッド・フォークとたくましいブラス・ロックとの不思議な融合。いいなぁ。
南米サイケをまだまだ知りたい方は・・・こちらも是非!
マレーシアのグループ、74年リリースの唯一作。ライナーには、ペルーのWe All Togetherに似ていると書いてありますが、確かにその通り。ビートリッシュな美しくリリカルなメロディー、甘美なヴォーカル&ハーモニー、ストリングスが彩るドラマティックなアレンジは、その手のサウンドが好きな方は卒倒ものでしょう。全曲英語。ビートルズの遺伝子を受け継いだ偉大な一枚。
72年に結成された旧ユーゴは現セルビアのベオグラード出身のハード・ロック・トリオ。旧ユーゴ最初期のハード・ロック作品と言われる73年に国営レコード会社のPGP-RTSよりリリースされたデビュー作。左CHでエネルギッシュにかきむしられるリズムギター、右CHで爆音を轟かせてアグレッシヴに疾走するベース、中央でシャープなリズムを刻むドラム、そして気だるいヴォーカル。ソリッド&ハード・エッジなパートから一転、エコーに包まれサイケデリックなコーラスパートへと切り替わったと思うと、またもや突如ギターがキレのある早弾きで突っ走る!オープニング・ナンバーからこれは痺れます。ハードなナンバーだけでなく、アコギアルペジオに夢想的なヴォーカルが乗るピンク・フロイドばりに幻想的なナンバーも魅力的。サバスやツェッペリンのファンはもちろん、サイケ・ハードのファンにもオススメの好グループです。
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