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「音楽歳時記」 第四十五回 10月23日 電信電話記念日 文・深民淳

 気を取り直していこう。まずは黒人系だと古くはマディ・ウォーターズの「Long Distance Call」、ウィルソン・ピケットにはずばり電話番号もの「634-5789 (Soulsville, USA)」がありますし、同じく番号ものではMarvelettes「Beechwood 4-5789」、フィリー・ソウルの名門The Spinnersの「I’ll Be Around」も電話にまつわる歌です。

 「I’ll Be Around」と同傾向のものだとアル・グリーン「Call Me (Come On Home)」などが頭に浮かびます。Four Tops「Jusy Seven Numbers (Can Straighten Out My Life)」もそうですね。そうだ、スティーヴィー・ワンダーの曲で日本ではTVCMにも使われ知られている「I Just Called To Say I Love You」もそういう歌ですね。

I Just Called To Say I Love You

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 電話番号もので思い出したのが、グレン・ティルブルックのSqueeze、1987年発表の7作目『Babylon And On』収録でシングル・カットされた「853-5937」というのがあります。1978年にアルバムデビューを果たしたイギリスのポスト・パンク時代の名バンドでティルブルックはもちろん、初期のメンバーにはジュールズ・ホランドも名を連ねており、ホランド脱退の後を受けて加入したのがポール・キャラックとイギリスもの好きにはおいしいミュージシャンが在籍したアピール度の高いバンドでした。

853-5937

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 同じイギリスもので曲としての記憶がより鮮明なのがCityboyが1978年にリリースした4thアルバム『Book Early』の1曲目「5-7-0-5」。先に挙げたSailorより年代は少し後になりますが、やはり10CC以降のイギリスのポップ系ロック・バンドの中ではそれなりの成功を収めたバンドでした。
 バーミンガムでアコースティック主体の音楽活動を行っていたメンバーがドラムとエレクトリック・ギターを加えロックにシフトしていったバンドで、他のポスト10CCバンド群のように「昔はプログレでした」とか「ハード・ロック系でした」流れではないのですが、音作りのセンスや分厚いコーラス・ハーモニー、インスト・パートのアレンジの妙など小ぶりではありましたが、なかなか楽しめるバンドだったと思いますし、紙ジャケット化もされています。


5-7-0-5

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 この「5-7-0-5」は「君のナンバー5705」という邦題で日本でもシングル・カットされ当時ラジオでそこそこオンエアーされていました。特に有名なメンバーはいないのですが、この「5-7-0-5」を含む5作品のプロデューサーがロバート・ジョン“マット”ラングでした。南アフリカ出身の“マット”ラングがAC/DC、Foreigner、The Cars、Def Leppard等のメガ・ヒット・アーティストを次々と手がけるスーパー・プロデューサーになる前のイギリスでの修行時代に手がけていたバンドがこのCityboyだったのです。
 “マット”ラングの立体感のある鳴りの良い音作りはこの時期にはもうしっかり確立されており、質の高いサウンドが堪能できます。演奏自体この手のバンド群の中にあってもロック度が高く、そのハード・ロック寄りのサウンドからはかつてはアコースティック主体でやっていたというバンドとはとても思えません。

 因みにCityboyのアルバムはアメリカでも発売されており、チャートこそ100位台に入るか入らないかといった成績でしたが、この「5-7-0-5」はシングル・チャートで27位まで上昇するスマッシュ・ヒットとなりました。
 また、ギタリストの名前がスティーヴ・ブロートンなので一瞬、Edgar Broughton Bandの出身かと思ってしまいますが、あちらのスティーヴはドラムなので別人です。このスティーヴ・ブロートン、後にスティーヴ・ラントを名乗り、シンディ・ローパーのヒット曲「She Bop」、「The Goonies “R” Good Enough (グーニーズはグッド・イナフ)」の共作者としても名を連ねています。


 電話関連続けましょう。番号ものだと僕の守備範囲ではありませんが、Tommy Tutoneの「867-5309/Jenny」が先に挙げたものより世間一般ではより知られているかと思います。“マット”ラングで名前が出たForeignerの3rdアルバム『Head Games』には「Love On The Telephone」がありました。シングル・カットもされた曲です。
 「Telephone Line」はElectric Light Orchestra、1976年の大ヒット曲『A New World Record』収録です。Blondieには「Call Me」があって「Don’t Leave Me Hanging On The Telephone」があります。どちらも1978年発表の『Parallel Lines』に収録されています。

 女性ものだとシーナ・イーストン「Telephone (Long Distance Love Affair)」、マドンナ「Hung Up」、シャーデー「Smooth Operator」というのもありました。極め付けアデルの「Hello」というのもあるが、個人的には苦手です。「Hello」括りだとライオネル・リッチーもそうだねぇ。Chicago「Call On Me」もそうか!1974年作『Chicago VII』からのシングルでした。
 Genesisの1981年の11作目『Abacab』収録の「No Reply At All」もそうだし、その前、1980年発表の『Duke』に入っていた「Misunderstanding」も歌詞見るとそう思えます。「No Reply At All」のほうはフィル・コリンズがソロでもやっていますが、フィル・コリンズで電話といえばこれがあった!1985年『No Jacket Required』に入っている「Don’t Lose My Number」。ヒット曲だしポップな作りなんだけど、なんか変な歌詞でした。


Don’t Lose My Number

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 1972年にリリースされたDr. Hook & The Medicine Showの「Sylvia’s Mother」も電話というコミュニケーション手段をうまく使った状況ソングでした。
 哀愁漂うメロディとうらぶれた雰囲気のバンド演奏に乗って、今にも泣き出しそうな切ない男性ヴォーカルが歌い上げるのは別れた彼女に未練たっぷりのダメ男の悲哀。別れた彼女シルヴィアに長距離電話をかけると、電話に出たのは彼女の母。シルヴィアはいま手が離せないの、あの娘は新しい人生を歩もうとしているの、そっとしておいてあげて・・・ここで’70年代の長距離電話らしくオペレーターが「この後、3分間通話を続けるには40セント必要です」と割り込んでくる。これがちゃんと歌詞になり物哀しいストーリーが続いていくというなかなか秀逸な曲。
 日本の感覚でいえば泣き演歌みたいなものなのですが、アメリカ人もやはり同じなんですねぇ、心に傷を持つリスナーの支持を得て全米シングル・チャート5位まで上昇するヒットとなりました。

Sylvia’s Mother

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 同じダメ男の悲哀でも、元気ありすぎというか懲りない男の世界を歌ったのがGeorgia Satellitesの1986年リリースのデビュー・シングル「Keep Your Hands To Yourself」。同年発表のデビュー・アルバム『Georgia Satellites』にも収録されており、サウンドは豪放磊落、直球勝負のサザーン・ロック。スライド・ギターもいけるリック・リチャーズとテレキャスターをスピーカーが飛ぶ寸前までフル・アップし最高に心地よいナチュラル・ディストーション・サウンドでリフを刻むダン・ベアードのギター・ツインズのサウンドが30年以上経った今も新鮮に響く逸品です。

 カントリーの唱法も取り込み、南部のダメ男の世界を歌わせたら右に出るもののいないベアードがこの曲で描くのは、電話で別れた彼女に復縁を迫るダメ男。下心見え見え。しかし、女の方も強くて、タイトルの「Keep Your Hands To Yourself」は放っておいて、とか手を出さないで、という意味ですが、下心全開野郎のことですから、もう頭の中は「独り寝は淋しんだよ」みたいな雰囲気。よって女のいう「Keep Your Hands To Yourself」は「ひとりでやってなさいよ、このバカ男!」みたいな意味も含み、笑いがこみ上げてくるアメリカ版ぶっ壊れた恋愛事情を描いた曲でした。
 まぁ、アメリカにはこの歌の世界に心当たりがある人が多かったのでしょうね。Dr. Hookの「Sylvia’s Mother」を上回るビルボードTop100で最高位2位を記録する大ヒットとなりました。

Keep Your Hands To Yourself

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