2018年11月20日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
ジェネシスやピンク・フロイド、キング・クリムゾンなど、5大バンドからの影響を強く感じさせるグループが注目を集めることが多い新鋭プログレ・シーン。
今回は少し目線を変えて、それら往年の名バンドへのリスペクトは確かに持ちつつも、より幅広く豊富なアイデアと予想を裏切る曲展開で独自に組み上げられた、痛快無比なプログレを聴かせてくれる新鋭グループたちをご紹介してまいりましょう。
今から数十年後には、ここに紹介するバンドが今の5大バンドのような若手の手本になっているかもしれない、これぞ現代のプログレ!という先鋭的なサウンドを練り上げているグループに厳選してお届けいたします!
まずはスタッフ佐藤イチオシのスペイン新鋭による3rdから!クイーンとドリーム・シアターの合わせ技をベースとして、様式美HRから南国フュージョン、ビッグバンドジャズまでを取り入れる奇想天外センス、そしてスペインらしい情熱を纏ったサウンドは、とことんエネルギッシュで痛快。聴いていてこんな楽しくてワクワクするプログレって他にないかも!これは激激カケレコメンド!
上の3rdを気に入った方は、こちらのライヴ音源&映像もぜひご堪能ください!「ボヘミアン・ラプソディ」の完全カバーも含む、スペインらしい熱気を纏ったステージ・パフォーマンスが素晴らしいっ!
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そのDRY RIVERに対抗しうる、アメリカの実力派・奇想天外バンドと言えば彼ら!チェンバーロック、トラッド/舞曲、ジャズロック、クラシカルなシンフォなど目まぐるしく表情を変えていくアンサンブルには、不思議なほどに疾走感とキャッチーさが満載。現代アメリカの中では間違いなく最もプログレッシヴなサウンドを聴かせているバンドでしょうね。この17年作、ずばり会心作!
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イタリアはジェノヴァにも凄いプログレ・バンドを発見。次から次へと切り返す高速変拍子で突っ走るドラム、まるで早回しのように急旋回しまくるサックス、ふくよかで厚みのあるトーンの切れ味鋭いフレーズでかっ飛ばすギター、クラシックの確かな素養を感じさせるテクニカルかつ流麗なピアノ。なんというテクニックとアイデア!これはザッパもジェントル・ジャイアントもびっくりな痛快っぷり!でも超絶技巧の中には哀愁も詰まっていて、イタリアらしさもしっかりと感じさせます。
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プログレの魅力の一つと言えば、ビシバシ刻まれる変拍子リズムの中を息もつかせぬテンションと緻密さで疾走するテクニカルな演奏。今回は各国の新鋭よりそんなテクニカルなアンサンブルを特徴とするプログレ作品をピックアップしてまいりたいと思います!
続いてもイタリアから!チャーチオルガン風のキーボードが響く一曲目で正統派シンフォかと思いきや、2曲目からはマスロック/地中海/メタル/ニューエイジ/クラブミュージックまでを取り込んだ個性派プログレへと発展していって仰天!この強烈なミクスチャー感覚は数いる新鋭の中でもトップクラス!
さらにイタリアからご紹介。「『アンチ・プログレ』のプログレ・バンド」と自らを称するバンドで、クリムゾン、アネクドテンからザッパ、トーキング・ヘッズあたりを詰め込んだ、「諧謔的」という表現がしっくりくる痛快プログレを展開!「なんだそりゃ!?」という方には、とにかくこのサウンドを聴いてみてほしい...!
インドネシアから突如として現れたこのグループも外せませんね!シンフォ、ジャズ、ハードロック、ポップス、そしてインドネシアの伝統音楽を絶妙に融合させ、MIDIを駆使したエレクトロニクスでモダンに味付けしたサウンドはただただ驚異的。発表より20年近くが経とうとしていますが、このサウンドの洗練度とセンスは、今もってワールドクラス!
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ジャケからして危ない雰囲気がぷんぷんですが、中身も相当です。自らの音楽を「プロガビリー(プログレ+ロカビリーの造語)」なんて呼んでる米プログレ・トリオで、アヴァンギャルドなプログレとアメリカン・ルーツ・ミュージックの融合を目指してるそうなのですが、これがもう強靭で、痛快極まってて、一筋縄ではいかない凄い作品!
活動歴30年を数えるベテランによる92年作ですが、奇想天外プログレとして重要な一枚なので、ここで合わせてご紹介。底しれぬテクニックとアイデアが渦巻く、フランスのシンフォニック・チェンバー・ロック・バンドが彼ら。テクニック、構築力、音選び、どれを取ってもハイ・レベル&ハイ・センス。無機質なチェンバー・ロックと、シンフォニックかつスペーシーなシンセの有機的な音色とが組み合わさったサウンドが聴き所の、オリジナリティみなぎる快作です!
最後は米国から要注目の新鋭テクニカル・サイケ・プログレをご紹介!サウンドを一言で言い現わすと…ヌーヴォメタル期クリムゾンの強靭さとGGのテクニカルさとサムラの諧謔趣味を掛け合わせてジョン・アンダーソンがヴォーカルを取ったらって感じ!?変拍子炸裂するジェットコースターのような展開に翻弄されつつ、ヴィンテージなオルガンやホーン・セクションを取り入れた暖かみのあるサウンド、そしてユーモア溢れる予測不能のアイディアで楽しませてくれる鮮烈な逸品!
気になる作品を見つけていただければ幸いです!
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12年デビュー、メンバーほぼ全員がクイーンとドリーム・シアターをフェイバリットに挙げるスペインの新鋭プログレ・バンド、前作より3年ぶりとなった18年作3rd。前2作も素晴らしいアルバムでしたが、この3rd、もうとことんエネルギッシュで痛快。聴いていてこんなに楽しくってワクワクするプログレって他にないかもしれませんっ!ベースとなるのは最も影響を受けているクイーンとドリーム・シアターの合わせ技。そこにシンフォ、ロックン・ロール、様式美ハード・ロック、ビッグ・バンド・ジャズ、フュージョンなどを自在に結合させて、スペイン産らしい情熱的かつダイナミックなプログレに仕立て上げた、エネルギーがぎっちり詰まったサウンドを構築しています。歌い回しにフレディ・マーキュリー愛を感じさせる声量みなぎるスペイン語ヴォーカルとオペラチックな分厚いコーラスがドラマチックに舞い上がるクイーン風のヴォーカル・パートから、ド派手に鳴らすヴィンテージ・トーンのオルガン&クラシカルで可憐なタッチのピアノを操るキーボードが溢れ出し、ギターがテクニカルかつハードエッジに疾走。ギターはメタリックにゴリゴリしてはいるのですが、同時にコシの強いグルーヴ感があり、ロックンロールのノリの良さが先立っているのが特徴。硬質ながら人間味たっぷりに熱く弾き飛ばすプレイ・スタイルがカッコいい!ギターが牽引する強度あるヘヴィ・プログレに突如ゴージャスなビッグ・バンドが絡んできたり、クラシカルな速弾きが炸裂する様式美系ハード・ロックがごく自然に南国風フュージョンに発展したりと、あまりに先の読めない奇想天外なサウンドには軽く目眩が起きそうなほど。その後には一転して美しいメロディが冴え渡る叙情バラードを持ってくるセンスも憎い限りです。前作が彼らの完成形かと思いきや、まだまだ進化するDRY RIVERサウンドを見せつける大傑作!おすすめです!
インドネシア出身のプログレ・グループ。ヴァイオリン奏者、フルート&サックス奏者、透明感ある女性Voを含む8人組。99年作の1st。ロック、ジャズ、クラシック、フォーク、現代音楽、民族音楽、ヘヴィー・メタルなどの多様な音楽を吸収し、見事な構築力でもって、1音1音が瑞々しく躍動する真のプログレッシヴ・ミュージックへと昇華させています。破壊的なパートから静謐なパートまで、そのアレンジ・センスはただものではありません。テクニカルなフレーズを流れるように聴かせるギターを筆頭に、全メンバーとも驚くほどのハイ・テクニックとハイ・センス。恐るべしインドネシア。凄いグループです。
スペインの新鋭プログレ・バンドによる、17年リリースのライヴ・アルバム。2nd『QUIEN TENGA ALGO QUE DECIR… QUE CALLE PARA SIEMPRE』からのナンバーを中心に選曲された全9曲を演奏。ギタリストを筆頭にテクニシャン揃いのメンバーによるダイナミックかつ正確無比な演奏と、ライヴならではの熱気を纏ったヴォーカル&コーラスが組み合わさった、素晴らしいパフォーマンスを披露しています。ラスト、コーラス・パートまで再現した「ボヘミアン・ラプソディ」のカバーも必聴です。DVDには同公演の映像を収録していますが、注目はデビュー時よりメンバーに名を連ねるモンティ・パイソンから影響を受けたという2人のパフォーマー。MCを務めたり、演奏に合わせて踊ったり、被り物で寸劇をおこなったりと、活躍しており見所となっています。
90年代末にデビューしたアメリカのプログレ・トリオ、2001年作の3rdアルバム。自らの音楽を「プロガビリー(プログレ+ロカビリーの造語)」と呼ぶように、アヴァンギャルドなプログレとアメリカン・ルーツ・ミュージックの融合を指向しているようです。強靭なリズム隊、ざらついたトーンのエキセントリックなギターによる硬質なプログレ/ヘヴィ・ロックを軸に、いきなりギターがルーツ・フレイヴァー(だけどテクニカル)なアルペジオなんかを散りばめたり、フィドルが哀愁を奏でたり、と思ったら、またヘヴィに疾走したり、凄まじい強度で聴き手を飲み込んでいきます。時に、北欧のサムラばり、はたまたジェントル・ジャイアント直系の北米プログレ名バンドYEZDA URFAばりのシンフォニックなアンサンブルを聴かせたり、と思うと、ギターがカントリー・タッチの指弾きを聴かせたり、ドラム・ループが入ったり、いやはや一筋縄ではいきません。なんちゅう猛者っぷり。テクニックもアイデアも圧倒的に凄いし、これは好グループです!
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