2018年4月27日 | カテゴリー:「rabbit on the run」 netherland dwarf,ライターコラム
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本連載では「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことに重点を置き、フランスのプログレッシブ・ロックレーベルMusea Recordsからシンフォニック・ロックアルバムでデビューを果たしたnetherland dwarfが、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を、幅広くご紹介します。「ミュージシャンの視点」とは言っても、各コラムは平易な文章で構成されていますので、楽器が弾けない、専門用語は分からないという場合でも、心配せずにご覧下さい。
1970年代のプログレッシブ・ロック・アーティストたちは、様々なテーマをアルバム・コンセプトに採用しスケールの大きな世界を描いてきましたが、その選択肢のひとつに「文学作品」がありました。ブリティッシュ・プログレッシブ・ロックにおいては、例えば叙情派シンフォニック・ロックの象徴であるCAMELの75年作『The Snow Goose』が、アメリカのポール・ギャリコによる「スノー・グース」をテーマに、そして91年作『Dust And Dreams』が、やはりアメリカのジョン・スタインベックによる「怒りの葡萄」をテーマに製作されたことが広く知られているでしょう。あるいは、YESのキーボーディストRick Wakemanの74年作『Journey To The Center Of The Earth』が、フランスのジュール・ヴェルヌによる「地底旅行」にインスパイアされていたことも思い出されます。またイギリス以外では、ジャーマン・シンフォニック・ロック・グループANYONE’S DAUGHTERの81年作『Piktors Verwandlungen』が、ドイツのヘルマン・ヘッセによる「ピクトルの変身」をコンセプトに、あるいはスウェーデンのキーボーディストBo Hanssonの70年作『Sagan Om Ringen』やISILDURS BANEの88年同名作が、イギリスのトールキンによる「指輪物語」をコンセプトに製作されました。加えてハンガリーでは、代表格グループSOLARISの84年作『Marsbeli Kronikak(The Martian Chronicles)』が、アメリカのレイ・ブラッドベリによる「火星年代記」をテーマに置いた名作として知られています。さらに(厳密には「文学作品」とは呼べないながらも)イタリアン・シンフォニック・ロック・グループMUSEO ROSENBACHの73年作『Zarathustra』は、ドイツの哲学者ニーチェによる「ツァラトゥストラはかく語りき」をコンセプトに製作されていました。「文学作品」をコンセプトに製作されたプログレッシブ・ロック・アルバムは少なくありませんが、特に名盤と評されるのは以上のようなところでしょう。
さて、ポーランドのネオ・プログレッシブ・ロック・グループMILLENIUMのキーボーディストRyszard Kramarskiは、同国のプログレッシブ・ロック・シーンにおける最重要人物のひとりです。彼は98年にレコード・レーベルLYNXを設立し、当初は自身が参加するFRAMAUROやMILLENIUMのスタジオ・アルバムを中心に発表していましたが、2007年を境に同国のプログレッシブ・ロック・グループによる作品たちを数多く手がけていきました。同レーベルからは、それまで年間2作品から3作品程度がリリースされていましたが、2007年にはALBIONやMINDFIELDSを含む7作品、そして2008年にはLOONYPARKやMOONRISE、NEMEZISやUISTITIを含む14作品ものカタログがリリースされていったのです。プログレッシブ・ロック・ミュージシャンが専門レーベルのオーナーも兼任する例としては、カナダ(ケベック)のプログレッシブ・ロック・グループMYSTERYのギタリストMichel St-Pereが運営するUnicorn Digitalなどが知られていますが、LYNXもまた、新世紀のプログレッシブ・ロック・シーンに影響を与える新興勢力へと急成長を遂げています。そんなRyszard Kramarskiが、ソロ・プロジェクトであるTHE RYSZARD KRAMARSKI PROJECT名義で挑んだのは、誰もが知る「文学作品」をテーマにしたコンセプト・アルバムでした。
THE RYSZARD KRAMARSKI PROJECTによる2017年作『Music Inspired By The Little Prince』は、フランスのサン=テグジュペリによる不朽の名作「星の王子さま」をコンセプトに製作されています。本作にはRyszard Kramarskiに加えて、上記のNEMEZISやMOONRISEといったプログレッシブ・ロック・グループで活躍するギタリストMarcin Kruczek、PINK FLOYDのトリビュート・グループANOTHER PINK FLOYDのベーシストPawel Pyzik、LOONYPARKのドラマーGrzegorz Fieber、そしてMILLENIUMのアルバムにも名を連ねた経歴を持つ女性ヴォーカリストKarolina Leszkoが参加し、2016年11月から2017年3月にかけてレコーディングが行われたようです。アルバムは8つの楽曲で構成されており、前半部の4曲には「Somewhere In The Universe」、後半部の4曲には「Somewhere On The Earth」と表記されています。これは、レコードのA面とB面のように解釈することが出来るものでしょう。「Somewhere In The Universe」セクションのオープニングを飾る「Android B-612」は、王子が暮らす小惑星の名称をタイトルに置いています。原作の「星の王子さま」では、主人公の乗った飛行機がサハラ砂漠に不時着するシーンから物語が始まるわけですが、既存の物語をテーマにコンセプト・アルバムを編み上げる場合、原作の魅力をいかに損なわずに独自の切り口で編集や演出を行うことが出来るかがポイントになるはずです。そういった意味で、原作にも描かれている、故郷の小惑星にひとり佇む王子の姿をアルバム冒頭に登場させる手法には、Ryszard Kramarskiのセンスを感じます。幻想的なサウンド・エフェクトからシネマティックなキーボード・オーケストレーションが響き渡り、Marcin Kruczekのエレキ・ギターによる印象深い主題へと繋ぎます。歌詞には「火山」や「バオバブ」、あるいは「夕日」といったキーワードが散りばめられており、Karolina Leszkoが醒めたトーンで切々と歌い上げます。物語は、次なる「The Little Prince」へと曲間を空けずに進行していきます。本楽曲では、贅沢なオーケストレーションと共にバンド・サウンドが姿を現し、ポーリッシュ・プログレッシブ・ロックらしい音像を構築。特筆すべきは後半部におけるKarolina Leszkoのスキャットであり、同国から90年代に登場したQUIDAMの女性ヴォーカリストEmila Derkowskaを思い起こさせる歌い回しを披露しています。わがままな「バラの花」との仲違いが原因となり、故郷の小惑星を旅立つことになった王子に問いかけるような歌詞の世界観も魅力的でしょう。そして、やはり曲間を空けずに3曲目の「The Rose With Four Thorns」へと繋がります。2曲目の「The Little Prince」と対を成す本楽曲では、プライドの高い「バラの花」を思わせる女性の笑い声とMarcin Kruczekのエレキ・ギターが絡み合う前半部、加えて「バラの花」と王子の別れが描かれるヴォーカル・バラードの後半部を、ドラマティックに聴かせています。そして、インダストリアルなリズムと共に「Somewhere In The Universe」セクションの最終楽曲である「Galaxy Freaks」が登場します。ここにまたひとつ、既存の物語を扱う難しさがあるでしょう。王子は故郷の小惑星を出発し、地球に降り立つまでに6つの惑星を巡ることになりますが、サウンドトラックの発想ならば、それぞれの惑星をテーマに6つの楽曲を用意しなければなりません。「星の王子さま」をコンセプトに置く以上、どの惑星も外すことは出来ないでしょう。Ryszard Kramarskiが施した編集は、6つの惑星に暮らす住人たち(王さま、大物気取りの男、酒浸りの男、実業家、点灯人、地理学者)の特徴を簡潔にまとめ、歌詞の中に織り込み、ひとつの楽曲の中で描き切ってしまうという大胆なものでした。王子は、上記の住人たちを通して「大人の世界」に対する不信感を強くしていくわけですが、本楽曲においても「大人の世界」という共通分母を用いてそれぞれの住人たちが紹介されています。
アルバム後半部は前述の通り「Somewhere On The Earth」セクションとなっており、6つの惑星で様々な住人たちと出会った王子が地球に辿り着いてからの物語が展開されます。「Galaxy Freaks」から曲間を空けずに始まる「Snake From The Desert」は本作で唯一のインストゥルメンタル・ナンバーであり、ミュージシャンたちの力量が試される重要な楽曲となっていますが、アルバム前半部の「The Little Prince」に続いてKarolina Leszkoのスキャットが全編に取り入れられ、言葉(歌詞)での説明を用いることなく、砂漠で王子と「ヘビ」が出会うシーンをエキゾチックに描いています。同じく「文学作品」をテーマに置き、全ての楽曲がインストゥルメンタル・ナンバーで構成された上記のCAMELによる75年作『The Snow Goose』にも、ギタリストAndrew Latimerのスキャットがリードする楽曲「Migration」が収められていたことが思い出されます。やはり曲間を空けることなく機械的なシーケンス・フレーズが鳴り響き、次なる「Fox’s Secret」へと繋がります。新世紀のポーリッシュ・プログレッシブ・ロックには、デジタル・シンセサイザーによる無機質なテイストを隠さないサウンド・メイクの印象がありますが、一方で「星の王子さま」には、様々な惑星が登場するなどサイエンス・フィクションに通じる質感があり、サウンドとコンセプトの両者が相性の良さを示していることが分かります。本楽曲では、パワフルなメロディック・ロックと共に、王子と「キツネ」のエピソードが描かれています。バラの群生を目にし、故郷の小惑星に咲く「バラの花」がありふれた存在であったことを悲しむ王子に対して、「キツネ」は示唆に富んだ言葉を投げかけ、「星の王子さま」で最も広く知られる「大切なものは目に見えない」という「秘密」が提示されています。そして、続く7曲目の「In The Garden」、及び本作のラストを飾る8曲目の「Five Hundred Million Little Bells」では、1曲目の「Android B-612」に用いられていたメロディー・ラインが再び登場します。もちろん、オープニングとエンディングに共通言語を埋め込む手法自体は特に珍しくないものでしょう。しかし、「キツネ」との交流を通じて多くを学んだ王子が再びバラの群生を目にし、故郷の小惑星に咲く「バラの花」が特別なものだと悟るシーンを描いた楽曲に、故郷の小惑星を描いた楽曲のメロディー・ラインが転用されるという仕掛けは、やはりドラマティックに響きます。エンディングでは、鈍い光を放つ無数の星々を想起させるようなチャイムやベルのサウンド・エフェクトが、「バラの花」を思わせる女性の笑い声と共に散りばめられ、本作は幕を下ろします。
THE RYSZARD KRAMARSKI PROJECTによる本作『Music Inspired By The Little Prince』は、プログレッシブ・ロックのファンタジックな魅力を全編に詰め込んだアルバムとなりました。恐らく、原作の「星の王子さま」を読まずとも、本作のハイ・レベルな音楽性は充分に伝わることでしょう。2000年以降のプログレッシブ・ロック・シーンにおいても、例えばイギリスのMOSTLY AUTUMNが上記のトールキンによる「指輪物語」に挑んだ2001年作『Music Inspired By The Lord Of The Rings』を筆頭に、「文学作品」をコンセプトに置いたアルバムが登場していますが、そんな中でも本作は間違いなくトップ・クラスのクオリティーを誇ります。
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00年代以降のポーランド・プログレを牽引するグループMILLENIUMのキーボーディストによるソロ・プロジェクトの18年作。メンバーは前17年作『LITTLE PRINCE』と同じMOONRISEのギタリストMarcin Kruczekや女性ヴォーカルを含む5人編成で、タイトルどおり彼がMILLENIUM以前に活動したグループFRAMAUROの98年作『ETERMEDIA』をもとにリアレンジ&再録した内容となっています。彼によるリック・ライト彷彿の陰鬱にたなびくシンセやギルモア・タッチのエモーショナルなギターなど、さすがのフロイド・エッセンスは随所に散りばめられていますが、メインは透明感と姉御な力強さを兼ね備えた女性ヴォーカルをフィーチャーした歌ものメロディアス・ロック。『WALL』期フロイドをポップにしたようなナンバーから疾走感あるプログレ・ハード曲、アコースティックギターの調べが彩る哀愁のバラードまで、多彩な楽曲で構成されていますが、決して大仰には展開せず、必要なだけの音を用いたスタイリッシュに引き締まったアンサンブルにプロフェッショナリズムを強く感じさせます。当時彼がほぼ一人で作り上げたという98年作を、20年の時を経て格段のクオリティと共に蘇らせた意欲作!
現ポーランドを代表するシンフォ・グループMILLENIUMを率いるキーボード奏者によるソロ・プロジェクト、19年作3rd。ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』を題材にしたコンセプト・アルバム。MILLENIUMで共に活動するベーシストKrzysztof Wyrwa、度々MILLENIUM作品に参加している女性ヴォーカルKarolina Leszko、MOONRISEのギタリストMarcin Kruczek、人気バンドLOONYPARKのドラマーGrzegorz Fieberという、現ポーランド・シーン屈指の腕利きミュージシャン達を従えたバンドスタイルで制作されています。比較的シリアスと言えた前作までに比べ、題材を反映してか、心温まるようなファンタジックなタッチをメインにした、メロディアスなシンフォニック・ロックが絶品すぎる。派手さはなくとも心地よい躍動感を備えるリズム隊を土台に、まるで歌うように叙情フレーズを次々と紡ぎ出すギター、リック・ライトに似るほの暗く広がるシンセサイザー、そして清涼感の中に円熟味を感じさせる美声の女性ヴォーカルがドラマチックに調和するサウンドは実に感動的。1曲目のインスト・パートを始め、これまでは感じなかったキャメルに近い音作りも新鮮です。演奏はここぞで泣きのプレイを炸裂させるギターが大きくフィーチャーされていて、シンセ、ピアノ、オルガンが淡く繊細なタッチで幻想性を付与します。いつもながら、ソロ作品でもあくまでバンド・アンサンブルの一員に徹してプレイするポジショニングに、いい作品を作ろうというひたむきな姿勢が感じられて素晴らしい。従来作を楽しまれたフロイド・ファンは勿論、ジェネシスやキャメルがお好みの方にもオススメしたい名品です。
現ポーランドを代表するシンフォ・バンドMILLENNIUMのkey奏者によるソロ・プロジェクト、20年4th。本作のテーマはアンデルセンによる「雪の女王」。特筆は、同一の演奏に対し女性ヴォーカルが歌うバージョンと、男性ヴォーカルが歌うバージョンを収めた2枚組である事。DISC1は、艶やかかつ哀感を帯びた女性ヴォーカルがシリアスなドラマ性を引き立てていて、雪景色が浮かび上がるような荘厳さが広がります。一方、素朴な声質で丹念に歌う男性ヴォーカルのDISC2は、同じ演奏とは思えないほど暖かくハートフルな聴き心地をもたらします。物語の主人公ゲルダとカイ、それぞれの視点を表現する見事な演出です。演奏もさすがで、美麗なオーケストレーションをバックに、硬質なリズムとひんやりしたシンセ、静謐なタッチのピアノ、フロイド彷彿の浮遊感あるギターのリフレインらが折り重なり、原作のストーリーをイマジネーション豊かに紐解いていきます。物語の展開とシンクロするSEも効果的。荘厳さの中に淡い叙情を秘めたサウンドが、静かな感動を呼び起こす名作です。
現ポーランドを代表するシンフォ・グループMILLENNIUMのキーボード奏者Ryszard Kramarskiによるソロ・プロジェクト17年作。タイトルが示すとおり『星の王子さま』をコンセプトに据えた作品となっており、そのサウンドはMILLENNIUMと同様ピンク・フロイド、特に『DARK SIDE OF THE MOON』を強く意識したメロディアスかつ劇的なシンフォニック・ロック。リック・ライトのプレイを思い出さずにはおれないセンシティヴな美しさと微かな陰鬱さが漂うシンセから、壮麗に流れゆくキーボード・ストリングスまで、音作りの要を担う自身のキーボードワークはさすがの素晴らしさ。ただ決して前には出過ぎずアンサンブルの中で有機的に音を紡いでいる姿勢がまた好印象です。一方メインでソロを取るMOONRISEのギタリストMarcin Kruczekによるギターも特筆で、ギルモアのプレイを忠実に再現したブルージーな泣きをたっぷり含んだ極上のソロを聴かせていて感動を禁じえません。女性ヴォーカルは清楚さよりは艶があってややアヴァンギャルドな表情も滲ませる実力派。フロイド憧憬のサウンドに深遠な奥深さを与えています。往年のフロイド憧憬を見せつつもそこに違和感なくエレクトロニクスを挿入してくるモダンなセンスも冴え渡ります。フロイド好きならこれはたまらないメロディアス・シンフォの好盤!
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。コンセプト・アルバムとなった00年作の2nd。デビュー作で印象的だった、ネオ・プログレの叙情性とともにピンク・フロイドのDNAを継ぎ、メランコリックかつ映像喚起的なサウンドの延長線上に、「静」と「動」の対比鮮やかに、よりスケールを増した印象。『アニマルス』『ウォール』あたりのフロイドを彷彿させるアコースティックなオープニング・ナンバーからはじまり、無機的な音色のストリングス・シンセをバックにヘヴィなギターが炸裂し、ジェネシスばりのドラマティックなリズムのアクセントとともに、サックスが乱入して荘厳に盛り上がる展開にノックアウト。前作以上にエモーショナルに泣きのフレーズを奏でるギターも素晴らしいし、気品あるタッチのピアノやワルツ曲などポーランド生まれのショパンのエッセンスを感じるし、前作以上にメロディアスさが際立っています。なお、前作はポーランド語でしたが、本作は英語で歌われています。曲間なく繰り広げられる壮大な音のドラマに感動すること間違いなしな傑作。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。02年作3rd。彼らの持ち味は、しっとりと叙情あるメロディとともに映像喚起的なサウンド・メイキングですが、本作では、「メロディ」の方にグッと寄っている印象。彼らならではの空間的な音作りもさすがで、エッジの立ったギターによるシャープなリズムや無機的なビートを効果的に配し、「泣き」に流れず、スケールの大きなサウンドを作り上げています。今までとは違い、直接的な影響はそれほど感じませんが、やはりピンク・フロイドのエッセンスは確かに流れています。堂々と「メロディ」に挑んだメロディアス・ロックの逸品です。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。04年作4th。彼らの持ち味は、しっとりと叙情あるメロディとともに映像喚起的なサウンド・メイキング。前作では、「メロディ」に比重を置いたフックあるメロディアス・ロックを聴かせましたが、本作では、「映像喚起的なサウンド・メイキング」の方に軸足を置いた印象。物憂げな叙情美とともに、シャープで無機的なタッチのリズム・ギター、ミニマルなフレーズを奏でるシンセ、デジタリーなビート音などを効果的に配して、独特のクリアで耽美的なサウンドを奏でています。ギタリストも大きな魅力で、空間的なリズム・ギターとともに、エッジの立った伸びやかなトーンで流麗なフレーズを歌うように紡ぐリード・ギターも絶品です。現代ポーリッシュ・シンフォの傑作。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。05年作5th。メランコリックなメロディとともに映像喚起的なサウンド・メイキングが魅力ですが、本作では、ヴォーカリストGALLのスタイリッシュでシアトリカルな歌唱を中心とした「メロディ」重視のフックに富んだサウンドが印象的。メロディ重視と言っても、ひとたびヘヴィーなギターが鳴り響くと、シンセも分厚くなり響き、エモーショナルにドラマティックに彩ります。音空間を自在に操りながら、ここぞでは劇的に盛り上げる緩急自在のアンサンブルや、伸びやかに奏でられる「泣き」のギターは、ピンク・フロイドのエッセンスを確かに感じます。彼らの「メロディ・センス」とそれを彩る空間的サウンド・メイキング・センスが引き出されたメロディアス・プログレの充実作。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。06年作6th。しっとりとしたトーンでたなびくキーボード、反復フレーズやディレイ音を巧みに操りながらメランコリーやリリシズムを添えるギター、空間を広げるデジタリーなビート、そして、堂々とエモーショナルに歌い上げるヴォーカルと憂いたっぷりのメロディ。『アニマルズ』『ウォール』期のピンク・フロイドを彷彿させるメロディアスなプログレを聴かせます。ネオ・プログレの耽美性や叙情美と、ピンク・フロイドの空間的・映像喚起的な音響センスとが見事に溶け合ったサウンドが印象的。これまでの彼らの作品の中でも特に美しいメロディに溢れた名作。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。前作6thの後、ベスト盤、シングル盤をリリースしてからの08年作7th。これまでも『ウォール』期のフロイドを彷彿させる映像喚起的なサウンドを聴かせてきましたが、本作のオープニング・トラックの曲目はなんと「EMBRYO」で、大地の脈動のように雄大なリズムをバックに、ギターがギルモアばりに伸びやかなリードを奏で、ヴォーカルが憂いたっぷりなメロディをエモーショナルに歌い上げるフロイドのDNAを正統的に受け継いだサウンドを聴かせています。かなり洗練された印象で、「ヴォーカル&メロディ」とそれを彩る「空間的なアレンジ」という彼らの2つの大きな魅力にサウンドを凝縮させた感じ。ピンク・フロイドと同じく、「プログレ」という枠を超えて、ワールド・ワイドに評価されるべきスタイリッシュでスケールの大きな「ロック」を聴かせる大傑作です。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。前作から3年ぶりとなった2011年作の8thアルバムで初の2枚組。憂いあるメロディと空間的で映像喚起的なアレンジとが完璧に融合したスタイリッシュなプログレを前作で極めた彼らが挑んだのが、アルバム2枚に渡って描く壮大なるストーリー。アダムとイブを主人公に、男女間の複雑な関係性をパズルのピースに見立てて描いたコンセプト・アルバムに仕上がっています。ジャケット・イメージからも分かる通り、彼らが敬愛するピンク・フロイド『ウォール』へのオマージュであり、挑戦でもある力作。これは傑作です。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。ネオ・プログレとピンク・フロイドの影響の元に、メランコリックで映像喚起的なサウンドでデビューし、徐々に洗練させながら、前々作、前作で到達した、「プログレ」の枠を超えた、ピンク・フロイド『ウォール』ばりのスタイリッシュな「ロック」サウンド。2013年作9thである本作では、スタイリッシュさはそのままに、叙情性を増し、シンフォニック・ロックとして孤高のサウンドを聴かせています。映像喚起的なSEから入り、中欧の森を思わせるアコギのリードが静かに鳴るイントロ。その静寂を打ち破って轟くヘヴィなギターとキーボードによる音の壁とギルモアばりに伸びやかに泣くリード・ギター。そして、何より素晴らしいのがメロディーとヴォーカル。ピンク・フロイドの内省感とネオ・プログレの叙情美とが出会ったような美旋律、そして伸びやかさの中に翳りを感じさせるハイトーンが魅力のヴォーカルは、もう絶品の一言。99年のデビュー作での「空間的な音響センスに溢れたシンフォニック・ロック」を、これまでの作品で培ったテクニックとサウンド・メイキングのセンスにより圧倒的な強度で聴かせた一大傑作。熱くも透徹としたロマンティシズム。これはずばり最高傑作!
00年代以降のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・バンド、13年のスタジオ・ライヴを収録した13年作。タイトルの通り、00年作『VOCANDA』を13年の時を経て再演した内容となっており、オリジナル・ヴァージョンでのドラマティックさはそのままに、よりダイナミックでスケール感にあふれた演奏に生まれ変わっています。中でもギターとキーボードの演奏技術/表現力は大きくレベルアップしているのがわかり、作品本来の魅力を引き出すような素晴らしいパフォーマンスに思わず感動。ヴォーカルのLUKASZ GALLの切々としたハイトーン・ヴォーカルもやはり絶品。キーボーディストが運営する自レーベルの15周年を記念した企画作品ながら、充実した演奏を全編に渡り披露する好盤です。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。結成15年を記念してリリースされた99年デビュー作『MILLENIUM』と04年作4th『DEJA VU』とをカップリングした2枚組。ピンク・フロイドからの影響を軸にポーランドならではの翳りで包み込んだ、ゆったりとたなびくようにメランコリックなアンサンブル、そして憂いたっぷりのハイトーンの歌声とシアトリカルな歌いまわしが魅力の?ukasz Gallのヴォーカル。アコースティックな音とデジタルで無機質な音とのブレンドも持ち味で、しっとりと紡がれるアコギと、シンセによる電子音やデジタリーなビートとが違和感なく同居した奥行きのある映像喚起的なアレンジも見事です。伸びやかなトーンで歌うように奏でられるエレキ・ギターのリードもまた印象的。どちらの作品も耽美的かつモダンで、なおかつリリシズムたっぷりなポーリッシュ・シンフォの逸品です。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。最高傑作と言える圧倒的な強度のシンフォニック・ロックを聴かせた前作からわずか1年でリリースされた2014年作10thアルバム。「完璧なメロディを探して」というタイトル通り、アルバム冒頭から伸びやかなハイ・トーンのヴォーカルがアカペラで高らかに歌い上げ、鳥肌もの。間髪いれず、彼らの持ち味である、ピンク・フロイドゆずりのディレイ音による空間的なアンサンブルの中、ギター、続いてサックスがリードを取る展開もスケール大きいです。このタイトル・トラックは、ベートーヴェンやバッハやワーグナーなど偉大なる作曲家へのオマージュであるとともに、偉大なるプログレ大曲、ジェネシス「サパーズ・レディ」やピンク・フロイド「エコーズ」やイエス「危機」へのオマージュとして作られた19分を超える大曲。メランコリックでいてスタイリッシュな彼らならではのプログレッシヴ・ロックを極めた名曲です。ロング・トーンでまるで歌うように優美に奏でられるギターと夢想的なサックスが柔らかにメロディを紡ぎ合うインストあり、ストリングスが艶やかに彩る、愛とともに裏切りを描いた渾身のバラードあり、ピンク・フロイドゆずりの洗練を極めたアンサンブルとともに突き抜けたメロディ・センスで聴き手を壮大な音のストーリーへと導き感動を誘うサウンドは彼らの真骨頂。前作に負けず劣らずの傑作です。
現ポーランド・プログレの中心に位置するバンドと言える彼らの2018年リリース作。キーボーディスト/リーダーのRyszard Kramarskiがオーナーを務めるLYNXレーベルの設立20周年を記念した特別作品で、新曲「Unnamed」、13年作『EGO』収録の「When I Fall」リ・レコーディングver、そして過去作からの計11曲をメドレー形式で再演した20分に及ぶ「MMXVIII SUITE」の全3曲を収録。聴きどころは、今作より新加入したMarek Smelkowskiによるヴォーカル。LOONYPARKのkeyによるプロジェクトPADREでも聴かせた、繊細な声の伸びと微かに翳のある落ち着いた声質が特徴的で、ドラマチックで都会的洗練を帯びた現MILLENIUMのサウンドにベストマッチ。歴代ヴォーカルが歌っていた過去ナンバーも、スマートにブラッシュアップされた演奏とこのヴォーカルによって新たな魅力を吹き込まれています。企画アルバムの性格が強いですが、オール新録という点でもMILLENIUMファンは聴き逃がせない一枚です。
名実ともに現ポーランドを代表するシンフォ・グループ、代表曲のインストゥルメンタル・バージョンを収録した18年リリース作。20年にわたる歴史からのベスト選曲といえる14曲を、ヴォーカルを除いたインストゥルメンタル・バージョンで収録。ヴォーカルがないからこそ一層際立つ、緻密かつ雄弁なMILLENIUMサウンドを堪能できる一枚です。
現ポーランド・プログレ・シーンを牽引する人気バンドによる、EP限定収録曲や未発表曲など10曲を収めた2020年リリース作。アコギをメインに紡がれるメランコリックな演奏と美しいメロディが感動的な19年録音の未発表ナンバー「River Of Love」、持ち前のフロイド調にレゲエ風のリズムや男女デュエットを挿入したEP限定収録曲「Comercial Song」、2020年スタジオ作『THE SIN』収録曲「Envy」の静謐なアコースティック・バージョンなど、いずれもオリジナル・アルバムに入っていてもおかしくない完成度の楽曲が詰まっていてビックリです。アウトテイク集でこの充実感、ポーランド・プログレの代表格としての実力を改めて実感させる一枚となっています。
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。記念すべき99年デビュー作。メランコリックにたなびくキーボード、しっとりと紡がれるエレキのアルペジオ、物悲しい旋律のアコギ、どこか工業地帯の灰色の世界を連想させる無機質なビートと生活音のコラージュ。ピンク・フロイドからの影響を軸にポーランドならではの翳りで包み込んだようなアンサンブルが印象的です。アコースティックな音とデジタルで無機質な音とのブレンドも持ち味で、メロディアスなバンド・サウンドと、シンセによる電子音やデジタリーなビートとが違和感なく同居した奥行きのある映像喚起的なアレンジも見事。その辺りのセンスは、ピンク・フロイドのDNAを現代に蘇らせた、と言えるでしょう。ヴォーカルとメロディも魅力で、憂いたっぷりのハイトーンの歌声とシアトリカルな歌いまわしに心奪われるLukasz Gallのヴォーカル、陰影と叙情がにじむメロディにはデビュー作とは思えない「スケール」と「味わい」があります。ポーランド語は、西スラヴ語群に属し、チェコ語やスロバキア語とは方言程度の違い。往年のチェコ産プログレと同じメランコリーや気品を感じます。伸びやかなトーンで歌うように奏でられるエレキ・ギターのリードもまた印象的。耽美的かつモダンで、なおかつリリシズムたっぷりなポーリッシュ・シンフォの逸品です。
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループによる17年作。今作よりゲストプレイヤーだったサックス奏者が正式メンバーとして参加。ピンク・フロイド憧憬のメランコリックかつ劇的なサウンドにジェネシス的な叙情溢れるキーボードプレイを加えた音楽性を持っていた彼らですが、今作ではアーバンな香り漂うサックスのプレイも大きくフィーチャーし、従来作に比べ格段に洗練されたメロディアス・プログレを聴かせてくれます。全体的に見るとキーボードが担っていたシンフォ色は後退したものの、ここぞという場面ではシンセがスケール大きくうねり、存在感を発揮。サックスに活躍に加え、ギルモアのブルース色を抑えたようなエモーション溢れるギターや映画のワンシーンを思わせる話し声のSE、一部楽曲での女性ヴォーカルの起用など、『狂気』のフロイドを現代的な音像で再構成したような印象も強く受けます。さらに特筆なのがメロディの素晴らしさ。従来に増してシンプルゆえの力強さを宿す選び抜かれた美しいメロディが、聴き手の胸を強く揺さぶってきます。そのメロディを歌い上げる少し憂いのある男性ヴォーカルも相変わらずいい声です。シンフォニック・ロックという従来の立ち位置から大きく前進し、独自のサウンドを練り上げた意欲作!
現ポーランド・プログレ・シーンをリードするシンフォ・グループ。デビュー20周年記念でリリースされた、最初期作品+これまでにリリースされたライヴ音源&映像や企画アルバムを網羅したボックスセット。収録されているのは、99年1st『MILLENIUM』、02年3rdアルバムのポーランド語バージョン『REINKARNACJE』、13年リリースのライヴ作『BACK AFTER YEARS – LIVE IN KRAKOW 2009』(2CD)、その映像版『BACK AFTER YEARS – LIVE IN KRAKOW 2009』(DVD)、00年作を再演した13年スタジオ・ライヴ作『VOCANDA 2013 LIVE IN STUDIO』、15年の傑作ライヴ作『CINEMA SHOW』(2CD)、その映像版『CINEMA SHOW』(DVD)、14年リリース未発表音源/デモ音源集『IN THE WORLD OF FANTASY? …AND OTHER RARITIES』、18年のインストゥルメンタル・アルバム『NOTES WITHOUT WORDS』、ボーナスCD『…AND NOW YOU HAVE ALL!』の10CD+2DVDとなっています!
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、14作目となる2020年作。タイトルが示すとおり、現代社会における「七つの大罪」を描く7曲によって構成されたコンセプト・アルバムとなっています。重厚なテーマですが、本作でもPINK FLOYDと90s以降のMARILLIONから影響を受けた深淵かつエモーショナルなシンフォニック・ロックは健在。ビシッビシッと重くタイトに刻むリズムに乗って、オルガンが叙情的にたなびき、リック・ライト彷彿のシンセがダークに広がり、そしてギルモアの泣きとS.ロザリーのメロディアスな音運びを兼ね備えたギターが飛翔するサウンドは、「ドラマチック」という言葉をそのまま音にしたような素晴らしさ!英語で歌う、スタイリッシュな歌い回しの中に切ない哀愁を秘めた男性ヴォーカルも、劇的なサウンドを一層盛り立てます。エレクトロニクスやSEを効果的に用いた演出力の高さにも注目。今回も貫禄のMILLENIUMサウンドを繰り広げる力作です。
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、13作目となる2019年作。オリジナル・メンバーのヴォーカリストLukasz Gallが復帰して制作された本作。その内容は、PINK FLOYDやGENESIS〜MALLIRIONへのリスペクトに溢れたシンフォニック・ロックに、ポーランドらしい深いリリシズムと翳りある叙情美を加えた、揺るぎなきMILLENIUMサウンド。虚空に切なく響くようなピアノ、アンサンブルに奥行きをもたらす深遠なシンセ、ギルモアとS.ロザリーをミックスしたようなエモーションたっぷりに泣くギター、そしてスタイリッシュな中に哀愁を秘めた変わらぬ素晴らしい歌声…。シリアスでメランコリックに紡がれる演奏が、サビに向けて気高く飛翔していくあまりにドラマチックな展開は毎度ながら見事の一言です。始動から20年目となる彼らですが、ただただ実直に自らの音楽を深化させ続けていく姿勢に胸打たれる一枚です。
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レーベル管理上の問題により、デジパックに小さい角つぶれがある場合がございます。予めご了承ください。
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