プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!

プログレ、60s/70sロックCDのネット通販/買取

24時間以内発送(土・日・祝は翌営業日)、6,000円以上送料無料

「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」第五回 ギルモアくんとマンザネラちゃん -二つのピンク・フロイド、その後【後篇】ー 文・市川哲史

第五回 ギルモアくんとマンザネラちゃん -二つのピンク・フロイド、その後【後篇】ー 文・市川哲史

70年代が岡山県の片田舎在住の9歳から18歳だった私だから、もう両手に抱えきれないほどの洋楽コンプレックスを抱えていた。ただでさえ外タレの来日公演が少ないのに、誰がわざわざ地方まで来てライヴをやるものか。そもそも初めて<本物の外人>に遭遇したのは大阪万博の会場だこの野郎。文句あるか。

単なる<田舎在住ロック小僧>時代の私は、頑なに信じていた。古今東西、海外ロック・ミュージシャンはすべからく全員、楽器が目茶目茶上手で当たり前だと。パンクだって故意に下手くそを演じてるだけだと確信してたのである。プロフェッショナルたるもの、未熟な技術で対価を求めるはずがないだろ……うぶ過ぎるぞ昔の私。

そんな私の目を醒ましてくれた大恩人が、フィル・マンザネラだった。

1979年4月のロキシー・ミュージック待望の初来日公演を武道館で目撃した私は、“アウト・オブ・ザ・ブルー”の後半部を聴いた瞬間、瞳孔が開いたまんまになった。エディ・ジョブソンが脱けてニューウェイヴ仕様にシフトチェンジしたのは十二分に理解してるが、にしてもあの艶やかでスリリングなエレクトリック・ヴァイオリンのソロ・パートが、ここまで無残で拙くモゲモゲなギター・ソロに劣化していようとは、お釈迦様でも気がつくめえ。

実はこの大脱線転覆事故、薄々予測できてはいた。ロキシーにせよソロにせよ801にせよスタジオ音源はともかく、当時は各種海賊盤でしか入手できなかったライヴ音源を聴く限り、マンザネラのギターは時と場所と場合を選ぶことなく常に下手くそだったのである。まあアンディ・マッケイの呼吸困難サックス&オーボエもポール・トンプソンのどたどたドラムも<素人に毛>レベルだったけれど、マンザネラは群を抜いていた。

しかしこの人ほど、<拙すぎる演奏力>という弱点が最大の武器になった果報者はいないのではないか。

マンザネラはロンドンで英国人の父とコロンビア人の母の間に生まれ、少年時代の大半をキューバにハワイにベネズエラにコロンビアという、非西洋的な<異郷の地>で過ごした。しかもキューバ革命を現地で実体験、その際に聴いた名もない反戦フォークソングに「音楽的にも精神的にも多大な影響を受けた」らしい。で6歳でスパニッシュ・ギター、8歳でエレキ・ギターというなかなか個性的な順番の楽器遍歴も去ることながら、10代で「60年代ロックンロールとラテンアメリカ的リズムの融合」を志してたというし、その一方でジミヘンのエキセントリックなギターに魂を揺さぶられちゃったわけで、要は筋金入りの<基礎がなってない男>ということになる。

しかし自己陶酔のカタルシスとは無縁の演奏力を誇る非テクニカル・ギタリストだからこそ、彼は独自の芸風と世界観を手に入れることができた。あの<無感動なたどたどしさ>はなぜか職人芸の域に達して<新感覚派>英国ロックの象徴視されたし、<体温が上がらない躍動感と情熱性>はラテン・ロックの<新解釈者>として認知されたのである。

なんか身も蓋もない書き方なので、言葉を補正して繰り返す。70年代のマンザネラは、ロックンロールからカンタベリー系プログレ、そしてフュージョンと、あくまでも従来のロック的カタルシスに囚われない覚醒した視点で<英国ロック>を解析再構築することによって、新種の<都市音楽>を形成してきた。ロキシー時代の“アマゾナ”“オーヴァー・ユー”“テイク・ア・チャンス・ウィズ・ミー”にせよ、ソロの“ダイアモンド・ヘッド”“フロンテラ”にせよ、801の“トゥモロー・ネバー・ノウズ”にせよ、どの曲も<とても恰好良いのに変てこ>なのは、彼の面目躍如だと思う。たぶん天然だけど。


AMAZONA

試聴 Click!

 
FRONTERA

試聴 Click!

 
TOMORROW NEVER KNOWS

試聴 Click!

 

そして80年代以降は、世紀の大失敗に終わった<フェイク・ロキシー・ミュージック(←トランプ流)>ザ・エクスプローラーズなど、自らの音楽性と商業性の接点を模索したのち、90年代末から己れのルーツに最接近し続けた成果として、<忙しなくないモダーン・ラテン・ミュージック>を完成させた観がある。

さすが<偉大なる恋愛スタイル><服を着たラヴソング>――あ、このフレーズはブライアン・フェリーか――さすが<至高のアマチュア・アカデミー>ロキシー・ミュージックの主戦力だけあって、とにかく感性が全ての見事な<元祖ニューウェイヴ>スタイルは無敵だったのだ。そしてつい先日、フィル・マンザネラ66歳のなんとソロ・ライヴ@某ビルボードをモルト嘗めながら観るという嘘のような事態に至り、気づいたことがある。

例えばビル・ブルーフォードの太鼓が超個性的で面白いのは、基本的にはジャズ・ドラマーのはずなのに全然スウィングしてないからだ。同様にマンザネラのギターは、ラテン系なのにちぃーっとも煽情的でも熱情的でもないから、涼しくて心地好いのである。

ソロ最新作『サウンド・オブ・ブルー』からの楽曲に、“夜に抱かれて(ちなみに現・モア・ザン・ディス)”“アウト・オブ・ザ・ブルー”“恋はドラッグ”“イン・エヴリ・ドリームホーム・ア・ハートエイク”に、なぜかフェリーさんソロの“レッツ・スティック・トゥゲザー”に、プレスリーの“好きにならずにいられない”のカヴァーという親切すぎるラインナップが並んだのはいいが、中途半端なアレンジで統一感を持たそうとすれば墜落事故の大惨事はまぬがれない。特にフェリーさん歌唱曲は取扱いを誤ると、他の楽曲群まで台無しにしてしまう。
しかしマンザネラはこの大命題を、意表を突く女性ヴォーカルの起用で見事に解決する。しかも今宵の歌姫ソニヤ・ベルナルド嬢の唄声はR&Bとはまた違う独特の情感を湛えており、いい。そっか彼女はポルトガル系英国人か。この心地好さはファドっぽさだったのか、と大いに納得した次第だ。

そしていつの間にやら自分らしい音楽エンタテインメントをきっちり完成させていたマンザネラの円熟が、古くからのファンである私にはちょっと嬉しかった。

どんだけ上から目線なんだ私は。

だって仕方がないじゃない。ロキシー・ミュージックの貴重音源満載4枚組BOX『THE THRILL OF IT ALL』の選曲原案を練ったのも、フェリーさんのアルバム未収録シングルB面曲を集めて世界初CD化した日本独自コンピ盤『マムーナ・アンド・レア・トラックス』を監修したのも、ロキシー絡みのライナーノーツを山のように書いたのも私だ。実はプログレよりもロキシーの方が好きなのだ。おいおい。大目に見てください。
 

そんなこんなで95年5月、海外では2枚組でリリースされたフィル・マンザネラのベスト盤『ザ・マンザネラ・コレクション』を、日本仕様の1枚物に凝縮する苦渋の選曲作業中の私に本国英国から様々な資料と共に送られてきた、やたら詳細でレアな情報満載のレコーディング・セッション・リストの存在を想い出した。久々に蘇る記憶とともに、1987年の項を見る。

マンザネラ所有のギャラリー・スタジオで、2つのセッションが実現していた。10ccのエリック・スチュワート篇と、デイヴ・ギルモア篇である。ちなみに前者の成果はいまなお未発表だが、マンザネラ&ギルモア・セッションではコラボ4曲がデモ・レコーディングされている。その内正式レコーディングされたのは2曲—-同87年発表のピンク・フロイド再始動アルバム『鬱』収録曲“理性喪失”と、前述した『ザ・マンザネラ・コレクション』海外盤のみに初収録された、ジョン・ウェットン&フィル・マンザネラ『ウェットン・マンザネラ』のアウトテイク曲“トーク・トゥ・ミー”になる。

そう、『鬱』リリース時に気づく人だけ気づいた謎のソング・ライティング・チーム、《ギルモア/マンザネラ》誕生の瞬間なのであった。

そしてかなりの空白期間を経た04年9月24日《ストラトキャスター50周年記念コンサート》@英ウェンブリー・アリーナに、マンザネラはギルモアから呼ばれて『鬱』の“時のない世界”に『対』の“孤立”“転生”計3曲の演奏をサポートする羽目になる。

すると翌々年3月に発表されたギルモア22年ぶりの3rdソロアルバム『オン・アン・アイランド』を、ギルモア本人&クリス・トーマスと共同プロデュースしたばかりか、同時に開幕した大規模な欧州北米ツアーではリック・ライトと共にツアー・バンドの一員にまでなってしまった。ちなみにその律儀な姿は、英ロイヤル・アルバート・ホール公演の映像が07年発表のライヴDVD/BD『覇響』、ポーランド・グダニスク公演における交響楽団との共演は08年リリースのライヴCD『狂気の祭典』で確認できる。
かいがいしいよマンザネラ。

遂には2012年8月には突然ギルモアから、『対』の〈アウトテイクス〉という名の音の断片群20時間以上分を渡されると、「これをなんとかピンク・フロイドのニュー・アルバムにまとめてよ」と有無をも言わさず頼まれちゃったのだ。なんで?

まあマンザネラの献身的な作業は一応功を奏したのか結果的に14年11月、ピンク・フロイドのラスト・アルバムとして『永遠(TOWA)』は陽の目を見た。一応exキリング・ジョークのユース、『対』担当エンジニアだったアンディ・ジャクスン、そしてギルモアと並びプロデューサー・クレジットは拝命されている。

ここまでくると、もはやギルモアの傍らにマンザネラがいない方が不自然だ。15年9月発表の5thソロアルバム『飛翔』のプロデュースもギルモア&マンザネラだし、例によって同時期に2年懸けて廻った欧州→南米→北米→欧州ツアーも、立派なレギュラー2ndギタリストなのであった。このツアーにおける各種歴史的建造物公演の模様をAV収録した『ライヴ・イン・ポンペイ』が今年10月にはリリースされるのだが、マンザネラのたたずまいは容易に想像がついて微笑ましいじゃないか。

それにしてもなぜフィル・マンザネラは、ここまでデヴィッド・ギルモアに一方的に重宝されているのだろう。

年齢差がギルモアの〈+5歳〉だけに、ギルモアとマンザネラの兄が高校時代からの知己だったのは、嘘ではないようだ。しかし実際には、マネージャーが同じ〈ウォーターズの怨敵〉スティーヴ・オルークで、ウォーターズ抜きでフロイドっぽい音楽を作ることに煮詰まりまくりのギルモアを見かねた彼が、とりあえず手近なマンザネラとのセッションを87年早々に組んだというのが、真相だろう。ただ“理性喪失”を何回聴いても、音楽的なマンザネラっぽさが見当たらないのだ。

実はあの『鬱』という〈一応〉フロイド再始動アルバムは、ほぼギルモアのソロ・アルバムだったりする。まず物理的に、ロジャー・ウォーターズがいない。ライトはそのウォーターズに『ファイナル・カット』制作前に解雇されたままの元職扱いで、唯二の正式メンバーであるニック・メイスン共々ほとんど制作に関与していないのだ。平たく言えば、ほとんど弾いても叩いてもいない。だからドラムもベースも鍵盤もほとんどが達者な外部ミュージシャンたちで、しかもギルモア以外のメンバーの名を詞曲クレジットに見つけることはできない。そういう意味では、アルバム・スリーヴで《a requiem for the post war dream by roger waters》などと、ウォーターズに堂々「自分のソロ・アルバムだよん」宣言をされた『ファイナル・カット』と、コンセプトを諦め雰囲気だけを厳選してギルモアが再現した『鬱』は、実は五十歩百歩なのだろう。

そういうわけだから、ギルモアにとって必要な人材とは〈ピンク・フロイドの同僚および元同僚〉なんかではない。あの情緒的で仰々しくて、でも聴く者の心を掴んで離さないシズル感溢れるメロディとサウンドメイクは、「お手のもの」なのだから。
しかしコンセプト・ワークと歌詞に関しては、「お手上げ」ときた。なので〈なんとなく高尚な、フロイドっぽいたたずまい〉を確保するために、『鬱』ではexスラップ・ハッピーのアンソニー・ムーア、『対』ではそのムーアに加え若きSF作家のダグラス・アダムス、ドリーム・アカデミーのニック・レアード=クロウズ、そして(当時はまだ)恋人の三流ジャーナリストのポーリー・サムソンに全11曲中7曲の詞を書いてもらっちゃうほど、そっちは「奥手も奥手、超奥手」のギルモアさんだったのである。だからラストの『永遠』でも『対』からの連続性を意識してなのか、英物理学者スティーヴン・ホーキンス博士のありがたいお言葉を再び意味ありげにフィーチュアするしかないのであった。

別にディスっているわけじゃない。ウォーターズが《ピンク・フロイド=歌詞/アジテーション》を選択したように、ギルモアは《ピング・フロイド=音楽/ムード》を選んだだけの話だ。これがギルモアの矜持なのだ。
となれば、音楽的に自分が全っ然劣ってるとは思えないマンザネラと“理性喪失”を共作した理由は——もしかしてマンザネラは詞を書いただけだったりして。わはは。でもこの冗談が意外に洒落にならない気がするから、怖いのである。

というわけで数々のエビデンスに基づいて、私の仮説を続ける。

95年5月発表のライヴ・アルバム『P・U・L・S・E』を最後にフロイドを永眠させたギルモアが、満を持してソロ再デビューを果たしたのは06年。11年の歳月が世間の<フロイド的なもの〉への飢餓感を充分に膨らませたと判断したのか、ようやく制作する3rdソロ・アルバム『オン・アン・アイランド』の共同プロデューサーに、いきなりマンザネラを指名した感が当時あった。

その経緯は謎なのだけれど、『オン・アン・アイランド』におけるマンザネラのプレイヤーとしての貢献は、そもそもギタリストとしてではなく3曲に鍵盤奏者として参加したことに過ぎなかった。そして、自分が弾き散らかして放置したまんまのスケッチをいちいち聴き込みまくり、「コレとコレとコレを繋げて再構築すれば、ちゃんとしたいい曲になると思うんですけど……」とご丁寧に提案してくるマンザネラの馬鹿正直さに、ギルモアはぴんときたのだろう。極楽とんぼというか、記名性に対する執着はあっても作品自体には実は無頓着でアバウトな自分の性癖を鑑みれば、これほど便利なサポーターはいないではないか。しかも「俺が俺が」的な自己顕示欲とは無縁ときたもんだ。もう天の配剤どころの騒ぎではない。

すると06年以降、マンザネラはメイソンよりもライトよりも、ギルモアにとっては圧倒的に有能な〈助手〉として雇われ続けて現在に至る。どう考えてもギターの技術的には劣っててしかも地味だから、自分より目立つ危険性は皆無だ。安心してツアーの〈副ギタリスト〉を任すことができるし、と同時にアルバムでは共同プロデューサーとして起用しても決してギターは弾かせはしない。うわ。
適材適所で徹底してはいるけれど、つくづく非情な男だねぇ。

そして周知の通り、とうとうピンク・フロイド栄光(失笑)のラスト・アルバムのプロデュースを「させられる」までに至ったわけだが—-。

そもそも『永遠』とは前世紀末に録音した『対』のアウトテイク集である。そして、08年に逝去したリック・ライト追悼という偶然のお題目に恵まれたから誕生した。うーん、こうまとめちゃうとギルモアの天才的なアバウトさが素敵すぎる。これは決して嫌味ではない。ピンク・フロイドの音楽が持つ妙な大衆性は、明らかに彼のこの資質に起因してたのだから。

さて『対』は94年当時は2枚組(もしくは2タイトル同時)でのリリースを目論んでいたため、エンジニアのアンディ・ジャクソンが膨大なセッション音源から『THE BIG SPIRIT』なるサイケ&アンビエント・インスト・アルバムを仮編集したものの、そのまま塩漬けされていた。ところが先の弔事から4年経った12年8月、突然ギルモア所有のスタジオ付き小型船舶に呼び出されたマンザネラは、「使えるものがあるかどうか全部聴いてよ」とセッション音源の総点検をやんわり厳命される。

すると生来の〈几帳面ないいひと〉魂に静かに火が点いたマンザネラは、ジャクソンからの「20年前に僕がまとめた『THE BIG SPIRIT(←「大きなお世話」か?)』をベースにしてもらえれば」的な申し出をあっさり断わり、20時間ものお蔵入り音源をノート片手に聴き込む。そして6ヶ月の献身と引き換えに『大きなお世話』とは全く別物の、〈精一杯の叩き台〉をギルモアに提示する。

サイズ的にはアナログ盤2枚組を、形式的にはクラシックの楽章立てを想定して、各13分程度の四部構成で音源を整理再構成してみせたばかりか、幾つかの画像付きの書き下ろしコンセプト・ストーリーまで添付して提出したのだ。ちゃんとしてるよ。

しかしこの上申書をニック・メイスンは高評価したものの、ギルモアは翌13年いっぱいほったらかしにするのだから鬼である。結局、究極の〈フロイドおた〉ユースの賞賛を得たことで14年1月にようやく、レコーディングに漕ぎつけることができた。

というわけでやっと正式採用されたマンザネラ案だが、実際には文字通りの叩き台としてユースとギルモアのアイディアと差し替えられたり、マンザネラの弾いてたギター・パートは悉く、全て容赦なくギルモアが弾き直している。それでも彼は全然平気だ。
「だってピンク・フロイドのアルバムにしないと駄目なんだから、僕のエゴなんてお呼びじゃないさ(微笑)」

デイヴ・ギルモア、きみは本当にいい道具に恵まれている。

フィル・マンザネラ、たぶんずっといいひとのままで終わるんだろうけれど、一度だけでいいから目を醒ませ。

結局のところギルモアは変な自尊心に囚われず、単純明快な〈ピンク・フロイドっぽさ〉を追求したことで、結果自らの世界観を獲得できちゃった〈幸運な男〉の気がする。

あの独特のサウンドメイクの再現は当然として、知的に見える歌詞、手が込んだ意味ありげなスリーヴ・デザイン、例の巨大円形スクリーンやら自動照明ロボ《フロイドロイド》やらのやたら大規模なステージ・セットなどをぬかりなく全て新装踏襲することで、彼は〈超高級大衆音楽としてのピンク・フロイド〉を見事に再現してみせた。

私も含めたロジャー・ウォーターズ派からは忌み嫌われたものの、これはこれで超ド級のメガ・バンドだったフロイドに他ならない。だからこそ売れたわけだし。ただ誰も予測できなかったのは、その後のギルモア・ソロ・ワークスの商業的大ブレイクではないか。『オン・アン・アイランド』が英1位に米6位というフロイド級のセールスを記録すると、次作『狂気の祭典~ライヴ・イン・グダニスク』はライヴ盤なのに英10位米26位と大健闘、そしてフロイドの『永遠(TOWA)』(英1位・米3位)を挟んでのソロ最新作『飛翔』は、とうとう英米1位まで昇り詰めてしまった。

要するに世間一般のリスナーは、フロイドが不在だから〈次善の一枚〉としてギルモアのアルバムを購入している。つまり、〈デヴィッド・ギルモア〉と書いて〈ピンク・フロイド〉と読むのだ。皮肉なことにウォーターズ信者はウォーターズ信者で、ロジャー・ウォーターズをピンク・フロイドとしか見てないわけで、ギルモアもウォーターズもそして我々リスナーも、所詮〈同じ穴のフロイド〉なのであった。

にしても人間性そのものがアバウトなギルモアだからこそ、「ピンク・フロイドをなぞる」という後ろ向きな方法論を当たり前のように選択できた。ポンペイ遺跡ライヴまで再現できちゃう度胸は、やはりギルモアならではだ。もちろん、そんな大雑把男のために一切の邪念なく尽くすことができるマンザネラあってこそ、なのである。

デイヴ・ギルモアとブライアン・フェリー、フィル・マンザネラにとってはどちらが理想の上司だったのだろうか。







第一回「ジョン・ウェットンはなぜ<いいひと>だったのか?」はコチラ!

第ニ回 「尼崎に<あしたのイエス>を見た、か? ~2017・4・21イエス・フィーチュアリング・ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン(苦笑)@あましんアルカイックホールのライヴ評みたいなもの」はコチラ!

第三回「ロバート・フリップ卿の“英雄夢語り”」はコチラ!

第四回「第四回 これは我々が本当に望んだロジャー・ウォーターズなのか? -二つのピンク・フロイド、その後【前篇】-」はコチラ!

PHIL MANZANERAの在庫

  • PHIL MANZANERA / FIREBIRD V11

    かつてクワイエット・サンで活動を共にしたチャールズ・ヘイワードらとバンド編成で製作した08年作

  • PHIL MANZANERA / DIAMOND HEAD

    75年の1stソロ、捻くれたポップ感覚がセンス抜群な傑作、ロキシーのメンバー他、J.ウェットン、E.ジョブソン、R.ワイアットなど多数参加!

    75年作の1stソロ。巧みなリズム・ギター、メロディアスなソロともセンス抜群なギターは勿論のこと、どの曲もちょっと捻くれたポップなメロディーが素晴らしく、メロディ・メイカーとしても奇才ぶりを発揮しています。ロバート・ワイアット、イーノ、ジョン・ウェットン、ビル・マコーミックなど、豪華ゲスト陣による演奏も聴き所。名作。

「PHIL MANZANERAの在庫」をもっと見る

ROXY MUSICの在庫

  • ROXY MUSIC / EARLY YEARS

    初期ベスト、全16曲

  • ROXY MUSIC / LIVE IN 1974 KING BISCUIT FLOWER HOUR

    74年11月、『カントリー・ライフ』ツアーの英ニューキャッスル公演を収録、全16曲

  • ROXY MUSIC / ROXY MUSIC

    グラム・ロックを代表する名バンド、エキセントリックかつポップ、記念すべき72年デビュー作!

    ブライアン・フェリー(Vo)、ブライアン・イーノ(Key)を中心に、フィル・マンザネラ(G)、アンディ・マッケイ(Sax)など、後に英ロック・シーンを引っ張っていく名ミュージシャン達により結成された名グループ。グラム・ロック全盛の71年にリリースされたデビュー作。プロデュースは、キング・クリムゾンでお馴染みのピート・シンフィールド。オープニング・ナンバーからテンション全開で、吹き荒れるアンディ・マッケイのサックス、叩きつけるようなノイジーなフィル・マンザネラのギター、四方八方から飛び込んでくるブライアン・イーノのシンセが左右チャンネルをエネルギッシュに駆け回ります。極めつけは、ブライアン・フェリーのわざとらしいヴィヴラート・ヴォーカル!個性がぶっ飛んだメンバーが全速力でぶつかりあったサウンドは、グラム・ロックのカテゴリーに収まらない破天荒さでいっぱい。ロックンロールやドゥ・ワップなどオールド・タイムな音楽を詰め込みつつ、圧倒的にアヴァンギャルドに、かつおもちゃ箱をひっくり返したようにポップに聴かせる、英ロック史上に残る傑作です。

    • ROXYCD1/724384744724VIRGIN

      デジタル・リマスター、HDCD

      盤質:傷あり

      状態:良好

    • 4734389VIRGIN

      廃盤、LPサイズの136pハードカバーブックレット仕様、3CD+DVDの4枚組、アウターケース付き仕様、DVDは再生方式記載なし/リージョンフリー、CD1(99年リマスター本編)/CD2(71年デモ/72年アウトテイク)/CD3(72年BBCセッション音源集)/DVD(Steven Wilsonによる本編5.1chミックス & 72年ライヴ映像集)

      盤質:傷あり

      状態:良好

      18090円

      9045円
      (税込9950円)

      9949円お得!


      CD詳細ページへ

  • ROXY MUSIC / FOR YOUR PLEASURE

    73年作の2nd、イーノ在籍最後の作品、アヴァンギャルドにぶっ飛んでいて、かつ洗練されたデカダン・ポップ傑作!

    ブライアン・イーノ在籍時最後の作品となる73年の2nd。前半と後半でプロデューサーが変わっていて、次作も手がけるクリス・トーマスがプロデュースした前半は、1stの延長線上のアヴァンギャルドかつポップな作風、初期ジェネシスも手がけたジョン・アンソニーがプロデュースした後半は、怪しくもアーティスティックな作風が特徴です。オープニングの「Do The Srand」から相変わらずにエキセントリック!シャープなリズムを軸に、フィル・マンザネラが鋭角なフレーズで切り刻み、アンディ・マッケイがサックスをぶつけ、イーノのシンセがおもちゃ箱をひっくり返したようなポップさを加えます。ブライアン・フェリーのきわものヴィヴラード・ヴォーカルもキレをましています。一転してダークに後半の幕を開けるのは、ビニール人形を愛する男を歌う「In Every Dream Home A Heartache」。エコーするイーノのシンセサイザーに揺れるようなアンディ・マッケイのサックスとフィル・マンザネラのギターが絡み、そこにブライアン・フェリーが淡々と言葉をのせて妖しい空間を作り出します。「狂気」に満ちたうねるようなギターソロも圧巻。各音とそのぶつかり合いはぶっ飛んでいるのに、全体としては洗練させて聴かせるのがこのグループの恐るべきところで、アヴァンギャルドかつポップな初期ロキシーの魅力が詰まった名作!

  • ROXY MUSIC / STRANDED

    「ノン・ミュージシャン」イーノに代わり「バカテク・ミュージシャン」エディ・ジョブソンが加入して制作された73年作3rd

    有名な「ひとつのバンドにふたりのノン・ミュージシャンはいらない」とのフェリーのセリフで脱退に至ったブライアン・イーノに代わり、ヴァイオリン、キーボードで元カーヴド・エアのエディ・ジョブソンが参加した73年作サード・アルバム。相変わらず癖のあるフェリーのヴォーカルは健在だが、前2作のグラム・ロック的な派手さは抑えめで6曲目「ヨーロッパ哀歌」のように朗々と歌い上げる曲も。本作からは1曲目「ストリート・ライフ」が全英で9位を獲得。本アルバムは初の全英1位となり、ロック界でのロキシーのプレゼンスを確立させた。

  • ROXY MUSIC / COUNTRY LIFE

    エディ・ジョブソン在籍期の74年作4thアルバム、ベースは元QUATERMASSのジョン・グスタフソン

    そのセクシーなジャケットが物議をかもしたことで結果的に高いセールスを記録し、世界進出のきっかけとなった4作目。グラマラスなイメージも残しつつ、親しみやすくポップでキャッチーなメロディの楽曲を多く収録し、ブライアン・フェリーのソングライターとしての充実ぶりが、バンドとしてもより大きくスケールアップした作品。74年作。

  • ROXY MUSIC / SIREN

    75年リリースの5th

    ブライアン・フェリーの当時の恋人でトップ・モデルのジェリー・ホールが女神に扮するジャケットも話題となった5作目は、活動休止に伴う前半期最後のスタジオ・アルバム。バンドのスタイルが確立したことによる成熟と同時に、ターニング・ポイントを迎えた彼らが放つ充実作。全英チャート2位を記録したヒット曲「恋はドラッグ」収録。75年作。

  • ROXY MUSIC / VIVA ! ROXY MUSIC – THE LIVE ROXY MUSIC ALBUM

    エディ・ジョブソン&ジョン・ウェットン在籍期の76年ライヴ作

  • ROXY MUSIC / CONCERTO

    79年米デンヴァーでのライヴを収録

    • PILOT90NMC

      2枚組、ボーナス・トラック2曲

      盤質:無傷/小傷

      状態:良好

      1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、ケースツメ跡あり、若干シワあり

      1400円

      1120円
      (税込1232円)

      308円お得!


      CD詳細ページへ

  • ROXY MUSIC / MANIFESTO

    79年作

  • ROXY MUSIC / AVALON

    洗練の極致に到達した82年発表の代表作

  • ROXY MUSIC / HEART STILL BEATING

    『アヴァロン』リリース後の82年ライヴを収録、90年リリース

「ROXY MUSICの在庫」をもっと見る

DAVID GILMOURの在庫

  • DAVID GILMOUR / ON AN ISLAND

    22年ぶりの06年ソロ作。叙情的な泣きのギターと繊細なボーカル、深みあるサウンドが素晴らしい、円熟の逸品。

    22年ぶりの06年ソロ作。叙情的な泣きのギターと繊細なボーカル、深みあるサウンドが素晴らしい、円熟の作品。フィル・マンザネラとクリス・トーマスとの共同プロデュース。リチャード・ライト、ロバート・ワイアット、ジョージイ・フェイムなど豪華ミュージシャン参加。作詞では妻のポリー・サムソンが参加し、パーソナルな内容となっている。

  • DAVID GILMOUR / LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL

    07年リリース、06年5月のロンドン公演を収録

    • 88697074249DAVID GILMOUR

      デジパック仕様(トールサイズ)・スリップケース付き仕様、DVD、2枚組、NTSC方式、リージョン1

      盤質:傷あり

      状態:良好

      ケース不良、1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、圧痕あり、トレイ割れあり

      1600円

      1280円
      (税込1408円)

      352円お得!


      CD詳細ページへ

  • DAVID GILMOUR / ABOUT FACE

    84年作

「DAVID GILMOURの在庫」をもっと見る

PINK FLOYDの在庫

  • PINK FLOYD / IS THERE ANYBODY OUT THERE ? THE WALL-LIVE EARLS COURT 1980/1981

    80-81年、代表作「THE WALL」の完全再現ライブを収録

  • PINK FLOYD / PULSE: IN CONCERT (DVD)

    94年ロンドン・アールズコート公演の映像を収録!

  • PINK FLOYD / ECHOES: THE BEST OF

    01年リリースのベスト、全26曲

    • TOCP65910/1

      2枚組、24bitデジタル・リマスター、スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)、定価3495+税

      盤質:傷あり

      状態:並

      帯無

      帯無、若干カビあり

    • 724353611125EMI

      スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)、2枚組

      盤質:傷あり

      状態:並

      1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、若干カビあり、ケースにスレあり

    • 724353611125EMI

      スリップケース付き仕様(画像はスリップケースです)、2枚組

      盤質:傷あり

      状態:良好

      スリップケース無し、盤に曇り・若干指紋あり、若干経年変化あり

  • PINK FLOYD / DARK SIDE OF THE MOON IMMERSION BOX SET

    2011年リリースのボックス・セット

    • 5099902943121IMMERSION

      3CD+2DVD+1Blu-ray discの6枚組ボックス、デジタル・リマスター、DVDはNTSC方式、リージョンフリー、ブックレット・コースター・ガラス玉・クロス付き仕様、ブックレット付仕様、情報記載シート付仕様

      盤質:傷あり

      状態:良好

      2枚は無傷〜傷少なめ、4枚は傷あり、情報記載シートにスレあり

  • PINK FLOYD / A MOMENTARY LAPSE OF REASON (REMIXED & UPDATED)

    87年作『鬱』をデヴィッド・ギルモアがオリジナルのマスター・テープから21年リミックス。リチャード・ライトによるオリジナルのキーボードテイクやニック・メイスンのドラムトラックを追加録音したアップデートver。

  • PINK FLOYD / WALL LIVE IN LONDON 1980

    80年8月8日ロンドン公演における『THE WALL』完全再現を収録!

  • PINK FLOYD / PIPER AT THE GATES OF DAWN

    67年の記念すべきデビュー・アルバム、シド・バレットの才気ほとばしるブリティッシュ・サイケデリック・ロックの大傑作!

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1967年に発表されたデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』は、Syd Barrett期のPINK FLOYDサウンドが収められた貴重な作品です。PINK FLOYDと言えば、ベーシストRoger Watersを中心とした体制で大躍進を遂げる70年代の印象がありますが、本作はSyd Barrettを中心とした体制で制作された作品であり、大半の楽曲をSyd Barrett作曲しています。その内容は、強烈な酩酊感と浮遊感を持ったブリティッシュ・サイケデリック・ロックであり、Syd Barrettの個性が発揮されたアルバム。旧邦題が『サイケデリックの新鋭』だったことにも納得のトリップ感覚を持った、60年代らしい作品です。

  • PINK FLOYD / SOUNDTRACK FROM THE FILM MORE(MUSIC FROM THE FILM MORE)

    69年発表の通算3作目、映画『MORE』のサントラ盤、名曲「Cymbaline」収録

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1969年に発表された『モア』は、バーベット・シュローダーの監督作品「モア」のサウンドトラック・アルバム。本作の特筆すべき点は、Roger Waters、Rick Wright、Nick Mason、Dave Gilmourという4人編成での初めてのアルバムであるということでしょう。音楽的には、インストゥルメンタル楽曲(5曲)よりもヴォーカル楽曲(8曲)に比重が置かれている点が意外ですが、これはすでにあったストックを流用したことと関係があるのかもしれません。わずか8日間で制作が終了したのも、そのためでしょう。PINK FLOYDが新たなロック・サウンドを創造すべく実験精神に溢れていた時代の必聴作です。ちなみに、旧邦題は『幻想の中に』。

  • PINK FLOYD / ATOM HEART MOTHER

    70年発表、プログレと言えばこのジャケ!A面の大作、B面の小曲集ともに美しく気品ある佇まいの名曲で固められた傑作

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1970年に発表された4thアルバム『原子心母』は、ヒプノシスによる牛のカバー・アート、英単語の直訳をそのまま並べた個性的な邦題、そして、日本盤帯に書かれた「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!」というキャッチ・コピーが広く知られた名盤です。やはり一番の聴きどころは、スコットランド出身の前衛作曲家Ron Geesinをオーケストラ・アレンジャーに迎えた23分のタイトル曲「Atom Heart Mother」でしょう。ブラス・セクションや混声合唱を贅沢に配置したサウンドが、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを宣言するかのように堂々と響きます。一方、Roger Waters作曲の「もしも」、Rick Wright作曲の「サマー’68」、Dave Gilmour作曲の「デブでよろよろの太陽」は、共通して美しいメロディーが印象的な小品。そして、アルバムの最後にはミュージック・コンクレートの手法を用いた「アランのサイケデリック・ブレックファスト」が控えます。なおグループは、本作で初めて全英初登場1位を獲得しました。

    • TOCP8415

      95年規格、デジタル・リマスター、解説元から無し、歌詞対訳・レシピカード付き仕様、定価2548

      盤質:傷あり

      状態:並

      帯無

      帯無、若干カビあり

    • CP325274

      88年規格、角丸帯仕様、解説元からなし(対訳と年表付き)、定価2920+税

      盤質:傷あり

      状態:並

      帯有

      若干カビあり、帯中央部分に色褪せあり、帯に若干ケースツメ跡あり

  • PINK FLOYD / MEDDLE

    71年作、代表曲「ONE OF THESE DAYS」「ECHOES」収録、両極に挟まれたメロウな小曲群も魅力的な名盤

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1971年に発表された5thアルバム『おせっかい』は、ヒプノシスによる耳と波紋を重ね焼きしたアートワークが印象的な作品です。本作の最も大きなポイントは、4人体制のPINK FLOYDが初めて、彼らだけの手で作り上げた純粋なスタジオ・アルバムであるということでしょう。なぜなら『モア』はサウンドトラックであり、『ウマグマ』はライブ・レコーディングとメンバーたちのソロ作品から成る変則的なアルバム、『原子心母』は前衛作曲家Ron Geesinがアルバムの出来栄えに大きく関与していたためです。やはりオープニングに置かれた「吹けよ風、呼べよ嵐」と、エンディングに置かれた「エコーズ」が、本作を名盤に押し上げています。「吹けよ風、呼べよ嵐」は、広がりのあるRoger Watersのベースの反復とフェードイン・フェードアウトを繰り返すRick Wrightのオルガンを核とする前半、そしてDave Gilmourのヘヴィーなギターが加わる中盤から一瞬の静寂を経て、Nick Masonのハード・ロック・ドラムが加わる後半から成る名曲。一方の「エコーズ」は23分を超える大曲であり、現在多くの音楽ファンがPINK FLOYD「らしさ」と受け止める音楽的な振る舞いが確立された重要な楽曲です。

  • PINK FLOYD / RELICS

    60年代にリリースされたシングル音源を中心に収録した71年作

  • PINK FLOYD / OBSCURED BY CLOUDS

    『狂気』のレコーディングを中断して映画『ラ・ヴァレ』用に録音された72年作品、サントラながら最盛期を感じさせる佳曲が満載の一枚

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1972年に発表された『雲の影』は、バーベット・シュローダー監督作品「ラ・ヴァレ」のサウンドトラックとして発表されました。なお、69年作『モア』も、同じくバーベット・シュローダー監督作品「モア」のサウンドトラックでした。『おせっかい』と『狂気』という傑作の間に挟まれ、さらにサウンドトラック・アルバムということで影の薄い印象も持たれがちな作品ですが、大傑作『狂気』と同時期に制作された本作のクオリティーが低いはずがありません。制作はパリのシャトー・ド・デルヴィーユで行われ、わずか2週間ほどで完了。PINK FLOYDのオリジナル・アルバムに見られるような張り詰めた緊張感こそ見られないながらも、初期の彼らを思い起こさせる、サイケデリックな質感を漂わせた耳馴染みの良いヴォーカル曲、インストゥルメンタル曲が収められています。

  • PINK FLOYD / DARK SIDE OF THE MOON

    73年発表、ロックの歴史に燦然と輝く世紀の名盤!

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1973年に発表された『狂気』は、“人間の内面に潜む狂気”をテーマに制作されたPINK FLOYDの代表作のひとつ。このクラスの名盤ともなれば、もはやプログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルに限定する必要すらありません。本作は、世界で最も売れた音楽アルバム(推定5000万枚以上)のひとつであり、ビルボード・チャートに741週(15年)連続チャート・イン、さらに発売から2年を経過したアルバムのみを扱うカタログ・チャートに至っては1630週(30年)以上チャート・インするというギネス記録を打ち立てた大傑作です。あえてプログレッシヴ・ロックの側面から指摘するならば、本作は「コンセプト・アルバム」という表現方法を象徴するアルバムだということでしょう。本作の成功によって、コンセプトの中核を担ったベーシストRoger Watersのグループ内での発言権が増し、次作以降のPINK FLOYDにも大きな影響をもたらすことになります。ロック・ミュージックの歴史に燦然と輝く名盤であり、当然ながらプログレッシヴ・ロックを語る上で外すことはできない作品です。

  • PINK FLOYD / WISH YOU WERE HERE

    前作『狂気』にも劣らぬ内容と言える75年リリースの傑作

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1973年発表の『狂気』の大ヒットを経て、PINK FLOYDは日用品を使った前衛音楽「Household Objects」を企画。しかし、これは実際にレコーディングも行われていましたが、途中で頓挫しました。そして、1975年に発表された『炎〜あなたがここにいてほしい』は、全米および全英1位を獲得した前作『狂気』と並ぶPINK FLOYDの代表作のひとつとなりました。最大の聴きどころは、アルバム冒頭と最後に収められた9つのパートから成る「クレイジー・ダイアモンド」でしょう。この大曲は、(Roger Waters自身は否定しているものの)早くにグループを離脱することになってしまったSyd Barrettに捧げられた楽曲だと言われています。さらに、79年にリリースされる傑作『ザ・ウォール』につながるテーマが登場する「ようこそマシーンへ」、プログレ・フォーク・ミュージシャンRoy Harperをゲスト・ヴォーカリストに迎えた「葉巻はいかが」、そしてRoger WatersとDavid Gilmourが揃って「グループの最高の楽曲のひとつ」と胸を張る「あなたがここにいてほしい」が収められています。『狂気』に続き、本作も間違いなく名盤です。

  • PINK FLOYD / THE WALL

    ロジャー・ウォーターズの内面世界が色濃く反映された79年作、世界一売れた2枚組アルバム!

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1979年に発表された大作『The Wall』は「全世界で最も売れた(3000万枚以上)2枚組のアルバム」であり、『狂気』や『炎〜あなたがここにいてほしい』と並ぶ、グループの代表作のひとつ。その内容は、バンドの実権を掌握したRoger Watersの思想が強く表れたロック・オペラ。Roger WatersとSyd Barrettの姿が投影されていると言われるロック・スター「ピンク」を主人公に、彼が人生の中で経験してきた教育に対する違和感や社会の中での疎外感を「壁」に見立て、各曲が切れ目なく進行していきます。本作を引っ提げて行われたツアーでは、ステージと客席の間に実際に「壁」を構築し、大きな話題となりました。2010年代に入って以降も、例えばRoger Watersによる大規模な再現ツアーが行われていることからも、PINK FLOYDのディスコグラフィーの中での本作の重要度が分かるでしょう。シングル・カットされ全米・全英1位を獲得した「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール (パート2) 」や、コンサートの定番曲「コンフォタブリー・ナム」といった名曲も収められた、ロック・ミュージックの歴史上類を見ない傑作です。

    • TOCP65742/3

      紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、年表・歌詞対訳付き仕様、タイトル入りプラ製シート・内袋2枚付仕様、レーベルカード4枚入り、定価3495

      盤質:全面に多数傷

      状態:並

      帯有

      プラ製シートなし、レーベルカード1枚に若干折れあり、内袋1枚に若干汚れあり、帯に若干カビあり

      2100円

      1680円
      (税込1848円)

      462円お得!


      CD詳細ページへ

  • PINK FLOYD / FINAL CUT

    ウォーターズ在籍時代の最終作にして最大の問題作と云われる83年作、ウォーターズのソロ的色合いが強い一枚

    サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1983年に発表された『ファイナル・カット』は、前作『The Wall』制作時にRick Wrightがグループを解雇(その後のツアーにはサポート・メンバーとして参加)されたため、69年作『モア』から続いた鉄壁の布陣が崩壊。Roger Waters、Dave Gilmour、Nick Masonの3名にナショナル・フィルハーモニック・オーケストラをはじめとするゲスト・ミュージシャンを迎え制作されました。本作もまた『The Wall』と同様、Roger Watersの私的な色合いが強く出た作品であり、反戦や政治批判を非常に重苦しいサウンドに乗せて表現。ブックレットには第二次世界大戦中にイタリアで戦死した父親の名前がクレジットされています。本作でRoger WatersはDave Gilmour、Nick Masonとの確執をより強固なものとしてしまい、85年にグループを脱退。本作がRoger Watersにとって、PINK FLOYD名義のラスト・アルバムとなりました。

  • PINK FLOYD / A MOMENTARY LAPSE OF REASON

    新生フロイドの第1弾となった87年作

  • PINK FLOYD / DELICATE SOUND OF THUNDER

    88年のNY公演を収録、代表曲多数の傑作ライヴ・アルバム

  • PINK FLOYD / PULSE: IN CONCERT (CD)

    94年「対(TSUI)」ツアーの音源を収めたライヴ・アルバム、全24曲

    94年の「対(TSUI)」ツアーの模様を収めたライヴ・アルバム。アメリカ、ヨーロッパを回る77都市、110回の公演で300万人以上を動員したツアーは「史上最大の光と音のスペクタクルショー」として今や伝説として語り継がれるツアーとなった。荘厳なピンクフロイドの音世界とともに、史上最大のステージセット、複雑怪奇な映像を写し出す大円形スクリーン、目が痛くなるほどの光の洪水(ヴァリライトが生き物のように動き回り、レーザー光線が会場中を照らし出す)、牙の生えたブタが宙を舞い、巨大ミラーボールが光を放ち、これでもかと言わんばかりの花火の嵐・・・。まさに「美」としかいいようのない、それまでのコンサートの定義を大きく変えるものであった。今作の目玉はなんといっても「狂気」全曲再演収録。75年の最後の演奏以来19年振りに94年7月のデトロイト公演で復活。ここに収録されているのは、8月ドイツ、9月イタリア、10月ロンドンのライヴより。1-(2)の「天の支配」はUS公演ではオープニング・ナンバーだったのだが、誰もが度肝を抜かれたシド・バレット在籍時の1stアルバムからの曲。

  • PINK FLOYD / ATOMIC SAUCERS

    70年11月28日のドイツ公演を収録

「PINK FLOYDの在庫」をもっと見る

コメントをシェアしよう!

あわせて読みたい記事

中古CD買取案内

カケレコ洋楽ロック支店

新着記事

もっと見る

プロのライター&ミュージシャンによるコラム好評連載中!

文・市川哲史

文・深民淳

文・舩曳将仁

文・netherland dwarf

人気記事ランキング

* RSS FEED

ロック探求特集

図表や代表作品のジュークボックスなどを織り交ぜ、ジャンル毎の魅力に迫ります。