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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』連動 ケベック産プログレッシブ・ロックの1970年代

本記事は、netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』 第16回 SENSE / Going Home (Canada / 2007) 】に連動しています

カナディアン・プログレッシブ・ロック・シーンは、ケベックの独自性と共にあります。フランス植民地時代を経てイギリス領となった歴史を持つケベックでは、フランス語のみが公用語とされ、登場するアーティストたちはヨーロピアンな音作りを個性としていました。「ロックの殿堂」入りを果たしたRUSHや、ポピュラリティーに富んだ音楽性で人気の高いSAGAなどの代表格グループたちはオンタリオ出身ですが、そういった代表格アーティストたちが持つアメリカナイズされたサウンドと比較して耳を傾けてみると、ケベック出身プログレッシブ・ロック・アーティストたちの特色が分かるでしょう。押さえておきたいのは、1970年代から現在に至るまで、カナディアン・プログレッシブ・ロック・シーンは間違いなくケベックを中心に構成されてきたということです。

MANEIGE / Ni Vent….Ni Nouvelle (Canada / 1977)

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70年代ケベックのプログレッシブ・ロックを象徴するのが、72年に登場したMANEIGEです。彼らの代表作である77年作『Ni Vent….Ni Nouvelle』は、ヴァイオリンやフルートによるチェンバー・アンサンブルと、サックスやヴィブラフォンを取り入れたジャズ・ロック・サウンドを基本スタイルに繊細な音作りが徹底されており、ヨーロピアンな質感というケベックの独自性が発揮されたマスト・アイテムとして高い評価を獲得してきました。また、ユニーク性という意味においても抜きん出ており、ジャズ・フュージョンからチェンバー・ロック、あるいはカンタベリー・テイストまで様々な切り口を持ちつつも、どれにも該当しないという特異な音楽性となっています。

ET CETERA / Et Cetera (Canada / 1976)

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ケベック出身プログレッシブ・ロック・グループたちの特徴は、ヨーロピアンなサウンド・メイクに加えて、偏屈な印象を与える一筋縄ではいかない楽曲スタイルにありますが、それはブリティッシュ・プログレッシブ・ロックで言えばGENTLE GIANTが有していた個性に共通するものです。中でも、突出したクオリティーを誇るGENTLE GIANTのフォロワー・グループが、ツイン・キーボード編成のET CETERAでしょう。複雑な楽曲とテクニカルなバンド・サウンドには間違いなくGENTLE GIANTからの影響が感じられますが、女性ヴォーカリストの存在がグループのカラーをより個性的なものにしています。

POLLEN / Pollen (Canada / 1976)

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アメリカでは70年代ならBABYLONやCATHEDRAL、80年代ならNETHERWORLDといったGENESISのフォロワー・グループたちが登場していますが、ケベックではPOLLENが76年にリリースしたデビュー・アルバムがGENESISからの影響を感じさせる名作として知られてきました。ケベックの場合、例えばシンフォニック・ロックの音楽性を持っていたとしても、アコースティックな肌触りが先行しているようなケースが少なくありませんが、彼らは厚みのあるシンフォニック・ロックを奏でます。アートワークに描かれた道化は、80年代以降のポンプ・ロック・グループたちが頻繁に取り上げることになるモチーフであり、ポンプ・ロックの音楽性もまたGENESISからの影響によって生み出されたのです。

HARMONIUM / Si On Avait Beson D’une Cinquieme Saison (Canada / 1975)

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ケベックからはシンフォニック・ロックやジャズ・ロックだけでなく、フォーキーな音楽性を持ったグループも登場していますが、その代表格がHARMONIUMでしょう。サックスやフルート、クラリネットを操る管楽器奏者の存在が光る77年作『Si On Avait Beson D’une Cinquieme Saison』は、まさにアートワークが示す通りの淡く繊細なサウンドで聴かせる名作であり、アコースティックなアンサンブルが全編を通して優雅に響き渡ります。また、メロトロンの名演が収められた作品としても広く知られており、同じくメロトロンの名盤に数えられるイタリアのプログレッシブ・ロック・グループCELESTEとの比較も納得の牧歌的な内容となっています。

OPUS 5 / Contre-Courant (Canada / 1976)

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大仰なシンフォニック・ロックを奏でるPOLLENとは対照的なスタイルで聴かせるのがOPUS 5です。彼らの特徴は、全体的にアンプラグドな印象を与えるサウンド・メイクですが、これはアコースティック・ピアノとフルートの存在が大きく押し出されている効果によるものでしょう。ナイーブなフルートの音色が楽曲にシンフォニックな色合いを付加していますが、イタリアン・ジャズ・ロックの最高峰ARTI E MESTIERIのドラマーFurio Chiricoにも通じる、テクニカル且つタイトなリズム・セクションがコントラストを演出しており、デリケートなシンフォニック・ロックにスリリングなジャズ・ロック的アプローチを融合させています。

MAELSTROM / Maelstrom (Canada / 1976)

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ケベックのプログレッシブ・ロック・シーンは70年代中盤に最盛期を迎えますが、そんな76年にレコーディングが行われながらも未発表に終わってしまったMAELSTROMのデビュー・アルバムが、製作から40年を経た2016年、ついにプログレッシブ・ロック・ファンに届けられました。同年にリリースされたPOLLENやET CETERA、OPUS 5といったアーティストたちの傑作群に全く引けを取らないシンフォニック・ロックとなっており、当時リリースまで漕ぎ着けていれば必聴名盤のひとつとして語り継がれることになったであろうことは間違いありません。ケベック産プログレッシブ・ロックらしさに溢れた傑作です。

BREGENT / Partir Pour Ailleurs (Canada / 1979)

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非常に個性的な作風で存在感を放つのが、ヴォーカリストJacques BregentとキーボーディストMichel-Georges Bregentの兄弟を中心とするBREGENTです。宗教色と神秘性を感じさせるナレーション、フランスのMAGMAを想起させるオペラティック且つヒステリックなスキャット、あるいはイタリアのバルカン・ロック・グループAREAのヴォーカリストDemetrio Stratosにも通じる、肉感的とすら言えるような歌い回しのヴォーカルなどのポイントを押さえていくだけで、いかに彼らの生み出すサウンドが一筋縄ではいかないものであるかが分かるでしょう。パワフル且つテクニカルなサウンドに仕上げられており、構成ミュージシャンのポテンシャルの高さを伺わせます。

MORSE CODE / La Marche Des Hommes (Canada / 1979)

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70年にブリティッシュ・テイストを感じさせる作風でアルバム・デビューを果たしたMORSE CODE TRANSMISSIONは、2枚のアルバムをリリース後にバンド名をMORSE CODEに改め、Capitol Recordsと契約。サード・アルバムとなる75年作『La Marche Des Hommes』は翌76年作『Procreation』と並ぶ彼らの代表作であり、ハモンド・オルガンやメロトロンが活躍するシンフォニック・ロックを収めています。ケベック産プログレッシブ・ロックの特徴である、YESを思わせる技巧とGENTLE GIANTに通じる複雑な構成も巧みではありますが、それ以上に気品に満ち溢れたサウンドが耳に残ります。

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