2017年1月5日 | カテゴリー:秀逸ジャケ調査委員会
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こんにちは、カケレコのユモトです。
今回は、レコードジャケットを芸術作品の域にまで高めたイギリスのデザインチーム『ヒプノシス』のことをテーマにしようと思います。
ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンなど70年代ロックグループの名作のジャケットをデザインしたことにより、解散した現代でも、その影響は様々なアーチストのジャケット・アートワークにうかがえます。
抽象的でありながら、なんらかの問題提起をしているような、ある意味思わせぶりなジャケットデザイン。そのなかにロックファンはメッセージを見出そうとし、サウンドにからめてアーチスト幻想を抱いたものでした。
歴史から見ると、彼らのデザインが定盤・名盤に採用されていることにより名声は絶大ですが、すべてのジャケットが、そういつも崇高なモチベーションでデザインされたわけではないはずです。
基本的には商業デザイン集団。やっつけ仕事ではないでしょうが、なかには「これはいかがなものか…」という作品も多数あるわけで。
そんな諸手を挙げては賛成できない出来のジャケットをピックアップしてみました。もちろん、独断と偏見で決定です。
まずは有名どころを。
76年リリース、7作目のスタジオアルバム。これサバスのジャケットじゃないよ……
この作品からチャートアクションに陰りが見えてきたブラックサバス。当アルバムの代表曲「It’s Alright」はドラマーのビル・ワードがヴォーカル。この後オジーはアル中もあり解雇。
シンプルによい曲。沁みるバラード。でもごたごたしていた当時のサバスにイッツ・オーライといわれても…。
「It’s Alright」
次は、意味のわからない下半身シリーズ。
ぶ、ぶるま……。エドガー・ウィンター・グループにいたギタリスト、ロニー・モントローズを中心に73年に結成。ヴォーカルはあのサミー・ヘイガー(後に脱退)。「Jump on It」は76年リリースの彼らのラスト・アルバム。全米118位。成功は得られず、そして解散。
「Jump on It」
誤解を恐れず言えば、バンドブームのときの日本のビートパンクバンドのよう。それぐらいノリのよいキャッチーなサウンド。決して売れないわけではないと思うのですが、やっぱりジャケットのせい?
ブライアン・イーノのバックを努めたこともあるイギリスのパブロック・バンド。
アルバムは75年作。ポップだがブルースのテイストも感じさせます。テンイヤーズアフターのLeo Lyonsやイーノをゲストにアルバムを制作するが未完成。その後Guy Stevensをプロデューサーに迎えこのアルバムを完成しました。しかし直後に解散の憂き目に。
「Davey’s Blowtorch」
結構かっこいいブギーだと思うのですが、やっぱりジャケットが?。
では下半身ではなく全身ものを。
ユーライア・ヒープに参加することになるキーボーディストKen Hensleyが在籍したイギリスのグループ。
難解そうなジャケットなのに、音はブギーやブルースをベースにしたハードロック。70年にファースト、71年にセカンドをリリース。そして名声を得ることなく解散。
インダストリアルやハードコア・パンクのバンドのジャケットならばばっちりマッチしたのでは。
「Nobody」
ブルースなヴォーカルにゴスペルっぽいコーラス。ファズのかかった2本のギター。いなたいギターソロにしびれます。ジャケには合っていませんが。
次はご本人シリーズ。
イギリスのカリスマ的シンガーソングライター。74年にリリースされたライヴ盤。EMIのレコード工場では女性従業員のストライキが起こったそうな。
「Male Chauvinist Pig Blues」
スライドギターが効いているブルースナンバー。しぶい。なのにこのジャケ?
元ゾンビーズのロジャー・アージェントが結成したバンドの73年リリース4作目。
1曲目のGod Gave Rock and Roll to YouがKISSにカバーされたので有名。前作All Together Now収録のHold Your Head Upが全英・全米とも5位のチャートアクションを見せてそれなりに成功し、さあ次回作が勝負ということで出たのが本作。シングルカットされたGod Gave Rock and Roll to Youもそれほどのヒットにはならず、この後、どのアルバムもシングルもチャートインすることはなかった。しかしながら、彼らの楽曲は多くのミュージシャン、バンドにカバーされ続けており、音楽的な影響は大きい。
「God gave Rock & Roll to you」
一聴してわかるロックンロール賛歌。ゴージャスさではKISSヴァージョンには敵いませんがいい感じです。クリスチャンロック界(そういうのがあるのです)では題名からして定番曲。このジャケットはやっぱりニルヴァーナの「NEVERMIND」に影響を与えてますよね?
最後に、最問題作で有名作を。
イギリスのシカゴブルース大好きな若者が結成したクライマックス・シカゴ・ブルース・バンド~クライマックス・ブルース・バンドが、名前をクライマックス・シカゴに(一時的に)変えてリリースした71年リリース4枚目。名前からブルースが消えたとおり、ブルース以外にもポップな曲も収録。この作品では実りませんでしたが、76年には念願のシングルヒットを記録。
ジャケットの男は当然ながらバンドのメンバーではありません。無関係です。
裏ジャケの、犬と遊ぶ牧歌的なバンド写真とのギャップがでかい。でかすぎる。
では、どブルースなナンバーを。ブルースハープにボトルネックギター。ヴォーカルだけ白人な感じ。ブルー・アイド・ブルース?
「Come On In My Kitchen」
ちなみに最初にある虫だか宇宙人だかのジャケット「Roger Taylor – Fun in Space」もヒプノシスのデザイン。
とりあえず、どれも『味がある』ということにして許してしまいましょう。
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【関連記事】
YlvisのThe FOX(What Does the Fox Say?)には全くちなんでいませんが、今回は狐ジャケと集めてみました
盤質:傷あり
状態:並
若干カビあり
言わずもがな、LED ZEPPELIN、DEEP PURPLEとともに英国三大ハード・ロック・バンドにそびえ立つBLACK SABBATHが70年に放った偉大なる1st。ブルース/ジャズを基調としたヘヴィなサウンド、サタニックで暗黒なバンド・コンセプト。それらを掛け合わるということが当時としては革命的であり、のちに勃興するヘヴィメタルの元祖と称される所以である。暗黒時代の幕開けを告げるかのようなTony Iommiの不穏なリフが印象的。
70年にVertigoレーベルよりリリースの2nd。グループを代表する「Paranoid」や人気ナンバー「War Pig」など、後のブリティッシュ・ヘヴィ・メタルへとつながる古典といえる名曲を多数収録した傑作。キーフによるジャケットも素晴らしい。
SHM-CD、デジタル・リマスター、定価1714+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
若干ケースツメ跡あり、帯中央部分に色褪せあり
オジー・オズボーン、トニー・アイオミを中心とする英国出身元祖ヘヴィ・ロック・グループ、71年にVergitoよりリリースされた3rd。トニー・アイオミによるヘヴィ・リフをフィーチャーした楽曲を中心とする一方で、トラッド、クラシック要素が芽を出し始め、叙情的なギター・ソロが挿入された楽曲をいくつか収録。メリハリのついた構成となり、重低音が炸裂するアルバムながら一気に聴けるアルバムとなりました。本作のハイライトは「Embryo」から「Children Of The Grave」へと至る流れでしょう。「Embryo」は英トラッド調の旋律で絡み合う30秒のインストゥルメンタルで、静かで美しい旋律にも関わらず、怪しい儀式の如き不穏な空気感に包まれます。雷鳴の如く鳴り響くドラム・ロールが静けさをぶち破り、ヘヴィ・チューン「Children Of The Grave」がスタート。歪んだベース・ラインとハシり気味のドラムにより強力なうねりを作り出します。ギターはヘヴィ・リフを自在にテンポ・チェンジ、左右チャンネルを分けて攻めてくる流麗なソロも素晴らしい。他にも「Sweet Leaf」、「Into The Void」といったヘヴィ・ロックの名曲を収録しています。抒情的な小曲を挟むことによって、重厚なアンサンブルの魅力が際立った、これぞブリティッシュな深みに満ちた名作。
67年に結成されたバーミンガム出身の4人組ヘヴィ・ロックの帝王ブラック・サバス。「マスター・オブ・リアリティ」がゴールド・ディスクを獲得したことにより不動の地位を築き上げ、その後のヘッドライナー・ツアーにより全米を席巻した絶頂期の彼らが、72年にヴァーティゴからリリースした4作目。「スーパーナート」「スノウブラインド」での凄まじいばかりのヘヴィ・グルーヴに加え、「チェンジス」でのメロトロンの導入で新機軸をみせ、よりドラマティックに深化した中期の代表作。
直輸入盤(帯・解説付仕様)、リマスター、定価1500+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
若干スレあり
21年リイシュー、デジパック仕様、2枚組、ボーナス・トラック3曲
盤質:傷あり
状態:良好
ケース不良、若干スレあり、軽微な圧痕あり、トレーにヒビあり
直輸入盤(帯・解説付仕様)、87年規格、WEST GERMANY盤、定価3200(税表記なし)
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、ケースツメ跡あり、折れ・若干カビあり
78年の8thアルバム『Never Say Die』リリースに伴う同年のツアーより、ロンドン/米ペンシルバニア/米テキサスでのライヴを収録、全14曲!
ヒプノシスによるジャケットが鮮烈な70年発表の1stアルバムと、71年発表の2ndとのカップリング。メンバーであるKen Hensleyは、後にUriah Heepに加入します。
67年作1st。アーティスト・スタイルはデビュー作にしてすでに完成されており、独特の作風はまさに「孤高の存在」。
盤質:無傷/小傷
状態:並
若干ウォーターダメージあり、ケースツメ跡あり
ゾンビーズのリーダー、ロッド・アージェントがグループ解散後にラス・バラードらと結成したグループ。今作は、後年あのキッスがカヴァーしてリヴァイヴァル・ヒットさせた「ゴッド・ゲイヴ・ロックンロール・トゥ・ユー」収録の通算4作目。後に数々のヒット曲を手掛け名作曲家としても名を成すことになるラス・バラードのポップな作風、そしてロッド・アージェントの実験的な手法がほどよくブレンドされた本作は、当時英米のロック評論家の間でも高く評価された。1973年発表。
COLCD6088/SONYA30998(COLLECTABLES)
ボーナス・トラック1曲
盤質:傷あり
状態:並
軽微なカビあり、盤に丸い痕あり
ゾンビーズのリーダー、ロッド・アージェントがグループ解散後にラス・バラードらと結成したグループ。今作はラス・バラード在籍最後のアルバムであり、アージェント唯一のライヴ作品。「ホールド・ユア・ヘッド・アップ」、「ゴッド・ゲイヴ・ロックンロール・トゥ・ユー」といったヒット曲、代表曲はもちろんのこと、ここで注目すべきはゾンビーズ時代の「二人のシーズン」、さらにはゾンビーズ時代の盟友コリン・ブランストーンのために、ラスが書き下ろしてアージェントがバックを務めた「アイ・ドント・ビリーヴ・イン・ミラクル」が収められていることだ。ライヴ・バンドとしても彼らが一流だったことを窺わせる貴重なアルバムである。1974年発表。
ZOMBIESのキーボーディスト/コンポーザーとして活躍した才人Rod ArgentがRuss Ballardらと結成したグループ。Russ Ballard脱退後の2作目にして最終作となった75年の7thアルバム。10ccかと思う程のひねりの効いたモダン・ポップ・テイストと、タイトに攻めるテクニカルなアンサンブルの組み合わせが気持ちいい、極上のブリティッシュ・ロックを聴かせてくれます。注目が一部楽曲におけるPhil Collinsの参加。2曲目や5曲目がおそらく彼の参加曲で、まさしくBRAND XやRTFばりの怒涛のテクニカル・ジャズ・ロックが繰り広げられて興奮必至です。Rod Argentの舞うように流麗なエレピさばき、John GrimaldiのGoodsallばりに音数多く切れのあるギターも素晴らしい。プログレ+モダン・ポップというスタイルで言うと、SAD CAFEにも近い聴き心地を持った充実の一枚となっています。
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