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INDIAN SUMMERによる71年のオルガン・ロック名作『Indian Summer』 – MEET THE SONGS 第159回

オルガン・ロックの名作として知られるINDIAN SUMMERの71年唯一作『Indian Summer』をピックアップいたしましょう。

バンドの出身地は、バーミンガムの南東に位置するイングランドで8番目に人口が多い都市コヴェントリーで、69年に結成。バーミンガムを拠点に活動します。

Bob Jackson: Key、Lead Vo
Colin Williams: Guitar
Malcolm Harker: Bass
Paul Hooper: Drums

バーミンガムの敏腕マネージャーで、ブラック・サバスも手がけていたジム・シンプソンに見いだされ、サバスとともにVertigoレーベルのオーディションを受けるものの、サバスのみが合格して、INDIAN SUMMERは不合格。ジム・シンプソンのつてもあってNEONレーベルと契約します。

そして、ロンドンのTRIDENTスタジオで録音され、71年にリリースされたデビュー作が『Indian Summer』。プロデューサーは、サバスの1stと同じで、バークレイ・ジェームス・ハーヴェスとやバッジーなどでもお馴染みのロジャー・ペイン!そして、エンジニアは、VDGGやアフィニティやスプリングを手がけた名手ロビン・ジェフリー・ケーブル!

T1: God Is The Dog

荘厳に鳴り響くハモンド・オルガン、陰影を添えるアコギのストローク、幻想的なコーラス・ワーク、そして、キング・クリムゾン1stでのマイケル・ジャイルスを引き合いに出すと褒め過ぎですが、ふくよかでタイトなドラムが印象的。

ヴォーカルは、R&Bの素養があって、スモーキー&ソウルフルで、キーボード&リード・ヴォーカルというスタイルからスティーヴ・ウィンウッドを彷彿。激しくシャウトするパートでは、ユーライア・ヒープのデヴィッド・バイロンが頭に浮かびます。

なるほど、このミュージシャンは、バンド解散後にフーのジョン・エントウィッセルのバンドRIGOR MORTISに加入してツアーを回ったり、BADFINGERに加わって幻のアルバム『Head First』に携わったり、ピート・ハムの自殺で解散した後は、トム・エヴァンスとDOGERSを結成したり、80年代には、DAVID BYRON BANDに参加したり活躍するなど、名ミュージシャンに一目置かれる存在となります。

バンド名は直訳すると「小春日和」ですが、サウンドにはそんな牧歌的な雰囲気はなく、色彩感のないものものしいもので、サバスの兄弟バンドとして活動していたことに納得。まさにキーフによるジャケのイメージ通りと言えます。ヘヴィなギターこそ入っていませんが、サバスやヒープばりの荘厳さを持つ名曲といえるでしょう。

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T2: Emotions Of Men

Aメロの感じは、トラフィックの2nd~3rdに近い感じで、やはり根っこにはR&Bがあることが分かります。グルーヴィーにうねりを上げるハモンド、やはりマイケル・ジャイルスばりにシャープで手数多いドラムもカッコ良し。

そして、何より特徴的なのがジャジーなギター。歪みの少ないトーンで、自在に早弾きながら、長尺のソロを流麗に紡いでいきます。ちょっと手癖な感じなのがちょっぴり残念ですが、テクニックは抜群。

ギターはジャズの素養ばりばりですが、「ジャズ・ロック」という感じではなく、くすんだ感じがないからか、あまりに滑らかなせいか、あくまで「ジャジー」な感じ。

荘厳なオルガン・ロックと涼しい顔のジャジーなギターとのマッチングは、なかなかありそうでなさそうな感じ。
(逆にそこがVertigoに落ちた理由かもしれませんが)

T4: Half Changed Again

アコギの叙情的なアルペジオと打楽器の幻想的なパートからはじまって、来るぞ、来るぞ、あれまだ来ないぞ、そろそろかな、と2分半過ぎたところでドラムの乱れ打ちとともに激しさを増し、3分50秒でハモンドのキメのフレーズとともに、オルガンのソロ・パートへ。それにしても、熱く疾走するドラムがカッコ良くって、キレのあるハイハット・ワークが良いなぁ。

そしてそして、何と言ってもたまらないのが5分過ぎに突如、放出されるメロトロン!一気にドラマティックさが増すとともに、ギターとオルガンによるツイン・リードで泣きのキメも炸裂したりして、あぁ、たまらない。これはグッとくる!

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T5: Black Sunshine

タイトなドラムをバックに、ヘヴィに歪んだギターとオルガンがそびえ立つようなイントロがカッコよし。ヴォーカルが入って、その裏のリズム・ギターは、テンションの感じがキング・クリムゾンに近い感じ。あれれ、パートががらりと切り替わった1分50秒ぐらいからの展開は、まるで「21世紀の精神異常者」のオルガン・ロック的解釈といった感じ!テンションいっぱいに切れ込むベースもグレッグ・レイクばり。ギターが繊細なキメ・フレーズを奏でる叙情的なパートもまたクリムゾンっぽいなぁ。

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クレシダを早回ししたような変則的なインスト・ナンバーの6曲目「From The Film」も良いし、「エピタフ」meets「風に語りて」というと褒めすぎかな、ちょっと野暮ったいけど、それが味だよね、って感じな7曲目「Secrets Reflectd」も良し。

クレシダほどには叙情的じゃないし、アフィニティほど英国的な気怠さがないし、スティル・ライフほどドラマティックじゃないし、トラフィックほどイケメンじゃないし(ただのイメージ)、クリムゾンほど革新的じゃないしテクニカルじゃないし、サバスほど荘厳じゃない。

何とも煮え切らないし、未整理な感じなんだけど、でもでも、そのゴッタ煮感がこのバンドの魅力で、味わいであり、奥ゆかしさなのです。

これぞブリティッシュ・ロックの奥座敷と言える逸品!

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