2014年6月6日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
毎回ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は、東欧ベラルーシ出身のロック・グループPESNIARYの80年作『GUSLIAR』をピックアップいたしましょう。
PESNIARYは、旧ソ連のベラルーシ出身のロック・バンド。ギタリストのVladimir Mulyavinを中心に68年に結成され、03年にMulyavinの死去をもって解散しています。70年代~80年代前半にかけて計7枚のオリジナルアルバムを残しました。母国ベラルーシでは絶大な人気を博したバンドらしく、彼らを描いた切手が存在するほど。
元はコーラスワークを生かしたフォーク・ロック・バンドとしてスタートしたPESNIARY。次第に元来のフォーク・ロックにクラシカルなアプローチを導入するようになり、見事80年作に代表される一大クラシカル・シンフォニック・ロックへと昇華させました。
そんな80年リリースの『GUSLIAR』は、ずばり「東欧版コンチェルト・グロッソ」と言うべき、重厚なストリングスとバンド・アンサンブルが融合を果たした逸品。まさしく「コンチェルト~」を彷彿させる哀愁の美旋律パートから東欧らしいスペイシーなシンセと共に伸びやかに歌うパートまで自在なストリングス、エネルギッシュに鳴り響くブラス、そしてバンドが得意とするオペラチックなコーラスワークを中心としたバンド演奏。これらが渾然一体となって全1曲36分という構成を駆け抜けていく、一大クラシカル・シンフォ絵巻に仕上がっているんです。
それでは本作の導入パートをお聴きください♪
いかがでしょう。格調高いストリングスが大活躍するこの導入部だけでも傑作の予感がしませんか?「コンチェルト・グロッソ」を手本にしたと思しきフレーズも登場しますが、試聴でも少し聴かれるキレの良いブラスも全編をエネルギッシュに彩っており、全体のオリジナリティ/完成度はユーロ圏全体を見回しても屈指と言える出来栄え。少し演歌っぽい節回しを聴かせるロシア語ヴォーカル、荘厳に渦巻くような表現とヴォーカルと寄り添う優しげな表現とをパートごとに使い分ける情感豊かなコーラスワークも見事です。
ニュー・トロルス「コンチェルト・グロッソ1」が生涯の傑作という方なら、きっと気に入ること間違いなしな東欧プログレ史上の傑作ですね!
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