2014年6月4日 | カテゴリー:MEET THE SONGS,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
今日の「MEET THE SONGS」は、スペース・ロック/サイケデリック・ロックを代表するバンドHAWKWINDがそのスタイルを確立した71年作2nd『In Search Of Space』をピックアップいたしましょう。
HAWKWINDはロンドン出身で、69年にデイヴ・ブロックとニック・ターナーを中心に結成されました。
ミドルセックス出身、1941年生まれ。バンドのブレーンであり、バンドの歴史を通して在籍するただ一人のメンバー。12歳の頃にバンジョーを手にし、ブルースやソウルに親しむ。60年代はじめには、エリック・クラプトンやキース・レルフらとも親交。67年、ツアー先のロッテルダムでニック・ターナーと出会う。
オックスフォード出身、1940年生まれ。技師として仕事を探しながら、ヨーロッパを巡る。オランダはロッテルダムでデイヴ・ブロックと出会い、68年には、ベルリンでタンジェリン・ドリームのエドガー・フローゼと出会い、強い影響を受ける。ミュージシャンとしては、60年代はじめに2年ほどサックスのレッスンを受けただけで、プロとしてやっていくつもりはなかったが、数多くのフリー・ジャズ/サイケデリックのミュージシャンと出会う中で、テクニックよりも表現を重視する姿勢に共鳴し、ジャズとサイケデリック音楽をロックのフォーマットで提示する方向性を模索していく。
そんな2人が69年はじめにロンドンで再会。サイケデリック・ムーヴメントの盛り上がりの中、デイヴ・ブロックはアコースティック・ギターからエレクトリック・ギターに持ち替え、サイケデリック・ロック・バンドHAWKWINDを結成します。
プリティ・シングスのギタリスト、ディック・テイラーのプロデュースで、デビュー作『HAWKWIND』を録音し、70年にリリース。ヒットはしなかったものの、アンダーグラウンド・シーンでは注目を集め、各地のフリーコンサートや野外フェスにも参加します。ワイト島フェスでは、商業主義に反対し、会場の外で勝手にフリーコンサートを開催。同フェスで、ストリップ・ダンサーのステイシアと出会い、ステージ上でのサポートメンバーとして加わります。
71年はじめには、ニック・ターナーの知人の詩人ロバート・カルヴァートを仲介に、SF作家のマイケル・ムアコックと交流。ロバート・カルヴァートもバンドと親交を深めるようになり、SF詩の朗読でステージにも登ります。
こうして、ステイシアのステージングと、マイケル・ムアコックやロバート・カルヴァート主導によるSFコンセプトというピースがバンドに加わり、LSDにも負けない強烈なサイケデリック体験をリスナーにもたらす、ドラッギーなステージが確立されていきます。サウンド面でも、アモン・デュールIIからデイヴ・アンダーソン(B)が加入し、地をはうようなロック的ダイナミズムが強化されるとともに、2人目のシンセ奏者としてデル・デットマーが加入し、ディック・ミックとの双頭体制でスペーシーな電子音像を極めていきます。
こうしてHAWKWINDスタイルが確立し、71年にリリースされた傑作2ndが『In Search Of Space』。
オープニングの「You Shouldn’t Do That」からとにかく強烈!
スペーシーな音の脈動からはじまり、エネルギーのメーターが上がっていくようにシンセ音が上昇。無機的にザクザクと刻まれるギターが加わってエネルギーを増幅させていき、ドラムが切り込むと同時に、堰を切ったように急激に加速します。ヘヴィな混沌と前に弾け飛ぶような推進力とがぶつかりあって猛烈なエネルギーを生むギター、2ビートで一心不乱に突っ走るドラム。理性をなぎ倒さんばかりに暴走&膨張するアンサンブルは終始レッドゾーンを振り切りっぱなし!
サイケデリック・ロックでは、同じ71年にアシュ・ラ・テンペルの1stがリリースされていますが、彼らが内省的&瞑想的に内宇宙に没入していくのに対し、エネルギーとスピードにより理性を置き去りにしてしまう、そんなやけっぱちなサウンドに痺れます。
ニック・ターナーによるサックスも特筆で、まるでテープ逆回転のようにヘロヘロでフリーキー。ピコピコとスペーシーなシンセとともに、暴走するアンサンブルの周りを衛星のようにぐるぐるとまわってアシッド臭を生み出し、理性が吹き飛んだリスナーの脳内をアディクトします。
ずばり肉体派サイケデリック・ロック!
B面の幕を開ける「Master Of The Universe」もまた、「You Shouldn’t~」に負けず劣らずにテンションみなぎる名曲。
位相をずらして強烈にうねりをあげるギター、新加入のデイヴ・アンダーソンによる凶暴なベースが生みだすドラッギーなグルーヴのとんでもない破壊力。
それにしてもライヴはさぞかし凄まじかったでしょうねぇ。生でこの音を浴びて、さらにヌードダンサーが目の前で踊り狂ってたら、あまりの熱気に理性なんてあっというまに蒸発して消えてなくなってしまうでしょう。
観念的、哲学的なドイツのアシュ・ラ・テンペル、ボヘミアンなフランスのゴングに対し、そのエネルギーで自己も他者もすべてを消滅させ、快楽へと突っ走る、そんなロンドンのアンダーグラウンド・シーンで夜な夜な繰り広げられた恍惚が音にみなぎる、刹那的ドラッグ・ミュージック大傑作!
71年発表の2ndアルバムで、元アモン・デュールllのベーシスト、デイヴ・アンダーソンが加わったことにより、ヘヴィでドライヴ感あるリズムとスペーシーでカオティックな演奏という彼らのスタイルが確立した名作。
72年発表の3rdアルバム。ベーシストが後にモーターヘッドを結成するレミーへと代わり、スピーカーの中に閉じ込められたような凄まじい音圧でベース&ドラムが鳴り響く。突出したリズム隊に乗せられ、ギター、サックス、電子音のカオスが更に宇宙的な広がりで聴き手を圧倒する傑作。
サイケデリック・スペース・ロックの代表格として今もなおプログレッシブ・ロックからテクノシーンまで幅広いバンドに影響を与えているイギリスのグループ、代表作と名高い73年ライブ作。その内容はロンドンとリヴァプールでのライブを収録しており、スペース・ロックというジャンルの醍醐味であるライブの開放感に溢れた傑作です。トランシーに盛り上がり、宗教的な神秘性を発するサウンドは唯一無二の境地であり、うねりを上げるLemmy Killmisterのベース、Del Dettmarの宇宙的なシンセサイザーを中心にNik Turnerのサックスやフルートも圧倒的。凄まじいテンションと恍惚とした酩酊感に溢れた名盤です。
4面開き特殊デジパック仕様、2枚組、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲
盤質:傷あり
状態:並
若干カビあり、トレーが外れています
サイケデリック・スペース・ロックの代表格として今もなおプログレッシブ・ロックからテクノシーンまで幅広いバンドに影響を与えているイギリスのグループ、代表作と名高い75年作。その内容は、Michael Moorcockの小説をコンセプトに掲げた宇宙的な広がりを見せる荘厳なスペース・ロックであり、High Tideのメンバ−でもあるSimon Houseによるメロトロンの壮大な鳴りや、ジャーマン・シンフォニック系にも通じるような格調高いフルートもフューチャー、サイケデリック・ロックファンならずとも一聴の価値ありな名盤となっています。
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