2014年5月21日 | カテゴリー:MEET THE SONGS,世界のロック探求ナビ
タグ: ロック&ポップス
今日の「MEET THE SONGS」は、米ウェストコースト・ロックの名グループ、FOOLS GOLDをピックアップいたしましょう。
イーグルスのメンバーがプロデュースし、演奏にも参加して爽やかなカントリー・ロックを聴かせる1st『FOOLS GOLD』、後にTOTOで活躍する名セッション・マンがサポートしてグッと洗練された2nd『MR.LUCKY』ともに、時代の波にうまく乗れず大ヒットこそしなかったものの、フックに富んだメロディと爽快なアンサンブルがこれでもかと溢れ出るウェストコースト・ロック屈指の作品。
そんな愛すべきFOOLS GOLDの中心人物は、イリノイ州出身のトム・ケリーとデニー・ヘンソン。2人が組んだバンドが地元イリノイで人気となり、その活躍を聞きつけた敏腕マネージャー、アーヴィン・エイゾフに誘われ、74年にLAへと向かいます。アーヴィン・エイゾフは、イーグルスやスティーリー・ダンやジャクソン・ブラウンを手がけるなど、アメリカン・ロックを代表する言わずと知れた名マネージャー!
LAに出た2人は、アーヴィン・エイゾフが当時手がけていたダン・フォーゲルバーグのライヴのサポートとして活動。そのサポートのメンバーで結成したバンドが、FOOLS GOLDです。イーグルスのブレイクを横目にカントリー・ロック・バンドを求めていたアリスタの目に留まって契約。76年にリリースしたデビュー作が『FOOLS GOLD』。
プロデュースは、曲により、グレン・フライ、ジョー・ウォルシュのイーグルス組の他、名プロデューサーのグリン・ジョンズなどが手がけ、ジョー・ウォルシュやドン・フェルダーは演奏でも参加するなど、イーグルスのファンにはたまらない豪華メンバーで制作されています。
カラっと明るくナチュラルな声質のハートウォームなヴォーカル、西海岸の青空へと吸い込まれるようなヌケの良いハーモニー、そして、フックに富んだキャッチーなメロディ。アメリカンな爽快さとともに、黄昏色の憂いもたっぷりで、ハードなナンバーも流麗なピアノが彩るバラードも、初期イーグルスのファンにはたまらない曲ぞろい。
内容はカントリー・ロックとして一級品と言える出来映えながら、イーグルスがカントリー・ロックから離れ、内省的で骨太な『ホテル・カリフォルニア』を出した76年にはあまりに爽やかすぎたのか、シングルが小さくヒットする程度でブレイクはできませんでした。
77年リリースの2ndでは、フリートウッド・マックなどで成功したキース・オルセンをプロデューサーに起用し、デヴィッド・フォスター、アンドリュー・ゴールドの他、後にTOTOを結成するジェフ・ポーカロ(dr)やデヴィッド・ペイチ(key)など名うてのセッション・ミュージシャン達が参加。同じくジェフ・ポーカロとデヴィッド・ペイチが参加した、前年リリースのボズ・スキャッグスの名作『シルク・ディグリーズ』に勝るとも劣らない洗練されたウェストコースト・ポップスを聴かせています。
煌びやかなキーボード、軽やかに飛翔するホーン・セクションをバックに従え、流れるように美しいメロディは磨きがかかっている印象。変わらぬスカッと気持ちの良いヴォーカル&ハーモニー、明暗くっきりのフックに富んだメロディ・ラインが胸を鷲づかみにする佳曲ぞろいです。
この2ndも良質なメロディが溢れるウェストコースト・ロックの名盤と呼べる作品ながら、残念ながらヒットには恵まれず、78年にバンドは解散します。
この後、メイン・ソングライターのトム・ケリーは、TOTOのツアーにバッキング・ヴォーカルとして参加したり、『TOTO IV』などレコーディングにも参加するなど裏方として活動した後、マドンナ「Like A Virgin」やシンディー・ローパー「True Colors」など5曲のビルボード一位のヒットソングを生むなど、売れっ子ソングライターとして活躍します。
何かのきっかけで大ヒットを記録していれば、イーグルスやボズ・スキャッグスばりの名声を得てもおかしくはない実力派グループ。
未聴のリスナーは、この機会にどうぞ、彼らが紡ぐメロディとハーモニーをご堪能ください。
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