【ユーロロック周遊日記】70’sイタリアン・ヘヴィ・シンフォ屈指の逸品ALPHATAURUSの73年作『ALPHATAURUS』

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毎回ユーロロックの名盤を一枚ピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は、70’sイタリアン・ヘヴィ・シンフォの実力派バンドとして知られるAPLPHATAURUSの73年唯一作『APLPHATAURUS』をピックアップいたしましょう。

IL BARRETTO DI BRONZOやMUSEO ROSENBACHといった一作のみながらイタリアン・ロックを代表する作品を残したヘヴィ・シンフォ・バンドたちに比べるとマイナーな存在ではありますが、キーボード主体で重厚に突き進むヘヴィ・アンサンブル、パワフルかつ哀愁たっぷりなヴォーカル、イタリアらしい叙情性など、サウンド面では全く引けをとらないのがこのALPHATAURUS。

まず注目したいのがこのジャケットです。平和の象徴であるハトが事もあろうに地上に爆弾を投下しているという、非常にシュールなモチーフのイラストが目を引きます。作品内容とリンクするテーマであるのかは不明ですが、インパクトという点ではなかなか強烈なものがありますよね。

邪悪なトーンで唸りを上げるオルガン、不気味に音色を変化させつつも印象的なフレーズを繰り出すシンセ、荘厳に舞うピアノなど、ユーライア・ヒープにも匹敵するキーボード・オリエンテッドなハード・ロック・サウンドに、イタリアらしくドラマティックに歌い込むヴォーカルが加わり、このバンドならではの構築性に富んだスケール感のあるヘヴィ・シンフォが形作られていきます。緩急のコントロールに優れたリズムセクションも特筆で、ハードに畳み掛けるパートからメロディアスかつポップに弾むパートまで、演奏をリードする巧みなリズムさばきも聴きどころとなっています。

では、本作からのナンバーをお聴きください♪

1.PECCATO D’ORGOGLIO

彼らの音楽性の全てが発揮された12分に及ぶヘヴィ・シンフォ絵巻。序盤コーラスを交えた力強い歌パートはさすがイタリアというべきドラマティックさです。荘厳だったオルガンが一変し邪悪な表情を見せると、タイトにまくし立てるリズムとともにヘヴィにうねりだします。野太いヴォーカルが乗ると、演奏のテンションはMAXに。ここでのダイナミックに疾走するプレイこそ伊ヘヴィシンフォの醍醐味と言ってもいいでしょう。イタリアン・ロックでも屈指と言いたい名演ですね～。

4.LA MENTE VOLA

IBDBを彷彿させる不気味さと神秘性が拮抗する緊張感みなぎるインストパートが、次第にイタリアンな叙情と哀愁がほとばしる劇的な歌パートへと収束していく名曲。ヘヴィに畳み掛ける強靭なアンサンブル一辺倒ではなく、イタリアン・ロック本来のロマンティックさもたっぷりと堪能させてくれるのが、このバンドの素晴らしいところです。

さて、73年にこの唯一作を残したのみでシーンを去ったALPHATAURUSですが、2010年に再結成。12年には前作よりおよそ40年越しとなる2nd『ATTOSECONDO』をリリースしています。これが往年と変わらぬどころか、さらにスケールアップしたヘヴィネスみなぎるシンフォサウンドを聴かせる驚異の一枚！初期PFMに通じるリリシズムをも備え、演奏のダイナミズムも大きく進化！

さらに、再結成後2010年のライヴ音源を収めた『LIVE IN BLOOM』、最新リリースとなる10～12年のライヴ音源/映像を収録した『PRIME NUMBERS』も、ヘヴィ・シンフォ・ファン必聴と言うべき素晴らしい内容となっていますよ！よりパワーアップした彼らの演奏に是非度肝を抜かれてください♪