【ユーロロック周遊日記】これぞ裏コンチェルト・グロッソ！？IL PAESE DEI BALOCCHIの72年唯一作『IL PAESE DEI BALOCCHI(子供達の国)』

• ツイート

一日一枚ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は、イタリアン・クラシカル・プログレの名作、IL PAESE DEI BALOCCHIの72年唯一作『IL PAESE DEI BALOCCHI(子供達の国)』をピックアップいたしましょう。

本作がリリースされた70年代初頭のイタリアン・ロック・シーンと言えば、NEW TROLLSのオーケストラとの共演による不朽の名作『CONCERTO GROSSO I』が71年にリリースされ、以降オーケストラとの共演作が数多くリリースされ始めた時期でした。『CONCERTO GROSSO』でオーケストラアレンジを担当したバカロフを起用したOSANNAの72年作『MILANO CALIBRO 9』やRDMの73年作『CONTAMINAZIONE』などがよく知られていますよね。

そんな中の1枚と言えるのが、今回ご紹介するIL PAESE DEI BALOCCHIの72年の唯一作です。とは言え、『CONCERTO～』ほどのスケール感に満ちたオーケストラが鳴り響くのは冒頭一曲で、その他の曲では、格調高さと哀愁を合わせ持ったオルガンやラブロック的なナイーブさを持ったヴォーカルに寄り添って物悲しくも美しく奏でられているのが本作の特徴。全体の印象で言うなら、「動」の伊クラシカル・プログレが『CONCERTO GROSSO』とすると、「静」の伊クラシカル・プログレが本作と言えるかもしれません。いずれにしろ、凛とした美しさ、情感の豊かさ、そしてここぞで押し寄せる荘厳さにおいては全く引けを取らない傑作なんです。

では本作からのナンバーをお聴きください♪

1.Il Trionfo Dell’egismo,della Violenza,Della Presunzione E Dell’Indifferenza

試聴 Click!

冒頭は、いかにも『CONCERTO GROSSO』の後と言った感じの力強いストリングスとバンドアンサンブルが対比されるインパクト大なナンバー。バンド演奏が突如断絶し荒々しいストリングスが入ってくる構成は、イタリアらしいダイナミックさを感じさせるもの。

3.Canzone Della Speranza

試聴 Click!

ストリングスのクラシカルな調べに甘く悲しげなヴォーカルが乗るメランコリックなナンバー。ラブロック+オーケストラという感じですが、I POOHなどとは異なる物悲しく切々としたドラマティシズムが胸を打ちます。

7.Ritorno Alla Condizione Umana

試聴 Click!

アルバムのラストが、チャーチ風の荘厳なオルガンをフィーチャーした悲劇的な色合いを帯びた独奏曲。アーティスティックな作風の本作を締めるに相応しい重厚な後味を残す音ですね。

【関連ジュークボックス】

イタリアン・クラシカル・ロック

【関連ジュークボックス】

CGDレーベル