【ユーロロック周遊日記】早逝のカンタゥトーレによるシンフォニックな名作、Gianni D’erricoの76年唯一作『ANTICO TEATRO DA CAMERA』

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一日一枚ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は、イタリアのシンフォニックなカンタゥトーレ名作Gianni D’erricoの76年唯一作『ANTICO TEATRO DA CAMERA』をピックアップいたしましょう 。

Gianni D’erricoは、48年生まれのカンタウトーレ。カンタゥトーレとは英語で言うところのシンガソングライターのことで、60～70年代のイタリン・ロック・シーンと深い結び付きを持つジャンルです。

Gianniは68年に、RCA ITALIAに所属するためのオーディションを受けますが落選。翌年Festival di Castrocaroと呼ばれる大会に出場したことで注目を集めます。

イタリアの大手レーベルCGDと契約して以降は、数枚のシングルのリリースやイタリアでは最高峰の音楽イベントであるサンレモ音楽祭への出場、そして有名アーティストが彼の楽曲を取り上げたことなどにより、徐々に人気を獲得していきます。そんな彼が75年にレコーディングした唯一のアルバムが『ANTICO TEATRO DA CAMERA』です。

カンタゥトーレというとアコギを主体とした明るく牧歌的な音が想像されるかもしれませんが、彼のサウンドはアコギよりもキーボードやエレキギターを大きくフィーチャーした、よりロック/プログレ的な肉感を持つもの。

また、彼の書くメロディは全体に翳のあるメランコリックな質感を強く帯びているのも特徴的で、一般的なカンタゥトーレとは一線を画する繊細かつアーティスティックな感性を強く感じさせる作風だと言うことが出来ます。

イタリアの歌い手としては比較的線が細いにもかかわらず、どこか説得力を持って響く歌声も印象に残るものですね。

では本作からの楽曲をお聴きください。

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過剰に盛り上げることをせず、切々と丹念に織り上げられていく演奏の中ににじみ出てくる哀愁を帯びたドラマティシズムが胸に迫りますよね～。珠玉のカンタゥトーレ作品であると同時にイタリアン・ロックの名作としてもその名を刻む一枚です。

本作レコーディング後の76年に、彼は交通事故により帰らぬ人となります。享年28歳。これだけの才能の持ち主、その後もきっと優れた音楽を多く残してくれただろうことを思うと、何とも残念ですよね。