エミット・ローズ『Emitt Rhodes』 – 「MEET THE SONGS」 第64回

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今日の「MEET THE SONGS」は、一人ポール・マッカートニーとも言われるエミット・ローズがABC/ダンヒルから70年にリリースしたデビュー作をピックアップいたします。

まずは簡単にエミット・ローズの経歴を振り返って見ましょう。

エミットは、五大湖沿岸のイリノイ州生まれですが、2歳の時にカリフォルニアへと移住します。

ハイ・スクール時代にドラマーとしていくつかのバンドを経験した後、フロントに立つべく、ギターをマスター。自身が作曲/Voも担当するバンドMerry-Go-Roundを結成します。地元で人気バンドとなり、当時はまだ新興だったA&Mレーベルと契約し、67年にデビュー。2枚のシングルと1枚のアルバムを残します。

「Live」はバングルスがカヴァー、「Time Will Show The Wiser」は英国のフェアポート・コンヴェンションにカヴァーされるなど、エミットの作曲者としてのセンスは高く評価されます。

ワンマンバンドとなって他のメンバーとのいざこざが続く中、バンドは解散。メンバーとの関係に疲れたエミットは、ソロとして再スタートを切ります。

両親の家のガレージにスタジオを作り、4トラックレコーダーをはじめ機材をセッティングし、ソロ・アルバムを制作。ベースやピアノもマスターし、すべての楽器を多重録音で演奏するだけでなく、プロデュース、アレンジ、エンジニアリングとすべてを一人でこなします。
アルバムはABC/ダンヒルから70年にリリースされ、シングルが全米54位、アルバムも29位とヒットします。

それでは、早速、聴いてまいりましょう。

まずはオープニング・ナンバーから！

With My Face On The Floor

タイトでふくよかなドラム＆ベース、ギターとピアノによる躍動感いっぱいのバッキング、そしてポール・マッカートニー直系のポップなメロディと柔らかでハートウォームな歌声。

ビートルズでいえば、「ラバーソウル」収録のキャッチーな「You Won’t See Me」にも負けないキラメキ！

Somebody Made For Me

キャッチーなオープニング・ナンバーに続くのは、しっとり陰影あるナンバー。

ポールのアコースティックなナンバーにありそうなギターのアルペジオのイントロからいいなぁ。

気品たっぷりの流麗なサビ、単音で奏でられるギターのバッキングもビートリッシュ。

Cメロがまたポール直系で、もう「Your Mother Should Know」ばりのリリカルさで『マジカル・ミステリー・ツアー』に入っていてもおかしくない感じ。

最後に1stシングルとしてリリースされ、全米54位となった代表曲をどうぞ！

Fresh As A Daisy

ピアノのソロではじまり、そこからベースが入ってきて、ドラムが「ドドド」と入ってきて、ギターが躍動！心躍る完璧なイントロ！

一人多重録音のコーラス・ワークも最高だなぁ。

タメのきいたドラムはリンゴばりだし、歪んだトーンのオブリガードはジョージにも負けないセンスだし、本当、一人でこつこつと多重録音しているとはとても思えないグルーヴ。

ポール直系のポップソングの中でも屈指と言える名曲ですね！

ポール・マッカートニーと言えば、同年には賛否両論の1stソロ作『マッカートニー』をリリースしています。

このエミット・ローズのデビュー作は、ポール以上にポールらしいビートリッシュな名作と言えますね！

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