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追悼 ブライアン・ウィルソン氏

2025-06-12

2025年6月11日、ポップ・ミュージック・シーンの最重要人物の一人と言えるブライアン・ウィルソン氏が82歳で亡くなったことが伝えられました。

彼を長兄とするウィルソン3兄弟を中心に結成したビーチ・ボーイズのメイン・ソングライターとして、カリフォルニアの陽光をいっぱいに浴びたサーフ・ミュージックでポップス・ファンを魅了しヒットを連発。

やがて、そんなアメリカを象徴するようなサウンドとはイメージを異にする、60年代当時誰も聴いたことがなかったアーティスティックで内省的なサウンドを模索し始め、その成果となったアルバム『Pet Sounds』は、ビートルズ特にポール・マッカートニーの音楽性に多大な影響を与えたと云われます。

以後は長年にわたる心身の不調と闘いながら、断続的ながらもビーチ・ボーイズの一員として、また80年代後半からはソロ・アーティストとしても活動を展開。

00年代以降はソロ活動に専念し、数年ごとにアルバムを発表するなど60年代以来とも言える精力的な音楽活動を続けていました。

ここからはブライアンのキャリアにおける代表的なアルバムを取り上げながら、その偉大な足跡を辿りたいと思います。

BEACH BOYS / Surfer Girl(1963)

ブライアンが初めて全面プロデュースを務めた3rdアルバム。

デビュー時からの魅力である明朗快活なサーフ・ロックの裏側に、すでに繊細な感受性が顔を覗かせており注目に値します。

とりわけ甘く切ないタイトル曲「Surfer Girl」が持つメロディの美しさには、すでにブライアン固有の才能の片鱗が現れていると言って良いでしょう。

BEACH BOYS / The Beach Boys Today!(1965)

スタジオワークに専念し始めたブライアンの才能が一気に花開いた名作ですね。

初期を引き継ぐサーフィン/ホットロッドと、後により顕在化する内省感が漂うサウンドとのバランスが絶妙な一枚。

後者の音楽性へと大きく傾倒する『ペット・サウンズ』よりも、本作を愛するリスナーも少なくないかもしれません。

BEACH BOYS / Pet Sounds(1966)

言わずと知れたロック/ポップス史上に輝く金字塔ですが、リリース当時にはリスナーは勿論メンバーもその未知のサウンドに戸惑いを覚えずにはいられなかったとされます。

起用された腕利きセッション・ミュージシャンでさえお手上げの複雑なコード進行のオンパレード、なのに出てくる音は子供の鼻歌のような無垢さに溢れていてエバーグリーン。

60年代半ばにこんなアルバムが突如登場すればビックリして当然だとは思いますが、間違いなくロック/ポップ・ミュージックの可能性を大きく拡張させた、ビートルズの『Revolver』や『Sgt.Peppers〜』と肩を並べる重要作品です。

BEACH BOYS / Smile(Smile Sessions)(1966–67年録音/2011年発表)

『Pet Sounds』で提示した複雑で実験的な孤高のポップ・サウンドをさらに追求すべく製作が進められた『Smile』。

しかしブライアンの精神状態の悪化で製作中止を余儀なくされ、幻のアルバムとなった『Smile』は「ロック史上最大の未発表作にして問題作」として長らく語り継がれる事となります。

本作に収録予定だった「Heroes and Villains」「Good Vibrations」「Surf's Up」などは、当時ピークに達していたブライアンの作曲能力を示す驚異的な名曲です。

BEACH BOYS / Sunflower(1970)

『Smile』の頓挫以降ブライアンの活動が極めて限定的なものになっていく中、ビーチ・ボーイズの活動を継続していた残りのメンバー達が、特に作曲面で大きく成長を見せていきます。

そんなメンバー達の充実した楽曲群と、何とか復帰したブライアンの楽曲が合わさって、素晴らしい完成度の一枚として結実したのが本作です。

デニスの「Forever」、ブルースの「Deirdre」など珠玉の名曲に負けじと、「This Whole World」「Our Sweet Love」とブライアンもさすがの楽曲を提供。マイク・ラブとの共作「Add Some Music to Your Day」もビーチ・ボーイズ史に燦然と輝く一曲です。

Brian Wilson / Brian Wilson(1988)

デビューから四半世紀を経てついに発表された1stソロ・アルバム。

20年以上にもわたっていた心の病との闘いを経て世に送り出された作品で、「Love and Mercy」「Baby Let Your Hair Grow Long」など、再び米ポップス界随一の「メロディの魔術師」としての輝きを感じさせる楽曲を収録しています。

長年のブライアンの苦節を想うと感動がこみ上げてくる一枚です。

Brian Wilson / Brian Wilson Presents Smile(2004)

そして実に37年越しとなった『Smile』への再挑戦を見事に完遂させたのが本作です。

当時本作のために作られた楽曲群を、円熟の域に達したブライアンが現在の感性によって再構築し完全新録で製作。

狂気すら見え隠れしていた当時のナンバー達が、優美で溌溂とした高品質なアメリカン・ポップスへと生まれ変わっていて、これには感動を禁じ得なかったファンも多かったはず。

当時の録音を収めた上述の『Smile Sessions』の内容と聴き比べてみるのもまた興味深いでしょう。

ノリの良いサーフ・ミュージック、実験的要素も盛り込んだ複雑かつ美しい孤高のポップ・ミュージック。そして後期ビーチ・ボーイズやソロで聴かせた古き良きアメリカン・ポップスを再解釈したような味わいのナンバーや、珠玉のメロディ・センスを発揮した気品高いナンバーの数々。

そのどれもが、音楽史の重要なレガシーとして現代にいたるまで後進に影響を与え続けています。

ポップ・ミュージックの発展に計り知れない功績を残したブライアンの、安らかな眠りをお祈りしたいと思います。

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