2019-03-06
左右に配された2本のギターが時に美しくハモリ、時に互いの熱いプレイをぶつけ合う。
ウィッシュボーン・アッシュを源流に、シン・リジィを経て、メイデンやプリーストなどNWOBHMへと続く英国ロック勢。オールマン・ブラザーズやレーナード・スキナードを起点にしたサザン・ロック勢。そして、キャメルやジェネシス由来の叙情性とも融合しながら重厚でドラマ性溢れるギター・サウンドを構築したユーロ/辺境プログレ。
世界各国に生まれたツイン・リード・ギターの作品を定番からニッチ盤までピックアップしてまいりましょう。
まずは、ウィッシュボーン・アッシュの名作『アーガス』からスタートし、ウィッシュボーン・アッシュ直系の英国ロックを聴いてまいります!
ドラマチックなツイン・リード・ギターを堪能するならまずはこの名盤。
フィナーレを飾る「Through Down The Sword」のラスト、2本のギターが美しく調和しながら上り詰めていくツイン・リードのソロは、もはや芸術的とすら言える素晴らしさ。
叙情的に鳴り響くジョン・タウト(ルネッサンス)のオルガンも雰囲気を盛り立てます。
そのウィッシュボーン・アッシュを手掛けたデレク・ローレンスがプロデュース!
メロディアスなツイン・リード・ギター、ファンタスティックなハモンド、軽快さと英国的陰影が同居したアンサンブル、こりゃ素晴らしい!
惚れ惚れするような見事な構図のジャケットはヒプノシス!
ピーター・バラカン氏の弟で、後にはショーン・フォンテインの名でブルース・スプリングスティーンやイアン・ハンターやジョー・コッカーら名だたるミュージシャンをサポートしたギタリスト、ミック・バラカンがキャリア初期に在籍したバンド。
彼と、イアン・デューリーのバンドでも活躍するChas Jankelのツインギターがお見事!
ブリティッシュらしい陰影に溢れたソングライティングも才能溢れてるなぁ。
英米混成ハード・ロックと言ったら、カクタスだろうって?
おいおい、俺らも忘れちゃこまるぜ。
ブルージー&アグレッシヴにぶつかり合うツインギターが痛快なこのハード&ソリッドな音、だまって一度聴いてみな!
そのORANG-UTANやSAMUEL PRODYといった実力派英ハード・ロック・バンドのメンバーが集結したマイナー系スーパーグループ!
ウィッシュボーン・アッシュばりの骨太かつスリリングなツイン・ギターと憂いある哀愁のヴォーカル、いぶし銀の極みと言える英国ロックですなぁ。
カントリータッチの米憧憬も上手く織り込んでるし、これが20年ものあいだ未発表だったとは…。
Vertigoレーベル代表はこのバンド。
マイナーながら、フリーのコクとタメ meets パブロッキンな軽快さ meets ウィッシュボーン・アッシュの英国的叙情美と言えるサウンドを聴かせます。
味のあるツインギターがたまらない秀作!
霧に包まれたような荘厳さ、タメと畳みかけが絶妙なドラマティックな展開。
「どうだい?」と悦に入ったバンドメンバーの顔が目に浮かぶような、元祖様式美ブリティッシュハードと言いたい70年唯一作!
BLACK SABBATHやJUDAS PRIESTと同じくバーミンガム出身のアンダーグラウンド・ハード・グループ。73年に録音されながらお蔵入りとなった発掘音源。
ヘヴィなリフとツイン・ギターの様式美。こりゃカッコ良い!
ここまでは、ウィッシュボーン・アッシュ直系のグループから、プレNWOBHM的なハード・ロック勢まで英国のグループをピックアップしてまいりました。
ここからは、アメリカのバンドをピックアップしてまいりますよ〜。
これはまるでNWOBHM × ボストン・・・。これでもかと泣きのフレーズで畳みかけ、トドメの哀愁ツイン・ギター。凄すぎます。
こちらのライヴ・アルバムも、メロディがとめどなく溢れるツイン・ギターに号泣間違いなし!
上の82年作と共に、ドラマチックな泣きの展開が好きなハード・ロック・ファンの諸兄は必聴の名盤ですよ。
こ、これはシン・リジィに対するアメリカからの回答!?
アメリカとは思えない憂いたっぷりの必殺ツイン・リードに悶絶。
ドラマチックすぎて泣けてきちゃいますこれ。
前のめり気味のゴリゴリとエネルギッシュなハード・ロックを叩きつけるニューヨーク出身バンドが彼ら。
ハイスピード&アグレッシヴな暴走ドラム、ハイトーンのシャウトを炸裂させるヴォーカル、そしてテンション溢れるツイン・リード...。破壊力抜群のサウンドに圧倒されます。
一方で、動画のような英ハードに通じるスタイリッシュな切れ味を持つツイン・ギター・サウンドも聴かせる懐の深さが魅力的!
ツインギターを擁したソリッドなハード・ロックを展開する米4人組バンドの70年作。
LED ZEPPELINのスピード感のみを抽出したようなスピーディー&アグレッシヴ&切れ味抜群のアンサンブルは、ずばり元祖HR/HM!
ヒプノシスのジャケも痛快!
オールマン・ブラザーズでお馴染みのカプリコーン・レーベル発ながら英国的陰影を持ったハード・ロック逸品!
ウィッシュボーン・アッシュか!という感じの哀愁のツイン・リードが炸裂っ!
ここまでは、英国直系のドラマティックなツイン・リードが魅力のアメリカ産プログレ〜ハード・ロックをピックアップしてまいりました。
アメリカでツイン・リードと言えば、オールマンやレーナードなどサザン・ロック勢も忘れてはいけませんね!
オールマン・ブラザーズ・バンドも所属したカプリコーン・レーベル末期の79年リリース作。
豪快に炸裂するツイン・ギター&男臭いヴォーカルは、これぞサザン・ロックでエネルギッシュ!
ツイン・ギター系サザン・ロック・バンドには、マイナーでもいいバンドがたくさんいるんです。
こちらは、LYNYRD SKYNYRDの演奏の中に、突如へヴィー・ウェイト級のボクサーが乱入して来たかのようなアグレッシヴなサウンドが素晴らしい力作。
重量感がありどっしりと構えたプレイと、片や速弾きフレーズでガンガン畳み掛ける、対照的なギタープレイが聴き所!
左右のチャンネルに振られた2本のギターの掛け合いのグッとくることっ!
タメの効いた泣きのフレーズの応酬でこれでもかと畳みかけてきて、サザン・ハードのファンであれば無意識にガッツポーズでしょう。
シン・リジィにも匹敵するこの哀愁と爽快感。あぁ、至福・・・。
あのジョニー・ウィンターもその腕前を認め自身のアルバムに起用したギタリストPat Rushがツインギターの片翼を担う米ハード・ロック・バンドの75年唯一作。
ソリッドでエッジィでド派手なツイン・ギターのリフがもう最高!ストレートで男らしく、サザン・ハード・ファンなら心鷲掴みにされちゃうサウンドです。米ハードには珍しいフルートがフィーチャーされているのもポイント!
ここからは、世界のプログレからツイン・リード・ギターの作品をピックアップいたしましょう☆
ウィッシュボーン・アッシュばりの哀愁ツイン・リードをイエスばりのクリアなファンタジーで包み込んだアンサンブルをバックに、イタリアン・ロックばりにヴォーカルが熱く歌い上げちゃう。
スペインにこんなムフフンなグループが居たとは!
これでもかと美旋律を奏でるツイン・ギターと、神秘的な女性ヴォーカルやシンセ。
ゲルマン民族のアーティスティックな感性に溢れたジャーマン・クラシック・ロックの秘宝的名作。
ウィッシュボーン・アッシュばりにタメの効いた泣きのツイン・リード・ギターのイントロからグッとくるし、リズムがシャッフル・リズムを奏で、キーボードがたなびき、フルートが入ると、クレシダの名曲「ミュンヘン」も彷彿させて、拳を握る力も強くなります。
このドイツのバンド、VERTIGOやHARVESTの作品のファンは是非一聴を。
こ、これは、まるでスウェーデンのユーライア・ヒープ・・・。
疾走するドラマチックな構成、泣きのツイン・リード、荘厳なオルガン。
この泣きの旋律はやられちゃいますね。
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「スウェーデンのユーライア・ヒープ」としてユーロ・ロック・ファンに人気のRAG I RYGGENの75年唯一作をピックアップ。
このスウェーデンのバンド、マイナーだけど驚きのクオリティ!
イエスやジェネシスやグリーンスレイドやベガーズ・オペラあたりのファンはたまらないだろうなぁ。
北欧らしく粒立ちの良いトーンのギターが次々にメロディアスなリードを奏で、ここぞではツイン・リードで畳み掛け、さらに、ハープシコードとピアノも流麗なリードで続く、というドラマティック極まる演奏にグッときっぱなし。
英ハーヴェストやネオンのバンドへの、なんとグリーンランドからの回答と言える名作!
初期バークレイ・ジェームス・ハーヴェストを彷彿させるチョーキングばりばりのギター・オブリガード、ウィッシュボーン・アッシュばりの哀愁みなぎる単音ツイン・リードが実に良いなぁ。
NWOBHMを彷彿とさせる疾走感溢れるツイン・ギターとシャウト・ヴォーカル!
と思ったら、一転ヴォーカルはエモーショナルに歌い上げるし、泣きまくりのツイン・リードも飛び出して一気に叙情度MAX。
70年代のハンガリーにこれほどのサウンドが存在したのか…。
旧ユーゴはクロアチア屈指の傑作!
ウィッシュボーン・アッシュばりのドラマティックなツイン・リード、幻想的にたなびくオルガンやフルート、そして、炸裂するデヴィッド・バイロンばりのハイ・トーン・シャウト!
まるで初期シカゴとウィッシュボーン・アッシュとクレシダが合体したような感じ!?
クラシックの気品も漂わせながらドラマチックに盛り上がるツイン・リード・ギターが出色。
このベルギー発の75年作、ずばりユーロ・ロック名作。
パープルやヒープのスピード感とエッジに、IL VOLO的なフージョンっぽさをまぜて、めっちゃくちゃ「辺境」に寄せた感じ!?
持ち前の様式美的センスにジャズ/フュージョンのエッセンスを加えたスリリングかつ流麗なフレーズで疾走するツイン・リード・ギターが魅力!
さすが南米随一のプログレ国、アルゼンチン...。
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「とにかくギターがかっこいいプログレ&ロック」というテーマで、facebookに投稿してまいりました。
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毎回、中古棚よりコレは!という名盤をピックアップしてご紹介するこのコーナー。今回は、60年代末〜70年代におけるロックの多様化とともに生まれた、既成の枠に捉われないオリジナルなプレイスタイルを持つ個性派ギタリストが活躍する名盤を、中古在庫よりピックアップしてまいりましょう〜。
カリフォルニアのハード・ロック・グループ、ツイン・ギター編成の4人組。70年のデビュー作。リフ&リードともにスピード感いっぱいのギター、手数多く前のめりなリズム隊、ハイ・トーンのシャウト・ヴォーカルが一体となり、アグレッシヴに疾走するハード・ロック。LED ZEPPELINのスピード感のみを抽出したようなスピーディー&アグレッシヴ&切れ味抜群のアンサンブルは元祖HR/HM!
JASON CRESTのTerry "Nobby" ClarkやKILLING FLOORの Mick Clarkeによってロンドンで結成されたハード・グループ。71年にアメリカで発売された唯一作。ツイン・リード・ギター体制でブルージー&スリリングなギターが左右チャンネルを暴れ回り、ヴォーカルが絞り出すようにシャウトを炸裂!引きずるようなヘヴィなリズムも文句なしの格好良さ。ZEPPELIN級のハード&ソリッドなサウンドが圧巻の名作。
英プログレ・グループ、73年にソヴリン・レーベルからリリースされた唯一作。初期WISHBONE ASHを手掛けたことで知られるデレク・ローレンスがプロデュースを担当。エネルギッシュかつスモーキーなグッとくるヴォーカルとヌケの良い爽快なコーラス・ワーク、そしてそこに絶妙にからむメロディアスなツイン・リード・ギター、そのバックで英国らしいファンタスティックな陰影を描くハモンド・オルガン。タイトでキレのあるリズム隊、抜群にタメの効いたキメのリズム・チェンジも最高のカッコ良さ。この1曲目を聴いて心躍らないブリティッシュ・ロック・ファンは居ないでしょう。レーベル・メイトのフラッシュを彷彿させるスピード感と突き抜けるメロディ・センス。2曲目では、長尺ギター・ソロがこれでもかと胸に迫ります。3曲目ではカントリー・フレイヴァーもまぶせてどこまでも気持ち良く駆け抜けます。こんなバンドで、こんな風にギターが弾けたら、楽しいだろうなぁ。オススメです!ジャケはヒプノシス!
アメリカのハード・ロック・バンド、82年作。キレ味&哀愁ともに強烈なギターを中心に、これでもかと叙情溢れるメロディと、「泣き」のエッセンスを最高潮まで高めるエモーショナルなハイ・トーン・ヴォーカルが聴き手を揺さぶり続ける必殺ハード・ロック。それにしても全編を貫く歌心には涙するしかありません。9分を超える名曲「Free to Live」で号泣してください。これでもかと泣きのフレーズで畳みかけてきて、さらにトドメの哀愁ツイン・ギター。凄すぎます。NWOBHMとボストンを掛け合わせたような、泣きのハード・ロック・ファン必聴の傑作!
BLACK SABBATHやJUDAS PRIESTと同じくバーミンガム出身のアンダーグラウンド・ハード・グループ。73年に録音されながらお蔵入りとなった発掘音源。沈み込むようにヘヴィなリフを軸に、ツイン・ギターの様式美が溢れるキメのパートを織り交ぜた、奥ゆかしくもドラマティックなアンサンブルが持ち味。
ALLMAN BROTHERS BANDで有名なカプリコーン・レーベルから79年にリリースされた唯一作。タメの効いたグルーヴ、豪快に炸裂するツイン・ギター、男臭いヴォーカル、哀愁いっぱいのキーボード、スワンピーなホーン・セクション&女性コーラスが印象的なサザン・ロック。楽曲、演奏ともにエネルギッシュで力がみなぎった快作。
旧ユーゴ・クロアチアはザグレブ出身のプログレ・グループ、PGP-RTBレーベルから75年にリリースされたデビュー作。幻想的にたなびくオルガンやフルート、ウィッシュボーン・アッシュばりのドラマティックなツイン・リード、そして、デヴィッド・バイロンを彷彿させるハイ・トーンのシャウト・ヴォーカル。叙情的で陰影に富んだサウンドは、ハーヴェストやヴァーティゴ・レーベルの叙情的な英プログレのファンにはたまらないでしょう。エッジの立ったトーンのエネルギッシュなリズム・ギターが冴えるハード・ロックもまた魅力的。旧ユーゴ屈指の名作です。
ツイン・ギター編成の4人組、72年にVertigoレーベルよりリリースした唯一作。英国的な陰影や牧歌性のあるこれぞブリティッシュと言えるサウンド。中域寄りのマイルドなトーンのギター2本が奏でるブルージー&メロウでタメの効いたリフ&リード。ちょっと線の細めですがソウルフルなヴォーカル。ヘヴィかつふくよかなリズム隊。ジャケットのイメージ通りのコクのあるブリティッシュ・ロックが印象的です。英国の深い森に迷い込んでしまったような幻想性に満ちたフォーキーな楽曲も絶品。フリーやウィッシュボーン・アッシュのファンは是非!
GRINDER SWITCH好きに大推薦!米アーカンソー出身の泣きのフレーズキメまくるサザン・ロック、79年唯一作がこちら!冒頭から男の哀愁を感じさせるツイン・ギターのフレーズと軽やかなピアノ、オルガンが切なさ全開の男泣きサザン・ロック・チューンを展開!一転、落ち着いたバラードの楽曲では、アコギのアルペジオとレイドバック感のあるスワンピーなギター・フレーズに、オルガンの音色がネバっこく絡みつき、雄弁なツイン・ギターのソロ・パートへと流れ込んでゆく様がまさにザッツ・アメリカン・サザン・ロック!ALLMAN BROTHERS BAND、HYDRAと言った、カプリコーン・レーベルのファンにも強くお薦めしたい作品ですね!
CROSSROA PRODUCTIONS5804(CROSSROAD PRODUCTIONS)
レーベル管理上、ジャケに若干不備がある場合がございます。ご了承ください。
ゴリゴリと迫力あるツイン・ギターがグッと来る、米オクラホマ出身サザン・ロック・バンド、81年唯一作!重量感がありどっしりと構えたギター・プレイと、片や速弾きフレーズをガンガン饒舌にキメてくる対照的なフレージングはお見事!な実力派バンド。声の良く通る力強いヴォーカルも、どこまでも真っ直ぐに伸びて行くアメリカのハイウェイのようにスカッとする、直球ど真ん中サザン・ロックを演出して行きます。まるで、LYNYRD SKYNYRDの演奏の中に、突如へヴィー・ウェイト級のボクサーが乱入して来たかのような、アグレッシヴなサウンドが素晴らしい力作!
ベルギー出身、ツイン・ギターに加え、ブラス&フルート奏者、キーボード奏者を含む7人組グループ、EMIより75年にリリースされた唯一作。ブラス・ロックを彷彿させる逞しくもシャープなリズム・セクション、クラシックな気品もあるドラマティックに盛り上がるツイン・リード・ギター、英VERTIGOの作品群を彷彿させる流麗なフルートや淡いオルガン、そして、多声コーラスを交えて荘厳に盛り上がっていくヴォーカル&ハーモニー。まるで初期シカゴとウィッシュボーン・アッシュとクレシダが合体したような何とも魅惑的なサウンドが全編で繰り広げられていてビックリ。演奏は安定感抜群だし、変拍子のキメを織り交ぜながら忙しなく畳み掛ける展開もプログレッシヴだし、メロディもフックたっぷりだし、これは素晴らしい作品。ユーロ・ロック名作!
ディープ・パープルやユーライア・ヒープに影響を受けたスピーディー&ドラマティックなサウンドで75年にデビューしたアルゼンチンのバンド。よりシンフォニック色を強めた76年の2ndから7年ぶりにリリースされたのが本作3rdアルバム。イタリアのヘヴィ・シンフォを彷彿させる劇的でエモーショナルなヴォーカル、持ち前の様式美的センスにジャズ/フュージョンのエッセンスを加えたスリリングかつ流麗なフレーズで魅力のツイン・リード・ギター、そして、清涼感あるトーンでしとやかに広がるエレピやムーグ・シンセ。旧ユーゴあたりのシンフォニック&ジャジーなプログレにも通じる味わい。フュージョン・タッチでいて熱気もあるギターが特筆で、IL VOLOでのアルベルト・ラディウスも彷彿させます。これは辺境プログレのファンにはたまらない魅力がつまった名品です。
あのピーター・バラカン氏の弟Mick Barakanが在籍していたことで知られ、72年と73年にA&Bから2枚のアルバムをリリースしたブリティッシュ・ポップ・バンド。彼らの活動期間中の71年〜74年に録音されたデモ音源とライヴ音源をまとめたもので、バンド自主制作で1000枚のみ制作された作品。ポップに洗練された2枚のアルバムに比べ、ザクっとしたバンド・サウンドと英国的な陰影豊かなメロディ&ハーモニーが印象的な英国フォーク・ロックが印象的。PARLOUR BANDあたりに通じる気品あるハード・ロック寄りのサウンドあり、HERONの2ndにも通じるハートウォームなフォーク・ロックあり、英国純度の高い愛すべき作品集です。
ドイツ出身、Key奏者を含む4人組ハード・ロック・バンド、BRAINレーベルより72年にリリースされたデビュー作。出色なのが、B面の組曲「A Young Man's Gash」。ウィッシュボーン・アッシュばりにタメの効いた泣きのツイン・リード・ギターのイントロからグッとくるし、リズムがシャッフル・リズムを奏で、キーボードがたなびき、フルートが入ると、クレシダの名曲「ミュンヘン」も彷彿させて、拳を握る力も強くなります。クラシカルな雰囲気もあって、ギターが重厚なトーンでキメを入れるところなんかは、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストも頭に浮かぶし、これはVertigoやHarvestの英オルガン・ロックのファンはたまらないでしょう。野太いシャウトの力強いヴォーカル、憂いたっぷりのメロディもまた魅力的です。ドラマティックな名作。