NICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lake、ATOMIC ROOSTERのCarl Palmerによって結成され、ギターレスのトリオという変則的な編成ながらそのハンディを全く感じさせない音楽性でプログレッシブ・ロックの1つのスタイルを築いたイギリスのグループ。Emerson Lake & Palmer解散後、ASIAへ参加したCarl Palmerに代わりドラムにCozy Powellを迎えて製作された作品であり、Carl Palmerは認めていないものの事実上EL&Pの再結成作と言える作品。その内容は80年代らしく、最先端ポリフォニック・シンセサイザーを駆使した音の厚みで聴かせる明瞭なシンフォニック・ロックであり、Carl Palmerとは全くタイプの違うCozy Powellのパワフルなドラミングが素晴らしい1枚。ホルストの「火星」のプログレアレンジ含め、クラシカルなアプローチも彼らならではの風格漂うものです。
「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」 第二十六回: 我が心のキース・エマーソン & THE BEST 〜1990年の追憶〜 文・市川哲史
2016年末、話題のプログレ本『どうしてプログレを好きになってしまったんだろう』を出版した、あの市川哲史氏がカケレコでコラムを執筆!その名も「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」!!
帯【有】 解説【有】
盤質: | 無傷〜傷少なめ | 傷あり | 傷多め
状態: | 良好 | 並 | 不良 |
レビューは登録ユーザーのみ記入できます。
第2の「P」に注目(7 拍手)
waterbearerさん レビューをすべて見る
86年の唯一作。C. Palmerのクレームにより「EL&P」の名を名乗れなかったが、それはそれ。第2の「P」Cozy Powellのドンパン・ドラムはKeithのダイナミックなKeyとGregの甘美かつ力強いVoと見事に調和していると思う。「庶民のファンファーレ」を彷彿させるM1「The Score」のっけからドンパン演ってます。ラストにツイン・バスドラも炸裂。ドラムにかけられているゲートエコーもハードロック寄りの音作りになっているのも功を奏していると思う。M2からM3への繋ぎもファンタジーな雰囲気だし、M5「Love Blind」もシングルカット向けであるが決してこじんまりとせず、ドラマティック。元々12インチシングルにのみ収録されていた「The Locomotion」と「Vacant Possession」は輸入盤CDに収録されている。考えてみればこの3人とも鬼籍に入りましたね…おすすめです!
アップデートされた80’SのEL&Pサウンド(2 拍手)
yes_90125さん レビューをすべて見る
もしかしたらEL&Pファンとしては賛否があるのかもしれないし、セールス面では成功したとは言えないけれど、個人的には結構好きなアルバム!
エイジアで活動していたカール・パーマーの代わりにコージー・パウエルが参加すると聞いた時には、商業主義的な作為を感じて「結局、EL&Pを語りたいためにPのドラマーを引っ張って来ただけでしょ!?」と目もくれなかったのだけれど、友人の勧めで聴いてみたら正にアップデートされたEL&Pだった。
コージー・パウエルはハード・ロック系のドラマーの印象が強かったのだけれど、数々のバンドを渡り歩いてきたその実力はここでも存分に発揮されており、全体的にロック色が強くなっている。
グレッグ・レイクの声は、この頃はまだとても魅力的で、バラード曲「Lay Down Your Guns」では色気ある甘いヴォーカルも聞かせている。
そして、キース・エマーソンは70’Sのヴィンテージ感を脱ぎ捨て、それでもEL&Pサウンドの根幹を担っている。
思っていた以上に3人のバランスが良く、当時の音楽市場を思い返してみて、売れてもおかしくない曲はあるのだが、結局この1作のみで解散してしまった。
ラストにホルストの「火星」が収められていて、これも聴く前は「まだ、そんなことやっているの?」と思ったのだけれど、聴いてみると選曲としては良かったと思う。