レビューは登録ユーザーのみ記入できます。
ロッキン・ケイジャン・ウィズ・メロトロン(0 拍手)
tsさん レビューをすべて見る
72年の唯一作から20年近く経ってリリースされた未発表音源ですが、これがまた良い出来。デイヴ・エドマンズやマーク・ノップラーの参加が売りになっていますが、それを抜きにしてもゴキゲンな米国南部憧憬型パブ・ロックを披露しています。
鍵盤のスティヴ・ダーリントンとギターのジョン・マケイは英国でもマイナーなブルーズ・バンドであるMahogany出身。Mahoganyはムーディーズやキンクリの初代プロデューサーで有名なトウニー・クラークが制作した秀作アルバムを何故か米のみでリリースしています。もう一人のギタリスト、デリク・ティムズもベテランで、後年自己のバンドで地味ながらも味わい深いブルーズ・ロック・アルバムを発表している人です。
一言でいえばブルースとケイジャンに根差したルーツ・ロックですが、どれも英国の湿りを引きずった音。英国全土のパブやクラブ廻りで鍛えた叩き上げ?ゆえ演奏は安定しており、皆ツボを心得ているという感じですが、本盤の2曲目”Rollercoaster”では突如メロトロンが出て来たり(センスが抜群)、一筋縄ではいかない人達です。ハード・ロックでもプログレでも、ましてやドライビング・ミュージックなどでは到底ありませんが、好きな音楽を、確かな力量を持ったミュージシャン達が肩肘張らずに楽しんでやっているのがよく伝わってくる好盤です。日本人じゃ出せないんだろうなーこんな音。
バンド名とDire Straitsのジャケをもじったイラストが少々お下品ですがこれも向こうのノリなんでしょう。