STONE ROSES

空前絶後のビート（7 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

わたしがリアルタイムのリスナー生活を引退したのが89年です。理由は明白で、独身生活が終わり、可処分所得が制限されたことと、その頃聴くべき音楽を持たなかったこと。墜落した80年代が終わり、もう洋楽にのめり込む必要ないな、と思っていました。つまりストーン・ローゼズの出現をわたしは経験していないのです。なぜに後追いリスナーのお前がレビューする、と言われてしまうでしょう。

このレコード出現の騒ぎだけは覚えています。また、以後出会った友人の中で、マンチェスター・ムーブメントに出会ったことが自分の人生を決定したという人が何人かいらっしゃいました。自分で購入するまで、それが全然実感できなかったわけです。

彼らのすごみは5年後の「セカンド・カミング」のほうにより表れていると思います。ファーストは、「アイ・ウォナ・ビー・アドード」「メイド・オブ・ストーン」の浮遊感とかっちりしたソリッドなリズムです。リズムがほめられるバンドですが、肌も凍るようなメランコリーがこのバンドのキモだと思います。彼らの緊張感は、ただれ切った80年代を一瞬で終わらせてしまいました。そして「アイ・アム・ザ・レザレクション」の高揚が最後にやってきます。ツェッペリンに比較されるソリッドで躍動するビートが数分続きます。圧巻。興奮します。ここだけでも聴いてください。2022.08.21