TROUBLE IN SHANGRI-LA

タフな創作欲が火を噴く（2 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

わたしが「ソーサラー」という曲を知ったのは、映画「ストリーツ・オブ・ファイア」の劇中でした。歌手クレジットは、マリリン・マーティンということになっています。主演のダイアン・レインが、昔の男と再会しながら心が通えず行き詰った心情のシーンで流れていたように記憶しています。一方、マック経由で「バッキングハム・ニックス」を知ったわたしは、再発もCD化もならないそのレコードを、ずっと探していました。ネットで音源をDLできるサイトを見つけて、その中に「ソーサラー」のデモが含まれていることを知りました。30年ぐらいたっていたと思います。その後、ライ・クーダーがスティービー・ニックスに掛け合い、劇中で彼女の曲を使ったことを知りました。

「バッキングハム・ニックス」が73年でしたから、このレコードで再録された「ソーサラー」は、28年ぶりということです。ニックスとすれば、無論マックの中でこの曲をやりたかったでしょう。マックは「タスク」リリースの頃、メンバー間の人間関係がぐちゃぐちゃだと伝わってきていました。81年にニックスは「ベラドナ」でソロデビューを果たし、以後彼女の創作活動をダイレクトに聴く環境が整いました。

何を言いたいかというと、ニックスの創作デーモンです。マックの頃は、シンデレラ・ガールだと失礼ながら思っていました。一貫して彼女の曲のテーマは自立と恋愛に対するタフな思い込み。圧倒されてしまうのです。2022.10.30