ブラッドショット

良心的なパチンコ店のような（3 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

ドアーズの暗さを目一杯味わったあとで、このバンドを鳴らしたら、自分の享楽的生活を罪深く感じそうです。彼らの狙いは、ユーザーに仕事や嫌なことを忘れさせる徹底的なエンタテインにあります。デビューしたての頃はブルーズに接近したことをやっていましたが、ライブを発表したあとのこの4作めでは完全にR&Bバンドへ変貌しました。彼らがこのままシュープリームスやジェイムズ・ブラウンを演奏しても何の違和感もありません。（実際にシュープリームスは別のライブでやっています。）

このバンドのリーダーであるJ・ガイルズは、とても不思議なポジションにあります。フロントマンはボーカルのピーター・ウルフとハープのマジック・ディック。曲を書いているのはウルフとセス・ジャストマン（Kbd）。彼のギターもほとんどがリズム・ギターのカッティングで、演奏に特質があるわけでもありません。メンバーの写真でも一番地味です。おそらくメンバーが大暴れして壊したホテルに謝りに行ったり、ウルフとマジックに酒をついだりする役割だったのではないかと（失礼）。実際ガイルズ抜きに、J・ガイルズ・バンドを名乗ろうとしてこともあって、ガイルズは訴訟を起こしています。

3. Back To Get Ya からがものすごくて、脅迫的なビートの上をピアノが乱舞し、ウルフがアジりまくります。南部のバンドと違って（彼らはボストン）カントリーらしさは、みじんもありません。お金を払ったユーザーには必ず元をとらせるのだ、というサービス精神に満ちています。