ドイツ産シンフォニック・ロック・バンドSCYTHEによる01年作。たゆたうシンセと叙情的なピアノが織り成す幻想的な音空間が印象的な静の場面と、ギター、ピアノ、シンセがスリリングに交錯する動のシーンとが代わる代わる訪れ、ドラマティックな起伏を描き出すシンフォニック・ロック。そんな静と動を行き交う演奏のなかに一貫して感じられるのはバンドが独自に持つ冷ややかな手触りのメランコリーで、多彩な表情を見せる演奏にもどこか謎めいた空気が漂います。15分前後の大作を2曲含む構成も実にプログレらしくて良いのですが、その15分を幻想的にもファンタジックにもハード・ロッキンにも、目まぐるしく曲調を変えつつ演奏し切ってしまうバンドのイマジネーションの見事なこと。多彩なアンサンブルを独自のカラーで染め上げ、卓越した構築美で一気に聴かせてしまう、一級のシンフォニック・ロック作品となっています。
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