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無条件の肯定（4 拍手）

たすけさん レビューをすべて見る

「ピース・オブ・マイ・ハート」のボニー・ブラムレットの歌唱を聴くとき、このデュオの存在意義がよくわかります。ジャニス・ジョプリンが生きていることの影や切なさ、美しさを表現していることに対して、生きていることの素晴らしさ、喜びを歌うのがD&Bであることに気づくんです。この盤を聴くと、無条件の肯定感に包まれ、体中がほっとしている気になります。わたしはシュープリームスにもそれを感じるんですが、「オール・ウィ・リリー・ウォントゥ・ドゥ」なんて、これ以上ないと思うぐらい完璧なポップス。わあ、転調した、と思っただけで涙ぐみそうになります。この曲はエヴァリー・ブラザーズも録音していて（そちらにもD&Bが参加していますけれど）、しかし音楽の魔術が出ているのは、こちらのほうです。終始明るい曲なのに。

この当時のスタックス・レーベルって本当に豊かな音楽をつくっていたんですね。アフリカ系も移民系もなくて、ジャンルも何でもありました。ゴスペルがD&Bの素養の中メインであるとわたし思っていますが、カントリーのいい部分もありますし、ブルーズももちろんあります。これを聴いてしまうと、ちょっと下手な音楽はその日聴けなくなる。そんな盤です。2022.10.20